一般貨物と産業廃棄物収集運搬業

世間はゴールデンウィークとやらに入っているようですが、当社は絶賛営業中です。当社は土日は完全週休二日で祝日は出勤という業務体系ですので、連休は関係ないです。私は土日も出勤のことが多く、今日も出勤しておりましたが風邪気味で仕事にならず・・。このところ忙しかった疲れがたまっているようです。

連休に仕事をすると問題なのが運送です。運送屋さんは日曜祝日休みが多いため、できあがった飼料の配送トラック確保に苦労します。これに限らず、飼料を取り扱っていると配送をどこに依頼するかはとても重要な要素です。

飼料は価格が安いため、運送コストの比率が非常に高くなります。たとえば、含水率が80%程度あるサイレージは販売価格は数円/kgに過ぎません。運賃は乾燥物であってもそうでなくても価格は変わりませんので、販売価格に占める運賃が半分以上ということも珍しくありません。

当社は全国で食品工場にて食品廃棄物を飼料に加工してもらうオンサイト処理と呼ぶ取り組みを実施しています。そのままでは飼料にならなかった廃棄物も、少し加工することにより飼料として利用することができるような仕組みをご提案しています。

飼料として利用することができる形態にすることにより、コストの低減や衛生環境の向上などのメリットが出ます。

オンサイト処理のもう一つの隠れたメリットとして加工を行い、有価物となると産業廃棄物収集運搬業ではなく、一般貨物運送業の車両で運ぶことができます。

産業廃棄物収集運搬業と一般貨物運送業は同じような車両を利用していても運賃相場が大きく異なります。これは帰り便が埋まらないことが多い産業廃棄物収集運搬業に対し、一般貨物では帰り便を積極確保していることなどにより、トラックの稼働率が違うことが大きな理由です。

とはいえ、一般貨物運送業もそれぞれ得意としているエリアがあり、また保有している車両もそれぞれ異なっています。全国展開しているとそれぞれの地域が得意な運送会社を探すのに毎度毎度苦労しています。道行く運送会社をチェックする日々が続いています。

バイオガスプラントの見学

会社の移転工事も一段落したので(まだ終わっていませんが)、9月はしばらく抑制していた出張をたくさんする予定です。

第一弾として先週は北海道出張してきました。業界団体である「全国食品リサイクル登録再生利用事業者事務連絡会」の総会と、その見学会として函館近郊の七飯町にあるバイオガス施設の見学に参加してきました。

バイオガス(メタン発酵)のプラントを見るのは初めてでいろいろと勉強になりました。
プラントの仕組み自体はシンプルでした。食品リサイクルに限らずリサイクル施設はできる限りシンプルにすることが重要です。そういう意味でバイオガスは事業性が高い手法ではないかと思います。

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発酵槽と消化液貯留タンク

 

 

再生エネルギーの固定買取制度の影響でバイオガスプラントの注目が非常に集まっています。それもあり今回の施設見学では多くの人が見学に参加したのではないかと思います。

ところが今回驚いたのがこの施設では売電を行っていないこと。生成したバイオガスを使って発電を行っているのですが、発電した電力は場内で使用しています。余ったガスはタンクで輸送しガスとして販売しているとのことです。
試算によると売電するよりも直接ガスとして販売する方が収益が上がるとのことです。バイオガスプラントはFITを使わないと成立しないと思っていたのですが、意外でした。

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ガス輸送用のタンク

 

しかし、ちょっと疑問だったのが投入している食品残さです。この施設では家畜ふん尿と食品残さを原料としています。
この食品残さが非常に高品質で、飼料として十分利用できるレベルのものでした。

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食品リサイクル業界が危惧しているのは、FITによる買取価格が高く食品残さが資料や肥料ではなくメタン発酵に流れてしまうのではないかということです。
今回の見学でエネルギー価格の高騰を背景に、FITがなくてもそういったことが起こりえることが確認できました。

