今日は恒例の名古屋大学附属農場での作業でした。よく晴れていましたが風が強くやや肌寒い感じでした。
この圃場の春作はトウモロコシです。5月に定植して7月に収穫です。
以前の記事にも書きましたが、当社の肥料は硫黄分が多いためpHが下がりやすい傾向にあります。ので、今回は石灰の施用量をふやしてあります。
と言う話を恩師にしたところ、「石灰の中和曲線をしらべておきなさい」と言われてしまいました。土壌は緩衝能があり、土壌の種類により緩衝能が変わってくるためどれくらい石灰を入れればpHが上がるかは実際に石灰による緩衝中和曲線を調べてみないとわからないのです。
とはいえ、なんかなか実験をしている暇もないのでハテどうしたものか、どこかに分析委託しようかどうか悩んでいます。学生の頃から先生はいろんな実験を言いつけていたな~と感傷にふけりました。
カテゴリー: 堆肥
飼料穀物生産と肥料コスト
この前、知り合いの稲作農家と話ししていたら、飼料米が話題に上りました。農水省の強力な補助金施策で飼料米作付けが増えています。(余談ですが、今のレベルでお金突っ込んでいたらいくら税金があっても足りなくなるのは自明だと思いますが・・)
その中で、飼料米の生産コスト中に占める肥料代の割合が高い・・という話がありました。具体的にどれくらいなのかちょっと計算してみました。
農林水産省の多収米栽培マニュアルによると、食用米の施肥窒素量は5~6kg/10aに対し、飼料米の場合は9~10kg/10aとなっています。15-15-15の高度化成を使用した場合、食用米の場合施肥量は40kg/10a程度ですが、飼料米の場合70kg弱の施肥量となります。
高度化成の価格は農林水産統計に従うと約3,000円/20kgです。食用米では6,000円/10aに対し、飼料米では1万円/10a程度のコスト負担になります。
一方、売上を比較してみます。食用米が500kg/10a、飼料米が800kg/10aの収量と仮定します。食用米を12,000円/60kgとすると10万円/10aとなります。飼料米が30円/kg、補助金が8万円/10aとすると売上が10万4千円となり、食料米よりも多くなるのですが、肥料代が増える分手取りは変わらないという計算になります。
もともと、米は施肥量が少ないため生産費に占める肥料コストの割合は低いのですが、昨今の肥料コストの高騰によりそれなりの割合を占めており、飼料米ではそれが顕著になると言うことです。
ところが、アメリカのトウモロコシでシミュレーションするともっと飼料コストの割合が高くなります。今のシカゴコーンでは600セント/ブッシェル程度で推移していますが、これは円換算すると20円/kg程度です。デントコーンの反収1トン/10aとすると、売上は10aあたりわずか2万円に過ぎません。デントコーンの施肥量を窒素で15kg/10aとすると、1万5千円が肥料コストとなり売上の3/4を占める計算となります。
アメリカの実情は不勉強のためよくわかりませんが、安価な穀物の生産において肥料コストが占める割合が高いことは間違いありません。これからは畜糞堆肥などの国内資源の重要度が増していくのは確実でしょう。また、世界の穀物相場が高騰している理由の1つに、肥料コストの高騰があることも疑いのない事実です。
日本では100年前まで屎尿が貴重な肥料として価値がある有価物として扱われていました。そんな時代に戻る日もあるかもしれませんね。
有機肥料とpH
最近はエコフィードの話が多かったので、たまには肥料のことも書いてみます。
この前、当社の肥料を使ってもらっている友人から、畑のpHが下がっているという連絡がありました。一般的に、有機肥料はpHが下がりにくいですが、当社の肥料は化成肥料並にpHが下がりやすい傾向があります。名古屋大学附属農場で試験していても、そういう結果が出ています。
当社の肥料は、原料として有機汚泥を利用しています。「汚」泥というと印象が悪いですが、排水処理からできた微生物の菌体を脱水したものです。当社の原料は食品コンビナートからでてきた排水を微生物処理した際に発生したものです。
