リキッドフィードの嗜好性

いつまでも暑かった今年の秋ですが、この頃ようやく秋らしくなってきました。食欲の秋到来です。

食欲が増すのは人間だけではなく、豚も季候がよくなることで食欲が増します。
今の豚の飼料は栄養バランスを細かく計算しているため、成長速度は早いです。
このエサをしっかり食べさせることが存外難しいです。

当たり前ですがしっかり食べなければ豚も人間も大きくなりません。

当社で製造しているリキッドフィードは主原料がジャガイモです。豚はジャガイモを好みますが、ジャガイモは味があまりないのですこし味をつけてやった方がよく食べるようになります。今までいろいろなものを入れてみましたが、基本的には甘くした方が嗜好性が向上する傾向にあります。
また、甘いだけではなく適度な旨味と塩分があった方が嗜好性がよくなります。今まで一番嗜好性がよかった組み合わせはジャガイモにめんつゆ、あんこを入れた時です。めんつゆを受け入れして知ったのですが、ストレートのめんつゆの場合塩分は4%程度ですが、糖分は10%以上ありかなり甘いです。しかも、鰹だしが入っているのでうまみも十分あります。

先日、五平餅のタレの廃棄品を受け入れしました。これも相当な甘さと旨味があるとおもわれますので、嗜好性はかなり期待できそうです。

当社ではリキッドフィードだけではなく、乾燥したエサも作っています。乾燥したエサの1つとしてバームクーヘンがあります。当社では熱をかけずに乾燥処理を行っていおり、このため乾燥したバームクーヘンは非常に良いにおいがして、これをすこし飼料に混ぜるだけでエサをたくさん食べるようになります。

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バームクーヘンの乾燥風景

いろいろと試行錯誤していますが、豚の気持ちはまだまだわからないことが多いです。
豚に喜んでもらえるエサをがんばって作りたいと思います。

売掛金の回収と六次産業化

最近、農業の6次産業化が話題になっており、農水省も力を入れて6次産業化の支援を行っています。

農水省のサイト
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/6jika.html

6次産業化に関しては以前も少し書きましたが、早い話農家が生産物を加工販売していくというものです。

前回の記事にも書いたように、私は6次産業化には少し懐疑的な立場です。農家が6次産業化にとりくむ優位性というものがないと成功は難しいと思っています。従来流通や加工業者が行ってきたことを農家が取り組むという存在意義(レゾンデートル)がなければビジネスとして成立し得ないとと思います。

農家がやらなくてもすでに加工流通はなんらかの形で行われているわけです。それを新規にやる以上は、たとえば流通経路を通らないので新鮮なものが販売できる、規格外品の利用ができるなどの特徴がなければ存在意義はありません。どんなビジネスでも存在意義がなければ成立しないのは自明です。

もうひとつ、私が6次産業化における問題として感じているのが農家のビジネス常識の欠落です。
6次産業化を行うと言うことは一般消費者や企業の顧客と取引を行うということです。従来市場出荷や農協出荷してきた農家の場合、取引というものをしたことがないため、一般的な商習慣に関する知識やビジネスの基本が不足しているケースが多々あります。

たとえば、安易に販売先を開拓して、売上が不良債権化しているケースを聞きます。商売をやっていると売掛金の回収をいかに行うかと言うことは基本中の基本です。サラリーマン時代、新入社員研修で一番最初に習ったのは「売上回収の仕方」「倒産しそうな会社の見分け方」です。取引先の信用調査と債権回収は取引にとって最重要課題であり、「代金を回収してはじめて売買契約が成立する」というのはビジネスとしては当たり前です。これができてないと、農家でも売上が不良債権化してしまうわけです。

また、取引だけではなくビジネスとしての取り組み方が間違っているケースも散見されます。たとえば農家レストランなども増えてきていますが、立地条件を考えず、ターゲット顧客を想定できない店の作りになっていたりする例もあります。そもそも大きな投資をするのにもかかわらずろくに事業計画がなかったりすることもあります。

