ウイスキー蒸留所のリサイクル

新型コロナウイルスの流行も1年以上経過し、社会全体が疲弊している感じが強くなっています。自分は酒好きなので飲みに行くことができないことにストレスを感じます。
当社は様々な食品副産物をリサイクルしていますが、酒造関係の醸造副産物の仕事も多いため酒の生産量が減っている影響が出ています。業務的な側面からも早く元の社会に戻れることを切に願います。

当社では酒造関係の仕事はビール、日本酒、焼酎などを取扱しています。最近取扱量が急激に増えているのがウイスキーの製造副産物のリサイクルの仕事です。昨今のジャパニーズウイスキーの流行に伴い、国内のウイスキー蒸留所の数が増えています。ウイスキー(モルトウイスキー)の作り方はおおざっぱに言うと以下のようなプロセスです。
1.麦芽を粉砕し、お湯に浸漬します。麦芽中の酵素(アミラーゼ)によりデンプンが糖化します。
2.麦汁をしぼります。
3.麦汁を発酵タンクにいれ、数日程度酵母発酵させます。
4.発酵したもろみをポットスチルと呼ばれる蒸留器で蒸留します。アルコール分を高めるため2回蒸留します。
5.蒸留した液を木樽に詰めて3年以上熟成させます。

詳しくはさまざまなサイトに載っていますのでそちらをご参照ください。
例→サントリーのサイト

このような製造過程で麦芽の粕と蒸留廃液が発生します。大手ウイスキーメーカーでは従来より麦芽(ウイスキー粕)のリサイクルが行われていましたが、小規模な蒸留所では麦芽リサイクルのノウハウが乏しく有効な活用があまり行われていませんでした。当社ではノウハウの蓄積によりウイスキー粕と蒸留廃液のリサイクルを行っており、現在全国の5カ所の蒸留所の現場でリサイクルのお手伝いを行っています。また、新規蒸留所からのお問い合わせも増えており、近日中に数カ所の蒸留所でリサイクルがスタートする見込みです。
麦芽は乳酸発酵させサイレージとして保存し、主に酪農向けの飼料として販売しています。蒸留廃液はタンパク質が豊富で有り、養豚向け飼料および発酵飼料原料として利用しています。


ウイスキー粕飼料化システム

ウイスキーの原料はビールの麦芽と同じものですが、ビールと少し製造工程が異なるため飼料とする際の発酵が上手くいかない傾向にあります。当社は発酵のやり方を試験しノウハウも確立できてきたので先日特許も出願しました。

自分はお酒の中でもウイスキーがかなり好きで、コロナ禍以前はショットバーに行きウイスキーを飲むのが楽しみでした。でも、ウイスキーの作り方について詳しくは知りませんでした。仕事で蒸留所に行きウイスキーの製造方法や原料について詳しく知ることができ、またいろいろなウイスキーを試飲したりと役得を堪能しています。通常は見学できない製造工程も見学できたりもします。
ジャパニーズウイスキーをいろいろ飲み比べると、繊細で奥深いものがあります。また作り手の熱い想いを知り、これからのジャパニーズウイスキーの広がりに期待しています。

オリンピック開催に関するビッグサイト問題

年度末になり、非常に多忙な日々が続いています。補助事業をいくつかやっているのでその報告書作成に追われています。
また、会社のライン改修工事もあり、現場の仕事もいろいろ入っています。

そんな多忙な中、先週は東京ビッグサイトで行われた環境展に3日間出展してきました。
環境展出展はもう10年以上続けています。通常は東ホールという一番広い場所を使い5月に開催されていますが、今回は西ホールで3月に時期をずらしての開催でした。

通常と場所や時期が変更になったのはオリンピックの影響です。オリンピックのプレスセンターとして東ホールを使うために、東ホールが使用できなくなっています。2020年の開催のために2019年から通常の使用ができなくなっており、このため様々なイベントが開催場所や時期の変更を余儀なくされています。
このあたりの問題は様々な記事になっていますが、世間にはあまり知られていないように感じます。

東京ビッグサイトが東京五輪で使えない問題で露呈…イベント会場が少なすぎる実情 https://biz-journal.jp/2020/06/post_160287.html

