産業廃棄物の講習会

台風が来た後しばらく涼しい日が続きましたが、また暑くなってきた東三河です。

木曜日、金曜日は名古屋で講習会でした。産業廃棄物に関する講習会です。当社は産業廃棄物処分業の許可があります。この許可は5年で有効期限が切れ、更新手続きをしないといけません。新規申請と更新手続きの際には、この講習会へ参加して修了試験の合格証を添付する必要があります。ので、許可業者は5年に1度の講習会が必要となります。

 

この受講をうける人は、法人の代表者、役員、または事業所の代表者です。当社は他に人間がいませんので私が自ら受講しないといけない訳ですが、割と大きい会社でも社長自ら受講しているケースもあるようです。講習会の内容は、産業廃棄物の処理に関する行政概論と技術的な話もあります。産業廃棄物処理といっても当社のような肥飼料を製造している会社からプラスチックの焼却処理をしている会社まで非常に広範囲ですので、短い時間では通り一遍の話になってしまいがちですが。

今回の講習は200人ぐらいの受講者がいました。愛知県で産業廃棄物処分業の許可を持っている会社は1000社弱あり、5年に一回受講すると考えるとそれぐらいの数になりますね。

2日間の講習会の後には修了試験があります。更新の講習会では問題数の少ない試験ですが、新規の公衆の際にはかなり試験の時間も長く、問題もたくさん出ます。で、この試験、○×の二択で70%正解で合格です。確立から言うと合格しそうな感じなのですが、特に新規講習では結構不合格者がいるらしいです。問題も結構ひねってあります。とはいえ、講義の最中に試験が出る部分を講師が「ここは試験に出ますよ」っと言っているので、寝ていなければ受かるとも言えますが。

 

講習の内容としては業務を行う上で決して無駄になる訳ではないのですが、日本産業廃棄物処理振興センターという外郭団体がこれを独占業務として行っているのはちょっとアレですね。産業廃棄物を処理している会社が5年に一度かならず高い講習料を払わなければいけないようになっている仕組みが嫌ですね~。この講習料で年間10億円売り上げていますから。

とりあえず、2日間ずっと座っていたのは疲れました。しかも、このご時世なのに妙にエアコンが効いていて寒かったです。どうなっているんでしょうね、名古屋国際会議場。

逮捕されました

と言っても、私が逮捕された訳ではありません。

ちょっと前のこと、病院の待合室でテレビを見ていたら「豆腐を不法投棄して逮捕」っていうテロップが出てきて驚きました。

新聞記事はこちら↓

【MSN産経ニュース

山林に豆腐220キロ捨てた疑い 愛知の社長ら逮捕

驚いたのは不法投棄というだけでなく、この逮捕された人と名刺交換したことがあったからです。以前、どこかのセミナーで会って、「おからのリサイクルしていますのでもしお困りでしたら・・」って営業をした覚えがあります。いやあ、うちの会社にちゃんとリサイクルを委託してくれれば逮捕されることもなかったのになぁと思った次第。しかし、営業した先が逮捕されたのは流石に初めてです。

このニュース、リサイクル業界の人間から見るといくつかのポイントがあります。

1.自己所有の土地に捨てていた。

世間で不法投棄というと、山にゴミをこっそり捨てるってイメージが多いかもしれませんが、案外自分の土地や借りていた土地に捨てるケースが多いです。

2.捨てていたのではない、肥料だと主張

廃棄物かどうかは「総合判断説」という、要はケースバイケースで決められます。普遍的な価値があるかどうかが一番問われる訳ですが、豆腐を肥料として利用していることはまずありませんので廃棄物として判断される可能性が極めて高いでしょう。

3.7年間で70トンを不法投棄

1年間で10トンということは、およそ一日に30kg弱です。処分費用が発生したとしても
ハッキリ言って
たいした金額にはなりません。おそらく、今回の内容でしたら有罪確定だとしても罰金刑ぐらいだと思います。でも、おそらく取引先は全滅でしょう。はした金をけちったばかりに取引先も失うはめに。

 

