汚泥乾燥のランニングコスト

最近すっきりしない天気が続く東三河です。稲の花が咲く時期に天気が悪いと秋の収穫が心配ですね。
最近、よく新聞を賑わせているセシウム。当社にも農水省から汚泥肥料の取り扱いに注意するようにとの文書が。そもそも、浄水場や下水処理場の汚泥からセシウムが検出されているのは、汚泥の由来に依存します。浄水場や下水処理場は都市の土砂が最終的に行き着く場所です。セシウムがフォールアウトすればそれは水と一緒に流れていき、下水処理場へ行きます。その際に、下水処理のプロセスというのは濃縮のプロセスでありますので、セシウムも濃縮されてしまう訳です。
しかし、当社で原料にしている汚泥は食品工場の排水処理から出てくる物ですので、食品が汚染されていない限りそのようなことが起こりません。とはいえ、注意しておく必要はあると思いますが。
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汚泥と言えば、最近、乾燥菌体肥料を製造する件の相談をよく頂きます。肥料としての価値は悪くないのですが、導入に際して問題になるのが、乾燥させるランニングコストです。
乾燥させるコストの計算は実は案外簡単です。水分を蒸発させるのに必要な発熱量を計算し、そのカロリー分の燃料のコストを計算すればいいです。
例えば、減圧乾燥機で1kgの水を蒸発させるのに必要なコストを計算してみます。
昇温(20℃→70℃) 1.0kcal/kg×50℃=50kcal/kg
水の蒸発潜熱=557kcal/kg
合計 607kcal/kg
のカロリーが必要です。これをA重油8670kcal/Lを使用すると
607kcal/(8670kcal/L×0.9×0.8×0.8)≒0.12L
A重油が80円/Lとすると
0.12×80=9.6円/kg
というわけで、1kgの水を蒸発させるのにだいたい10円ぐらいかかると言うことになります。
その他に必要なのは主に減価償却費ですが、1トン/日の乾燥機は1000万ぐらいします。5年償却とすると200万/年です。年間200トンの汚泥を乾かせば、減価償却は10円/kgというわけです。
汚泥に限りませんが、食品系廃棄物を乾かしてもそんなに高価なものができる訳ではありません。1kg20円かけて乾燥させるとたいていはコスト割れしてしまいます。この燃料が高い時代に油を燃やしてゴミを乾かすというのはちょっとナンセンスですね。