食品廃棄物の発生量

最近、すこし忙しい日々が続いています。去年までは殺人的スケジュールが続く日も多かったので、それに比べればまだまだ余裕はありますが、仕事が溜まっていくのは困りものですね・・。

 

先日、農林水産省で「食料・農業・農村政策審議会食品産業部会食品リサイクル小委員会(第1回)及び中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会食品リサイクル専門委員会(第10回)合同会合(第1回)」なるものが開催されました。なんだかみょーに長い会議ですが、要するに農水省と環境省が合同で行った食品リサイクルに関する審議会の委員会と言うわけです。

 

この委員会では主に食品リサイクル推進のための目標値の再設定が行われるのですが、そのために食品廃棄物の発生量についての調査の取りまとめが行われています。

平成19年に食品リサイクル法の改正が行われ、それから年間100トン以上の食品廃棄物を排出する事業者は農林水産省に食品廃棄物の排出量の報告を行うことが義務づけられました。その結果がとりまとめられて今回の委員会に初めて報告されました。

詳しくは上記リンクの資料を見て頂ければと思いますが、従来は年間1100万トン程度とされていた事業活動から発生する食品廃棄物が実は2200万トンもあることが判明しています。2倍、1000万トンの差は大きいですね。この差だけでも日本の年間トウモロコシ輸入量に匹敵し、米の生産量よりも多いわけですので。

会議の資料を見ると、いろいろと推計がずれていた訳が記載されてます。要するにサンプリング手法がよくなかったみたいです。自ら食品メーカーに営業を行っている立場としてみると、サンプリング調査には無理があります。食品廃棄物は同じ業種でも製造方法や営業形態によって大きく排出量が異なります。

ちなみに、今回の定期報告の分(つまり100トン以上あるとして報告があった分)だけでも1500万トンもあり、それだけで従来の推計値を大きく超過しています。ただ、私はこの数字もだいぶ怪しいと思います。

上場企業やそれに類する大企業ではちゃんと定期報告しているのですが、ハッキリ言って町工場レベルまで行くと「食品リサイクル法、なにそれ?」状態の人が大多数です。そんな人たちは当然報告なんてしませんし、町工場でもときどき驚くほど食品廃棄物の発生量が多いことがあります。カット野菜とか漬け物工場、豆腐屋さんなどでは年間1000トン以上の食品廃棄物が発生していることも珍しくありません。

また、食品メーカー自身が食品廃棄物の量を正確に把握していないケースも多いです。社長に聞くと「うちは100トン出ていないから」って言っていても現場に聞くとすごく多い・・なんてケースはざらです。

 

廃棄物の世界はとにかく情報というものが集約されていませんので、ちょっと調査を行うとこういう事態になります。食品リサイクル推進を否定するわけではありませんが、罰則だなんだと言う前にもう少し実態調査を先行して行い、適切な施策を行うべきでしょうね。