畜産農家のビジネスモデル

今日は午前中ひまわり農協でのリキッドフィーディング協議会の打合せでした。当社もいろいろと原料を供給しているのですが、実験結果はわりといいようです。「わりと」というのは、どうも統計的にははっきりしない程度ということですw

午後はお客さんの養豚農家をまわりました。今日は良く晴れていたので渥美半島を気持ちよくドライブしてきました。晴れているときの渥美半島は景色がいいです。渥美半島を走っていると畜産農家がたくさんあります。ようやく沈静化してきた鳥インフルエンザや、昨年の宮崎のような口蹄疫などの発生が起こると密集しているだけあって心配ですね。

ところで、今回の鳥インフルエンザが発生した豊橋市の農場は15万羽程度の規模だったようです。知らないとすごく大規模のように聞こえますが、今の日本の養鶏農家は非常に規模が大きくなってきており、15万羽というのはまあ普通の大きさです。私の知り合いの豊橋の養鶏農家は100万羽飼育しています。

何故こんなに規模が大きいかというと、それは日本の畜産のビジネスモデルが1つの原因です。今、日本の畜産では飼料費が原価に占める割合が非常に大きくなってきています。養豚では原価の60%が、養鶏では70%が飼料代とも言われています。また、養豚、養鶏では豚舎、鶏舎にかかる費用も非常に大きくなっており、減価償却費も原価の10%程度かかります。つまり、労務費の比率が非常に低くなっているということです。これは、換言すれば外部からの購入資材の割合が高く付加価値率が低いと言うこととなります。

付加価値率が低いが故に、大規模化して労務費と減価償却費の比率を下げなければ利益が出ない体質になっているわけです。しかも、その原価の大部分を占めるトウモロコシはほぼ100%輸入品です。つまり、今の畜産農家のビジネスモデルは、海外から輸入した安い飼料を使い、大規模な設備で効率化した作業により安価な生産物を生み出すという形になっています。しかも、豚、鶏では多くの品種は海外からの輸入となっています。非常に海外に依存しているのですが、飼料には関税がかからず生産物には関税がかかるため成立しているわけです。

卵は物価の優等生ってよく言われますが、それはこのようなビジネスモデルの上に成り立っています。あまり知られていないのですが、豚肉の市場価格も30年前よりはるかに安いんです。

この仕事を始めてから畜産農家のことをよく知るにつけて今の畜産農家のビジネスモデルが非常に脆弱なものの上に成り立っていると言うことを思うようになりました。このビジネスモデルが創り上げられては30年ぐらいしか経っていないわけですが、これからも継続していくことは相当な困難を伴うのではないでしょうか。