豚コレラについて

最近、豚コレラについて聞かれる機会が非常に多いです。いろいろな情報が入る立場なので、整理してみたいと思います。
なお、豚コレラは人間には感染しない病気であり、万一食べても影響はありませんので安心ください。

今回の豚コレラで不思議なのは、感染力が強くないにも関わらず、感染が広がっているという点です。
公表されているレポートに出てきませんが、本巣や渥美半島の農場では感染している豚が導入されているにも関わらず、導入されている豚がいる豚房以外では感染した豚がいませんでした。また、豊田の農場では11月ぐらいに母豚が感染していると推測されています。(抗体の上がり方からの推測)にも関わらず、同じ豚舎から出荷された子豚は1月中旬まで感染していませんでした。つまり、同じ豚舎内で作業者が行き来しているような状況であっても、豚同士が接触をしないような状況では感染が起きにくいということは明確です。
それにもかかわらず、多くの農場に感染が広がっているのは非常に不思議です。当然ながら豚舎の中にイノシシが侵入することは想定されず、また各務原や豊田の農場は付近にイノシシがいる環境ではありません。仮に小動物や鳥で感染するぐらい感染力があるようなら、もし感染した場合は農場内全体に一気に感染が広がるはずで感染豚が農場内に遍在するような現在の状況は説明がつかないことになります。

養豚関係者がワクチン接種を望む大きな理由として、このように感染経路が不明確であり、衛生管理を徹底し飼養衛生管理基準を完全に順守することで100%感染を防ぐことが難しいと感じているからです。現に、数年前流行したPEDという伝染病は衛生管理基準を完全に順守しているはずの農水省直轄の家畜改良センターに侵入しています。病気の感染原因によっては衛生管理基準を完全に順守することでも防げないということの証左です。

もちろん、ワクチン接種には様々なデメリットがありそれを理由に農水省は接種に対し否定的です。
デメリットとしてはおもに
・輸出ができなくなる
・現在阻止できている豚コレラ発生国から輸入が増える恐れがある
といったものです。ワクチンを接種すると、「非清浄国」という扱いになり、清浄国へ輸出ができなくなります。また、非清浄国からの輸入は現在はできませんが、その障壁が無くなってしまいます。
しかし、豚肉の輸出額は10億円程度、頭数で約12000頭分と金額的には少なく、仮に輸出が止まったとしても影響は軽微です。また、現在の輸出は香港などが中心であり、非清浄国となっても輸出は可能です。強いて言えば、清浄国であるアメリカやEU諸国への輸出ができなくなるということがありますが、国内の豚はこれらの国に輸出できる競争力は残念ながらほぼありません。
一方、豚の皮の輸出金額は大きく、かっては120億円程度ありました。
原皮の輸出が減ると影響はありますが、輸出先の多くは豚コレラ非清浄国であり、ワクチン接種しても輸出することは可能です。

他方、非清浄国からの輸入が増える恐れがありますが、非清浄国の多くは口蹄疫の非清浄国でもあります。このため、それらの国からは輸入することはできません。アジアでは唯一フィリピンが清浄国でありますが、フィリピンは豚肉の純輸入国であり、輸出余力は無いものと思われます。
もし輸入を阻止したいのであれば、まずは現時点でアフリカ豚コレラが発生している中国から正規の検疫をへて輸入されている豚肉加工品をストップすべきです。あまり知られていませんが、日本は年間1万トンもの豚肉加工品を中国から輸入しています。

このような理由から、私はワクチン接種による非清浄国化は豚肉、原皮などの輸出、輸入に関する制約はすくないものと思います。
むしろ、ワクチン接種する場合、ワクチンの費用負担や接種の労力のほうが影響が大きいと思います。ただ、生産者のほとんどはそれらのデメリットを踏まえたうえでワクチン接種を望んでいます。