ビッグサイトはもともと人気があり以前より通年ほぼ空きが無い状態でした。また、日本は経済規模に比べ展示会場が少ないと言われています。「コンパクト五輪」で新しい施設作らないという体面のためにその少ない展示会場をつぶしてオリンピックのために使うのはおかしな話だと思います。
本来でしたら、プレスセンターを新しく作り、オリンピックが終わったら新たな展示会場にする‥というのが常識的なやり方ではないでしょうか。なぜ稼働率が高い施設を使えなくするのか、合理的な理由が説明されていないように思います。

オリンピックは今日3月21日時点の時点で観客を減らして開催されるとの報道がされています。この新型コロナの厳しい状況にもかかわらず開催をめざすのは中止した場合の放映権他の損失が大きいからであり、オリンピックがスポーツや平和の祭典ではなくビジネスが主眼の目的になっていることを端的に現しているように感じます。

今年の環境展は新型コロナの影響と開催時期の変更、規模の縮小が相まって来場者数は少なかったです。
個人的にはオリンピックには恨みつらみがあります。
経済浮揚のためのオリンピックが経済の足を引っ張るのは皮肉な現象ではないでしょうか。

前回の東京オリンピックは経済発展に寄与したと言われています。高度経済成長期の中、社会インフラが未整備だった時期においてはオリンピックを機にインフラ整備を行うことは経済発展にも役立つことがおおいかもしれませんが、インフラが高度に整備されて都市化が進んだ現代の東京で果たして経済効果が高いものだったか、微妙だと思います。長野オリンピックの後、果たして長野経済は振興したでしょうか。大きなイベントで経済成長を促す時代ではなく、地道に国内の科学技術振興と少子化対策をすすめていくことが結果として経済の安定的成長につながると思います。

なんにせよ、来年にはコロナ禍が過ぎ去りオリンピックも終わり平穏な日々がくることを祈っています。

決算書の読み方

当社は12月決算なので、先日決算の数字が確定し申告を終えました。何のかんので16期が過ぎ、年月の過ぎる速さに改めて驚く次第です。周りの皆様にご支援いただき16年継続できたことを感謝します。
思えば事業を始めたときには決算書を見てもさっぱりわからない状態でした。事業を始めるときに行政が行っている起業セミナーに行き、決算書の読み方講座を受けたけど全く頭に入らなかったことを覚えています。
その後は決算書の読み方の本を読んだり、セミナーに行ったりしましたが一番勉強になったのは自分で5年ぐらい会計ソフトに記帳していたことです。その後は税理士との毎月の打ち合わせの際に疑問なことは逐次尋ねるようにしています。またマネージメントゲーム(MG)という会計要素を含んだゲームにも参加しています。そのおかげで金融機関の担当者から褒められる程度には決算書の読み方に詳しくなりました。
16年経過して決算書を読むことはできるようになりましたが、決算内容は格段の進歩が見られないのは残念なところです(笑)

現在、当社ではクラウドの会計ソフトを使用しており、日々の記帳を行うとリアルタイムにデータ反映されるようになっています。おかげで私は出張中であっても月次決算を把握することができます。税理士のチェックもこちらが入力終了したらすぐに確認してもらうことができ、当然ながら修正が入った場合もリアルタイムに反映されます。クラウドの特性上当たり前ですが、以前はローカルのデータだったためデータの版管理が煩わしくて大変でしたので時代の進歩を感じます。
会計ソフトへの入力も自社で行っているのですが、中小企業や個人事業主ではまだまだ請求書や領収書の束を税理士に渡して入力を依頼するというケースが多々あります。記帳の知識不足や手間を惜しんでのことですが、記帳自体は慣れればたいした時間がかかるわけではなありませんので自社で記帳するべきだと思います。昨今の会計ソフトは進歩が著しく、レシートをスキャンすると自動仕訳してくれたり、銀行の口座を定期的に見に行って自動仕訳してくれたりします。記帳を頼むと当然その分のコストは税理士報酬に上乗せされますし、日々の経営状況の把握が遅くなります。
中小企業では月次決算を行っていないケースも多く、自社の状態を把握できていないケースも多くあります。私は中小企業家同友会という経営の勉強会に参加しています。経営者のレベルが平均的に高い会なのですが、その会員でも決算書を読めなかったり月次決算を出していなかったりするケースが多くあります。経営者が日々の経営状況を把握するのは最低条件であり、数字の把握をしていないのは経営者の怠慢だと思います。