エネルギーと食糧供給の問題が表裏一体であることが改めて思い知らされた見学でした。

野菜くずのリサイクル

1週間の東京出張も無事終わりました。
去年は終わってからあまりに疲労困憊で家に帰ってから風呂にも入らずに寝てしまったのですが、今年は自重したので昨日の夜もまだ元気が若干残っていました。

長期出張の時は毎度毎度現場のラインでトラブルが発生したりしていたのですが、今回は何も起こらず平和な1週間でした。ホットしています。

今回の環境展でもさまざまな業種の方がブースに立ち寄られました。食品メーカーさんや農業関連の方はもちろん顧客ターゲットであるのですが、当社は機械メーカーや同業のリサイクル業、学生さんにも懇切丁寧に対応しています。そういうやり方をしているのでブースでの対応に追われてかなり忙しくなるわけです。

そういう中でお問い合わせがあったのが「野菜くずをなんとか飼料として利用できないか」というお話しです。実は、最近野菜くずのお問い合わせが非常に増えています。しかも、発生量がかなり多い場合が多いです。

野菜くずが発生するのは、サラダ工場、カット野菜工場、漬け物工場などです。私が聞いたことがある範囲では1日20トンのハクサイを廃棄している漬け物工場があるとのこと。実際に見に行った現場では1日5トンぐらいの廃棄野菜が出ているところがありました。かなり小さい町工場のようなところでも1日1トンぐらいの廃棄野菜はそれほど珍しくありません。

以前は野菜は家庭や飲食店で調理するのが普通だったのが、昨今はサラダも総菜として買ってくるケースが増え、漬物も家で漬けなくなってきているためそういった加工業が伸びてきているのが背景にあると思われます。
チェーンの焼肉屋さんでは厨房に包丁が無いそうです。アルバイトが袋に入ったカット野菜を皿に出すだけですむようになっているわけです。

 

と、お問い合わせが多くなっているのですが、野菜くずは飼料として利用することがなかなか難しいです。水分が多いため、普通の配合飼料を利用している養豚、養鶏では利用しにくいです。また、葉物野菜には硝酸態窒素が含まれており、反芻動物である牛では障害が発生するため給与できる量が限られます。

豚のリキッドフィーディングでは利用できるのですが、当社も参画した愛知県農業総合試験場の試験では野菜くずを多給すると繊維の膨満感により飼料の摂取量が減ってしまうと言う結果が得られました。野菜ダイエットというのは理にかなっていることが証明されたわけですが、豚がダイエットしては困ります。

しかし、野菜というのは実はタンパク質含量が案外高いです。たとえば、キャベツは食品成分表によると水分92.7%で100gあたりタンパク質が1.3g含まれています。乾物に換算するとタンパク質含量は17%となり、豚用の配合飼料のタンパク質含量に匹敵する量となります。タンパク質原料の高騰している中、野菜はもっと注目されるべきではないかと思います。

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というわけで、現在野菜をうまく利用できないか鋭意検討を行っています。いくつか試案もあり、今後それを実験していく予定です。
新しい手法ですのでうまくいくかはわかりませんが、新しい技術に取り組むのはとてもわくわくします。

含水率のワナ

忙しさにかまけてすっかり更新を怠っています。反省です。

最近、野菜のリサイクルの話をよく頂きます。この仕事を始めてから知ったのですが、世の中にはカット野菜工場というものがたくさんあり、そこから野菜の切れ端がたくさん廃棄されています。

ご存じのように、野菜というものは水分が多いです。キャベツなどの野菜では90%以上水分です。
しかし、水分というものはくせもので、見た目では水分量がわからないです。

キャベツは92%ぐらい水分です。ということは、固形分が8%ぐらいしかないわけです。固形分が8%だと完全に液体になるものもあります。りんごジュースは固形分が10%以上ありますが、液体です。液体になるかどうかは水分量だけではなく、組織がしっかりしているなど分子構造が強固であったり、溶解度が低かったりすると固体になります。
キャベツもジューサーなどで完全に粉砕するとスラリーになるのは水分が多い証左です。

