食品リサイクル業のビジネスモデル

今日の愛知県は蒸し暑いです。会社のある豊川はそれでも名古屋よりはだいぶ過ごしやすいですが。役所へ行ったら節電のせいで暑くて、何もしていないのに汗がにじんでくる感じです。

 

今日は食品リサイクル業の経営について少し語りたいと思います。

食品リサイクルをしている事業者の多くは、処分費用を受け取って経営を成り立たせています。処分費用を受け取るというのは、廃棄物を受け入れたら、廃棄物を出したところ(排出事業者)からお金を受け取るという意味です。

一方、廃棄物をリサイクルしてできた製品は肥料は飼料として販売されます。つまり、リサイクル業者は原料を仕入れたとき、製品を販売したときの両方で売上がある訳です。なんか、それだけ聞くとすごく美味しい仕事に聞こえます。

しかしながら、廃棄物をリサイクルしてできた製品というのは非常に安価です。売上の金額としてみると、全体に占める割合はとても低いことが多いです。こちら側の売上が少ないので、勢い処分費用で経営を成り立たせることになるわけです。つまり、残念ながら現在では「廃棄物のリサイクルをしている」というよりは、「ゴミの処理をしている」ような経営になっている訳です。

再三書いているように、廃棄物をリサイクルしてできた肥料や飼料などの製品は、バージン原料が安いため、リサイクル製品の価格も低く抑えられてしまう訳です。

しかし、現在は資源高が非常に進行しています。先日も肥料価格の値上げが発表されました。バージンの価格が上がってくると、それに伴いリサイクル製品の需要も増してきます。

そうなってくると、リサイクル製品の品質を高め、よい商品を作れば売上として期待できるようになってくる訳です。リサイクル製品の単価が上がれば、仕入での売上はあまり考慮しなくてよくなり、処分費用の相場も下がってきます。これからはリサイクルにより、よい製品を作ることがビジネスモデルとして台頭してきます。当社でも、特に飼料むけのリサイクルでは原料を買い取りしている物もたくさんあります。

これは私の持論でもあるのですが、リサイクルを進めるためには補助金などの細かな施策よりも、やはり経済的なインセンティブがなによりも効果的です。そして、そのような環境ではきちんとしたリサイクルが行われるようになってくる訳です。よいリサイクル製品を作らなければ、競争力が無い訳ですから。

リサイクルが確立している鉄くずや古紙などでは原料を買い取ることが当たり前になっています。処分費用に頼らないようになって初めてリサイクルが確立していると言えるのではないかと考えています。

日本ではつい100年ぐらい前までは、屎尿が価値ある物として取引されていました。資源小国でもある日本では、またそんな日も来るのかもしれません。これからは既存のビジネスモデルにとらわれず、真のリサイクルを推進していくことが求められています。