ブルームレスのキュウリと食品の安全

暑い日々が続いておりますが、皆さんいかがお過ごしですか。
実験圃場でキュウリを作っているのですが、この暑さで露地植えなのに萎れています。水やりしてもなかなか追いつかない感じです。
実験圃場で作っているキュウリは、四葉(スーヨーと読む)という品種です。この品種、一瞬ニガウリと思うようなごつごつした表面で、粉も吹いているので見た目はあまりよくありませんが、ぼりぼりとした食感が気に入って毎年のように作っています。
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ピントが合っていませんね ^^;

四葉を作っているもう一つの理由は病気や虫に強いため作りやすいということです。家庭菜園でキュウリを作ったことはご存じだと思いますが、キュウリなどのウリ科の作物はうどんこ病という病気にかかりやすく、またウリハムシにかじられやすいです。四葉は他の品種と比べて病気や害虫に強いような気がします。
この病気や害虫に強い理由の1つとして、キュウリ表面に吹いている粉があります。この粉はブルームと呼ばれるケイ酸の結晶です。キュウリだけではなく、冬瓜やブドウの表面についている白い粉も同じものです。粉が吹くことにより物理的に防御するわけです。
ところが、世間ではこのブルームは嫌われます。手についたりするのが嫌われるというのもあるのですが、粉が吹いていると「農薬がかかっている」と思われたりするのです。そのため、ブルームレスという粉がふかないキュウリが多く作られています。
実際はブルームレスの方が病気に弱いため、農薬の使用量が多くなる傾向にあります。消費者が無知のため、「農薬が少ないもの選んだつもりがかえって農薬が多くなる」という事態になっているわけです。最近は常套句となりました「安全、安心」ですが、安全と安心はまったく別物だと言うことがよくわかる事例なのではないでしょうか。
科学リテラシーも重要かと思いますが、その以前の問題として「見た目や思い込みで判断しない」っていうことが重要だと思いますね。