決算書の読み方

当社は12月決算なので、先日決算の数字が確定し申告を終えました。何のかんので16期が過ぎ、年月の過ぎる速さに改めて驚く次第です。周りの皆様にご支援いただき16年継続できたことを感謝します。
思えば事業を始めたときには決算書を見てもさっぱりわからない状態でした。事業を始めるときに行政が行っている起業セミナーに行き、決算書の読み方講座を受けたけど全く頭に入らなかったことを覚えています。
その後は決算書の読み方の本を読んだり、セミナーに行ったりしましたが一番勉強になったのは自分で5年ぐらい会計ソフトに記帳していたことです。その後は税理士との毎月の打ち合わせの際に疑問なことは逐次尋ねるようにしています。またマネージメントゲーム(MG)という会計要素を含んだゲームにも参加しています。そのおかげで金融機関の担当者から褒められる程度には決算書の読み方に詳しくなりました。
16年経過して決算書を読むことはできるようになりましたが、決算内容は格段の進歩が見られないのは残念なところです(笑)

現在、当社ではクラウドの会計ソフトを使用しており、日々の記帳を行うとリアルタイムにデータ反映されるようになっています。おかげで私は出張中であっても月次決算を把握することができます。税理士のチェックもこちらが入力終了したらすぐに確認してもらうことができ、当然ながら修正が入った場合もリアルタイムに反映されます。クラウドの特性上当たり前ですが、以前はローカルのデータだったためデータの版管理が煩わしくて大変でしたので時代の進歩を感じます。
会計ソフトへの入力も自社で行っているのですが、中小企業や個人事業主ではまだまだ請求書や領収書の束を税理士に渡して入力を依頼するというケースが多々あります。記帳の知識不足や手間を惜しんでのことですが、記帳自体は慣れればたいした時間がかかるわけではなありませんので自社で記帳するべきだと思います。昨今の会計ソフトは進歩が著しく、レシートをスキャンすると自動仕訳してくれたり、銀行の口座を定期的に見に行って自動仕訳してくれたりします。記帳を頼むと当然その分のコストは税理士報酬に上乗せされますし、日々の経営状況の把握が遅くなります。
中小企業では月次決算を行っていないケースも多く、自社の状態を把握できていないケースも多くあります。私は中小企業家同友会という経営の勉強会に参加しています。経営者のレベルが平均的に高い会なのですが、その会員でも決算書を読めなかったり月次決算を出していなかったりするケースが多くあります。経営者が日々の経営状況を把握するのは最低条件であり、数字の把握をしていないのは経営者の怠慢だと思います。

よく、「自分は数学が苦手なので決算は・・・」と言う人がいます。私は一応理系ですが、数学が苦手で高校の担任(数学教師)から「おまえは理系やなかごたる(佐賀弁)」とよく言われてました。ただ、決算の分析に必要なのは四則演算であり、微分方程式も三角関数も必要ありません。数字が苦手だからと決算書を見ないのは現実逃避以外の何者でもありません。

決算書が読めたらすぐ利益が上がる訳ではありませんが、自社の状況を把握するのは今後の戦略を立てる上で必要です。これだけ社会情勢が流動的な世の中になってきているのに戦略無しで事業を営むのは無謀です。田舎の町工場でも野菜農家でも社会情勢に振り回されてしまう時代になっています。

えらそうなことを書きましたが、私自身も日々失敗と勉強を続ける毎日です。皆様の指導鞭撻を今後もお願いしたいと思います。

 

商売をすると言うこと

当社は新卒採用を行っています。今年度も新入社員が入社しましたが、来年度もまた1名入社予定です。今は新入社員教育のカリキュラムを考える時期で、来年度の教育計画を策定しています。
思えば、自分も二十数十年前は新入社員でした。新入社員の時は3週間にわたって研修があったことを覚えています。
その中の一つに営業研修がありました。営業研修の中で、代金回収がいかに重要かという内容の講義があったことを今でも覚えています。
この前、当社の新入社員にも「お金をきちんと回収できなければ、それは売上とは言えない」という説明をしたら「お金を払わない人いるんですか?」と驚いていました。商売をやっている人はたいてい経験があると思いますが、お金を払わない「お客さま」はたくさんみえます。