よく、「自分は数学が苦手なので決算は・・・」と言う人がいます。私は一応理系ですが、数学が苦手で高校の担任(数学教師)から「おまえは理系やなかごたる(佐賀弁)」とよく言われてました。ただ、決算の分析に必要なのは四則演算であり、微分方程式も三角関数も必要ありません。数字が苦手だからと決算書を見ないのは現実逃避以外の何者でもありません。

決算書が読めたらすぐ利益が上がる訳ではありませんが、自社の状況を把握するのは今後の戦略を立てる上で必要です。これだけ社会情勢が流動的な世の中になってきているのに戦略無しで事業を営むのは無謀です。田舎の町工場でも野菜農家でも社会情勢に振り回されてしまう時代になっています。

えらそうなことを書きましたが、私自身も日々失敗と勉強を続ける毎日です。皆様の指導鞭撻を今後もお願いしたいと思います。

 

リン酸塩の危険性

最近、養豚事業で肉の販売が増えています。お客様もリピーターが増えており、特色のある肉質を訴求してきたことが少しずつ実を結びつつあるように感じます。
精肉だけではなく、ソーセージやベーコンなどの加工品も売上げが増えてきました。私がソーセージなどが好きなことも有り、養豚生産としては極小規模ですが加工品の品揃えは充実している方ではないかと思います。許可や施設の関係もあり加工品はすべて委託生産により製造していますが、レシピ開発は私が基本的に行っています。最近では餃子の開発を行っており、試食を繰り返したおかげで餃子を焼くのが上手くなりました(^^)

加工品を販売していると、時々「添加物は何を使っていますか?」と聞かれることがあります。雪乃醸の加工品のうち、シュウマイは無添加ですが、ソーセージやベーコンはリン酸塩と亜硝酸塩を使用しています。添加物を使用していると言うと敬遠されることも少なからずあります。
亜硝酸塩については以前の記事にも書きましたが、微生物的な安全性を高めるために添加しています。また、亜硝酸塩を入れるとキュアリングフレーバーと呼ばれる香りが発生しておいしさが増します。ドイツでは「亜硝酸塩が入っていないソーセージは本物ではない」と言われることもあるそうです。
↓参考 亜硝酸塩の添加量と食味の試験
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010581780.pdf

リン酸塩は結着のために添加します。と畜してすぐの暖かい肉を原料とすると結着材は不要なのですが、流通課程の都合上どうしても翌日に加工になるので、そのままでは結着せずボソボソしたソーセージになってしまいます。
リン酸塩は多すぎるとえぐみが出たりするので最小限の添加としています。

「添加物が危険」と言う本にはリン酸塩の危険性が書かれています。たいていは過剰摂取するとカルシウムの吸収阻害になるというものです。ただ、リン酸塩自体は食品に多く含まれているもので、必須栄養素の一つです。過剰になると危険なものはたくさんあり、ナトリウム、つまり塩だって過剰に摂取したら健康被害が発生しますし現代日本人は塩の摂取量が多すぎると言われています。リン酸塩の使用は栄養バランスの問題ですので、リン酸塩の危険性をうたうなら塩についても危険性を警鐘をならすべきだと思います。

基本的に各種加工品はできるだけ素材の味を生かすために添加物を減らしています。なのでアミノ酸(=グルタミン酸ナトリウム)やイノシン酸、酵母エキスなどの味をごまかすような添加物は使用しないようにしています。
ぜひ雪乃醸のこだわりの加工品を賞味いただけたらと思います。

パイナップル残さの脱水システム

遅ればせながらあけましておめでとうございます。
昨年は新型コロナウイルスに振り回された1年でした。コロナ禍の影響により展示会は軒並み中止になり、出張もままならず業務に様々な影響がありました。
しかし、当社は比較的影響を受けにくい業種であったこと、また以前よりネットを利用した営業を行ってきたことなどが功を奏してなんとか1年間を終え売上げを増やして12月末の決算を終えることができました。これも取引先、スタッフほか関係する皆様のおかげです。ありがとうございます。