このような状況を踏まえ、農水省は壊れたテープレコーダーのように「飼養衛生管理基準の徹底」を謳うだけではなく
1.ワクチン接種に頼らない感染予防が本当にできるのか(感染経路の明確化ができるのか)
2.仮にワクチン接種した場合、輸出入に対しどういった影響があるのかのシミュレーション
を行うべきです。経済動物である以上、リスクベネフィットで判断すべきであるのに、その提示がなされていないことに疑問を感じます。

多くの生産者が不安な心持で過ごす日々が続いています。また、飼料の流通や人の交流など、多岐にわたる影響が発生しています。政府は多くの声に真摯に向き合ってほしいと切に願います。

家畜福祉

年末年始で慌ただしく、すっかり更新が滞ってしましました。
事業を開始したときはそうでもなかったのですが、2つの会社を経営しどちらも12月末決算のため1月は非常に慌ただしい日々を過ごしています。

養豚の事業も豚を実際に飼い始めて1年が経過しました。まだまだ改善するところは多々あり問題山積ですが1年たつといろいろと見えてくるものもあります。

素人ばかりで豚を飼っているのでトラブルも多くありました。その一つに豚のしっぽかじりです。豚は何らかの理由でストレスを感じると、ほかの豚をいじめたりします。いじめの行動の一つがしっぽかじりで、同じ豚房にいる豚のしっぽをかじってしまうというものです。当然、傷ができますので感染症などの原因にもなりますし、かじられた方はストレスになり成長に影響が出たりします。

豚を飼って強く思うのは、豚にいかにストレスを感じさせないかが非常に重要だという点です。暑さ、寒さ、他の豚とのけんか、飼料の嗜好性等々、ストレスを感じると豚の成長に大きな影響があります。養豚生産者はみな、いかにストレスを与えないかに腐心しています。

これは養豚だけではなく、牛でも鶏でも同様です。牛もストレスを感じると乳量が減りますし、鶏も卵を産まなくなってしまいます。快適な環境が畜産においては非常に重要です。

オリンピックに向けて、ヨーロッパなどで一般化しつつある家畜福祉(アニマルウェルフェア)の考え方が日本でも徐々に広まりつつあります。
世間ではよく「大規模な畜産農家は効率を重視するあまり、家畜福祉に反した飼養を行っている」と思われているようですが、実際のところ家畜にストレスを与えるような飼養管理はむしろ生産性が低下するわけであり、効率を重視する大規模生産者こそそういったストレスに対しては敏感であったりします。
家畜がストレスを感じているかは物言わないため明らかではありませんが、ストール飼育だったりウインドレスだったりがもしストレスフルならば生産者が採用するはずがありません。家畜福祉に取り組む動きを否定するわけではありませんが、現状でも規模にかかわらず家畜福祉には常に配慮されているという実態を理解していただけたらと思います。経済動物ではありますが、家畜がよりよい環境で過ごしてほしいと思うのはすべての畜産農家の共通した思いではないかと思います。

エサをたくさん食べ、いびきをかいて寝ている豚たちを見るとなんとなくうれしくなりますが、それは生産者ならばだれしも感じるものである感情です。ゆったり育ち、結果としておいしい畜産物になることがなによりも願いです。

酵母と酵素

師走になり忙しい日々が続いています。忘年会も多く、酒を飲む機会が増えており肝臓に負担がかかる日々です。
ここ数年、飲む機会が多いのですっかり肝臓が鍛えられ、以前に比べ格段に酒に強くなった気がします。

当社は様々なお取引先がありますが、酒好きだからというわけではなく最近は醸造関係のお取引先が増えてきました。日本酒、ビール、ウィスキー、焼酎、みりん、醤油、味噌、etc.

