ベンチャー企業の存続

早いもので2021年も終わろうとしています。年を取ったせいか毎年一年が過ぎるのがどんどん早くなっている気がします。

当社は12月末が決算で、無事17期を終えることができました。未熟な経営者にも関わらず継続できたのはひとえにお取引先やスタッフ、その他関係各位のおかげかと思います。事業を始めたときは本当によちよち歩きだったのですが、いつの間にか17年継続することができました。この頃、「長く続いているんですね」と言われることがあり改めて継続してきたことを認識した次第です。

一般的には新規創業しても事業継続することができず廃業する割合が高いと言われています。まわりの創業した例を見ていると、廃業しているのはいくつかのパターンがあるような気がします。

・経営に対して真摯に取り組んでいない

・市場性を無視した事業分野への参入

・野放図な投資

などにより事業継続できていないケースがよく見られます。

低成長でかつ高度化した現代社会において、新たなマーケットは少なく、ブルーオーシャンはすぐ新規参入者で埋め尽くされてレッドオーシャン化します。既存業者との競争に勝つためには伸びゆくマーケットをターゲットとし、適切に攻めることができなければ既存業者との競合に勝てず事業継続が難しくなっているのかと思います。
世界人口の増加と経済水準の向上により、食料の需給は間違いなく厳しくなります。当社がいままで継続できたのは当社の事業領域が食品リサイクルという伸びゆく分野であり、なおかつ既存業者の技術水準が低く、相対的に当社の技術が強みとして明確化でいたことがあるかと思います。

ビジネスをするにおいて重要なのが顧客ニーズであることは言うまでもありません。ニーズがある分野で事業を行うことが、事業の存在意義につながり事業の継続発展に結びつきます。
当社はこれからも食品リサイクルという分野で事業を行うことで、社会的ニーズに応えていきたいと思います。来年もよろしくお願いします。

決算書の読み方

当社は12月決算なので、先日決算の数字が確定し申告を終えました。何のかんので16期が過ぎ、年月の過ぎる速さに改めて驚く次第です。周りの皆様にご支援いただき16年継続できたことを感謝します。
思えば事業を始めたときには決算書を見てもさっぱりわからない状態でした。事業を始めるときに行政が行っている起業セミナーに行き、決算書の読み方講座を受けたけど全く頭に入らなかったことを覚えています。
その後は決算書の読み方の本を読んだり、セミナーに行ったりしましたが一番勉強になったのは自分で5年ぐらい会計ソフトに記帳していたことです。その後は税理士との毎月の打ち合わせの際に疑問なことは逐次尋ねるようにしています。またマネージメントゲーム(MG)という会計要素を含んだゲームにも参加しています。そのおかげで金融機関の担当者から褒められる程度には決算書の読み方に詳しくなりました。
16年経過して決算書を読むことはできるようになりましたが、決算内容は格段の進歩が見られないのは残念なところです(笑)

現在、当社ではクラウドの会計ソフトを使用しており、日々の記帳を行うとリアルタイムにデータ反映されるようになっています。おかげで私は出張中であっても月次決算を把握することができます。税理士のチェックもこちらが入力終了したらすぐに確認してもらうことができ、当然ながら修正が入った場合もリアルタイムに反映されます。クラウドの特性上当たり前ですが、以前はローカルのデータだったためデータの版管理が煩わしくて大変でしたので時代の進歩を感じます。
会計ソフトへの入力も自社で行っているのですが、中小企業や個人事業主ではまだまだ請求書や領収書の束を税理士に渡して入力を依頼するというケースが多々あります。記帳の知識不足や手間を惜しんでのことですが、記帳自体は慣れればたいした時間がかかるわけではなありませんので自社で記帳するべきだと思います。昨今の会計ソフトは進歩が著しく、レシートをスキャンすると自動仕訳してくれたり、銀行の口座を定期的に見に行って自動仕訳してくれたりします。記帳を頼むと当然その分のコストは税理士報酬に上乗せされますし、日々の経営状況の把握が遅くなります。
中小企業では月次決算を行っていないケースも多く、自社の状態を把握できていないケースも多くあります。私は中小企業家同友会という経営の勉強会に参加しています。経営者のレベルが平均的に高い会なのですが、その会員でも決算書を読めなかったり月次決算を出していなかったりするケースが多くあります。経営者が日々の経営状況を把握するのは最低条件であり、数字の把握をしていないのは経営者の怠慢だと思います。

よく、「自分は数学が苦手なので決算は・・・」と言う人がいます。私は一応理系ですが、数学が苦手で高校の担任(数学教師)から「おまえは理系やなかごたる(佐賀弁)」とよく言われてました。ただ、決算の分析に必要なのは四則演算であり、微分方程式も三角関数も必要ありません。数字が苦手だからと決算書を見ないのは現実逃避以外の何者でもありません。

決算書が読めたらすぐ利益が上がる訳ではありませんが、自社の状況を把握するのは今後の戦略を立てる上で必要です。これだけ社会情勢が流動的な世の中になってきているのに戦略無しで事業を営むのは無謀です。田舎の町工場でも野菜農家でも社会情勢に振り回されてしまう時代になっています。