パイナップル脱水システム

新しく始まった仕事の一つに、カットフルーツ工場のパイナップル残さリサイクルがあります。パイナップル残さは従来より飼料としての利用がすすんでいました。しかし、排出されるパイナップル残さはそのままの状態では取扱がしにくく、保存性が悪い欠点がありました。
今回の取り組みは、パイナップルを脱水し脱水パイナップルを袋詰めしてサイレージとして保存し牛用の飼料として供給します。脱水したときに発生する脱離液はタンクに保管してタンクローリーで運搬し、豚用の飼料として利用しています。パイナップルを脱水して脱水パイナップルと液体を両方利用するのはおそらく日本で初めての試みではないかと思います。

脱水した液体なんてエサになるのかというご質問をいただくことがよくあります。パイナップルの脱離液はほとんどパイナップルジュースで、だいたい8%ぐらいの糖液です。豚のリキッドフィードは20%強の濃度で製造することが多いです。仮にリキッドフィード製造時に使用する液体をすべてパイナップル脱離液とした場合、約1/3をパイナップルの糖分で供給することができます。保存性もよく、消化性、嗜好性もよいのでリキッドフィードの原料としては非常に有用な原料です。
計算上はパイナップル汁と酒粕(と少々のアミノ酸)だけで豚の飼料をつくることができます。

現在も多種多様なお引き合いをいただいております。今後も新しい挑戦を続けていきたいと考えています。皆様今後ともご協力のほどよろしくお願いします。

バックヤードからみた食品マーケット

今年ももうすぐ終わろうとしています。年を取り1年過ぎるのは本当に早く感じます。
今年はコロナに翻弄された一年でした。

毎年出展している環境展も中止になり、営業活動があまりできない状況でしたがおかげさまで新規の仕事も多く会社の売上げ的にはなんとか体裁を保つことができました。これもコロナ以前よりホームページ等多方面への営業活動を行ってきたことが成果を結んでいるように思います。

今年大きく増えた仕事の一つがパイナップルです。カットフルーツ工場から排出されるパイナップルの残さをリサイクルする仕事が大きく増えました。コンビニ、スーパーでのカットフルーツマーケットの伸張により、パイナップの排出量が大きく増えています。パイナップルは可食部位の比率が50%に満たず、1kgのカットフルーツを製造すると1kg以上のゴミが発生します。
もともと世帯人口の減少、共働き世帯の増加によりカットフルーツの需要は伸びていたのですが、コロナ禍による内食の高まりにより、更に需要が増えています。
このため、当社へのカットフルーツ残さリサイクルのご依頼が増加しています。

パイナップル残さ

他方、テレワークや学校のリモート授業により、お弁当やおにぎりの需要が落ちているます。このため、米の需要は落ちています。家で食べるとしても、簡単に調理できるものが主体になっていることがよくわかります。
また、外食が減り中食が増えることにより、国産豚肉の需要が高まり今年は高豚価が続きました。今年一年通してみて、外食と中食ではかなり食べるものが変わるというのが新しい発見でした。
バックヤード稼業をやっていると世間の食マーケットの動きがよくわかり興味深く思います。

パイナップルに話を戻すと、現在当社では関東地区4カ所(神奈川2カ所、埼玉2カ所)、静岡、兵庫のカットフルーツ工場から発生するパイナップル残さのリサイクルを行っています。
パイナップル残さの取扱量は年間4000トン程度になり、パイナップル換算すると約9000トン程度の取扱量となります。日本のパイナップル輸入量は15万トンぐらいなので、当社は全国のパイナップルの6%の残さを取り扱いしていることとなります。零細企業の割にシェアが高いものだと自分で計算して驚いた次第です(^^)

パイナップルサイレージ

新しく始まった静岡の現場では、パイナップルを脱水し、粕と汁に分けて再利用しています。粕は高消化性繊維、汁は糖が成分の主体であり、パイナップル粕はサイレージとして牛に、絞り汁は液体のまま豚向けに供給を行っています。

さまざまな食品リサイクルが取り組まれていますが、まだまだリサイクルされていない食品残さはたくさんあります。来年もまたバックヤード稼業として新たなリサイクルに取り組んでいきたいと思います。