排水処理では、微生物の菌体が水の中にたくさん泳いでいる状態(活性汚泥と言います)です。これを脱水するのですが、微生物の菌体は粘りがあるので、脱水しにくい状態です。これを脱水機で絞るために凝集剤という薬を使用します。当社の原料はこの凝集剤に硫酸鉄を使っています。詳しい原理は説明が難しいですが、鉄イオンにより電化を中和することにより固まりができやすくなるので水が分離していきます。
で、微生物の菌体と鉄が混ざったものを絞ったのが脱水汚泥となるわけですが、このときに硫酸イオンも一緒に入ってきてしまいます。硫酸イオンは嫌気的条件下では硫化水素や硫化鉄になりますが、好気的条件、つまり堆肥を仕込むと硫酸イオンになります。これがpHを下げる元となります。
一般的な化成肥料では硫安(硫酸アンモニウム)が窒素肥料として利用されています。これが同様にpHを下げる働きをしています。また、有機肥料ではさまざまなタンパク質などの有機物質が含まれており、これが緩衝能を持つためpHが下がりにくいわけです。
当社の肥料はもともと有機肥料の割には有機物含量も少なく、また化成肥料よりも施肥量が多くなりがちなためこのようなことが起きてしまったわけです。これを解消するためには石灰などのアルカリ資材を投入すればいいのですが、土壌によって緩衝能がちがうため、必要な石灰量も異なります。標準的な施用量で反応を見て施用量を調整していく必要があります。
今回の一件から、土壌の分析の必要性を改めて感じました。窒素量などは植物の生育を見ていたらだいたいわかりますが、pHは見ただけではわかりませんし、pHの変化によりそ土壌からのミネラル類の供給量が変わりそこから要素欠乏になったりします。簡単に分析できるので、しっかり測定を行っていくことが重要ですね。
エコフィードと堆肥の関係
年末から煩っていた風邪がようやくだいたい治りました。約10日間、かなりしつこい風邪でした。一番辛かったのは臭いが全くわからなくなっていたこと。食べ物が美味しくなかったです(+_+)
当社では肥料と飼料の製造を行っています。もともと学生自体は農学科の肥料系の研究室を出ていますので、専門は肥料ですが図らずともエサも扱うことになりました。でも、飼料と肥料って似ている部分が結構あります。植物の栄養分と、動物の栄養分という違いはありますが、窒素系の動態が重要なのは同じですし、分析方法も同じものが結構あります。役所の管轄も旧の肥飼料検査所、現在の農林水産消費安全技術センター(FAMIC)です。タンパク質が土壌中で分解してアンモニアや硝酸になっていくように、動物はタンパク質を消化して吸収していきます。そんなこんなで割と取っつきやすかったのは確かです。
ところで、エコフィードは様々なメリットがあるのですが、いくつかの欠点も当然あります。大きな欠点の1つに養豚の場合、堆肥の発酵が悪くなるとことがあげられます。そんな論文とか報告を見たことがあるわけでありませんが、当社のお客様の事例を見ている限り多分間違いないと思います。
エコフィードはパンだったり、お菓子のくずだったり、ジャガイモの皮だったり、小麦粉だったりと熱がかけてあったり粉末になっているものがほとんどです。このため、非常に消化率がよくなります。以前、愛知県の試験場での実験でも糞量がかなり減少していました。
一般的な配合飼料では、トウモロコシが多く、皮などの難消化物は消化吸収できず糞にそのまま出てきます。これらのセルロース、リグニン類が糞に入っていると、発酵の基質として利用され、温度が上がりやすくなります。また、繊維系のものが含まれることにより、堆肥の空隙率が高くなり、発酵されやすくなるわけです。
また、エコフィード利用のためにリキッドフィーディングを採用するケースも多いですが、リキッドフィーディングでは尿量が増えるため、糞に混合されて水分量が上がりやすくなります。このため堆肥の発酵が悪く、尿にも糞が混ざりやすいため浄化槽の調子も悪くなる傾向にあります。
可消化率がよいことは飼料としては良いことなのですが、思わぬ弊害があると言うことですね。エコフィードを扱っていて堆肥の知識が役に立つのは、この2つの分野に携わっていたからだからかなと思います。仕事でこんな風に飼料と肥料が結びつくとは予想外でしたが。
最近、当社では堆肥の発酵促進、水分調整材も販売しています。これは、油分をヤシ殻に吸着させたもので、水分をよく吸い、カロリー源ともなるという優れものです。少し混合すると驚くほど品温が上がります。エサを売るだけではなく、トータルでお客様サポートすることを目標としています。