発酵に興味がある自分としてはお客様訪問してもいろいろと現場を見せていただくのが非常に面白いです。
また、おいしいお酒にも巡り合える機会も増えたのもポイント高いです。酒蔵やウイスキー工房を営業しては酒を買う・・という本末転倒な機会も増えているのはここだけの話です(笑)

そんな中で今年から取り組んで切るのはビール酵母の飼料化です。ビール酵母自体は昔から食品や飼料として利用されており、一般的なものです。しかし、通常は乾燥させて乾燥ビール酵母として流通されており乾燥コストが高いため、かなり高価な原料でありどちらかというとサプリメント的な使用方法が主体でした。
現在、当社が取り組んでいるのはビール酵母を乾燥せず単に濃縮させ、そのまま豚のリキッドフィードのたんぱく源として利用するという取り組みです。
現在、飼料のタンパク源としては大豆粕の利用が主体です。しかし、大豆粕は近年の畜産需要の高まりにより単価が高止まりしています。これをビール酵母代替することで、コストの低減をめざしています。
愛知県農業総合試験場で試験を実施したところ、大豆粕以上の成績をあげることができ、自信をもって供給を行っています。現在は当社の豚もこのビール酵母をタンパク源としており、良い結果を残すことができています。

ところで、酵母という言葉は一般的ですが、じつはあまりよく理解されていないように思います。酵母とは単細胞の真菌(核を持つ)の総称であり、細菌とは異なります。酸素がある状態では普通に呼吸を行いますが、酸素が少ないと糖を分解し二酸化炭素とアルコールを生成するという呼吸を行い、これが酒やパンを造る際の重要な働きとなっています。飼料に使う際も菌体なのでタンパク質含量が高く、またアミノ酸のバランスが良いという特徴があります。

また、酵素と酵母の混同もよく見受けられますが、酵母と酵素は全く別のものです。酵母は生物ですが、酵素は体内でも分泌されているタンパク質の一種であり、触媒作用を持つものを指します。代表的なものにアミラーゼがありますが、これは唾液にも含まれておりデンプンを糖に分解する作用があります。カビ(これも真菌です)が多量に体外に分泌する性質があり、この性質を利用して麹などが作られています。麹はコウジカビであり、アミラーゼやプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)を分泌します。この作用により、デンプンを糖化し、酒を造ることができるわけです。

流行っている酵素ジュースは糖が酵母発酵しているのであり、正確には「酵母ジュース」と言うべきものかと思います。むしろ、酵素の作用で糖ができている甘酒のほうが酵素ジュースとよぶのにふさわしいものです。個人的にはそのうちこの酵素ジュースのアルコール発酵を税務署が問題にするのではないかと危惧するところですw

外国人雇用に関する私案

今週はポートメッセ名古屋で開催されているメッセナゴヤに出展しています。今月は出張も多く会社にいない日々が続き例によって仕事が溜まっています。

全国飛び回っていて実感するのは外国人雇用の増加です。特に、東京や名古屋の都心部ではコンビニの店員、飲食店店員の外国人比率が急激に上がっています。この前も名古屋の錦にある手羽先の山ちゃん行ったら、店員がほぼ外国人で驚きました。(世界の山ちゃんだから?w)
余談ですが、コンビニのPOSレジは店員側の画面外国語表示できるようになっているのか気になります。コンビニのオペレーションはかなり複雑なので、外国語のガイダンスでもないと難しいように思います。

当社のお客様の農家でも外国人雇用はもはや欠かせないものとなっており、技能実習生や技術者として多くの外国人雇用が行われています。10年ぐらい前までは中国人主体でしたが、最近はベトナム、ミャンマーなどの方が増えています。
また、お客様の食品工場でも外国人技能実習生が多く雇用されています。もともと食品工場は稼働時間が長く休日が少ないため、パートなどの集まりが悪い傾向にあります。とりわけ自動車が好調な愛知県はその傾向が強く、コンビニのベンダーなどの夜勤は外国人の技能実習生や派遣労働者によって成立している側面があり、現場を見ると4か国語で作業指示が掲示されていたりします。