中小企業のデジタル化

コロナ禍も先が見えない状況が続いています。コロナ禍はさまざまな影響がありましたが、業務的には減ったお客様と伸びているお客様があるので幸いトータルではまずまずの状況です。大きな変化が起きたのがミーティングのオンライン化です。zoomがこれほどまでに普及するとはだれも予想していなかったのでは無いでしょうか。

 

 

最近はテレワーク対応の助成が補助金の対象となったりしています。当社の取引先も春からずっとテレワークというケースがあります。当社の場合、以前よりクラウドの積極的な導入を行っており、事務作業はほぼテレワークで対応することができるようになっています。例えば、会計ソフト、販売管理ソフト、見積作成システムはすべてクラウドで行っています。データはだいたいGoogleドライブで行っているため、会社に行かなくてもたいがいのデータは確認できます。
また、VPN通信というセキュリティーを確保しながらネットワーク接続できる仕組みを導入しており、会社のネットワークに外出先からアクセスできるようにしています。もともと、前職で部署のシステムの担当をしており、ある程度のIT知識があるので中小企業経営にも役立っています。
このように、当社は会社の規模に比してかなりIT化を推し進めていますが、その投資額は売上金額の1%にも満たないものです。大手は売上げの数%をIT投資に費やしていると言います。このようなITに対する姿勢の格差が大手と中小の格差固定につながっているのでは無いかと思います。たとえば、売上げ1億円の中小企業で毎年数百万円のIT投資を行っている例は皆無では無いでしょうか。

現在、DX(デジタルトランスフォーメーション)だとかデジタル庁など、政府がデジタル化を推し進めようとしています。もちろん、このような施策は重要だとは思いますが、正直20年遅れているのでは無いかと思います。いままで捺印のために行政に面倒な書類郵送を行ってきたので、判子廃止は諸手を挙げて賛成しますが、むしろ今までなぜ廃止できなかったが疑問でなりません。また、マイナンバーカードの普及の遅れをポイント制で後押しするような政策は愚の骨頂です。使いにくいシステムをポイントで無理矢理ごり押しするというはデジタル化とは正反対の手法です。

また、デジタル化は重要なことではありますが、これが政府の政策の一丁目1番地に位置づけられているのは不安があります。日本の課題は少子高齢化、格差の拡大、所得の低下、科学技術力の低下などであり、デジタル化の遅れはこのような課題の結果でありデジタル化を推進したからといって少子化が解消するわけではありません。
当たり前ですが、国であっても中小企業であってもデジタル化は一つの手段に過ぎないということを認識していくことが重要では無いかと思います。
これはトランスフォーマー

養豚における6次産業

今年はいつまでも暑い日々が続きます。暑いと人間同様豚も夏バテして食欲が落ち、結果成長が遅くなります。全国的には出荷頭数が落ちています。おかげで豚枝肉の相場は高値安定です。
一方、当社の豚は最近絶好調でもりもりとエサを食べており、非常に順調に大きくなっています。養豚開始して2年半経ち、ようやく生産も安定してきたように思います。病気の予防や飼料の配合設計のノウハウが蓄積してきたことが大きいです。

昨年夏から力を入れている豚肉販売も少しずつ広がりを見せてきました。コロナ禍により展示会が軒並み中止になり、飲食業界が苦境に立たされている状況であり向かい風が強いですが、それでも様々なご縁でレストランやスーパーなどの取引が増えてきました。
販売は精肉だけではなく、ハムやソーセージなどの加工品も委託製造し、ネット通販などで販売を行っています。

当社はさまざまな6次産業的な取り組みを行っていますが、以前にも書きましたように肉牛や豚などは生産した家畜を直接販売することができませんので、生産者自らが販売する差別化が難しいという特徴があります。
加工品にしても、委託生産先にお任せすると委託生産先の商品との区別ができないものになってしまいます。
このような背景もとに差別化を図るために「特徴のある豚肉の生産」と「特長を生かした加工品の生産」を当社ではめざしています。
当社の銘柄豚「雪乃醸」は飼料にはトウモロコシ、大豆を使用していません。また、飼料中の粗脂肪を低くし、特にリノール酸を含むものを極力減らしています。さらに、タンパク質源としてビール酵母を使用しています。その結果、非常に軽い脂の質になっています。この頃はブラインドで食べてもすぐ雪乃醸がわかるようになりました。
この脂の質を最大限活かして加工品のレシピ開発を行っています。素材の旨みを生かすために、グルタミン酸ナトリウム(旨み調味料、化学調味料)を使用せず、ハーブで脂のフレーバーを引き出すようにしています。

