水田への堆肥の施用

会社への通勤路は田んぼが広がっています。ちょうど今稲刈りの時期です。このあたりではあいちのかおりとコシヒカリの作付けが多く、今はあいちのかおりの稲刈りが行われています。

当社で作っているゆうきのススメを今年初めて水田に使用してもらいました。一般に有機肥料は水田で使用するのが難しいです。

有機肥料に含まれている窒素成分はそのままでは植物が吸収しにくい有機態の窒素が多く含まれています。土壌の微生物の働きにより施用した有機肥料は徐々に分解され、植物が吸収できる無機態の窒素に変化していきます。水田の場合、この無機化のタイミングが悪いと悪影響が出ます。窒素が過剰に効果を発現すると、稲の倒伏が多くなりまた米のタンパク質含量が増えることにより食味が低下します。

今年使用してもらった水田では当社のゆうきのススメを10aあたり500kg施用しています。ゆうきのススメは窒素が3%程度含まれていますので、10aあたり15kgの窒素供給量です。水田で必要な窒素量は5~8kg程度ですので、それに比べると多くなっています。15kgの窒素が栽培期間中に半分ぐらい無機化すると想定して施用しました。

まだ稲刈りが終わっていないので収量などの結果は出ていませんが、途中まではほぼ順調でした。ただ、先週の台風でやや倒伏が発生してしまいました。対照区の化成肥料区と比較すると倒伏が多かったようです。想定より無機化量が多かったものと思われます。

無機化は土壌の質や微生物量、温度によって大きく変わりますので想定することが難しいです。ベンチスケールの試験もできますが、実際は施用量を少しずつ変化させて確認するのが一番確実です。
そもそも水稲はあまり窒素の要求量が多くありません。ので施肥量がシビアになるという面もあります。

ただ、農業って自然相手なので色々想定がつかない部分が多く難しいです。季節も年に一回しか巡ってこないのでテストも年に一回になりがちです。科学的アプローチでシミュレーションをして実際の試験を補足していくことが重要かと思います。

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