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野菜の粉砕作業

例えば、こんにゃく。こんにゃくは水分が97%もありますが、あれだけの機械強度があります。当社では寒天ゼリーを飼料原料として扱っていますが、こちらは逆に固形分が90%もあります。これが増粘多糖類を使ったゼリーですと固形分が15%ぐらいしかないこともあります。

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甘酒

甘酒も飼料原料として取り扱っていますが、こちらは固形分が60%ぐらいありますが、スラリー状です。これは、甘酒の主成分がブドウ糖であり、溶解度が高いからです。

飼料の価値は固形分の量で大きく変わります。見た目で判断できないところが難しい部分です。様々な原料をうまく調合して狙いの含水率にするのが当社の腕の見せ所です。

炭水化物ダイエットと栄養バランス

珍しく連投です。

最近、炭水化物ダイエットが流行っているみたいですね。
食品リサイクルに携わっていると、炭水化物ダイエットには懐疑的です。

日本人の食品栄養バランスの調査をみると、基本的に炭水化物の摂取量は減少してきており、現在の摂取量はちょうどいいぐらいになっています。

摂取カロリーが過剰なのは、ひとえに脂質とアルコールの摂取過剰にあるのはまちがいありません。

なによりの証左として、一般的な飲食店やコンビニの残飯を豚に給与するとぶよぶよの豚になってしまいます。こう言った残飯を乾燥処理すると、油分が20%程度になります。乾燥処理をしてできたエコフィードが油でべたべたしているのをみるとちょっと恐ろしくなります。

というわけで、私は「脂質ダイエット」を推奨しています。とりあえず、揚げ物と生クリームを絶てばたいていの人は痩せるはずです。

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ちなみに、我が家の食事は

朝:パン、カフェオレ、ヨーグルト、フルーツ、ソーセージor卵orチーズ、野菜、パン

昼:揚げ物以外

夜:肉or魚、野菜×2、味噌汁、ご飯、酒

といった感じです。

・各食事で必ず野菜を食べる。

・夜は肉と魚を日替わりで

・家での晩酌は1日に日本酒換算1号程度まで

・揚げ物は家では食べない、自分では注文しない

・間食は油の少ないものをできるだけ選ぶ

というルールを決めています。こういうルール決めをきちんとしていくことが栄養バランスを保つ秘訣だと思っています。きちんとポイントを押さえていれば、ダイエットしていてもご飯を普通に食べることができますし、肉だってがっつり食べても問題ありません。

栄養バランスはすべての健康の基本です。偏った考えが蔓延しているのにはちょっと危惧しますね。

物質循環と食品リサイクル

ただいま北海道出張中です。北海道へ来て思うのが、やはりバイオマス、食料といった分野では北海道は抜きんでているということです。食料生産は広大な土地があって初めて成立しうるものなのだと改めて気づかされます。

北海道は食糧自給率100%以上あり、その中でも今回行った十勝はとくに地域での食糧自給率が非常に高い地域とのことです。カロリーベースの食糧自給率が高いということは物質の循環の観点から見ると大きな意味があります。

日本はトウモロコシを毎年1600万トン、大豆を300万トン輸入しています。食料を輸入している訳ですが、これは見方を変えると窒素、リン酸、加里などの肥料分と有機物を輸入しているということになります。
日本で使われている化成肥料由来の肥料成分と匹敵する量の肥料成分が輸入されている食物に含まれているのです。

例えば、輸入されている穀物からは60万トンの窒素成分が含まれています。これは使用されている化成肥料に含まれている窒素分とほぼ同等の量となります。つまり、家畜ふん尿を適切に利用すれば理論的には化成肥料の窒素は必要ないこととなるわけです。

逆に言うと、現時点では化成肥料がそれだけ使われているわけですから、輸入穀物由来の肥料分、すなわち家畜糞尿由来の分が過剰になっていると言うことです。日本全体としてみた場合、物質が輸入超過になっているわけです。