当社加工品で非常に人気なのがシュウマイです。シュウマイは背脂を多く配合しています。あっさりした脂の質なので背脂が多くてもくどくならず、ジューシーな仕上がりになっています。脂の特徴が生きた商品です。「他のシュウマイを食べると胸焼けするけど、雪乃醸シュウマイはあっさりとしてたくさん食べられた」とネット通販のレビューにありとても嬉しく思いました。

シュウマイ

加工品の試作もいろいろ行いましたが、雪乃醸の特徴が出ない商品は商品化していません。
差別化が難しい豚肉は6次産業化として生産者が販売する場合、「生産者の顔が見えること」「ストーリー性」に頼っているケースが多いように感じます。それ自体は否定しませんが、当たり前ですが豚肉自体の特徴が無いと厳しい消費者の選別眼のもと、すぐに飽きられてしまう可能性があります。

私は6次産業化に限らず、企業活動において重要なのは「存在意義」だと思います。日本で養豚を行う存在意義を少しでも高めるために、エコフィードを使い特徴のある美味しい豚肉を生産していきたいと思っています。

麺

エコフィードの集め方

コロナ禍によりいろいろビジネスに支障がある昨今です。当社のお客様でも影響が出ている業種があります。特に、日本酒、ビールなどのお酒関係は甚大な影響があります。今日日、家では酒を飲まなくなってきているのだと実感します。家では酎ハイや発泡酒が中心で、ビールは飲まない人が多いと言うことです。
当社はビール粕や酒粕などの副産物を取り扱っていますので、発生量が減少傾向にあります。

酒粕

そんな中、製麺工場などコロナの影響が少ない業種からの新規のお仕事のご依頼が非常に多く、おかげさまで当社は仕事はむしろ増加傾向にあります。ご依頼をいただく理由の一つとして、今までそういった食品残さの引き取りを行っていた養豚農家が廃業してしまったというものがあります。

愛知県など都市近郊の養豚農家では古くからいわゆる残飯養豚というスタイルで豚を飼っている農家が存在します。飲食店などから残飯を回収してそれを加工し、豚に給与するというものです。しかし、このようなやり方をしている農家は今は非常に少なくなっています。
残飯などはたいてい無償で提供してもらえますので、養豚で一番コストがかかる飼料費を抑えることができます。しかし、当然ながら回収するのにも手間がかかります。残さを回収してまわることで人件費が発生しているので、見かけほどコストが下がるわけではありません。また、残飯養豚をやっているような農家は小規模なことが多く、回収するために時間を費やすとおのずと豚の面倒を見る時間が短くなり、管理がおそろかになりがちです。
そして、残飯を給与することで、肉質などにも影響がでてしまうことがあります。残飯は一般的に粗脂肪含量が非常に高く、油がそのまま豚肉の脂肪に移行してしまうためにおいなどの原因になりがちです。
このようなことから残飯を給与することが経営的なメリットが相対的に少なくなって廃れてきています。

牛、豚など畜種問わず畜産農家が食品残さを回収するのには

・ある程度のロットで回収することができる

・品質が安定している

・回収担当のスタッフがいる

ことが必要条件では無いかと思います。たとえば、大手パン工場から発生するパンの耳、製麺工場から発生する余剰麺、豆腐工場から発生するおからなどを農家が回収して利用している場合、コストの低減と品質の両立がうまくいっていることが多いです。

いずれにせよ、畜産経営においては原価計算をきちんと行い、収支をみて利用の可否を判断することが重要です。他方、食品残さ回収などの作業を当社のような業者にうまくアウトソーシングすることで、コストの低減と生産性の向上をうまく実現し、経営に大きく寄与している例も多くあります。(宣伝ですw)
いずれにせよ、畜産経営においては原価の把握が重要であることは言うまでもありません。原価をもとにそれぞれの経営方針に応じた飼料を使用することが大切です。

 