ちなみに、豆腐ってリサイクルしにくいんです。すぐ悪くなるし、飼料として利用するときには油がたくさん含まれているので案外栄養バランスが取りにくいです。とはいえ、栄養価が高いのは確かですので、なんとか活用したいといま検討を行っているところです。

産廃問題研究会

先週は忙しくてブログ更新があまりできませんでした。といっても飲み会が3回もあったせいですが。飲み過ぎで太らないように気をつけています。

木曜日は友人の産業廃棄物許可申請を専門としている行政書士の飯島さんと産業廃棄物に関する訴訟をいろいろやっている弁護士の稲垣さんの3人で「産廃問題研究会」と称して飲み会をしていました。場所は名古屋の納屋橋にあるサイアムガーデンというタイ料理のお店です。

P1270906 鶏肉のスープ

私はタイ料理が大好きなのですが(和洋中華何でも好きですが[E:sweat01])、ここは非常に美味しいと思います。実は日本のタイ料理のお店はあまり美味しくないところも多いんですよね。店の雰囲気もいいので、女性受けもよくデートスポットや合コンにも向いていそうですが、今回は男3人で濃い話をしていました。

P1270907 デザート

デザートはマンゴとモチ米にココナッツミルクをかけたものです。10年くらい前にバンコクへ旅行したときに食べて非常に美味しかった覚えがあり、日本でも食べたいといつも思っていたのですがタイ料理のお店でもなかなか置いてないんですよね。今回、食べることができてとても嬉しかったです。モチ米がちゃんとインディカのモチ米なのがポイント高いですね。

そうそう、廃棄物の問題についてもちゃんと議論しました。やはり「廃棄物とはなにか」が曖昧であり行政担当者によって判断が分かれるのはおかしいという話が盛り上がりました。あと、稲垣さんが「証拠隠滅の恐れもなく逃亡の恐れもないのに逮捕するのはおかしい」と言われたのには感心しました。逮捕は見せしめのためらしいです。ま、たしかに不法投棄のゴミの山を証拠隠滅することはできませんよね・・。

弁護士や行政書士、弁理士などを生業としている人と話をするとロジックが明快でとても面白いですね。話をしているとこちらの脳細胞が活性する気がします。

廃棄物の定義

昨日今日と移動時間が多かったです。電車に乗ると異常に眠くなりますね。昨日は5時間ぐらい電車に乗っていたのですが、3時間ぐらい寝ていました。

今日は異業種交流会(と言う名前の宴会)に出席しました。そこで廃棄物関連についての訴訟も扱っている弁護士の先生に会いました。同年代ということもあり、話が盛り上がりました。特に、廃掃法の曖昧さについて熱く?語り合いました。

以前から書いていますが、廃掃法は非常に曖昧で行政の担当者による判断による部分が多くなっています。だから廃掃法違反で逮捕されても不起訴になる事例が多いのかなと思います。県警では判断が付かない部分が多いのではないでしょうか。

今日も話題になったのが、そもそも廃掃法の対象とする「廃棄物」の定義が曖昧だと言うことです。廃棄物の定義は「総合判断説」なるもので決まるわけですが、要は「ゴミっぽいものはゴミ」ぐらいの話で、実に適当ですね。廃棄物を扱うと、「廃棄物とはなんぞや」から始めなければいけないわけです。ほとんど禅問答哲学書の世界ですね。

一応、愛知県の廃棄物担当者に聞くと、「運賃を含めて完全に有価になっていれば廃棄物と見なさない。」と言います。つまり、排出事業者が運賃も含めて費用負担していなければ有価物と判断してよいという見解です。「わざわざ自分で運賃を負担して取りに行ったものを不法投棄する人はそんなにいないでしょう」ってことだと思います。

当社は結構買い取りしたり無償引き取りするケースも多いのですが、排出事業者によっては県の見解だけでは満足せずに完全に有価であることを証明するために覚書、契約書をお願いされるケースが多いです。契約書だけでしたらいいのですが、わずかでもお金を付けて欲しいと言われ1kg0.1円とかで買取する場合もあります。まあ、お金を払うのは別段いいのですが、なんか伝票のやりとりと支払がめんどくさくてちょっと煩わしいですね。

