今年一年ありがとうございました。

大晦日の今日はお休みを頂いてちょっとのんびりできました。12月決算なので、今日は決算日です。おかげさまでなんとか年を越すとことができました。
今年はいろいろと新しい出会いもあり、新しいお客様、取引先も増えました。記憶力が乏しい私はお会いした人を忘れて同じ人に何回も名刺を渡そうとすることがたびたびありました。来年は記憶力を増強したいものです。
年の瀬の最後に嬉しいことがありました。今年新しくお取引が始まったお客様からお歳暮を頂きました。
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アイスバインです。美味しく頂きました。

お客様からお歳暮もらうなんて思いがけず驚きました。単に飼料を販売するだけではなく、いろいろとお手伝いさせて頂いたこと喜んで頂いたようです。本当に嬉しい限りです。
 
私は環成経というグリーンビジネス勉強会に参加していますが、その中に「五方よし」というテーマがあります。これは近江商人の三方よしを発展させたもので、「売り手よし」、「買い手よし」、「世間よし」の「三方よし」に加えて、「働き手よし」と「自然よし」を含めたものです。なかなか五方全てを向くのは難しくあることもありますが、今回のお歳暮はお客様が喜んでもらえるようにがんばってきたことが、少しは実を結んできてきているのだとしたら幸いです。
まだまだ小さな会社ですが、来年は今年以上に皆様のお役に立てるようにがんばりたいと思っています。来年もよろしくお願い致します。

リサイクルループの話

年末も押し迫ってきましたが、まだまだ仕事です。
今日はリサイクルループについてちょっと思うところをそこはかとなく書きつくります。
当社のような食品リサイクル業をしていると、リサイクルループ構築に関する話題がよく出てきます。リサイクルループと言っても、リサイクルに興味がない方にはなかなかなじみがないみたいですので簡単に言うと、廃棄物からできた製品が廃棄物を出したところで製品として利用されると言うことです。
例えば、食品スーパーから排出された食品残さを利用して豚を育て、その豚肉をスーパーで再び販売する。ホテルから出た生ゴミを堆肥にして野菜を育て、育てた野菜を再びホテルで提供する・・そんな取り組みのことです。食品リサイクルを実施しているところではあちこちこのリサイクルループを構築した例があります。食品リサイクル法では、このリサイクルループを「再生利用事業計画」として認定しており、現在全国で数十箇所の取り組みがすでに認定されています。→農水省のサイト
当社でも地元のホテルから排出される生ゴミのリサイクルのお手伝いをしています。このホテルでは飼料、堆肥両方の取り組みを行っています。
 
と、言うことなんですが正直言ってあんまりリサイクルループって好きでは無いです。そもそも、何故リサイクルループを作らなければいけないのかと言うと、リサイクルループを作らなければリサイクル品の利用が進まないからです。食品残さから作った堆肥や飼料はきちんと作れば非常に品質が高いものができ、バージン原料から作ったものよりも価値が高いものになります。しかし、一歩間違うとリサイクル品は品質が悪くなってしまいます。そういった品質が悪いものであってもリサイクルループを構築すれば利用されるわけですが、本当に品質が高ければリサイクルループとは関係なしに製品は販売されていくわけです。
例えば、鉄やアルミのスクラップ、古紙などは日本では非常にリサイクルが進んでいますが、リサイクルループを謳うことはほとんどありません。それでもスクラップも古紙も市場が形成されきちんとリサイクル品が取引されています。
食品リサイクルでリサイクルループが行われる例として、事業系一般廃棄物と呼ばれる小売店舗や飲食店からの食品廃棄物があります。これらの廃棄物は成分が安定しなかったり異物が多かったりするため、リサイクルすることが難しいケースもあります。でも、小売店や飲食店などはリサイクルループが作りやすいためこれらの廃棄物を受け入れた方がリサイクル製品が販売しやすくなるケースもあります。つまり、リサイクル品を農家が受け入れると農業生産物の販売が進むため、品質が低下しても農家には売りやすくなるということです。なんか矛盾があります。
と、リサイクルループに対して否定的なことを書きましたが、リサイクルループ自体を否定するわけではありません。当社が目指しているのは、よい品質のリサイクル品を作って、きちんと評価してもらうことです。その上でリサイクルループを作るようにしていきたいと思います。
お客さんのところの豚肉や野菜を食べて本当に美味しかったとき、うちの飼料や肥料が役に立っているかと思うととても感慨深いものがあります。リサイクルループとはちょっと違いますが、できあがった物が帰ってくるのは本当に嬉しいです。リサイクルの成果が見えると仕事の励みになりますね。
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当社のお客様、田原ポークのトンカツです。田原の道の駅、めっくんはうすで食べられます。