こういった慢性的な人手不足を背景に、入国管理法の改正が国会審議されています。事実上の外国人受け入れ拡大政策ですが、私はいろいろな現場を見ていますので、なし崩し的に外国人雇用を増加させることには懐疑的です。
現在、技能実習生では様々な問題が発生しています。パワハラ、セクハラ、過酷な労働条件、それに伴う脱走、そして不法就労と犯罪の増加。これらの問題に対し、今回の入国管理法改正が解決する方向に行くとは思いません。
そもそも、こういった問題が起こる根本的な原因は、安い賃金で過酷な労働のため日本人が集まりにくい職場において充当するために外国人労働者を受け入れようとする現在のスタンスにあります。
一方、現在、日本の一人当たりGDPの世界における順位は急激に下がっており、日本の所得水準がグローバルで見た際に低くなってきています。(だからこそ輸出企業が利益向上し、日本の一般庶民の生活が苦しくなっているわけですが)
こういう背景で、過酷な労働で低賃金な日本に外国人労働者が果たして来るのでしょうか。先日、オーストラリアへ行って感じたのが所得水準の高さです。香港、シンガポールも一人当たりGDPは日本より高く、平均所得も高くなっています。今のような施策では優秀な人材はみんなそれらの国に行ってしまい、日本にはまっとうな人が来なくなるのではないかと危惧します。

国籍を問わず、優秀な人材がいることは何よりも国力の増加につながります。そのためにはいかに優秀な人材に来てもらうかを考え制度設計することが必要であり、場当たり的な法改正でお茶を濁すのはいかがなものかと思います。
個人的には、外国人労働者は最低賃金を日本人より一律上げ(たとえば時給2000円とか)、その代わり雇用に関する制限を撤廃するという案を提唱しています。今の法案では技能や試験で判断するようですが、そういったものは制度の複雑化、形骸化につながりかねません。能力を判断する一番の手法は給料です。高い賃金を払ってもいい人材は間違いなく優秀な人材です。シンプルで分かりやすく、明朗な制度が必要だと思います。
今のような政策が続くと、人材レベルの低下につながりかねません。外国人の受け入れどころではなく、日本人の優秀な人材の流出が起きてしまうでしょう。実際、私の周りでも優秀な友人はどんどん海外へ行っています。資源がない日本で一番大事なリソースである人材レベルの低下は国家の衰退にかかわる憂慮すべき事態かと思います。

友人の話を聞いていると、果たしてこれから日本で事業を行っていくことが得策なのか少し考えてしまうこともありますが、語学力が低く、日本酒と和食をこよなく愛する身としては海外では暮らすことは難しそうだと熱燗をすすりながら思う次第ですw

食品リサイクルから見た科学リテラシー

相変わらずあわただしい日々を送っていますが、先日台風上陸に伴い参加予定していたセミナーが中止になったおかげで3日間ぽっかり予定が空いてしまいました。おかげでたまっていたデスクワークを若干ですがこなすことができました。
来週からはまた出張行脚の日々が続きます。最近は関東方面の案件が多く、月に1回は関東出張している状況です。

関東出張が多いのは、首都圏の人口集中や、中食、外食の比率増大に伴い食品工場の生産量が上昇し、食品残さの発生量が増えていることが背景にあります。関東でのお仕事の場合、多くは当社に食品残さを搬入するのではなく、「オンサイト処理」と呼ばれる手法を取っています。食品工場内で飼料に加工し、それを畜産農家へ直送する仕組みです。脱水や濃縮などのプロセスにより、保存性を高め品質を安定化することで飼料としての利用ができるようになります。
現在、実績があるものとしてはモヤシサイレージ、パイナップルサイレージ、ゴボウサイレージ、小豆皮サイレージなど多種多様なものを飼料化しています。最近はとくにパイナップルの皮の引き合いが多くあります。

また、現在取り組みを行っているものの一つにゆで卵のリサイクルがあります。ゆで卵の場合、食品工場で乾燥処理を行い、飼料とすることを計画しています。

この取り組みのために、現在乾燥機メーカー数社と打ち合わせを行っています。図面や仕様書を提出してもらい打ち合わせを行います。書類の一つに設計計算書がありますが、設計計算書をみると製造メーカーの技術水準がよくわかります。

