施肥量と窒素含量

久々の更新になってしまいました。連載を抱えているとなかなかブログに手が回りません。
今日は久々に肥料の話を書こうかと思います。

大学は農学部の農学科で、肥料の研究室でした。普通、土壌肥料の研究室というのは農芸化学科にあることが多いのですが、所属していた研究室は耕地利用学研究室という研究室で農学科的なアプローチで土壌肥料に関わっていました。

農学部全体としては生物化学という分野となりますので農学と農芸化学に明確な線引きがあるわけではなく、それぞれオーバーラップしている分野があります。その中での違いを端的に言うと、農学は生物学的な手法が中心となり、農芸化学は化学的な手法が中心であると言うことです。

そんな耕地利用学研究室での実験は肥料の効き方を調べるという物でした。以前も少し書きましたが、さまざまな肥料を使用して栽培し、それがどれくらい植物体に吸収されるかを調べていくという物です。

そんな実験を行っていくと、肥料の違いによって肥料の効き方に差がでて、そして肥料の効き方によって植物の色がびっくりするぐらい変わるのに驚きました。窒素肥料は植物体の緑色に顕著な影響を与えます。植物の緑色は葉緑体に含まれる葉緑素の色です。葉緑素の分子には窒素が含まれていますので、窒素がすくないと葉緑素の合成が進まず、色が薄くなるわけです。

ちなみに、葉っぱの色を計る葉色計という機械があります。
http://www.konicaminolta.jp/instruments/products/color/chlorophyll/

これで色をデータ化することにより、施肥の状態が適切かがわかるわけです。

学生の時の実験では葉っぱの窒素含量を実際に分析するのですが、色が薄い物はちゃんと窒素濃度が低くなっているのにいたく感心したおぼえがあります。

窒素の量が減ると葉緑体が減少するだけではなく、植物体に含まれているアミノ酸量も減ります。つまり、旨味が減ってしまうわけです。お茶の旨味はテアニンというアミノ酸だと言われています。このため、お茶は旨味を出すために多量の窒素肥料を施肥します。

また、トマトの旨味もグルタミン酸ですので、これも窒素化合物です。

最近は飼料取り扱っているのでよく成分分析を行い、タンパク含量を調べます。改めてお茶の窒素含量が高いことに驚かされます。食品成分表によるとお茶のタンパク質含量は30%近くあり、これはおからより高い値です。
最近、輸入トウモロコシの高騰により、配合飼料の原料トウモロコシがアメリカ産から他産地にシフトしていますが、産地が変わるとタンパク質含量が大きく変わるため配合飼料メーカーは苦労していると聞きます。

肥料というのは植物の生理に大きく影響を与えることに改めて気づかされます。