自然農法と肥料

最近、有機農業カルチャースクールの講師をしたりする機会もあり、様々な有機栽培についてお話を聞いたり、見学したりすることが多くありました。
有機栽培といっても幅広くあり、二つとして同じ方法がないです。JASの有機認定をとっているかどうかもありますが、有機認定をとっていなくても有機肥料を活用して栽培されている農家もたくさんあります。有機肥料も堆肥主体だったり、ぼかしを活用したり、微生物資材を多用したりと幅が広いです。また、最近は有機栽培だけではなく、自然農法をしている農家も多くなってきています。
自然農法といってもこれもまた幅が広く、不耕起無施肥からある程度耕起する農業までいろいろあります。でも、肥料が専攻の身としては自然農法には否定的な立場です。一言で言うと、「別に肥料をやってもいいじゃないか、耕したっていいじゃないか」というのが私の主張です。
現代の日本は飽食の時代であり、食べ物はそこら中にあふれています。しかし、人類の歴史をひもとくと、畑を耕し肥料をやることによって生産力が増え、これだけの世界の人口を養うことができるようになってきたわけです。農機具が鉄器になり収量が増え、メソポタミアやエジプトでは川の氾濫で肥料が供給されてきました。
今でも多くの発展途上国では肥料が足りないため食料の生産性が低い状態です。そんななかで、肥料をやらず生産量が低いレベルになっているのは、豊かな日本の傲慢であるような気がしてなりません。
基本的には農業、施肥は物質収支の考え方で成り立っています。収穫物を持ち出しているわけですので、その分の元素を補給しなければ必ず足りなくなります。もちろん、雨や大気から補給できる元素もありますが、物質収支がマイナスでしたら何時かは必ず不足します。だから、私は「奇跡の○○」ものは信用できません。無肥料栽培であっても継続的に収量が確保できている場合、かならず何らかの形で補給されているわけであり、「常識外れ」であっても「奇跡」はありえないです。イエスキリストでもなんでも、無から有は生まれませんので。
もっとも、自然栽培であっても結構落ち葉や草を耕地へ投入している場合もあります。草や落ち葉は立派な肥料です。肥料はなんぞやというところから始めなければ自然栽培の是非を問うこともできないわけですが。
 
愛知県田原市に野田村というところがあります。江戸時代にここで肥料を巡って紛争がありました。隣の赤羽根村と山の入会地の所有権を巡って争ったというものですが、これは入会地の草をとりあっていたのです。肥料の供給が限られていた江戸時代では草や柴であっても非常に重要な資源であり、流血の事態になるほどだったわけです。かってはそこまで求められていた肥料を否定するのはどうも納得がいかないところです。
参考ページ:http://roadsite.road.jp/history/soudou/soudou-tahara.html
もちろん、限りある資源である肥料を過剰使用したり浪費することは好ましくないのは言うまでもありませんが、現代日本では循環資源となる廃棄物がたくさんあります。こういった資源を有効活用することは環境保全にもつながりますし、コストも抑えることができます。
ま、こういう主張は当社の仕事が肥料を作っている・・という一面もありますが、それ以前に農学部の血が騒ぐという面も無きにしも非ずです。また、肥料を使って立派に育てた作物は自然栽培の作物とくらべて遜色ないどころか、美味しいと思いますし。

アースカフェプロジェクト

北海道出張等々がありブログ更新が滞っていました。出張中に書くつもりだったのですが、出張中は今度導入するリキッドフィーディング施設の図面チェックに追われていました。施設の設計もようやく固まってきてすこしホッとしています。
今回の北海道出張はいろいろと予定がてんこ盛りでしたが、一番の目的はアースカフェプロジェクトの忘年会に参加することでした。アースカフェプロジェクトとはなんぞやって言うのは説明が難しいのでリンクを見て頂ければと思いますが、簡単に言うと持続可能農業を探求する集まり・・でしょうか。
忘年会は帯広で行われましたが、当日は冬型の気圧配置が強まりかなりの雪模様でした。
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帯広のホテルから

 
忘年会のメンバーは、大学の先生、耕種農家、畜産農家、コンサル、etcととてもバラエティーに富んで、そして農業に対し真摯に対峙しているかたばかりでした。とても有意義な時間を過ごしました。
TPPだけではなく、日本の農業は大きな岐路に立っているのは間違いないです。農業に関連する仕事をしていると、今の農業が非常に資源多投入であることを痛感します。当社の仕事はローインプットでサステイナブルな農業に寄与していることは確かですが、ハッキリ言って大勢を変えるにはあまりにも無力です。でも、できることを続けていきたいと思っています。
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最後になりましたが、今回の忘年会をお誘い頂いたリープスの鈴木さん、バイオマスソリューションズの藤本さん、そのほかお会いした皆さんに感謝致します。ありがとうございましたm(__)m