乾燥機

乾燥機の場合、主に熱伝達効率と乾燥に必要なエネルギー量から必要なランニングコストが算出されます。
重油などの燃料を燃焼させることで熱が発生し、伝達効率に応じた熱量が被処理物に伝わります。水分を蒸発させるのに必要な熱量は決まっていますので、そこから必要燃料や電力量が算出できるわけです。
ところが、驚くことにメーカーによってはエネルギーの伝達効率が100%を超えるような計算書を提出してくることがあります。燃焼エネルギーは燃料種別に決まっており、また水分蒸発に必要なエネルギー量も決まっています。伝達効率が100%を超えることは理論上あり得ません。エネルギー伝達効率が120%という計算書を見ると、思わず「波動砲かよ」と突っ込みを入れたくなります。投入されたエネルギー以上の働きをすることはエネルギー保存の法則を超えた神の世界です。

乾燥飼料

自分は超理系人間ですので、理論を超越した書類を見るとムズムズしてしまいます。最近はなるべく自重しているのですが、それでも我慢できなくなり論破してしまうことがあります。

ちなみに、乾燥機の場合はボイラーの効率や乾燥機の熱伝達効率などトータルで計算するとだいたい投入されたエネルギーの50%程度が水分蒸発に使われることが多いようです。今のA重油の値段から計算すると、だいたい水分1㎏蒸発させるのに10円弱程度の燃料費がかかる計算です。熱回収(ヒートポンプ)などを使用していないケースでメーカーの計算これ以下の場合はおかしいと思ったほうが良いです。
こういったエセ科学的なものが跋扈する理由の一つが日本人の科学リテラシー不足にあるのではないかと思っています。もっと理系教育を充実させたほうがいいのではないかと痛感します。科学の基礎的知識は技術的な分野はもとより、日常生活において広く役に立つものでありますし、つきつめれば国家の発展にもつながるものだと思うのですが。

といったことを書き綴っていると、学生の頃、飲み会で女子大の子に「高橋君理屈っぽい」って言われたことを思い出しますw

豚の格付け

暑い日が続いていますが、今年は夏バテもせずなんとか乗り切れそうです。現場に出る機会が多かったのですっかりドカタ焼けしてしまいました。ただ、体重は順調に減っており晩酌のビールの量を増やしても体重は増えそうにない感じですw

暑いと人間も食欲なくなりますが、豚も一緒で顕著に飼料摂取量が低下し、その結果として増体が低下し、出荷体重が小さくなったりします。液状飼料(リキッドフィード)を使うメリットの一つとして、夏場の飼料摂取量の低下を抑えることができるといわれています。ただ、実際のところはリキッドフィードを使用していても飼料摂取量の低下が起きている場合も多くあります。
飼料原料の組み合わせなどによって嗜好性が変化しますので、いかに夏場でも飼料摂取量を低下させないかを工夫することが求められています。また、豚舎の環境を適切に維持することも非常に重要です。

 

手前味噌になりますが、自社農場は最近調子がよく、暑いさなかでもかなり飼料摂取量が高い状態を維持できています。おかげで増体もまずまず順調ですが、お盆休みでと畜場が休みのため出荷できなかったこともあり、重量が重すぎて規格を外れた豚が多くなっています。

格付け

豚の場合、格付けは上、中、並、等外という区分になります。格付けが落ちる原因として一般的に多いのは厚脂と重量オーバーです。背脂肪厚がある程度を越える、また重量も80kgを超えると格付けが落ちます。脂肪が厚いと肉の割合が減ってしまい歩留まりが悪くなるため格付けが落ちます。重量に規格があるのは、たとえばロースの大きさがまちまちとなってしまうと、トレーに収まらない、スライス品の重量がまちまちになってしまうなどの問題があるためです。
しかし、業界関係者の間では、重量がある程度大きいものの方がおいしいと言われています。今の規格では、じつはおいしさがスポイルされているということになります。柔らかさに影響を与える脂肪交雑なども格付けには考慮されません。低価格な海外産豚肉との競合を考えれば、本来は歩留まりや大きさだけではなく、味も基準となる格付けであってほしいものです。