家畜防疫にとって必要なもの

先般、飼養衛生管理基準の改定が話題になっていました。
放牧経営どうなる 中止、畜舎義務化 懸念広がる 農水省基準案に「唐突」「根拠は」(日本農業新聞)
https://www.agrinews.co.jp/p51016.html

飼養衛生管理基準とは、「家畜伝染病予防法に基づき,家畜の飼養者が家畜伝染病の発生を予防するために,遵守すべき事項について定めたもの」です。
こちらに放牧を禁止する(場合がある)という内容が入っていたため、放牧を行っている畜産関係者等からの反発があり、結果として放牧に関する条項は大幅に割愛されることになりました。
放牧ばかり耳目を集めていたようですがこの飼養衛生管理基準はさまざまな点で規制が強化されており、たとえば農場内で愛玩動物、つまり犬や猫を飼うことが禁止されています。畜産農家に訪問したことがある方はご存じと思いますが、農場で犬や猫を飼っているケースは非常に多いです。しかし、今後は農場内で犬や猫の飼育もできなくなってしまいます。

今回の規制強化は近年の豚熱の流行、そして中国他でのASFや口蹄疫の流行が背景にあります。伝染病の予防や蔓延を防止するために規制を強化することになったわけです。
私は仕事柄様々な畜産農家に訪問する機会がありますが、正直言って防疫対策が不十分な農家も多くあります。規制の強化はやむをえない面もあります。
ただし、当然ながら規制の強化は費用や労力の負担にもなります。ゼロリスクを求めてやみくもに対策するのは非科学的な手法であり、費用便益を考え優先順位を決めてすべきです。犬や猫がいることで本当に伝染病のリスクが高まるのでしょうか。例えば、猫がウイルスを伝播したという事例があれば猫の飼育を禁止するのも当然かと思いますが、そのような事例が報告されているわけではありません。
豚熱の発生の状況を見るに、野生動物に一旦伝染病が広がると(=つまりウイルスが大量にばらまかれると)、感染拡大をおさえるのは非常に困難であり、相当な防疫体制を敷いている農場であっても感染を防ぐことは非常に厳しいということは間違いありません。
であれば、まず第一に行うべきは野生動物への感染をいかに防ぐかであり、いかに国内に伝染病を侵入させないかが第一の対策であるべきです。たとえば、禁忌品、たとえば肉類の持ち込みに関する罰則のレベルは諸外国に比べ低いと言われています。水際対策の強化に対し及び腰にもかかわらず、国内の規制強化に取り組むのは本末転倒です。

今回の改定では

・根拠が明確でないこと、科学的根拠がはっきりしないこと

・改定の決定プロセスが不明確であること

・規制の内容がはっきりしないこと

に関して疑問の声が上がっていたように感じます。

放牧禁止しかり、愛玩動物禁止しかり、なにか明確な根拠があれば意見が噴出することも無かったかと思います。また、これらの改定に関し、農水省から出され原案を専門家委員会で検討をおこなっているのですが、議論の過程はオープンにはなっていません。今回の改定に関する専門家委員会の議事はこちらに公開されていますが、そこには「本年3月に改正された豚等の飼養衛生管理基準の他畜種への反映方針について確認がなされ、大臣指定地域の考え方等について意見があった。」との記載があるのみです。果たして議論が尽くされたのか、これでは全く不明確です。

今回の飼養衛生管理基準の改定の前に、食品残さの加熱基準が強化される改定が行われています。これは、肉を含む食品残さはいままでは70℃30分の加熱だったものの、90℃1時間の加熱が必要になりました。この根拠として、OIE(国際獣疫事務局)の基準が挙げられています。しかしながら、OIEが90℃とした理由は明確に示されていません。70℃30分でウイルスが不活化せず、90℃なら不活化するという実験データが示されるのならいざしらず、とにかくOIEがこう言っているから・・という理由で加熱基準が引き上げられました。この際、専門家委員会では相当議論が紛糾したにもかかわらず、議事要旨には「意見があった」との一文が記載されているのみです。

ゼロリスクを究極的に求めると家畜がいない方が良いことになってしまいます。リスクを回避しながらどうやったら畜産経営を継続していくか、生産現場だけに責任と負担を押しつけるのではなく、俯瞰的な視野の元で実効性のある対策を打ち出して欲しいと願います。