世の中色々曖昧な部分はたくさんありますが、廃棄物関連の場合行政処分や刑事事件に繋がるケースもあるので問題です。廃棄物行政はもっと明確にして欲しいものです。

廃品回収と行政通知

なんか急に寒くなりましたね。風邪を引かないように注意しなければ。

今日は廃品回収の話です。そのうち出ると思っていましたが、やっぱり環境省からの通知出ましたね。昼休みネットサーフィン(死語?)していて発見しました。

http://www.env.go.jp/hourei/add/k018.pdf

内容は、「廃品回収と称して家電などを回収するときに処分費取っているやつは取り締まりなさいね。」っていうことです。

以前、軽トラで「廃品の無償回収」って回っている車を呼び止めて壊れたコンプレッサーを見せたら「5000円です」と言う。金取るの?って言ったら「こっちも商売ですので」・・いやいや、ばっちり違法なんですが。

なぜ廃棄物を無許可で取り扱ってはいけないのか。廃棄物は受け取ったときにお金になります。受け取ったものをそのまま不法投棄すれば丸儲けです。許可業者はそういうことが無いように役員の経歴(暴力団関係者かどうかや前科がないか)や経営状態などを審査され、講習会で「悪いことすると捕まりますよ」って習うわけです。まあ、それでも悪いことする人がいない訳じゃないですが、少なくとも無許可の人よりは確率的にずっと低いわけです。

まあ、この通知で空き地にのぼりたてて「廃棄物無料回収」ってやっているところへは県の廃棄物対策課の人が立ち入り検査をすることになるわけです。うちの近所でのぼりたてているところは「冷蔵庫は5000円かかります」って堂々と看板たてているので、まあ下手すりゃ逮捕者が出るかもしれませんね。

ちなみに、エアコンやパソコンは細かくばらすと結構高く売れるので、ホントに有価回収しても商売できます。この辺が微妙で難しいところですね。

不法投棄と排水処理

もう一ヶ月近く前ですがこんな事件がありました。
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名糖産業:不良品あめ下水に 不法廃棄の疑いで調査
 あめ「ホールズ」などを製造する名糖産業(名古屋市西区)の名古屋工場(同区)で、不良品のあめの一部を水に溶かして下水道に流していたことが分かった。市廃棄物指導課は28日午前、廃棄物処理法違反の疑いもあるとみて立ち入り調査した。同社は「問題はないと考えていた。市の判断を仰ぎ、今後は産廃業者に処理を委託したい」としている。
 名糖産業によると、包装不良のあめの一部を砕き、網状の袋に入れて釜に投入。水を注いで加熱してあめを溶かし、下水道に流していた。約3年前から1日約数十キロを廃棄していたという。名糖産業は自社製品のあめのほか、東京のキャドバリー・ジャパンのブランド「ホールズ」を製造している。【稲垣衆史】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100728k0000e040075000c.html#

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「廃棄物処理法違反の疑い」とありますが、私の見解から言うとこれは微妙だと思います。
下水道の放流基準は超過していなかったようなので、こちらの規制には引っかかりません。ので、産業廃棄物処理法に抵触するかが問題です。
アメが産業廃棄物かどうかと言えば産業廃棄物に該当します。(動植物性残さ)ただ、産業廃棄物を下水や排水処理に流すことは珍しくありません。
例えば食品加工業などでは煮汁などの濃厚な廃液がしばしば発生します。廃液は産業廃棄物として処理されることもありますが、下水の放流基準を超過しなかったり排水処理に余裕があれば通常流します。これが問題になることはありません。
当社でも「最近排水処理の負荷が上がり処理が追いつかなくなってきたから今まで排水処理に流していた廃液を産廃として処理して欲しい」という依頼が時々あります。ちなみに、こういう廃液は廃酸または廃アルカリとなります。
今回の理屈で言うと、今までは廃掃法違反だったのかということになります。
固形物を流したからいけなかったのかというと、固形物を排水処理に流しているケースも結構あります。機械の洗浄などでは相当量の固形分が排水処理に流れます。固形分を流していけないなら、下水道放流基準のSS(浮遊物質)はゼロでなければいけないはずです。機械に付着していたアメを洗浄したものは流してよく、包装不良品は不良品は流してダメというのもおかしな話です。
だいたい、下水道ではそんなに細かなとこまでチェックしていないので基準に違反して流していることがよくあります。工場地帯の下水道では相当な重金属が検出されるのですが、これは工場が本来流していけない廃液を流しているからです。また、夜中に濃厚な有機排水を流したりして下水処理場の夜間流入濃度が極端に上がったりすることもあったりします。今回の例では排水基準は超えていなかったので、こういった例に比べれば新聞沙汰にするほどのものでもないようにも思います。
廃掃法自体が非常に曖昧模糊としているので、厳密に解釈するとほとんどの食品工場が違反になってしまいます。例えるなら、今回の問題は速度制限を5kmオーバーして白バイにつかまったようなものでしょう。行政はもうすこし明確な基準を提示して欲しいものです。
ちなみに、当社でもアメのリサイクルを行いますので、お困りの皆様方よろしくお願いいたしますm(_ _)m