えらそうなことを書きましたが、私自身も日々失敗と勉強を続ける毎日です。皆様の指導鞭撻を今後もお願いしたいと思います。

 

中小企業のデジタル化

コロナ禍も先が見えない状況が続いています。コロナ禍はさまざまな影響がありましたが、業務的には減ったお客様と伸びているお客様があるので幸いトータルではまずまずの状況です。大きな変化が起きたのがミーティングのオンライン化です。zoomがこれほどまでに普及するとはだれも予想していなかったのでは無いでしょうか。

最近はテレワーク対応が補助金の対象となったりしています。当社の取引先も春からずっとテレワークというケースがあります。当社の場合、以前よりクラウドの積極的な導入を行っており、事務作業はほぼテレワークで対応することができるようになっています。例えば、会計ソフト、販売管理ソフト、見積作成システムはすべてクラウドで行っています。データはだいたいGoogleドライブで行っているため、会社に行かなくてもたいがいのデータは確認できます。
また、VPN通信というセキュリティーを確保しながらネットワーク接続できる仕組みを導入しており、会社のネットワークに外出先からアクセスできるようにしています。もともと、前職で部署のシステムの担当をしており、ある程度のIT知識があるので中小企業経営にも役立っています。
このように、当社は会社の規模に比してかなりIT化を推し進めていますが、その投資額は売上金額の1%にも満たないものです。大手は売上げの数%をIT投資に費やしていると言います。このようなITに対する姿勢の格差が大手と中小の格差固定につながっているのでは無いかと思います。たとえば、売上げ1億円の中小企業で毎年数百万円のIT投資を行っている例は皆無では無いでしょうか。

現在、DX(デジタルトランスフォーメーション)だとかデジタル庁など、政府がデジタル化を推し進めようとしています。もちろん、このような施策は重要だとは思いますが、正直20年遅れているのでは無いかと思います。いままで捺印のために行政に面倒な書類郵送を行ってきたので、判子廃止は諸手を挙げて賛成しますが、むしろ今までなぜ廃止できなかったが疑問でなりません。また、マイナンバーカードの普及の遅れをポイント制で後押しするような政策は愚の骨頂です。使いにくいシステムをポイントで無理矢理ごり押しするというはデジタル化とは正反対の手法です。

また、デジタル化は重要なことではありますが、これが政府の政策の一丁目1番地に位置づけられているのは不安があります。日本の課題は少子高齢化、格差の拡大、所得の低下、科学技術力の低下などであり、デジタル化の遅れはこのような課題の結果でありデジタル化を推進したからといって少子化が解消するわけではありません。
当たり前ですが、国であっても中小企業であってもデジタル化は一つの手段に過ぎないということを認識していくことが重要では無いかと思います。

これはトランスフォーマー

財務の分析

相変わらず慌ただしい日々を送っていますが、気がつくともう11月も後半で、年の瀬も迫ってきました。
当社は12月末決算なので、決算数字が見えてきたところです。事業を始めてから1年過ぎるのがあっという間で、本当にすぐに決算になってしまうことに驚くばかりです。

現在は決算に向けて財務諸表をみながら来期の計画を練っています。経営者の役割として、資金の調達と調達した資金の配分を計画することが重要な仕事です。社長を10年もやっていると、決算書をながめていろいろなことが見えるようになってきました。

私はいろいろな経営者向け勉強会に参加しています。財務の勉強の機会も多くありましたが、案外勉強会に参加するような人でも決算書が読めない人がたくさんいます。肌感覚的には、中小企業経営者できちんと決算書が読めるのは2~3割では無いでしょうか。

決算書が読めたらすぐに儲かるようになる訳ではありません。あくまでも現状の把握に過ぎません。でも、現状把握ができなければ将来の道筋を立てることができません。かっての高度経済成長時代では、とにかくがんばれば結果がついてきたかもしれませんが、マーケットの大きな拡大が見込めないこの時代では繊細な舵取りが求められています。
以前、ある勉強会で「決算書は社長の経営の性格がでる」というお話しを聞いてなるほどと感心したことがあります。どうやって資金調達し、その資金をどのように投資して、どういった結果が得られているかが会社の通信簿として出ているのが決算書ではないかと思います。

会社の経営状況について税理士に相談している経営者をよく見かけます。税理士は税金を適切に納税するのが仕事であり、経営の状況を把握することは資格の範囲に入っていません。もちろん、経営コンサルタント的に経営相談を受けるスキルを持つ税理士の方は多く見えますが、それは資格とは無縁なものです。また、コンサルタントは様々なアドバイスや手法を提供してくれますが、会社のことを一番よく知っているのは経営者自身であり、特に投資計画は経営者が判断すべき事項であるかと思います。「こういう機械を買ってもいいか?」と税理士に聞くのはナンセンスです。

私は事業を始めて数年間は自分で記帳をしていたので、会計の知識がつきました。その後、本を読んだり勉強会に参加して決算書を読むことができるようになりました。決算書を読むと言ってもそれほど大仰なことではなく、四則演算ができればだれでもできるものです。それを「自分は数字には弱いから」と言って勉強しようとしない経営者が多くいるのは残念なところです。

分析をすればするほどわかるまだまだ不十分な自社の経営も、数字把握により改善し、目指す方向に進めていきたいと思っています。