もちろん、お客様と一緒に三河トコ豚極め隊の活動も継続して実施していますよ。
名古屋大学附属農場での連用試験
今日は恒例の名古屋大学附属農場での作業がありました。30年にわたって連用試験を行っている圃場での収量調査です。当社の肥料も(無理にお願いして)試験区を設けて頂いていますので毎回作業に参加しています。
いつもはさらっと写真を載せるだけなのですが、最近知り合った北海道のリープス鈴木社長のブログが技術的な話も多く勉強になることに感銘を受けたので、私も今後はちょっとだけ詳しく書くようにしてみようかと思います。
名古屋大学附属農場は愛知県の東郷町にあります。名古屋の東部に位置し、一帯は小高い丘がある丘陵地帯です。冬の気温は名古屋よりやや低く、氷点下3度ぐらいまで下がることもあります。夏は逆に名古屋より暑いです。面積はおよそ28haあり、水田、果樹園、温室、畑地、採草地、放牧牧草地と様々な圃場があります。研究のための生産だけではなく、生産物の販売も行っています。私の研究室もこの農場の中にあり、4年生の1年間は毎日通っていました。
連用圃場は同じ肥料を長期間施用することによる影響を見る試験を行っている畑です。当社の実験区の他に、厩肥多用区(20t/10a)、慣行区(厩肥2t/10a+化成肥料)、化成肥料区、無肥区、その他何種類かの試験区があります。この厩肥多用区の施用量は一般的な堆肥施用量の10倍ぐらいのレベルです。
それぞれの区画は1aあり、畝が2つたてられています。畝はマルチされており、それぞれの畝に千鳥で作物(今作はハクサイ)が40本×2列植えてあります。今回はこのハクサイの収量を調査しました。
ぱっと見た感じでも厩肥多用区が一番生育がいいのがわかります。当社の処理区はだいたいその次ぐらい、慣行区よりは良さそうな感じに見えます。
ちなみに、無肥料区は当然ながら非常に生育が悪いです。結球しないのでハクサイに見えません。
生育調査はこの処理区毎に上位20個体をサンプリングし、重量を測定していきます。今回は学生さんを含めて30人ほどで作業を行いました。
生育試験の結果は現在まとめ中ですが、だいたい見た目が外れることはありません。サンプリング方法が割に適当な気がするのですが、いつも同じ傾向になっているところをみると実は適切なサンプリングなのかもしれないと感心します。
生育調査した後の土壌を見ると、処理区毎に見た目や触感に大きな差があることがわかります。
一番手前が厩肥多用区ですが、色が濃いのがわかりますか?歩くとふかふかになっているのに驚きます。もともと粘土が多い黄色い土なのですが、ほとんど黒ボク土のようになっています。もう少し拡大してみると・・
これが厩肥多用区。いかにも”団粒が形成されている土”といった感じです。
ちょっとわかりにくいですが、化成肥料区は色も黄色く粘土鉱物がそのまま残っている感じです。
そして、当社の肥料の処理区は
見た目は厩肥多用区と化成肥料区の中間ぐらいの感じです。分析すると有機物の量が本当に中間なので、見た目に違わないですね。ちなみに、白いのはハクサイの細根です。当社の処理区は実験開始して4年目ですが、割と差が出てきました。
にしても、やはり肥料は長期間連用してみないと結果が出ないですね。
収量調査の後は収穫したハクサイで鍋です。このとき、大学の先生方といろいろお話しするのが非常に勉強になります。
やっぱり、土壌肥料の世界は奥が深いですね。
おまけ:農場の牛(黒毛和牛)です。牛の舌って伸びるんですよね~。私が学生の頃(もう15年以上前!)は乳牛を飼っていて搾乳もしていたのですが、今は肉牛だけです。
最後になりましたが、今日の作業にお付き合い頂いた三河ミクロン渡辺さん、いつもありがとうございます。多謝。
自然農法と肥料
最近、有機農業カルチャースクールの講師をしたりする機会もあり、様々な有機栽培についてお話を聞いたり、見学したりすることが多くありました。
有機栽培といっても幅広くあり、二つとして同じ方法がないです。JASの有機認定をとっているかどうかもありますが、有機認定をとっていなくても有機肥料を活用して栽培されている農家もたくさんあります。有機肥料も堆肥主体だったり、ぼかしを活用したり、微生物資材を多用したりと幅が広いです。また、最近は有機栽培だけではなく、自然農法をしている農家も多くなってきています。