愛知県の気候と野菜の栽培

今日は実家のそばで当社の肥料の実験を行っている圃場へ行ってきました。今日は寒い1日でしたが、風があまりなかったのが幸いです。
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エンドウです。ちょうどいい大きさに育っています。
今年からこの実家のそばの長久手町と会社の近所のベジモ愛知の畑の片隅の2箇所で実験を行っているのですが、同じ苗を同じ時期に植えてもかなり生育に違いがあることに驚きました。
そら豆は長久手ではちょうどいい大きさになりましたが、豊川ではやや大きく育ちすぎています。そら豆はあまり大きくなると冬の霜でやられてしまいます。それだけではなく、豊川ではアブラムシが大量についているのですが、長久手ではほとんどアブラムシがいません。
コールラビは豊川では収穫時期を迎えてぜんぶ穫りましたが、長久手ではまだまだ収穫まで至りません。
ブロッコリーは豊川ではすでに花序が育ちつつありますが、長久手ではまったく影が見当たりません。
 
これらの原因は色々あるのでしょうが、一番大きな要因として同じ愛知県でも尾張の奥と東三河では相当気候が違うことが原因と思われます。当たり前ですが、農業はその地域の気候をよく見極めて栽培を行う必要があると言うことがわかりました。生き物相手ってホントに奥が深いですね。

廃棄物処理法と食品リサイクル法

最近は政策論だとか肥料の話が多かったので、久しぶりに法律の話を書いてみます。
この前、人と話していたら食品リサイクル法の報告義務の話が出ました。その中で、食品工場から出る廃棄の飲料は、「現状は廃酸として産廃処理しているから食品リサイクル法の報告は必要ないのではないか」と判断されていることが判明。実はこれは間違っています。
食品リサイクル法(正式には「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」)では、以下のような記載があります。
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この法律において「食品」とは、飲食料品のうち薬事法 (昭和三十五年法律第百四十五号)に規定する医薬品及び医薬部外品以外のものをいう。
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ちゃんと飲食料品と書いてあるので、液体の飲料であっても、廃油であっても食品として分類されるものに関しては食品リサイクル法が適用となるわけです。また、以前も書きましたが、食品廃棄物を有価物として売却しても、それが食品としての売却でなければ食品リサイクル法の適用となります。
このあたりが廃掃法と食品リサイクル法の微妙なちがいですが、個人的には食品リサイクル法のほうが明確で好ましいと思います。同じ廃棄物がちょっとした性状の違いや行政判断で廃掃法における分類が変わってくるのは非常にやっかいです。
要するに生ゴミ=動植物性残さというわけではないことに注意が必要と言うことです。そもそも一般廃棄物でしたら動植物性残さという区分もないわけですし。
 
同じような違いは肥料取締法にも関係してきます。肥料の登録を行う際、原料が「汚泥」であるかどうかで扱いが大きく変わるのですが、肥料取締法で言う汚泥というのは排水処理等から発生する余剰汚泥をさします。ところが、廃棄物として見た場合、「泥状のもの」はなんでも汚泥になりますので、廃掃法のほうが汚泥に含まれる範囲がひろいことになります。したがって、汚泥としてマニフェストを切っていても肥料取締法では汚泥肥料として取り扱わない場合もあるわけです。このことはFAMICの内規にも記載されています。
 
しかし、日本の法律は本当に複雑ですね。読み込むといろいろと矛盾点がいろいろ見えてきます。この原因の1つに縦割り行政がありますが、振り回されれる立場だと大変です。法律が厳密でも実際の運用が柔軟ならいいのですが、廃棄物行政の場合法律違反に対しては非常に厳格な運用がなされていますので。違法行為=許可の取り消しや刑事罰につながるケースもありますし。

豚肉の消費拡大運動

ようやく冬らしくなってきた東三河です。今日は実は誕生日でしたので夕食はささやかにステーキでした。といっても、牛肉ではなくポークステーキです。当社の取り扱い飼料はほとんどが豚向けですので、豚肉の消費拡大に貢献すべく豚肉を積極的に食べることにしています。
実は、これは当社のお客様の群類畜産さんから「国産、輸入を問わず豚肉を食べて消費を拡大していくことが重要」と教えられて以来実践しています。
飼料を扱うようになり、豚肉を食べる機会が増えて豚肉の調理の腕が上がった気がします。豚肉を美味しく食べるポイントは、火を通しすぎないことです。そのためには料理前に室温に戻しておいたほうがいいです。
 
