飼料による食味の変化

世間はお盆休みですが、当社は絶賛営業中です。食品業界全般の傾向としてお盆は繁忙期で、業界の端くれの当社も当然ながら多忙のためなかなかお盆は休めません。私自身は年間通じて多忙なのでお盆がとりたてて繁忙期というわけでもないのですが:)

最近、エコフィードを使い始めたor使いたいという農家さんのお手伝いをする機会が増えてきました。使用するエコフィードの選定などのお手伝いもしています。
一口エコフィードと言っても千差万別であり、使用方法を誤ると肉質が低下したり増体が悪くなったりします。
豚の場合、特に注意するべき点の一つが脂肪酸組成です。
油脂、特にリノール酸が多い大豆油、菜種油などのいわゆるサラダ油を多く含む原料を使用すると、豚肉中の脂肪融点が下がることで商品価値の低下につながります。
たとえば、おからや揚げ物などを多く給与すると、脂肪融点が10度以上低下することも珍しくありません。

他方、動物性の脂肪も肉質に大きな影響を与えます。魚の油脂にはDHAやEPAなどが多く含まれています。DHAは健康によいと言われる脂肪酸ですが、酸化されやすいという特徴があり、酸化が進んだDHAは生臭い独特のにおいがあります。これが豚肉中の脂肪に移行しやすいため、魚(の油脂)を給与すると豚肉中にもDHAが含まれ、獣臭の原因となります。
従って、脂肪が少ない魚でしたら影響が出にくく、たとえば鰹節やはんぺんなどを給与しても問題はありません。

いろいろなデータを見ていると、(特に豚の場合は)飼料が肉質に与える影響が大きいと言うことを改めて感じます。輸入トウモロコシ主体の配合飼料ではなくエコフィードを使うというのは、特徴のある肉質を作る大きなポイントであり、使い方によっては肉質が良くも悪くもなりえます。それだけ難しくもあり、面白くもあります。また、同じ単胃動物である人間も食べるものによってお腹の脂の質が変わるわけであり、人間にとっても食べ物がいかに大事かと思い知られます。私はリノール酸多給してぶよぶよの脂となった枝肉の写真を見てから揚げ物は極力食べないようにしています(笑)

 

 

生ハムとうまみ調味料

かなり前になりますが、秋田で行われた国産生ハムフェスティバルに参加してきました。

生ハムフェスティバル

実は私はの生ハム好きが高じて三河トコ豚極め隊として生ハム工房を立ち上げることを計画しており、以前より豊根村の廃校で生ハムの試作を行っています。今回、生ハムサミットでいろいろ情報交換できたのは非常に参考になりました。

豊根生ハム

私は酒好きで、生ハム、からすみ、ハードチーズ、塩辛、鮒寿司などなどを嗜好しています。共通するのは旨みを多く含まれていると言うことです。こういう、熟成して作られた食品の旨みは何にも代えがたいものがあり、最高に酒に合います(笑)

では、なぜ熟成をすると旨みが増えるのでしょうか。もともと、これらの食品にはタンパク質が多く含まれています。タンパク質はアミノ酸が多数結合されてできています。

タンパク質の構造

こちらの図にある小さな丸1つ1つがアミノ酸です。タンパク質はおよそ20種類のアミノ酸から構成されています。タンパク質そのものは分子構造が大きく、水に溶けませんので基本的に旨みがあるわけではありません。食品を熟成させる過程で、タンパク質が分解してアミノ酸が生成することで旨みがでてきます。熟成といってもその作用機構はそれぞれことなっており、例えば生ハムの場合、肉にもともと含まれているタンパク質分解酵素が働くことで、タンパク質が分解されていきます。また、麹を使った食品などでは、コウジカビが分泌するタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)が作用することでタンパク質が分解されアミノ酸が生成することで、うまみが増えていきます。

なお、豚肉(生肉)のアミノ酸分析を行うと、アミノ酸含量は低い水準で、味覚閾値(感じることができる濃度)より低いことがほとんどです。基本的に、生肉はアミノ酸の味は無く、脂や香りを旨みとして感じています。