輸入超過になっている分はどこかで帳尻を合わせなければ行けません。そのため、排水処理を行い、窒素のなどの肥料成分=富栄養化の原因物質を除去しているわけです。極論を言えば、物質収支が取れていれば、つまり肥料成分での自給率が100%であれば排水処理は不要となる訳です。

食品リサイクルの意義とは、単に廃棄物のリサイクルという意義に留まらず、日本国内の物質収支を改善するという意味があります。輸入穀物の使用量が減ると言うことはそれだけ国内で物質循環が完結するということです。無論、家畜ふん尿を利用し国内で飼料生産を行なう事も同様の意義があります。
大量の輸入穀物に依存し、その結果として環境負荷の原因となる畜産は持続可能であるとは言えないと思います。

最初の話に戻りますが、十勝は食糧自給率が非常に高いということは、地域内循環を行うのに非常に適した環境にあるということです。逆に、適切に循環を行えば、家畜ふん尿の問題が発生しない地域でもあると言うことです。

物質収支のバランスをとるのは、まず農家レベルから始め、農家から地域、地域から地方、地方から国、国から世界全体の物質収支の釣り合いを目指していく必要があります。この、物質収支のバランスをとることが持続可能な世界の形成につながることに他なりません。

廃棄物のリサイクルは単なるゴミの処理に留まらず、人類の未来を構築する重要な鍵となるでしょう。と思ってがんばって事業を行っています。
とはいえ、零細企業たる当社を見ても人類の重要な鍵とは見えないとは思いますが(笑)

焼却処理施設の見学

10月が終わり今年もあと2ヶ月になってしまいました。10月は本当に忙しかったです。書類作成仕事はそれほど多くなかったのですが、とにかく出張が多かったので全然会社にいませんでした。スケジュールが埋まりすぎてやらなければいけないことが全然進みませんでした・・。

そんなスケジュールの1つに焼却処理施設の見学がありました。産業廃棄物の中間処理施設です。脱サラして静脈ビジネスに携わりまだ5年しか経っていないので、勉強のために機会があればいろいろな施設の見学を行なうようにしています。

ところで、世間では「廃棄物処理」といえば「焼却」というイメージがかなりありますが、実は焼却処分する割合はどんどん低下してきています。もちろんリサイクル推進が求められていると言うことはあるのですが、焼却というのはかなりコストがかかる処理だというのもその理由の1つです。

今の焼却炉は環境対策などのために非常に高度なシステムで構築されています。このため、焼却炉の機器コストが増えてきています。たき火をしてみるとわかりますが、ものを完全に燃やすというのは案外難しいものです。完全燃焼しなければ有害物質などの発生の原因となってしまいます。廃棄物は特に様々な種類のものが混ざっているため、これを安定的に完全燃焼させるための設計がされています。
廃棄物処理施設では機器の減価償却の比率が大きいため、このコストが大きい焼却処理はどうしてもコスト高となります。

食品廃棄物の処理はたいていは当社のようなリサイクルによって処理されているのですが、どうしてもリサイクルできないものは焼却処理されています。今回の見学はそういった焼却される食品廃棄物の状況を見ることも目的の1つでした。実際のところうまく分別ができればリサイクルできるものもかなりありそうな感じでした。

産業廃棄物の焼却炉というととかく反対運動の対象になりがちですが、今の焼却炉は安全を非常に重視して設計されていることを理解頂けたらと思います。また、無闇に焼却処理しているわけでもなく、焼却処理業者もできるだけリサイクルしていきたいという意識は常に持っています。

なによりも、実は燃やしているものはそんなに特殊なものでもなく、我々の日常生活に関連した産業から出てきている廃棄物がほとんどだったりします。

今回見学して思ったのは、本当に「どうしてこんなものを捨てるのだろう」といったものがすてられているということです。廃棄物処理施設に反対される気持ちはわからないでもないのですが、根本的な大量消費社会に生活しながら廃棄物処理に反対するというのはあまりに利己主義的ではないかと思います。大量消費社会をどう変えていくのかを1人1人がもう少し真剣に考えなければいけない時期なのではないか・・と強く思います。