自然農法といってもこれもまた幅が広く、不耕起無施肥からある程度耕起する農業までいろいろあります。でも、肥料が専攻の身としては自然農法には否定的な立場です。一言で言うと、「別に肥料をやってもいいじゃないか、耕したっていいじゃないか」というのが私の主張です。
現代の日本は飽食の時代であり、食べ物はそこら中にあふれています。しかし、人類の歴史をひもとくと、畑を耕し肥料をやることによって生産力が増え、これだけの世界の人口を養うことができるようになってきたわけです。農機具が鉄器になり収量が増え、メソポタミアやエジプトでは川の氾濫で肥料が供給されてきました。
今でも多くの発展途上国では肥料が足りないため食料の生産性が低い状態です。そんななかで、肥料をやらず生産量が低いレベルになっているのは、豊かな日本の傲慢であるような気がしてなりません。
基本的には農業、施肥は物質収支の考え方で成り立っています。収穫物を持ち出しているわけですので、その分の元素を補給しなければ必ず足りなくなります。もちろん、雨や大気から補給できる元素もありますが、物質収支がマイナスでしたら何時かは必ず不足します。だから、私は「奇跡の○○」ものは信用できません。無肥料栽培であっても継続的に収量が確保できている場合、かならず何らかの形で補給されているわけであり、「常識外れ」であっても「奇跡」はありえないです。イエスキリストでもなんでも、無から有は生まれませんので。
もっとも、自然栽培であっても結構落ち葉や草を耕地へ投入している場合もあります。草や落ち葉は立派な肥料です。肥料はなんぞやというところから始めなければ自然栽培の是非を問うこともできないわけですが。
愛知県田原市に野田村というところがあります。江戸時代にここで肥料を巡って紛争がありました。隣の赤羽根村と山の入会地の所有権を巡って争ったというものですが、これは入会地の草をとりあっていたのです。肥料の供給が限られていた江戸時代では草や柴であっても非常に重要な資源であり、流血の事態になるほどだったわけです。かってはそこまで求められていた肥料を否定するのはどうも納得がいかないところです。
参考ページ:http://roadsite.road.jp/history/soudou/soudou-tahara.html
もちろん、限りある資源である肥料を過剰使用したり浪費することは好ましくないのは言うまでもありませんが、現代日本では循環資源となる廃棄物がたくさんあります。こういった資源を有効活用することは環境保全にもつながりますし、コストも抑えることができます。
ま、こういう主張は当社の仕事が肥料を作っている・・という一面もありますが、それ以前に農学部の血が騒ぐという面も無きにしも非ずです。また、肥料を使って立派に育てた作物は自然栽培の作物とくらべて遜色ないどころか、美味しいと思いますし。
愛知県の気候と野菜の栽培
今日は実家のそばで当社の肥料の実験を行っている圃場へ行ってきました。今日は寒い1日でしたが、風があまりなかったのが幸いです。
エンドウです。ちょうどいい大きさに育っています。
今年からこの実家のそばの長久手町と会社の近所のベジモ愛知の畑の片隅の2箇所で実験を行っているのですが、同じ苗を同じ時期に植えてもかなり生育に違いがあることに驚きました。
そら豆は長久手ではちょうどいい大きさになりましたが、豊川ではやや大きく育ちすぎています。そら豆はあまり大きくなると冬の霜でやられてしまいます。それだけではなく、豊川ではアブラムシが大量についているのですが、長久手ではほとんどアブラムシがいません。
コールラビは豊川では収穫時期を迎えてぜんぶ穫りましたが、長久手ではまだまだ収穫まで至りません。
ブロッコリーは豊川ではすでに花序が育ちつつありますが、長久手ではまったく影が見当たりません。
これらの原因は色々あるのでしょうが、一番大きな要因として同じ愛知県でも尾張の奥と東三河では相当気候が違うことが原因と思われます。当たり前ですが、農業はその地域の気候をよく見極めて栽培を行う必要があると言うことがわかりました。生き物相手ってホントに奥が深いですね。
土壌肥料と物質循環