今回の出荷が重量大きめだった理由の一つは、小さいよりは大きい方がおいしい肉を供給できるという思いがあったこともあります。個人的には最終的には自社で販売することで、規格にとらわれずおいしい肉を提供できるようになりたいと思っています。
とは言え、まだ生産には課題が多く、販売以前にやらないといけないことがたくさんある訳ですが・・。

飼料による食味の変化

世間はお盆休みですが、当社は絶賛営業中です。食品業界全般の傾向としてお盆は繁忙期で、業界の端くれの当社も当然ながら多忙のためなかなかお盆は休めません。私自身は年間通じて多忙なのでお盆がとりたてて繁忙期というわけでもないのですが:)

最近、エコフィードを使い始めたor使いたいという農家さんのお手伝いをする機会が増えてきました。使用するエコフィードの選定などのお手伝いもしています。
一口エコフィードと言っても千差万別であり、使用方法を誤ると肉質が低下したり増体が悪くなったりします。
豚の場合、特に注意するべき点の一つが脂肪酸組成です。
油脂、特にリノール酸が多い大豆油、菜種油などのいわゆるサラダ油を多く含む原料を使用すると、豚肉中の脂肪融点が下がることで商品価値の低下につながります。
たとえば、おからや揚げ物などを多く給与すると、脂肪融点が10度以上低下することも珍しくありません。

他方、動物性の脂肪も肉質に大きな影響を与えます。魚の油脂にはDHAやEPAなどが多く含まれています。DHAは健康によいと言われる脂肪酸ですが、酸化されやすいという特徴があり、酸化が進んだDHAは生臭い独特のにおいがあります。これが豚肉中の脂肪に移行しやすいため、魚(の油脂)を給与すると豚肉中にもDHAが含まれ、獣臭の原因となります。
従って、脂肪が少ない魚でしたら影響が出にくく、たとえば鰹節やはんぺんなどを給与しても問題はありません。

いろいろなデータを見ていると、(特に豚の場合は)飼料が肉質に与える影響が大きいと言うことを改めて感じます。輸入トウモロコシ主体の配合飼料ではなくエコフィードを使うというのは、特徴のある肉質を作る大きなポイントであり、使い方によっては肉質が良くも悪くもなりえます。それだけ難しくもあり、面白くもあります。また、同じ単胃動物である人間も食べるものによってお腹の脂の質が変わるわけであり、人間にとっても食べ物がいかに大事かと思い知られます。私はリノール酸多給してぶよぶよの脂となった枝肉の写真を見てから揚げ物は極力食べないようにしています(笑)

 

 

オーストラリアの今

この頃、いろいろな案件や課題が山積して大変多忙な日々を送っています。そんな状況にもかかわらず、少々お休みを頂いてオーストラリアはシドニーに行ってきました。(携帯に着信がたくさんあり、国際通話料金が結構な額に)会社のスタッフと取引先には迷惑をかけました。この場をかりてお詫びします。

 

オーストラリア(シドニー)の印象です。

・街が綺麗

統一された景観が印象的。海が綺麗でした。

・白人の比率が低い。都心の飲食店のスタッフは東洋系が多い。最近は移民に制限がかかっているとのこと

・物価が高い

最近は移民に制限がかかっているとのこと。感覚的には日本の1.5倍ぐらいの感じ。マクドナルドの朝食でもすぐ1000円ぐらい行ってしまう。動物園の入園料が4000円ぐらいして驚いた。

・車は日本車が多いが、韓国車が増えているとのことタクシーはカムリがほとんど、SUVが人気でクーペが少ない。新しい車が多い。

 