脂肪酸組成とカポック

久しぶりにエコフィードネタです。飼料と脂肪酸組成についての話題ですが、あらためてこのブログを検索してみると脂肪酸組成のことをたくさん書いています。それだけエサと脂肪酸は切っても切り離せないものなのでご容赦を。
前から何回も書きましたが、豚(というか単胃動物=反芻をしない動物)の場合食べた脂がそのまま体の中性脂肪となります。ので、飼料の脂肪酸組成は非常に重要です。
ところが、飼料中の脂肪だけではなく、体内でも脂肪が合成されます。体内では
デンプン(炭水化物)

グルコース

パルミチン酸(C16:0)

ステアリン酸(C18:0)

オレイン酸(C18:1)
と合成が進みます。
つまり、食べ物から脂肪を摂取しなかった場合、中性脂肪の脂肪酸組成は上記の脂肪酸だけになるわけです。実際は飼料にリノール酸などの不飽和脂肪酸が含まれているため、中性脂肪にはリノール酸も含まれます。
逆に言うと、リノール酸は合成できないのでかならず食物から摂取する必要があるわけです。
脂肪酸のリノール酸比率が上がると、脂肪の融点が下がってきます。融点が低いほうが食べると口当たりがよく美味しいのですが、スライスしにくいなど取り扱いがしにくいため肉屋さんからは嫌われる傾向にあります。融点を上げるためには飼料からの脂肪の吸収や蓄積を防げばいいのですが、なかなかよい方法はありません。その代わりに使われるのが「カポック」という植物です。
カポックには環状脂肪酸であるシクロプロベノイ ド脂肪酸という物質が含まれています。これが非常に強力に代謝系に作用します。カポック油を飼料に0.1%程度添加すると上記の合成系のうちステアリン酸→オレイン酸の合成が阻害されます。その結果、ステアリン酸の割合が高い脂となります。
不飽和脂肪酸たるオレイン酸よりステアリン酸のほうが融点が高いため、ステアリン酸の比率が高まることにより脂肪の融点が上がります。(肉屋さんによると触ってわかるぐらいだそうです)脂肪酸の分析を行うと、カポックを使用していることは一発でわかります。
ただ、オレイン酸含量が高いことは食味の向上にも寄与するため、カポックを添加しすぎると逆に評価が下がってしまいます。このあたりが難しいところです。
ところで、私はサプリメントとか○○を食べると健康にみたいな話は嫌いなのですが、このカポックの驚くべき効果を知るにつけサプリメントでも効果があるものがあるかもしれないなと思うようになりました。なにせ食べ物に0.1%添加しただけで体の脂の質が変わってしまうわけですからすごい効果です。
もっとも、一番重要なのは食べ物のバランスですのでできていない人がサプリメントに頼っても意味はないと思いますが。いずれにせよ、食べ物って当たり前ですけど豚でも人でも体に対する影響が大きいです。人間も何を食べるかってことはもっと注意を払うべきなんでしょうね。