産業廃棄物収集運搬車の表示

今日も暑いですね。工場の中はサウナ状態です。ポジティブシンキングで行くと、サウナやホットヨガの代わりに汗をかくのにちょうどいい・・とはならないですが・・。
当社の車には「産業廃棄物収集運搬車」という表示がしてあります。産業廃棄物を運ぶ車には全てこの表示をしないといけません。この表示、案外細かく規定があります。詳しくは環境省のパンフレットを見てください。
でも、道を走っていると結構間違った表示をしている車が多いですね。結構大手の産廃業者でも表示が間違っていたりします。
例えば
・文字の大きさが小さい
・表示を間違っている(ex.産業廃棄物収集運搬車→産廃運搬車)
・許可番号をたくさん書いている(県毎の番号をみんな書いている)
 →許可番号は下6桁が全国共通なので、6桁書けばOK
収集運搬業者ではなく、排出事業者が運ぶときにも表示が必要ですが、表示していない車も結構あります。
一応、行政処分の対象なので、みなさん注意しましょう。

逆有償とは

最近蒸し暑い日々が続きます。暑いと、ビールの消費量がふえるという問題がありますね。
今日は逆有償の話です。
最近、人に逆有償について説明する機会があり、案外みなさん理解できていない部分があるようですのですこしまとめてみたいと思います。
いくつかのパターンを挙げてみます。
1.排出業者が運搬費、処分費相当額を運搬・処分業者に払う場合。
これは完全に廃棄物と見なされます。
2.排出業者が運搬費を負担するが、処分業者は購入する場合。(運賃>購入費:運搬業者と処分業者が同一)
これが一番一般的に言われる「逆有償」です。見かけ上購入しているように見えますが、実は実質的には処分費用を払っている状態になっています。運賃ですと目立つので広告宣伝費としたり迂回して支払ったりというやり方で処理していることも。
3.排出業者が運搬費を負担するが、処分業者は購入する場合。(運賃>購入費:運搬業者と処分業者が別)
2と似ていますが、処分業者がお金を受け取ることがないのが大きく異なります。つまり、処分業者は受け入れたものを不法投棄しても儲からないと言うことになります。ので、環境省としてはこのパターンは廃棄物処分業の許可を不要という判断をしています。(通達有り)しかし、行政によっては認めないケースもあるのが難しいところ。
4.排出業者が運搬費を負担するが、処分業者は購入する場合。(運賃<購入費:運搬業者と処分業者が別)
これは一見完全な有価物の取引のように見えますが、排出業者が運搬の手配をしたりすると紛らわしいことになります。このような場合、引き取りの手配は処分業者が行い、排出業者は一時的にもお金を負担することがない方がよりクリアであると言えるでしょう。
当社の扱っているものはリサイクルすると言ってもなかなか買取までは難しく、買い取りしてもわずかな金額にしかならないケースが多いです。当社の場合、廃棄物処分業の許可がありますので問題になりそうなときは廃棄物扱いにします。廃棄物処分業の許可がないところに販売する場合は注意する必要があるでしょう。

