エコフィードによる特徴のある畜産物の生産

飼料と肥料を製造するという仕事を生業にしているため、お客様から農産物を頂く機会が多くあります。美味しい農産物を食べることができるのは役得だと思います。

そんな中、飼料は豚向けが多いため豚肉を食べる機会が多くあります。当社のお客様は銘柄豚として美味しい豚肉を生産し販売している方が多く見えます。
実を言うと、私はこの仕事を始めるまで豚肉の味なんてどれもあんまり差がないと思っていました。それが美味しい豚肉を食べ、豚肉の味には大きな差があることを知りました。

当社のお客様はエコフィードを使用しているため、様々な原料を飼料として利用しています。当社が供給しているものとしてはじゃがいも、酒粕、ラーメンくず、小麦粉などがあり、その他にもお客様が調達したパンやうどんなども飼料として利用されています。

豚肉の味を決める大きな要因として飼料の組成があります。もちろん品種や育て方も重要ですが、飼料が与える影響はもっと大きいものです。おなじ血統の豚でも飼料を変えると全く違う肉質になります。農水省の補助事業の実証試験で飼料の変化による肉質の違いを調査したのですが、驚くほどの肉質の変化でした。

逆に言うと、おなじ飼料を使っている限り同じような肉質になってしまうと言うことです。配合飼料は多くはトウモロコシを主体としているため、どうしても肉質に差がつきにくい状況にあります。一部の配合飼料では芋や麦を配合することで肉質の向上を図っているものもありますが、そういった種類はごく一部に留まっています。

エコフィードを使用すると、配合飼料とは原料配合が大きく変わっていくため肉質も大きく変化します。一歩間違えば肉質が悪化することもありますが、逆に上手く使えばコストも下げつつ肉質の向上や特徴のある肉質とすることもできます。

ブランドをつけて販売する以上、特徴のある味であることは当然ながら重要なことです。エコフィードを使用する意義はそんなところにもあると思います。

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有価物と総合判断説

相変わらず多忙な日々が続いております。40歳になったせいかどうかはわかりませんが、最近睡眠時間が短くても平気になってきたので夜なべしてなんとか仕事をこなしている状態です。

忙しい中もセミナーなどは割とマメに参加しているのですが、先日とあるセミナーで県の職員の方が廃棄物の定義についてお話しをされていました。その中で「総合判断説」についても触れられていました。

総合判断説には以前の記事にも書きましたが、重要なのであらためてまとめてみたいと思います。

総合判断説とは、廃棄物か有価物は「総合的に判断する」というものです。

ちょっと長いですが環境省の通知を引用します。

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廃棄物とは、……占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきものであ

る。

また、本来廃棄物たる物を有価物と称し、法の規制を免れようとする事案が後を絶たないが、このような事案に適切に対処するため、廃棄物の疑いのあるものについては、……以下のような各種判断要素の基準に基づいて慎重に検討し、それらを総合的に勘案して、その物が有価物と認められるか否かを判断し、有価物と認められない限りは廃棄物として扱うこと。

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とあります。
その中でいくつかの判断の基準の中の1つとしてに以下のようなものがあります。

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取引価値の有無……占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がなされており、なおかつ客観的に見て当該取引に経済的合理性があること。

実際の判断に当たっては、

・名目を問わず処理料金に相当する金品の受領がないこと.

・当該譲渡価格が競合する製品や運送費等の諸経費を勘案しても双方にとって営利活

動として合理的な額であること.

・当該有償譲渡の相手方以外の者に対する有償譲渡の実績があること.

等の確認が必要である。

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ここに、「占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がなされており」とあります。ここに重きをおくと有価物としての取引は売買の際に完全な無償ではなく、0.1円でもいいから対価を支払うことを求められるケースがあります。

ところが、この通知には以下のような記載もあります。

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なお、占有者と取引の相手方の間における有償譲渡の実績や有償譲渡契約の有無は、廃棄物であるか否かを判断する上での一つの簡便な基準にすぎず、 廃プラスチック類、がれき類、木くず、廃タイヤ、廃パチンコ台、堆肥(汚泥、動植物性残さや家畜のふん尿を中間処理(堆肥化)した物)、建設汚泥処理物(建設汚泥を中間処理した改良土等と称する物)等、場合によっては必ずしも市場の形成が明らかでない物については、法の規制を免れるため、恣意的に有償譲渡を装う場合等も見られることから、

当事者間の有償譲渡契約等の存在をもって直ちに有価物と判断することなく、上記のア.からオ.までの各種判断要素の基準により総合的に判断されたい。

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とあります。つまり、いくら有価物としての売買契約があったとしても関係ない・・と述べられているわけです。
対価としてかなりの金額を支払う場合はともかく、0.1円/kg程度の金額での取引では上記通達から言ってその契約の有無が判断基準を左右することがあるとは言い難いわけです。むしろ、売買契約などで継続的に引取を行なう事や引き取った際に排出事業者が費用負担をしていないこと明確化することの方が重要ではないかと考えられます。

当社ではこのような背景の元、有価物として取引させて頂く場合には取り扱い方法や保管方法などを細かく指導させていただき、商品としての間違いない価値を維持するように努めています。質の高いリサイクルにより確実な有価物として認識させるものとすることが重要だと考えています。