リサイクルしない方がいいもの

暑い日々が続いています。最近、屋外の現場が多かったのですっかり土方焼けになってしまいました。毎日慌ただしく過ごしているのですが、引き合いを頂いている案件が多いのでなかなか対応し切れていない状況です。そんな中、北海道へ出張中で、また仕事がたまりそうです。
この頃は当社のWebサイトをご覧になってお問い合わせ頂くケースが多いですが、本当に様々なお問い合わせがあります。もちろん、食品廃棄物をリサイクルして欲しい、買い取って欲しいというお問い合わせの割合が多いのですが、その中にどう考えてもリサイクルに向かないものもあります。
例えば、以前問い合わせ頂いていたものの中に、食玩のリサイクルがありました。食玩とは、ガムやラムネにおもちゃがついているアレです。おもちゃと一緒になったパッケージを分離して、ラムネだけをリサイクルして欲しい・・そんなご依頼でした。
容器と中身を分別する機械が当社にもあるのですが、おもちゃまでくっついているとうまく分離ができません。手作業で分けるにしても高額な費用が発生してしまいます。また、ラムネはいいのですがガムになると堆肥、飼料どちらにも原料としては不向きです。
そういう事業者さんにリサイクルに向かないものを無理をしてリサイクルする理由をお尋ねすると、「ISO14000を取っているから」「親会社に言われているから」なんて答えが返ってきます。ISO14000って、リサイクルに不向きなものを高いお金をかけて無理矢理リサイクルすることを求めてはいないはずです。発生抑制をしたり、リサイクルしやすいパッケージにすることが一番必要かと思います。
同じようにリサイクルに向かないと思うものが、コンビニ弁当です。最近のコンビニ弁当って、パッケージがなんか妙に複雑にできています。冷やし中華とか、蓋を取って内側のラベルをはがしてスープをかけて薬味をかけて・・なんて調子ですから、機械で分別するのはほぼ不可能です。手作業で分別を行っても分別精度が悪く、どうしても製品に異物が入りがちです。また、コンビニ弁当は高カロリー、高脂肪、高塩分のため飼料にはむかず、堆肥にもいいとは言い難い原料です。拠点も分散しているので回収コストも多くかかる訳で、コストをかけて回収してリサイクルする意義を感じません。
パフォーマンスのためにリサイクルするのではなく、なんのためにリサクルするのか、どうしたら資源を有効に使えるかを考えることが基本なのではないかと思います。

リサイクル費用を受け取るという意味

暑い日々が続いてすっかりげっそりとなっている今日この頃です。暑いと食べ物を食べなくなるので例年痩せます。豚も一緒で暑くなると食べる量が減るため、当社の飼料出荷量もそれにともない減少します。
この前、養豚農家さんが「産業廃棄物処分業の許可がほしい」ということを言われていました。養豚は古くから残飯を受け入れていたこともあり、全国でも少なからず産業廃棄物処分業の許可がある養豚農家があります。しかし、産業廃棄物処分業の許可があるということは、「原料の受入の際に処分費用を受け取る」ということです。たしかに、お金をもらってエサを入手できるのですから、すごく儲かりそうな印象がありますが、お金をもらうと言うことはまた違った意味が出てきます。
排出事業者の立場に立つと、お金を払うと言うことはお客様になるわけです。廃棄物を確実、安定的に処理を行う対価としてお金を支払う訳なので、安定的に処理を行なう事を求められことになります。
食品工場からの廃棄物は様々な種類のものが発生し、その量も変動します。養豚農家が処分費用をもらうということは、そういったものを受け入れしなければいけないことになります。上で述べたように、豚が食べる量は年間を通じて変動がある上に、受入量が変動するためその需給調整がたいへんになります。これがエサを購入すると、必要な分だけを購入すればいいわけです。また、食品工場からの廃棄物でも飼料に向かないものもありますが、こう言ったものが発生しても引取をもとめられてしまいます。
養豚農家によっては配合飼料との併用により需給調整をうまく行っている例がないわけではありません。でも、安定的にリサイクルすると言うことは結構たいへんなことです。
当社のようなリサイクル専業業者でも需給調整は苦労しますが、当社の場合、顧客となる畜産農家の数が多くありますので、リスクをヘッジできるわけです。
飼料に向かないものは肥料としてリサイクルすることにより、飼料の品質の均質化もはかっています。
また、有価物として養豚農家が引き取りする場合もあります。この場合、購入しているわけですから必ずしも引取の義務が生じるわけではありません。ところが、こういう排出事業者から当社への引き合いが結構あります。「養豚農家さんが取りに来ていたが、時々取りに来なくて困ったのでリサイクル業者をさがしている」っていうようなお話しを頂いたりします。排出事業者は費用が発生しても安定的に処理が行われることを求められているわけです。
食品に限らず、リサイクル業界は需給調整が必要となります。そこに当社のような業者が存在する意義があるわけです。いわば、静脈ビジネスにおける商社と言うわけです。
存在意義がない事業って継続することはできません。会社の立ち位置、意義を常に考えて事業を営んでいきたいと思っています。