スーパーマーケットを何カ所か回りましたが、生鮮品も全体に割高感あります。

・根菜は安いが、果菜は高い・・トマトは日本と同じぐらい

・フルーツ・・日本より少し高い。イチゴの味はいまいち。メロンも糖度低い。

・乳製品・・牛乳は安いが、ヨーグルトは高いし美味しくない。チーズは安いものもあるが、高級品は日本とそんなに変わらない

・肉・・牛肉は思ったより高い。日本で売っているオージービーフとそんなに変わらない

・魚・・あんまり売ってない。サーモンとエビばかり。SUSHIもサーモン中心。

ホテルのレストランで、チーズ盛り合わせがあったので頼んだらチーズ生産国なのに「コンテ」「ブリー」(フランス産)「マンチェゴ」(スペイン産)が出てきて驚きました。ビールもイギリス産のものなどが結構ありました。EU輸入品=高品質みたいな印象があるような気がします。

アンガスビースのハンバーガーを食べましたが、牧場を見るとアンガスは少なく、どちらかというとヘレフォードが多いような印象です。

郊外に行くと放牧をやっている牧場がたくさんありましたが、冬なので草は乾草状態でした。

wagyuを出すレストランがホテルのそばにあったので行ってみました。
オーストラリアでwagyuが出回っているのは、日本から精液などの形で遺伝子資源が持ち出されたからです。
オーストラリアのwagyuはアンガスのメスに和牛を交配して生産されていると言われてますが、確認したわけではないので真偽は不明です。本当ならいわゆる日本で言うところのF1(交雑種)です。

自分が食べたのは400 days grain fed, F1, marble score 6+というスペックで、LAMPの300gで$45(4000円ぐらい)でした。日本で交雑種のランプステーキをちゃんとした店で食べると5000円以上はすると思いますので、上記のような物価高を踏まえるとまずまずリーズナブルな感じかと思います。味は値段相応といった感じですが、いわゆる和牛香とよばれる和牛特有の香りが少なく、またサシもそこまで入っていないように思います。

全体としての印象として、非常に活気があり、若い人が多く景気がいい印象を受けました。ただ、現地の人の話を聞いていると多分にバブル的な要素があるような気がします。中国資本の流入の結果、不動産価格が高騰し、それを元手にまたお金が回っていくというどこか日本の80年代を彷彿させるものがあります。世界的な金余りがこの先継続するかが分かれ道では無いかと感じました。

久々に海外に行くと、いろいろ新鮮な驚きがあります。また、グローバリゼーションの波を見るにつけて、日本の農業および当社の立ち位置、戦略をどうするかを考えなければいけないと改めて思う次第です。また、自身の英語力の乏しさにも改めて課題を感じました。

農作物の品種

年度末~年度初めで補助事業の報告書&申請書などの業務が山積して忙しい日々が続いていました。すっかりブログ更新が滞っています。

忙しい日々の合間を縫って、先日はイチゴ狩りに行ってきました。イチゴはかなりすきなので、春先は毎日イチゴを食べています。
イチゴはとちおとめ、とよのかなどが好きでよく購入していますが、愛知県の場合、あきひめが主流で、イチゴ狩りもあきひめが多いのが残念なところです。あきひめは粒が大きく酸味が少ない品種で、市場価格は良いのですが味にキレがないように感じます。

リンゴやイチゴだと、ほとんどの場合品種名が書かれて販売されています。ジャガイモもたいてい品種が表記されて販売されています。しかし、キャベツや玉ねぎで品種の名前が書かれていることはみたことがありません。
私の地元はキャベツの生産が盛んですが、秋冬キャベツは季節特性に応じ毎週のように違う品種を栽培したりします。生産農家と話をすると「キャベツは〇〇は美味しいんだよね」って教えてもらえたりするのですが、その知識が購入の際に役立たないのは残念です。家庭菜園で栽培すると品種間で相当食味の差があることを実感します。

