食品製造業における廃棄物処理の重要性

おかげさまで仕事の取扱は順調に伸びており、相変わらず忙しい日々が続いています。新規の問い合わせも多くいただいており、全国の食品工場を訪問しています。
食品工場の現場を訪れると、製造ランの効率化や人件費削減など、生産性向上の取り組みが各所で進められている一方で、意外なほど見落とされがちな領域があります。それが「廃棄物処理」と「廃水処理」にかかるコストです。
食品工場の場合、これらの処理費用は製造原価の中でも決して小さくなく、場合によっては製造コスト全体の数パーセントを占めることもあります。製造量が多い企業ほど絶対額も大きく、そのやり方次第で経営の健全性が大きく左右されると言っても過言ではありません。

食品工場における廃棄物は、製造工程から出る規格外品や調整ロス、洗浄残さ、包装資材など多岐にわたります。これらを処理する場合、多額の費用が発生し、処理費用は年々高騰する傾向にあります。さらに、処理業者の受け入れ体制も地域によって差があり、コストと安定処理の両立は容易ではありません。
一方で、廃水処理もまた大きな課題です。特に食品工場では有機物を多く含む排水が発生するため、BOD・COD濃度の高い排水をそのまま河川や公共下水に流すことはできません。廃水処理を行うための設備投資、運転管理、汚泥処理費用などを含めると、その負担は軽視できないものになります。

生産ラインの効率化に数千万単位の投資を行う一方で、廃棄物や排水の処理の合理化に注力をしていないケースも少なくありません。しかし、処理コストを分析し、そこに技術的な改善策を講じることで、驚くほどのコスト削減効果が得られることがあります。当社でも多くの食品工場の廃棄物処理を手がけていますが、当社が廃棄物を飼料化することで、食品工場の経営に大きなインパクトを与えるケースもあります。

一方、近年では、「処理をコストとして見る」段階から、「資源循環の起点として見る」方向へと発想を転換する企業が増えています。
例えば、食品残さをエコフィード(リサイクル飼料)の原料として再利用する取り組み。あるいは、廃水中の有機物をバイオガス化し、工場内のエネルギーとして再利用する仕組み。これらは単に廃棄量を減らすだけでなく、環境負荷の低減と経済的メリットを両立させるものとして注目されています。

加えて、今後はESG経営やサステナビリティ報告など、非財務情報の開示が企業価値に直結する流れがさらに加速します。環境負荷の低減、資源循環の取り組みは、単なるコスト削減にとどまらず、企業ブランディングや社会的信頼の向上にもつながります。

食品工場における廃棄物処理や廃水処理は、単なる裏方業務ではありません製造原価を動かす、経営の中枢要素です。「処理コストを減らす」ことが「企業価値を高める」ことにつながる。こういった視点で経営を行っている企業は、業績の向上につながっています。一方、異分野から参入した企業などはとかく廃棄物処理や廃水処理に対しなおざりになりがちであり、それが経営の足を引っ張っているケースも多くあります。

これからの時代はバックヤードまで細かく管理できる企業が生き残っていくと思います。当社も独自のノウハウを生かし、食品工場の経営に貢献していきたいと思います。

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