TPPについて考える

世間で話題のTPPですが、農業に関連する仕事に携わる身としてやはり触れておかなければいけないだろうと思い書かせて頂きます。
 

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そもそも自分はTPPに賛成か反対かどちらかというと、今の時点ではよくわからないというのが正直なところです。いろいろな報道、資料を見てみても、TPP参加のメリットがよく見えてこないのは確かです。メリットが無ければ参加する意義もないわけですので、そういう意味では反対に近いスタンスと言えるかもしれません。
ただ、農業団体を中心としたTPP反対の議論には同調しかねます。現在の日本の農業が衰退の方向へ向かっているのは間違いない事実です。農業人口の減少、高齢化、耕作放棄地の増加等々、様々な問題がありますが、そういった問題について手をこまねいてきたにもかかわらず、TPPに反対するというのは理屈に合わないです。TPPに参加しなかったら日本の農業にバラ色の未来が来るのか・・というと、従来のやり方を続けていたらTPP参加してもしなくても日本の農業はダメになってしまうでしょう。
 
そもそもグローバリゼーションの波はあらゆる分野に押し寄せてきて農業も例外ではありません。肥料や飼料は海外に依存していますし、エネルギーにかんしても言わずもがなです。
 
TPPの影響を非常に大きく受ける分野の1つとして養豚があります。豚肉は関税率が高いため、その撤廃の影響は大きいです。関税が撤廃されたらアメリカ産の豚肉がたくさん流入してくるのは間違いないでしょう。でも、養豚の生産原価の6割は飼料費であり、その飼料原料のほとんどがアメリカ産のトウモロコシと大豆です。つまり、付加価値率が非常に低い畜産、言い換えると飼料を肉に変換しているような畜産で飼料に関税がかからず肉に関税がかかっているためにかろうじて成立しているのが日本の養豚業界であるわけです。
当社もお客様の養豚農家の事業継続を何よりも願っていますが、それはそうとこのようなビジネスモデルである養豚を未来永劫続けることができるとは思えないです。アメリカ産の輸入穀物に依存している以上、お釈迦様の手のひらで踊っているにすぎないわけですから。
グローバリゼーションの波はよけられないので、波を一生懸命防ぐのではなく、どうやったら関税に依存しない、輸入穀物に依存しない、そしてエネルギーに依存しない農業をやっていけるかを考えていく必要があるかと思います。そもそも、完全に自由化されても穀物も飼料も輸入できない時代が目の前に迫ってきているのに自由化阻止もへったくれもありませんので・・。
 
この前、こんなレポートを見かけました。
大和総研 農業復活は価格補助金のばら撒きで可能に
ちょっと強引なロジックもあり全面的に賛成できるわけではないですが、大事なのはグローバル化した世の中でどうやって産業としての農業の競争力を高めていくかについて議論していくかが大事ではないでしょうか。こう言った提言があって始めてTPPについて反対することができるのだと思いますね。

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