12月に入って急に寒くなってきました。あっという間に年末です。年を取るごとに1年が早くなっている気がします。
おかげさまでエコフィードの新規の引き合いが多く、今年も売上、取扱量をふやすことができました。これもお取引先の皆様のおかげです。
当社はエコフィード業界に足を踏み入れてまだ15年ほどの新参者で、まだまだ勉強が足りないと思うことが多くあります。最初は豚の飼料からスタートしたのですが、今は扱い量では牛、特に酪農の餌の比率が高くなっています。
豚の栄養設計は基本的にシンプルで、カロリーとタンパク質のバランス、油脂の量を間違えなければほぼ問題ありません。しかし、反芻動物である牛は複雑な消化の仕組みのため簡単ではありません。反芻動物は牧草などの繊維(セルロースなど)は哺乳類は直接消化することができないため、第1胃(ルーメン)に共存している微生物の働きで分解をしています。繊維がどれぐらいルーメンで分解するか、繊維の量とデンプンの量の比率、デンプンの分解する速度、タンパク質の分解する速度など多くのパラメーターが関係してきます。コンサルタントや飼料メーカーの人が飼料の設計をする際には飼料設計のプログラムを用い、想定する乳量に対してこういったパラメーターと配合量を入力していきます。今の飼料設計プログラムは非常に良くできていて、適切な設計をすればおおよそ設計した乳量を生産することができます。
しかし、エコフィードの場合はこの設計値とのずれが発生する場合がしばしばあります。エコフィードも分析をして配合するのですが、飼料の分析方法はあくまで牧草やトウモロコシなどの配合飼料を想定した分析方法であり、その原料や加工方法が一般的な飼料と全く異なるエコフィードの場合、分析したとしても正確な状態を示すものになっていないケースがあるように思います。
例えば、繊維の量はNDFという値で評価します。牧草などに含まれるセルロースなどがNDFとして検出されますが、エコフィードの場合、牧草などとは違う種類のものもNDFとして検出されてしまっているようです。その結果、想定よりNDFの消化率がよいという現象がおきることもあります。
分析だけではわからないため、当社では共同研究している大学で消化試験を行っていただいています。これは、ルーメン内容液(胃液)を取り、それとサンプルを試験管に入れて温度をたもち擬似的にルーメンの状態を再現しどこまで分解するかを確認するというものです。しかし、実際の牛は継続的に飼料を摂取しますがこの試験はバッチ試験でありどうしてもずれが出てしまいます。
もちろん、分析や試験は意味が無いわけではないわけではなく非常に重要ではありますが、分析結果だけ見ていると思わぬトラブルが発生しかねません。当社お客様には多くの酪農家さんがあり、そのなかで成績が良好な人はたいがい細かく牛の状態を観察して飼料の微調整をしています。エコフィードを使いこなすためには生産者のスキルが求められるように感じます。
逆に、うまく使いこなせる人が使用すると、エコフィードはむしろ成績が良くなることがよくあります。酪農の場合、ソフトでの設計以上に乳量が出ることもよくあります。
そういった腕のいい生産者だけではなく、そうでない生産者にももっとエコフィードを利用していただくためには分析や試験の手法についても検討を進めていくことが重要だと思います。それが、エコフィードをもっと幅広く利活用していただくために必要なことではないかと思います。