市販の「生ハム」にはラックスハムに分類されるものが多くあります。これは、長期熟成させず短い期間塩蔵したものを調味料で味付けしたものです。熟成期間が短いため、アミノ酸があまり生成されず旨みがたりないため、グルタミン酸ナトリウムなどのうまみ調味料を使用していることがほとんどです。

グルタミン酸ナトリウムなどのうまみ調味料、いわゆる化学調味料を健康に影響があるなどの理由で敬遠されることあります。しかし、グルタミン酸ナトリウムは昆布のうまみ成分であり、一般的な濃度でしたら健康に影響はありません。もし、グルタミン酸ナトリウムで健康に影響が出るなら、昆布だしたっぷりの懐石料理も食べられないことになってしまいます。

ただ、自然の熟成を行うと、単純な一種類のアミノ酸が生成するわけでは無く、タンパク質を構成するさまざまなアミノ酸が生成し、またアミノ酸がいくつか結合したペプチドも生成します。また、熟成の過程で脂肪の分解もおき、それがフレーバー生成にもつながります。多種多様なうまみ、香りがあることが味の奥深さにつながります。

つまり、うまみ調味料を使うと、危険なものが入るのでは無く、うまみを形成するものが足りないので味が単調になってしまうという点が問題であると言うことです。

残念ながら、効率を重視する現在の食品産業ではうまみ調味料を多用する傾向があります。たとえば、市販の塩辛はほとんどがアミノ酸が添加されていますし、サラミなどもうまみ調味料添加されているものが大多数です。しかし、生ハムや塩辛などはきちんと熟成を行うことで、うまみ調味料を使用するよりもうまみを引き出すことができます。
※そういった実験を行った例がデイリーポータルZに載っています。

 

個人的にはこういった知見が広まることで、もっと美味しい生ハム、塩辛が広まることを期待しています。スーパーの塩辛の原料表示に「アミノ酸」とあるのを見てそっと棚に戻すことが減り、美味しいつまみで酒が飲める機会が増えることを心より願っています。

ブランドの定義

相変わらず忙しい日々が続いています。最近補助金関連業務が多く、年度末から年度初めとずっと書類作成にいそしんでましたがようやく書類作成も一段落してホッとしています。ここ数年春が忙しく、慌ただしくしていていつの間にか春が終わっているような気がします。

食べることに命をかけた人生を送っているので、忙しくても旬の野菜を食べるのは忘れないようにしています。春だとタケノコとエンドウはマストアイテムです。アスパラガスも好物で、北海道や地元に知り合いのアスパラ農家がいて、美味しいアスパラを食べる機会が増えました。

先日、近所のスーパーで地元JAのラベルがついたアスパラを購入したのですが、竹のような繊維で旨みも甘みも少なく、びっくりするほど品質が悪い代物でした。アスパラガスは鮮度による味の差が大きい農作物だと思いますが、地元のもので低品質というのはいかがなものかと思った次第です。
と同時に、産地ブランドの難しさを感じました。農協単位で集荷、出荷をすると生産者、栽培方法、土壌が異なった商品が同一ブランドとして扱われてしまいます。例えば、豊川市内も砂壌土、黒ボク土、赤黄色土とさまざまな土壌があります。いくら営農指導していると言っても環境が異なれば品質も異なってきてしまいます。

同様のことは、畜産物のブランド化でも言えるかと思います。牛肉は地域ブランド化していることが多いですが、例えば和牛の場合血統や肥育方法が統一されているブランドはそれほど多くありません。和牛は血統による味の差が大きいにもかかわらず、育てた地域でひとくくりのブランド化することには個人的には無理があると思います。愛知県の家畜市場で上市された仔牛が、肥育された地域によって最終的な肉の値段が大きく変わってくるのは不思議なものです。

豚肉のブランドも、品種や飼料まで指定されているものもありますが、単に飼料添加剤を入れただけで銘柄として売り出している例も多くあります。豚肉の場合、飼料による味の差が非常に出ますので、せめて飼料ぐらいは統一すべきでないかと思います。豚肉の場合は農家単位でブランド化していることも多くありますが、品質の画一性という意味では農家ブランドのほうが安定する傾向があると思います。愛知県の農協のブランド豚は品種、飼料の細かい指定がありますが、ブランドで売り出す以上その程度のルール制定はあってしかるべきと思います。
他方、当方が取り扱いしているようなエコフィードを使用すると品質にむらができやすい傾向にあります。ただ、成分分析をしっかりとして配合設計を行うことで、そのリスクを低減することができます。