昨日はベジモ主催の有機農業カルチャースクールで講師をしてきました。今回のテーマはずばり「肥料について」です。でも、「キャベツには肥料を何kgやる」と言う話ではなく、施肥設計と物質循環について話をしてきました。
物質循環というのは、広義には地球上で元素が循環していく状況ですが、土壌肥料的には耕地における元素の循環を示しています。
たとえば、耕地には施肥、用水、空気などからさまざまな窒素化合物が供給されています。空気中の窒素は窒素固定能がある藍藻やマメ科植物によって耕地に供給され、用水からは硝酸態窒素やアンモニア態窒素が供給されます。供給された窒素は作物に吸収され、利用されなかった窒素は流出したり耕地に蓄積したりします。こういった一連の流れを物質循環といい、土壌肥料の分野ではこの収支をよく調査します。収支というのは、供給された窒素がどれくらい作物に吸収されているかということです。
愛知県施肥基準より抜粋
施肥するということは、外部に持ち出した元素を補給するというプロセスです。必要な施肥量は土壌や環境によって大きく変わりますので、具体的な数値よりも考え方が重要かと思ってこういう話をしましたが、ちょっと難しかったかもしれません。
最近はわかりやすさが求められる時代、「キャベツには牛ふん反あたり○○トン」って言う話の方が受けが良かったかもしれないですね。でも、考え方が理解できていなければ応用もできません。意外に長くやっている農家でも基本的な施肥設計ができていないケースをよく見ますので、カルチャースクールの生徒さんはそうならないようにして欲しい・・という思いで話をしました。思いだけでも伝わっているといいのですが・・。
大根の種の自家採種
今日は実家の近くで借りている実験圃場(貸し農園)へ行ってきました。ブロッコリー、コールラビの定植と、春菊の種播きです。
ブロッコリーほかは寒冷紗をかけています。無農薬でこの時期定植するとあっという間に虫に食べられて何も残りませんので、寒冷紗は必須です。
今日は大根の間引きをしました。その時に驚きの発見がありました。今回、大根は聖護院大根を播きました。いや、聖護院大根を播いたつもりだったのですが、間引きしてみるとびっくり、聖護院大根じゃない大根になっていました。
実は、今回の種は自家採種したものを使っています。大根などのアブラナ科は自家採種すると交雑しやすくて難しいと言う話は聞いていたのですが、まあものは試しにと自家採取してみた所ものの見事に交雑しています。あまりに見事なので逆に感心しました。
写真を見てもらうとわかるように、全く聖護院大根でなくなっているだけではなく、3本それぞれが違う形をしています。特徴的なのは、どれもちゃんと大根だと言うことです。葉っぱもみんな大根の形をしていますので、どうも交雑するのは大根同士のようですね。貸し農園と言うことで、まわりにいろんな大根が植わっているので交雑したものと思います。
また、聖護院大根っぽいものが無いところを見ると、聖護院大根の特徴の遺伝的形質は劣性遺伝なのかもしれませんね。
とりあえず聖護院大根は食べられそうにないですが、おもしろい大根ができそうなので収穫がちょっと楽しみです。こういう結果もなにごともとりあえずやってみるという性格所以ですね。
名大農場での白菜定植
先日の台風はそれほどの被害もなくなんとか過ぎ去りました。今年は台風の当たり年ですね。
昨日は実験をお願いしている名古屋大学附属農場での白菜定植作業でした。
まずは作業内容の説明です。ちなみに、学生20人強、教官その他10名強といった面子です。学生は非常に軽装でクロックスにレギンスという格好の女の子も。そんな格好で畑耕すんですか・・。
こちらが試験圃場です。各処理区は2畝で面積は0.5aです。30年ほど実験を続けていますので、処理区毎に土壌の色が違ってきています。
ここにマルチを貼って白菜を定植します。
定植を行った後はスプリンクラーで灌水を行います。ちなみに白菜の苗は播種後2週間のものを使用しているとのこと。ずいぶん小さい苗を使うのですね。
当社の「ゆうきのススメ」処理区はまだ3年ほど実験を続けているだけなので、まだまだ土壌改良が進んでいません。それでも化成肥料の実験区よりは良好な結果となっています。30年厩肥を多量施肥した処理区は土がふかふかです。土壌に有機物を施用する意味がよくわかる実験ですね~。