新しい事業をするのでしたら、最初にマーケティングを行い、事業収支をシミュレーションすることは当然だと思いますが、それができてないことが往々にしてよくあるわけです。

商売をやったこと無い人に商売を勧める農水省の施策は少々無謀すぎるのではないかと思う次第です。もしやるのでしたら、まず商売のやり方をレクチャーすることから始めた方がいいのではないでしょうか。もちろん成功している例もたくさんありますが、その影にはたくさんの失敗例があると思います。

もっとも、農水省も商売をしているわけではないのでそういう発想にはなかなか至らないのかもしれませんけど。

フランス料理を食べながら

今日はひさしぶりにフレンチを食べに、お客様でもあるホテルアークリッシュのメインダイニングkeiに行って来ました。

前菜は旬の柿を使ったもの。柿はベルファーム鈴木さんのところの早秋です。 

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ホテルの生ゴミはこちらの柿畑で堆肥として使われています。

メインディッシュはもちろんお客様であるトヨタファームの三州豚です。

 

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ホテルのパンは当社で加工されてこの豚肉を育てる飼料として利用されています。

と言うわけで、いろいろとお付き合いのある食材を美味しくいただいてきました。
美味しいものを食べる機会がたくさんある仕事って役得ですね ^^;

高濃度糖液の処理方法

北海道へ出張中です。飛行機の中でブログ書いています。作成しなければいけない書類がたまってしまいちょっと気が滅入っている今日この頃です。

昨年の春にリキッドフィーディングのラインを増設してから液体の飼料原料の受入を強化しています。受け入れているものの1つに糖液の廃液があります。

食品メーカーからは様々な廃棄物が発生しますが、液体の廃棄物というものも結構あります。ある程度の規模以上の食品メーカーにはほとんど排水処理設備があります。機械の洗浄や原料の処理水などを浄化するためにこういった設備があるのですが、糖液はこういう排水処理設備に放流しないで別途当社のような業者に委託しているケースが多いです。

排水処理設備は水に含まれる有機物を処理するように設計されているのですが、排水処理槽は無闇に作られているわけではなく、有機物の量に対応して計算を行い設計しています。有機物量が多くなるとその分大きな排水処理設備となります。また、当初の設計以上の負荷がかかると所定の能力を発揮できなくなったりもします。

糖液は微生物による分解性が非常に高いです。排水の汚れの程度はBOD(生物学的酸素要求量)という単位でしめします。これは排水を密閉した瓶にいれて5日間置いておいたときにどれぐらい酸素を消費するか・・という分析によって測定されます。微生物が有機物を分解するときに酸素を消費しますので、それを測定するわけです。分解性が高いということは酸素消費量も多いと言うことで、BODも高い値となります。

排水処理設備にもよりますが、だいたいBODが10,000mg/L~100,000mg/Lを越えてくると別途処理した方がコストメリットが出てきます。100,000mg/Lというと排水処理の世界では相当な高濃度なのですが、糖液では15%程度がこれに該当し、フルーツ缶詰やジュースなどが相当します。これぐらいの糖液は食品製造業ではよく使う濃度なので当社によくお引き合いがあるわけです。

糖度が15%ぐらいになってくると排水処理はかなり難しい感じなのですが、10%以下の場合は排水処理をするのか、別途外部に処理委託をするのかは微妙なラインです。最近そういうお問い合わせが増えており、当社ではお客様に濃縮装置のご提案をしています。濃縮することにより処分費用が下がったり、買取ができるようになります。また、糖度が高いと浸透圧の関係で菌の繁殖が難しくなり、保存性も向上します。

 

排水処理に流せば単なる負荷源でもうまく使えば飼料となる・・そういったものはたくさんあります。そういうモノを営業して発掘するとなんか宝探しに成功したような感じでちょっと楽しいですね ^^;