堆肥の品質と温度

師走になり忙しい日々が続いています。 今年は暖冬の予報でしたが予想外に寒い日々が続いています。 寒くなってくると堆肥の品質が不安定になります。堆肥は有機物の分解に伴い品温が上がり、水分が低下します。有機物の分解に伴う品温上昇は気温に対し温度があがります。たとえば、夏場気温が30℃のときに80℃まで品温が上がっているものは、冬場気温が10度になると60°程度の品温上昇になります。もちろん、放熱の状況などにより大きくかわりますが、いずれにしても品温上昇が気温により大きな影響を受けることはかわりません。

発酵する堆肥
発酵する堆肥

品温が上昇しないと水分が飛ばず、通気性が悪くなります。その結果、好気発酵が進まず品温が上がらないという悪循環が進むことになります。こうして一旦状態が悪くなった堆肥はどんどん悪い方向へ進んでしまいます。水分が多い状態となり、通気性が悪いと嫌気性化します。嫌気性化すると硫化水素やアンモニア、メチルメルカプタンなどの物質が生成し、いわゆる「くさい堆肥」となってしまいます。
このような事態を防ぐため、当社では堆肥の状態について冬場は神経を尖らせています。

当社では他社の堆肥の植害試験や栽培試験の受託も行っています。さまざまな現場の堆肥を見ると、状態が悪いものが散見されます。
汚泥の場合、もともと易分解の有機物が少ないため、ただ乾燥しただけでもふつうは害が出るようなことはありません。ところが、嫌気性化すると生育阻害や発芽阻害が発生したりします。

発芽阻害を確認するのには小松菜を使用します。堆肥を水に入れて漉し、堆肥成分を抽出します。この水をシャーレに入れて小松菜の種子をまき、どれぐらい発芽するかを見ます。小松菜の種子は発芽率がよいため、発芽阻害がなければ95%~100%発芽します。これが発芽阻害があると全く発芽しないこともあります。

食品リサイクルを行っていて残念に思うのは、堆肥の品質を見ても明らかなようにまだまだ技術的に未熟な事業者が少なからずあることです。社会の中に確固たる地位を確立するために、業界全体のレベルアップが望まれるところです。

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