事業系一般廃棄物と産業廃棄物の区別

会社の近所に引っ越してきて10日ほど経ちました。久しぶりの田舎暮らしです。夜、家の周りがすごい静かです。もっとも、うちのマンションは我が家以外みんな小さな子供が居るのでかなり賑やかなのは想定外でしたが・・。
先日より何回か書いている事業系一般廃棄物の区別の件で、中日新聞にちょっと気になる記事が載っていました。
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春日井で「事業ごみ」排出量激減 不法投棄防止へ監視強化
オフィスや商店から出る「事業ごみ」の排出量が春日井市内で激減し、2009年度はピークだった07年度に比べて半分以下となった。背景にあるのは、事業ごみを受け入れている市の処理施設の監視強化だ。専門業者に任せるべき産業廃棄物を混ぜ込み、処理費用を安く済ます-といった不法投棄事件が昨年相次いだことを受け、市が取り組んだ再発防止策が功を奏したとみられる。
中日新聞 2010年6月6日
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20100606/CK2010060602000023.html
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事の発端は1年前。おから(産業廃棄物)を春日井市のクリーンセンターへ一般廃棄物として持ち込んで何度か警告を受けていた業者が逮捕されるという事件がありました。なぜか不起訴処分になったらしいですが・・。
この後、クリーンセンターでの持ち込みを厳しくした模様です。
ただ、産業廃棄物と一般廃棄物の区別は微妙な部分があります。食品製造業から排出される動植物性残さは産業廃棄物。ので、豆腐屋さんから出るおからは産業廃棄物。小売り業であるスーパーで売れ残ったおからは一般廃棄物。じゃ、豆腐屋さんが豆腐を小売りしたらおからは一般廃棄物になるんでしょうか?
全く同じ廃棄物が出る場所によって処理が変わるというのもおかしな話です。また、この区別は市町村や行政担当者によって判断が異なるもの困ったものです。
ところで、今調べたら春日井市の一般廃棄物処分量は8円/kgみたいですね。愛知県内でも安い方です。これを値上げすれば産廃処理のほうが安くなるので、本来は一般廃棄物のものも産廃とする人も出てくると思いますよ・・。
それに、そもそもおからって今処分単価が非常に安くなっているので、ロットがまとまれば春日井市の処分単価8円/kgよりも処分単価が安くなるケースも出てくるはずです。件の逮捕された業者はなんで行政指導を受けてまでクリーンセンターに持ち込んでいるやら。

有価物と廃棄物

最近の不法投棄等の案件を見ると、単純なものは少なく、巧妙になってきているように思います。
よくあるのが有価偽装。有価物を保管しているだけ、土壌改良剤として利用している等々の主張をするというもの。
当社の関連する食品リサイクルですと、堆肥として販売しているといいつつ、土地を高い値段で借り上げており実質的に畑が安定型処分場になっているという手口です。
ところで、そもそもなぜ廃棄物に関して厳しい規制が行われているのか。
廃棄物は受け入れたときにお金をもらえます。その時にお金と一緒にゴミも引き渡されるわけです。このゴミを捨ててしまえばすぐに儲かるわけです。
逆に、一円でも払って買った場合、そんなに簡単に捨てることはない訳です。木くず裁判とよばれる裁判では、木くずのように一般的に価値があると見なされるものは逆有償でも総合的な判断で有価物として見なすという判例が出ています。
しかし、逆有償である以上、捨ててしまった方が簡単にお金になるわけです。環境省、都道府県が「基本は有価かどうか」で判断するのはこのためです。
同じ理由で、買取価格より運搬費用の方が高く逆有償になっている事例においても、運搬業者と買取業者が別であり、運賃を直接排出元が負担している場合、買取業者は廃棄物処分の許可が不要です。(都道府県によって見解がことなることもありますが)
買取業者はあくまで有価で買い取っているため、これを不法投棄する可能性は低いわけです。
ただ、トータルで逆有償になっている場合、運搬業者から買取業者へ金が流れていることもあります。つまり、実質的に買取業者は買取と言いつつ処分費を取っている状態になっているということです。
こういう事例もあるので、都道府県によってはたとえ運搬業者と買取業者は別であっても逆有償になっていることに関して認めないこともあるようです。
この理屈は養豚業者にもあてはまります。処分費をもらっていると、楽するために捨てる可能性が常に付いているため、受入にあたってそれなりの要件が求められるわけです。