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今回の肉も実はお客様の豚ではなく、あいち経済連の銘柄豚「みかわポーク」を使っています。みかわポークは配合飼料を食べさせた豚の中では美味しい方だと思います。今回は河合果樹園さんのレモネーディアとオリーブオイルでマリネして、ソースもマリネ液とワインを煮詰めて使っています。
つけ合わせでタマネギとコールラビをかるくソテーしたものを添えていますが、コールラビは実験農場で収穫したものです。コールラビはしっかりと火を通した方が美味しいですね。おなじく実験農場で収穫したニンジンもマリネして添えてあります。
料理は好きですが、適当なレシピだと美味しくできますがきちんとレシピに沿って作るのは苦手です。性格が適当だからかもしれません。
 
ところで、最近黒毛和牛の肥育屋さんから引き合いを頂いています。取引が始まったら、先の理屈で言うと黒毛和牛をもりもり食べなければと言うことになるのでしょうが、財力的にちょっと厳しいですね ^^;

ベンチャー企業のススメ

今日も出張しています。神奈川のホテルでこれを書いています。最近、出張中ぐらいしかブログを書く時間が取れなくなってきています。仕事のやりくりが下手な上にそそっかしいせいで要らない仕事を増やしているのが原因だと思いますが・・。

12月末は当社の決算です。早いもので起業してから7年経ちます。これまでのことを思うと本当に走馬燈のようにいままでの出来事が脳裏をよぎります。ハッキリ言ってまだまだ経営的にはよちよち歩きですが、それでも何とか今年一年過ごすことができたのもいろいろ応援して頂いているお客様、皆様のおかげと感謝しています。

いろいろ苦労もありましたが、独立して会社経営をしてきたことは後悔していません。ベンチャー企業の社長は想像以上に面白いです。どんなところが面白いかというと・・。

1.決裁権がある。当たり前ですがオウンリスクであらゆることを決められます・・というか、決めなければ行けません。お金がないのでなんでも好きにできるわけではありませんが。

2.人脈が広がる。社長の知り合いがたくさんできます。高い志を持った経営者とつきあうことができるのは役得です。

3.経営の勉強ができる。自分の営業1つで決算書の数字が変わってきますので、営業~売上~決算までの流れがすべてわかります。

4.知らなかった世界がある。新しい分野の仕事をしていくと日々知らないことと出会えます。新しいことを知ることは本当に楽しいです。乏しい脳内メモリーのため、新しいことを覚えた分大事なことを忘れていくような気もしていますがww

 

ただ、欠点としては不安定な将来と収入なのは言うまでもありません。将来のことを考えると、まだまだ枕を高くして寝ることはできませんね。

学生時代の友人と飲んでいたりすると、「おまえの会社で働かせてよ」みたいなことよく言われますが、一部上場企業に勤務して妻子ローン持ちの人間を引き込むほどの状態にはとても至りません。いろんな会社がつぶれる時代ですが、それでも上場企業と零細ベンチャーは比較になりません。でも、大きな会社にない喜びが詰まっているのも確かです。興味がある人は一歩踏み出してみると、新しい世界が広がっているかもしれませんよ。と、無責任に煽ってみたりして ^^;

生ハム作り

今日はようやく12月らしい陽気の東三河でした。この寒さを活かして、三河トコ豚極め隊では豊根村の廃校をお借りして生ハムを作っています。
 
生ハム作りにはいくつかの目的があります。
1.生ハムを通じて情報発信を行い、三河地区豚肉のブランド化に繋げていく
2.生ハムを作ることにより加工食品のラインナップを拡充する。
3.余剰になりがちなもも肉の利用を拡大する。
4.三河地区中山間部の村おこしに繋げていく
等々です。
3に関しては以前書きましたが、もも肉はあまり人気がありません。個人的にはもも肉は調理方法次第ではとても美味しいと思います。
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生ハムの作り方はとてもシンプルです。肉を塩漬けにし、塩抜きをして塩分濃度の調整を行います。それを冬場に吊し始めそのまま置いておくだけです。塩分濃度がかなりあるので腐敗しにくい状態になっており、冬場の寒風によって乾燥が進みます。春から温度が上がってくると肉の表面にカビがつき、水分が更に抜けていくとともにアミノ酸の分解が進行して旨味と風味が増してくるわけです。
とりあえず、今回の取り組みは新聞記事(リンク)に掲載して頂きましたが、もう少しメディアに取り上げて欲しいものだと思います。非常に面白い取り組みだと自負しているのですが・・。