飼料の表示と分析値

最近多忙を極めていてブログの更新がすっかり滞っています。作らなければいけない書類の待ち行列がずら~と並んでいる感じです。ただいま出張中の新幹線の中でこれを書いています。最近は出張中しか時間が取れないようになってきた感もあります。
この前、配合飼料メーカーの人と話していて飼料の分析値について話題に上りました。配合飼料は表示されている成分値と実際の成分があっているか定期的に抜取検査が行われます。原料の成分が変動すると当然できあがった配合飼料の成分値に影響が出てしまいます。このため、配合飼料の原料となるものは成分が安定していることが求められます。また、原料の組み合わせが大きく変わると成分の調製が難しいこともあり、原料は一定量が安定的に供給されることが求められています。
というような制約があるため、配合飼料の原料として当社が扱っているようなエコフィードを使用するのが難しくなっています。エコフィードはどうしても成分がばらつきやすく、また一定量を安定的に供給することが難しいです。もちろん、こういうハードルを越えてエコフィードを配合飼料メーカーに供給している例もありますが。
 
ただ、問題はこの「配合飼料の成分表示」があんまり意味が無くなってきているということにあります。例えば、タンパク質の表示値。タンパク質の分析では有機体窒素の分析を行い、そこから係数をかけてタンパク質の値としています。このため、タンパク質の種類や消化性は判断できず、タンパク質以外のものもカウントしてしまう欠点があります。たとえば、以前食品の偽装で問題となったメラミンですが、もちろんタンパク質ではありませんし、人間は消化できないものです。ところが、有機体窒素であるため窒素の分析法であるケルダール法ではこれをカウントしてしまうわけです。
もちろん、日本の飼料メーカーがメラミンを混入してるわけではありませんが、タンパク質によっても消化率に差があります。たとえば、加熱乾燥してエコフィードの製造を行っているケースがありますが、加熱温度が高いとタンパク質が変性して(早い話がコゲて)消化性が悪くなります。こういった消化性が悪いタンパク質がいくら入っていても意味がないわけです。
また、最近の豚用飼料ではアミノ酸組成のバランスが重要視されています。豚も人間と同じように必須アミノ酸があるわけですが、このアミノ酸のバランスが悪いと成長に影響が出ます。アミノ酸組成が記載されていないタンパク含量ではあまり意味がありません。ので、まったくおなじタンパク含量の配合飼料でも給与試験をするとかなり増体に差が出てきたりします。
牛の場合も、タンパク質がどれくらい第1胃で分解されるタンパク質と、分解されないタンパク質の比率が重要です。ので、ただタンパクの量だけでは判断できません。
このように、分析値の表記というのは意味があまりなくなってきているのにもかかわらず立ち入り検査までして詳しく調査を行うのは、きっと昔は表示をきちんとしなかったり、嘘の表示をしたりということがあったのでしょう。ので、肥料とか飼料はきちんと表示とあっているか調査を行っているのでしょうが、今日日そんな嘘の表示をするような会社はないでしょうし、あったとしても非常に精緻に管理している現代の畜産ではすぐに発覚してしまうと思います。
そんな無駄なことに結構な労力をかけているばかりでなく、配合飼料の自由度を阻害しているのが非常におかしいと思います。時代の流れをみて対応していく必要があるでしょうね。エコフィードの補助金を出すぐらいなら例えば成分表示に幅を持たせる等の対策を行う方がよほど実効性があると思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。