年末も押し迫ってきましたが、まだまだ仕事です。
今日はリサイクルループについてちょっと思うところをそこはかとなく書きつくります。
当社のような食品リサイクル業をしていると、リサイクルループ構築に関する話題がよく出てきます。リサイクルループと言っても、リサイクルに興味がない方にはなかなかなじみがないみたいですので簡単に言うと、廃棄物からできた製品が廃棄物を出したところで製品として利用されると言うことです。
例えば、食品スーパーから排出された食品残さを利用して豚を育て、その豚肉をスーパーで再び販売する。ホテルから出た生ゴミを堆肥にして野菜を育て、育てた野菜を再びホテルで提供する・・そんな取り組みのことです。食品リサイクルを実施しているところではあちこちこのリサイクルループを構築した例があります。食品リサイクル法では、このリサイクルループを「再生利用事業計画」として認定しており、現在全国で数十箇所の取り組みがすでに認定されています。→農水省のサイト
当社でも地元のホテルから排出される生ゴミのリサイクルのお手伝いをしています。このホテルでは飼料、堆肥両方の取り組みを行っています。
と、言うことなんですが正直言ってあんまりリサイクルループって好きでは無いです。そもそも、何故リサイクルループを作らなければいけないのかと言うと、リサイクルループを作らなければリサイクル品の利用が進まないからです。食品残さから作った堆肥や飼料はきちんと作れば非常に品質が高いものができ、バージン原料から作ったものよりも価値が高いものになります。しかし、一歩間違うとリサイクル品は品質が悪くなってしまいます。そういった品質が悪いものであってもリサイクルループを構築すれば利用されるわけですが、本当に品質が高ければリサイクルループとは関係なしに製品は販売されていくわけです。
例えば、鉄やアルミのスクラップ、古紙などは日本では非常にリサイクルが進んでいますが、リサイクルループを謳うことはほとんどありません。それでもスクラップも古紙も市場が形成されきちんとリサイクル品が取引されています。
食品リサイクルでリサイクルループが行われる例として、事業系一般廃棄物と呼ばれる小売店舗や飲食店からの食品廃棄物があります。これらの廃棄物は成分が安定しなかったり異物が多かったりするため、リサイクルすることが難しいケースもあります。でも、小売店や飲食店などはリサイクルループが作りやすいためこれらの廃棄物を受け入れた方がリサイクル製品が販売しやすくなるケースもあります。つまり、リサイクル品を農家が受け入れると農業生産物の販売が進むため、品質が低下しても農家には売りやすくなるということです。なんか矛盾があります。
と、リサイクルループに対して否定的なことを書きましたが、リサイクルループ自体を否定するわけではありません。当社が目指しているのは、よい品質のリサイクル品を作って、きちんと評価してもらうことです。その上でリサイクルループを作るようにしていきたいと思います。
お客さんのところの豚肉や野菜を食べて本当に美味しかったとき、うちの飼料や肥料が役に立っているかと思うととても感慨深いものがあります。リサイクルループとはちょっと違いますが、できあがった物が帰ってくるのは本当に嬉しいです。リサイクルの成果が見えると仕事の励みになりますね。
当社のお客様、田原ポークのトンカツです。田原の道の駅、めっくんはうすで食べられます。