結局のところ、ブランド化する以上、生産方法や品種、血統を統一し、品質の基準を設け合致するものをブランド名をつけて販売すべきというしごく常識的な結論に至るかと思います。一消費者としては外れなく美味しいアスパラをいつも食べられることを切に希望します(笑)

アスパラ

自分で生産したものを食べるということ

秋はイベントシーズンで展示会出展が続き忙しい日々が続いています。
とはいえ、子供が生まれてから家で夕食を食べることが増えました。若干家庭的になったかなと自負しています。(苦笑)

家では通常は粗食なのですが、このところ肉を食べる機会が増えています。Facebookのほうでは食べ物ネタのアップが多いため、肉ばかり食べているように思われるのことが多くやや心外です。肉を食べる機会が増えたのは、会社で飼料を取り扱ってから、お客様のところの肉を食べるようにしているためです。豚肉を食べることも多くなりましたし、今までほとんど食べなかった黒毛和牛を食べる機会も増えました。
近江牛
お客様のところの肉を食べる・・・というと普通のことに聞こえますが、実はこれが存外難しかったりします。家畜は自分でと畜してはいけないという法律がありますので、畜産農家は生産した豚や牛をと畜場に出荷します。と畜場でと殺された後、市場にかけられ、流通します。畜産農家は自分が生産したものを誰が買っているのか、どこで売られているのかを知らないことも多くあります。野菜や米でしたら生産したものを一部取り分けておくことも容易ですが、畜産農家の場合、生産物を入手するのが難しいわけです。と畜場から買い戻すこともできますが、1頭で豚で50kg、牛でしたら数百kg単位となり販売を行っていない農家が簡単に自家消費できるようなものではありません。

自分で食べなければ今生産しているものがどういう状態であるか、わかりません。逆に言うと、自分で生産したものを食べることによってより美味しい畜産物の生産を行えるようになっていくのではないかと思います。

最近お取引をしている、黒毛和牛を生産している木下さんは自分のところのお肉を食べられています。驚くべきことは種付けする牛の血統を選ぶとき、以前食べて美味しかった血統を種付けされています。日本の黒毛和牛はと畜された枝肉の状態がフィードバックされて「サシが入る」「枝肉重量が大きい」遺伝子を持った牛が選抜されています。しかし、あくまでもそれは見た目であり、味を基準に選ばれているわけではありません。
また、当社のお客様の養豚農家さんの多くは生産した豚肉を食べられていて、肉の状態を見て飼料の配合を変えたりしています。通常は配合飼料を使っていますので、飼料の組成を変えることができませんから、自分でエサを混ぜて、出荷した肉を買い戻している農家だけができることです。
こういう取り組みが継続することによって、より美味しい農産物が生産されていき、それが日本の農業の強みになるのではないかと思います。というわけで、私も取り扱っている飼料のいっそうの品質向上のため、美味しい肉をたくさん食べることにします(^_^)

 

 

フランス料理を食べながら

今日はひさしぶりにフレンチを食べに、お客様でもあるホテルアークリッシュのメインダイニングkeiに行って来ました。

前菜は旬の柿を使ったもの。柿はベルファーム鈴木さんのところの早秋です。 

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ホテルの生ゴミはこちらの柿畑で堆肥として使われています。

メインディッシュはもちろんお客様であるトヨタファームの三州豚です。

 

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ホテルのパンは当社で加工されてこの豚肉を育てる飼料として利用されています。

と言うわけで、いろいろとお付き合いのある食材を美味しくいただいてきました。
美味しいものを食べる機会がたくさんある仕事って役得ですね ^^;

夕飯のカロリー

ゴールデンウィークもすっかり終わりですが、皆様いかがお過ごしですか。
当社は年中週休二日、祝日は完全出勤という勤務体系です。というわけで、連休は土日のみのお休みでした。
普段は土日も出勤したり家で仕事をしたりすることが多いのですが、今週末は久しぶりにのんびりと過ごしました。