食味による価格差がないと、生産者はどうしても生産性、見栄え品質のよい品種を選択することになります。美味しさを基準に品種を選択することが増えるような選択が行われるような仕組みがもっとあってもよいのではないかと思います。知り合いでも野菜の直売をやっている農家はたくさんいますが、残念ながら消費者への直接販売を行っている生産者でも、特に野菜に関しては品種の情報をきちんと開示伝達しているケースは少ないように思います。

話はそれますが、個人的には「在来種」をありがたがるのはおかしいと思っています。サ〇タのタネやタキ〇種苗の努力の結果、農作物の品種は日々進歩しており、美味しくて生産性の良い品種がどんどん出ており、昔ながらのモノがいいというのはノスタルジーに過ぎないと思います。もっとも、生産性や規格の問題で食味が良いにもかかわらずスポイルされている品種があるのも確かなので、一概には言えないところがありますが。愛知県の在来品種の大根に方領大根という品種があります。美味しいのですが、まっすぐでないため流通に乗りにくく市場に出回らないです。こういった品種でしたら在来種重用の意味があるのではないかと思います。

これだけ情報過多の社会になっているのにもかかわらず、トマトなど一部の作物を除き多くの農作物(特に野菜)で販売の際に品種の情報が表示されないのは残念な限りです。大手種苗メーカーのカタログを見ると、キャベツでもタマネギでもきちんと「食味良好です」と記載があるにもかかわらず、生産者も、中間流通も品種名を表示しないことが当たり前になっているように感じます。
一消費者として、美味しい食材を購入するためにもタマネギもキャベツもブドウやイチゴのように品種を表示して販売する習慣が根付いて欲しいと願っています。

 

 

飼料利用による排水処理の負荷低減方法

最近、物忘れがひどくなっているような気がする44歳です。いろいろなところで忘れ物をしてきます。そそっかしい性格なので昔から忘れ物や落とし物が多かったので、物忘れが昔よりひどくなったかどうかは確かではありませんが(笑)

かって勉強したこともいろいろと忘れていて、子供が大きくなったらなにも教えられ無さそうな気がします。そんななかでも、前職の排水処理メーカーで勉強したことはしっかりと覚えていて、今の仕事で役に立っていることもいろいろあります。統計処理や品質管理の考え方などはメーカー勤務していたおかげで身につきました。

前職での排水処理の知識は業務にも直接役立っています。今、取り扱っている飼料原料のうちいくつかは排水処理上の理由で当社に廃棄物として供給されているものです。

たとえばその中の一つにキャラメル工場の廃液があります。これは、キャラメルを製造した際に釜を洗ったときの排水です。こういった糖分が高い排水は非常に濃度が高いため、少し流しただけでも排水処理の負荷が高くなります。排水処理施設に十分なキャパシティがあれば排水処理に流すことができますが、食品工場では排水処理施設に余裕が無いケースも多く、こういった高濃度排水を放流することができない場合があります。
一般的な家庭の排水はBOD200mg/l程度ですが、食品工場では床の清掃水など濃度が薄いものでもこれより高く、糖液や製品廃棄などの高濃度排水はBODが数万にも達することがあります。ただ、高濃度のものは量が少ない場合が多いため、別途処分するケースした方が合理的なことが多いです。わずかな量の高濃度排水を流すだけで、排水負荷が数倍にもなることがあります。

逆に言うと高濃度の排水ということは、有機物が多い、すなわち栄養価が高いと言うことを意味しており、飼料とするには適しているということです。当社では高濃度糖液を主に豚のリキッドフィーディングの原料として利用しています。

他に当社で取り扱いしているものは、焼酎蒸留廃液、酒、ジュース、シロップ廃液、酵母廃液などがあります。いずれも飼料として有効なものばかりです。豚はアルコール濃度が高いと酔っ払いますが、飼料中にアルコールが1~2%程度含まれていると嗜好性が向上します。醸造関係のお取引が増え、お取引先のお酒を飲む機会も増えたのは左党の私としては嬉しい限りです(^^)

これからも幅広い業務範囲の特性を生かし、さまざまな廃棄物のリサイクルに取り組んでいきたいと思います。

浄化槽