土壌肥料と物質循環

昨日はベジモ主催の有機農業カルチャースクールで講師をしてきました。今回のテーマはずばり「肥料について」です。でも、「キャベツには肥料を何kgやる」と言う話ではなく、施肥設計と物質循環について話をしてきました。

物質循環というのは、広義には地球上で元素が循環していく状況ですが、土壌肥料的には耕地における元素の循環を示しています。

たとえば、耕地には施肥、用水、空気などからさまざまな窒素化合物が供給されています。空気中の窒素は窒素固定能がある藍藻やマメ科植物によって耕地に供給され、用水からは硝酸態窒素やアンモニア態窒素が供給されます。供給された窒素は作物に吸収され、利用されなかった窒素は流出したり耕地に蓄積したりします。こういった一連の流れを物質循環といい、土壌肥料の分野ではこの収支をよく調査します。収支というのは、供給された窒素がどれくらい作物に吸収されているかということです。

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愛知県施肥基準より抜粋

施肥するということは、外部に持ち出した元素を補給するというプロセスです。必要な施肥量は土壌や環境によって大きく変わりますので、具体的な数値よりも考え方が重要かと思ってこういう話をしましたが、ちょっと難しかったかもしれません。

最近はわかりやすさが求められる時代、「キャベツには牛ふん反あたり○○トン」って言う話の方が受けが良かったかもしれないですね。でも、考え方が理解できていなければ応用もできません。意外に長くやっている農家でも基本的な施肥設計ができていないケースをよく見ますので、カルチャースクールの生徒さんはそうならないようにして欲しい・・という思いで話をしました。思いだけでも伝わっているといいのですが・・。