最近、農業の6次産業化が話題になっており、農水省も力を入れて6次産業化の支援を行っています。
農水省のサイト
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/6jika.html
6次産業化を行うと言うことは一般消費者や企業の顧客と取引を行うということです。従来市場出荷や農協出荷してきた農家の場合、取引というものをしたことがないため、一般的な商習慣に関する知識やビジネスの基本が不足しているケースが多々あります。
たとえば、安易に販売先を開拓して、売上が不良債権化しているケースを聞きます。商売をやっていると売掛金の回収をいかに行うかと言うことは基本中の基本です。サラリーマン時代、新入社員研修で一番最初に習ったのは「売上回収の仕方」「倒産しそうな会社の見分け方」です。取引先の信用調査と債権回収は取引にとって最重要課題であり、「代金を回収してはじめて売買契約が成立する」というのはビジネスとしては当たり前です。これができてないと、農家でも売上が不良債権化してしまうわけです。
また、取引だけではなくビジネスとしての取り組み方が間違っているケースも散見されます。たとえば農家レストランなども増えてきていますが、立地条件を考えず、ターゲット顧客を想定できない店の作りになっていたりする例もあります。そもそも大きな投資をするのにもかかわらずろくに事業計画がなかったりすることもあります。
新しい事業をするのでしたら、最初にマーケティングを行い、事業収支をシミュレーションすることは当然だと思いますが、それができてないことが往々にしてよくあるわけです。
商売をやったこと無い人に商売を勧める農水省の施策は少々無謀すぎるのではないかと思う次第です。もしやるのでしたら、まず商売のやり方をレクチャーすることから始めた方がいいのではないでしょうか。もちろん成功している例もたくさんありますが、その影にはたくさんの失敗例があると思います。
もっとも、農水省も商売をしているわけではないのでそういう発想にはなかなか至らないのかもしれませんけど。