というわけで?週末の夕食を披露します。

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ホタルイカの酢味噌和え。酢味噌は家で作ります。

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春大根と豚肉の煮物

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菜園で取れたてのソラマメ

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そしてビール。上面発酵。

その他にご飯と味噌汁です。というわけで、春を満喫しました。

仕事柄豚肉を食べる機会が多いですが、魚もイカも貝も好きです。普段摂取カロリーが多めになるので、肉を食べない日はカロリーが比較的少なくタンパク質含量が多いイカ、貝は意図して食べるようにしています。、、って言うと、うっとうしい奴と言われてしまいがちですが ^^;
要は高カロリーでなくてもおいしい物はたくさんあると言うことです。この夕飯で800kcalぐらいかな。

 

 

生ハムの熟成

先日、三河トコ豚極め隊の活動の一環として、豊根村の廃校で作っていた生ハムの試食を行いました。

去年の11月から熟成を始めたのですが、今年の秋に関係者を集めて試食会を行う予定なのでその前に味見(というか毒味w)をするための試食です。
割と適当なレシピで作りましたので美味しくできているかどうかかなり不安でした。全体にカビも生えていてあまり見た目が良いとは言い難かったのも不安の一因です。

ところが、カビを洗い落とした生ハムはかなり美味しいそうな見た目になりました。鼻を近づけると生ハム独特の芳香がします。ちょっと期待できる感じです。

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期待に胸を躍らせて切り分けて食べると、これが予想以上に美味しい!生ハムにはかなりうるさいと自負しているのですが、どこに出しても胸を張れそうな美味しさです。

今回表面だけ切ったので実際には中の方までは熟成が進んでいないかもしれませんが、とりあえず今のやり方でおおむね行けそうな感じです。今年の秋はもう少し仕込量を増やしていきたいと思いますので、こうご期待。

梅酒の作り方と梅の実

いよいよ梅雨入りして雨が多い東三河です。
梅雨と言えば梅の時期。というわけで梅酒を作りました。毎年梅酒を作っていますが、レシピを毎回変えています。今年は試みで芋焼酎の原酒で作りました。
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左が今年仕込んだもの、真ん中が去年、瓶が3年前のものです。去年のものはラム(バカルディ)でつけたのですが、これが大正解でした。おそらく今まで作った中で一番美味しい気がします。ラムって案外安いですし、お勧めです。
ちなみに、つけた後の梅の実は美味しく食しています。ただ、アルコールがかなりきついので気をつけないと飲酒運転になってしまいます。
去年の記事にも書きましたが当社では梅酒の梅のリサイクルをしています。去年は機械が小さかったので処理に苦慮していましたが、今年は粉砕機の追加導入をしたのでかなり効率よく処理できるようになりました。
ですが、ちょっと粉砕の目が荒かったらしくお客様の養豚農家でポンプが詰まるというトラブルが発生。粉砕粒径は気をつけないといけないですね~。