お金を払わないor払えない理由は様々ですが、当社の関連する業界である農業では特に支払遅れがあるケースが多いように感じます。農業で支払が遅れる理由として、
・農家の場合農協取引が多く、支払をする行為の習慣がない
・収穫時での支払などの慣例があり、すぐに支払うという意識が乏しい
などがあるのではと思います。場合によっては、1年分以上の支払が滞っている場合もあります。畜産の場合、飼料代などの購入費が大きいこともあり、溜まった支払が数千万円以上になっているケースもあります。
しかし、支払が行われないというのは当然ながら商取引においては信用の欠如につながる行為です。次回の取引に差し障りがでる場合もありますし、価格もリスクを織り込んだ価格となってしまい、購買商品の場合値段が上がることになります。
つまり、支払をきちんとしないことは、結局は自分が損をすることになります。もし、キャッシュフローが厳しいなら金融機関から借入を行い、支払を行うべきです。(もちろん、金融機関への返済が遅れることも問題になることは言うまでもありません。)
とくに疑問に思うのは、6次産業化に取り組んで直接販売を行っている様な農家でも支払がきちんとなされないケースがあるということです。販売を行っておきながら商売の基本ができていないのには残念ですらあります。
農業であってもこれからは「経営」を考えなければ生き残りが難しい時代になって来つつあります。経営には決算書を読めることも必要ですが、商売を行うとはどういうことか理解をすることがまずは大前提だと思います。
私自身も、経営者として未熟な部分も多いので姿勢を正すことを忘れずにいきたいと日々反省をする次第です。

渡辺崋山 商売八訓

財務の分析

相変わらず慌ただしい日々を送っていますが、気がつくともう11月も後半で、年の瀬も迫ってきました。
当社は12月末決算なので、決算数字が見えてきたところです。事業を始めてから1年過ぎるのがあっという間で、本当にすぐに決算になってしまうことに驚くばかりです。

現在は決算に向けて財務諸表をみながら来期の計画を練っています。経営者の役割として、資金の調達と調達した資金の配分を計画することが重要な仕事です。社長を10年もやっていると、決算書をながめていろいろなことが見えるようになってきました。

私はいろいろな経営者向け勉強会に参加しています。財務の勉強の機会も多くありましたが、案外勉強会に参加するような人でも決算書が読めない人がたくさんいます。肌感覚的には、中小企業経営者できちんと決算書が読めるのは2~3割では無いでしょうか。

決算書が読めたらすぐに儲かるようになる訳ではありません。あくまでも現状の把握に過ぎません。でも、現状把握ができなければ将来の道筋を立てることができません。かっての高度経済成長時代では、とにかくがんばれば結果がついてきたかもしれませんが、マーケットの大きな拡大が見込めないこの時代では繊細な舵取りが求められています。
以前、ある勉強会で「決算書は社長の経営の性格がでる」というお話しを聞いてなるほどと感心したことがあります。どうやって資金調達し、その資金をどのように投資して、どういった結果が得られているかが会社の通信簿として出ているのが決算書ではないかと思います。

会社の経営状況について税理士に相談している経営者をよく見かけます。税理士は税金を適切に納税するのが仕事であり、経営の状況を把握することは資格の範囲に入っていません。もちろん、経営コンサルタント的に経営相談を受けるスキルを持つ税理士の方は多く見えますが、それは資格とは無縁なものです。また、コンサルタントは様々なアドバイスや手法を提供してくれますが、会社のことを一番よく知っているのは経営者自身であり、特に投資計画は経営者が判断すべき事項であるかと思います。「こういう機械を買ってもいいか?」と税理士に聞くのはナンセンスです。

私は事業を始めて数年間は自分で記帳をしていたので、会計の知識がつきました。その後、本を読んだり勉強会に参加して決算書を読むことができるようになりました。決算書を読むと言ってもそれほど大仰なことではなく、四則演算ができればだれでもできるものです。それを「自分は数字には弱いから」と言って勉強しようとしない経営者が多くいるのは残念なところです。

分析をすればするほどわかるまだまだ不十分な自社の経営も、数字把握により改善し、目指す方向に進めていきたいと思っています。