豆腐のカロリー

来週の環境展の準備が忙しくてばたばたです。来週一週間出張なので、その前に溜まった仕事をこなさなければいけないので大変です。明日の日曜日も出勤して来週の仕事を前倒しでする予定です。
暑くなってきたので冷や奴とかが食べたくなる時期です。当社はリキッドフィーディングというヨーグルト状の飼料を製造しています。どろどろの液状なので豆腐のようなものも設備的には使用することができます。ですが、実は豆腐は豚の餌として向いていません。意外なのですが、「油が多すぎるから」使用が難しいのです。
豆腐も種類によって成分がかなり変わりますが、木綿豆腐の成分は食品成分表によるとこんな感じです。
水分 86.8%
タンパク質 6.6%
脂肪     4.2 %
炭水化物 1.6%
水分が多いので固形物の割合が低いのですが、乾物あたりで計算すると
タンパク質 50%
脂肪 31%
炭水化物 12%
となります。確かにタンパク質が多いのですが、脂肪が30%も入っている食品は牛乳と豆腐ぐらいです。たとえば、脂が多い印象がある牛肉ですが、もも肉ならタンパク質:脂肪は2:1ぐらいですので、豆腐より脂肪分が少なくヘルシーということになります。
豚の飼料はカロリーが低いことが求められていますので、油脂含量が高い豆腐は使用しにくいです。
豆腐に含まれる油はリノール酸という不飽和脂肪酸です。動脈硬化にいいと言われている不飽和脂肪酸ですが、摂取した脂肪が体内に蓄積しやすいという特徴があります。融点が低いリノール酸が多くなると豚肉のしまりが悪くなり、食味に影響が出る場合があります。そういった意味からも使いにくい素材ではあります。
豆腐工場では角が欠けたり等の理由でかなりの量の豆腐が廃棄されています。利用したいのは山々なのですが、どんなものでも飼料になるわけではないのです。
豆腐は禅寺のお坊さんがあれで生きていけるぐらいですので、かなり高カロリー、高タンパクな食品だということです。よく、自然食とかを推進している方は「肉は脂が多くて栄養バランスが」っていうことを言っていたりしますが、食事の栄養計算をすると案外高カロリーで肉食べていた方が栄養バランスがいいケースもあったりするわけです。
飼料の仕事をして思うのですが、栄養成分は一般的なイメージと案外違っていたりします。きちんと分析した値を見て判断することが重要だと思います。

アミノ酸の話

すっかり更新が滞ってしまいました。締め切りのある書類はおおむね終了して時間が少し取れるようになってきたのですが、依然として机の上が片付かず雑務に追われています。展示会の準備などもあるので、連休は出勤予定です。
先日、三河トコ豚極め隊で行っている生ハムの試作の点検に行って来ました。(以前の投稿はこちら
半年経過して熟成が少しずつ進んできているようです。それらしい香りがしてきました。私はこの手の熟成させた食品には目がないので、とても楽しみです。ブルーチーズ、生ハム、からすみ、塩辛etc.
熟成の美味しいさの秘密はアミノ酸の含量増加にあります。タンパク質はアミノ酸がたくさんつながってできています。タンパク質は水に溶けませんので、旨味を感じることができません。熟成というのはこのタンパク質が分解してアミノ酸の形になるプロセスです。
肉や魚などのタンパク質が多い食品を腐らないように保管すると、微生物や生物が持っている酵素などの働きによりじょじょにタンパク質が分解していきます。そのままでは遊離のアミノ酸が少ないものでも、人間が感じることができるアミノ酸量となるわけです。
では、グルタミン酸Na(味の素=アミノ酸)やイノシン酸などのアミノ酸を添加すれば同じような味になるのかというと、一概には言えません。確かにこう言ったアミノ酸を添加すれば旨味は増えます。でも、熟成の旨味と比べると深みに欠けます。
熟成された食品は多くの種類のアミノ酸やペプチドを含みます。これは、もともとタンパク質が多くの種類のアミノ酸を含むこと、熟成の過程で微生物が新たなアミノ酸を合成することにより、アミノ酸の種類がバラエティーに富むのだと思います。また、熟成の過程で芳香成分も増えます。これが、味に深みが出る理由だと思います。
私がこのように思うようになったのも、熟成が短いラックスハムと、長期熟成の生ハムを比較して味わいに大きな違いを感じたからです。ラックスハムにはアミノ酸が添加されていたにもかかわらず、旨味感はあきらかに長期熟成のものの方が高かったです。おそらく、ラックスハムはアミノ酸添加しなければもっと味が薄くなると思います。
 
本当にいい素材を使って、手間暇をかければアミノ酸なんて入れなくても美味しいと思います。加工品メーカーの人はすぐ「グルソー(グルタミン酸Naのこと)入れなければ味が出ないよ」って言いますが、本当に美味しいものを作りたければよい材料と調味料を使って手間暇かけて作るべきでしょう。
佃煮とか本来は旨味の固まりであるはずの食品にアミノ酸が入っていたりすると、ちゃんと作っているのか心配になります。加工品メーカーも、材料や調理方法に自信があるならアミノ酸に頼らないで作って欲しいですね。