豚肉の消費拡大運動

ようやく冬らしくなってきた東三河です。今日は実は誕生日でしたので夕食はささやかにステーキでした。といっても、牛肉ではなくポークステーキです。当社の取り扱い飼料はほとんどが豚向けですので、豚肉の消費拡大に貢献すべく豚肉を積極的に食べることにしています。
実は、これは当社のお客様の群類畜産さんから「国産、輸入を問わず豚肉を食べて消費を拡大していくことが重要」と教えられて以来実践しています。
飼料を扱うようになり、豚肉を食べる機会が増えて豚肉の調理の腕が上がった気がします。豚肉を美味しく食べるポイントは、火を通しすぎないことです。そのためには料理前に室温に戻しておいたほうがいいです。
 
Imgp5425
今回の肉も実はお客様の豚ではなく、あいち経済連の銘柄豚「みかわポーク」を使っています。みかわポークは配合飼料を食べさせた豚の中では美味しい方だと思います。今回は河合果樹園さんのレモネーディアとオリーブオイルでマリネして、ソースもマリネ液とワインを煮詰めて使っています。
つけ合わせでタマネギとコールラビをかるくソテーしたものを添えていますが、コールラビは実験農場で収穫したものです。コールラビはしっかりと火を通した方が美味しいですね。おなじく実験農場で収穫したニンジンもマリネして添えてあります。
料理は好きですが、適当なレシピだと美味しくできますがきちんとレシピに沿って作るのは苦手です。性格が適当だからかもしれません。
 
ところで、最近黒毛和牛の肥育屋さんから引き合いを頂いています。取引が始まったら、先の理屈で言うと黒毛和牛をもりもり食べなければと言うことになるのでしょうが、財力的にちょっと厳しいですね ^^;

ベンチャー企業のススメ

今日も出張しています。神奈川のホテルでこれを書いています。最近、出張中ぐらいしかブログを書く時間が取れなくなってきています。仕事のやりくりが下手な上にそそっかしいせいで要らない仕事を増やしているのが原因だと思いますが・・。

12月末は当社の決算です。早いもので起業してから7年経ちます。これまでのことを思うと本当に走馬燈のようにいままでの出来事が脳裏をよぎります。ハッキリ言ってまだまだ経営的にはよちよち歩きですが、それでも何とか今年一年過ごすことができたのもいろいろ応援して頂いているお客様、皆様のおかげと感謝しています。

いろいろ苦労もありましたが、独立して会社経営をしてきたことは後悔していません。ベンチャー企業の社長は想像以上に面白いです。どんなところが面白いかというと・・。

1.決裁権がある。当たり前ですがオウンリスクであらゆることを決められます・・というか、決めなければ行けません。お金がないのでなんでも好きにできるわけではありませんが。

2.人脈が広がる。社長の知り合いがたくさんできます。高い志を持った経営者とつきあうことができるのは役得です。

3.経営の勉強ができる。自分の営業1つで決算書の数字が変わってきますので、営業~売上~決算までの流れがすべてわかります。

4.知らなかった世界がある。新しい分野の仕事をしていくと日々知らないことと出会えます。新しいことを知ることは本当に楽しいです。乏しい脳内メモリーのため、新しいことを覚えた分大事なことを忘れていくような気もしていますがww

 

ただ、欠点としては不安定な将来と収入なのは言うまでもありません。将来のことを考えると、まだまだ枕を高くして寝ることはできませんね。

学生時代の友人と飲んでいたりすると、「おまえの会社で働かせてよ」みたいなことよく言われますが、一部上場企業に勤務して妻子ローン持ちの人間を引き込むほどの状態にはとても至りません。いろんな会社がつぶれる時代ですが、それでも上場企業と零細ベンチャーは比較になりません。でも、大きな会社にない喜びが詰まっているのも確かです。興味がある人は一歩踏み出してみると、新しい世界が広がっているかもしれませんよ。と、無責任に煽ってみたりして ^^;

日本人の栄養バランス

30代も半ばを過ぎて太りやすくなってきたので食べるものにはかなり気をつけています。1日の摂取カロリーがだいたい2000kcalぐらいになるようにしていますが、それでもこの頃飲みに行く機会が多くてどうしてもカロリー摂取量が増え気味です。結果は如実に体に出ますね。
エコフィードを取り扱ってる業界の人間が集まると、日本人の食べているものは脂肪が多すぎだと言う話題がよく出ます。豚は消化器や代謝が人間と割とよく似ているのですが、脂肪が多い飼料を与えてぶよぶよになった豚を見ると(当社のお客様のところではまず見ないですが)恐ろしくなりますね。
太るのが嫌と言うこともあるのですが、零細企業なので私の健康は会社の将来に対する最大のリスクだと思っていますので健康には気を遣っています。リスクを最小化するため、人生のクオリティーを上げるために食生活のバランスは重視しています。前述の摂取カロリーもですが、夕食は一汁三菜を守り、1日30品目の食品を取ることを目指しています。
統計的にはガンの発病には食生活のバランスが非常に寄与していることが知られています。栄養バランスと適度な飲酒量、たばこを吸わないことは健康維持の第一歩です。
 
いつも不思議に思うのは、放射能を気にしている人は非常に多いにもかかわらず、食生活のバランスを気にしている人は驚くほど少ないと言うことです。栄養バランスの重要性は小学校の時の家庭科でも習うと思うのですが・・。確率論から言うと今のレベルの放射能汚染なんてタバコや暴飲暴食に比べれば非常に矮小です。太っている人が放射能汚染を気にしているのは、飛行機事故が嫌で車に乗って事故に遭うようなものです。
また、食品添加物を問題にする人も多いですが、少なくとも健康に悪影響が出るということが公的に認められたものは食品添加物に使用できませんので、健康に悪影響がでると認められている栄養バランスの乱れの方が影響は間違いなく大きいわけです。
矛盾するようですが、私は食品を購入するときにできるだけ添加物の入っていないものを避けています。添加物の影響を気にしているのではなく、添加物の多い食品は味が濃かったり油が多かったりするものが多く栄養バランスがよくないことが多いこと、また、そういった食品はなによりも美味しくないことが多いからです。いい素材を使ってしっかり調味したものはシンプルな材料でおいしい食品になります。
生活の上でリスクはできるだけ低減する必要はありますが、最大のリスクからやっつけていかなければ意味がありません。品質管理、マーケティングなどではABC分析と言われる重点項目の洗い出しが行われますが、生活においてもリスクの重要度に応じて対策を行うことが必要ではないかと思います。
栄養バランスのよい食事って、食べても美味しいですよ。

菌の話

展示会に肥料を出展していると時々「なにか菌を使っているのか?」聞かれます。当社では○○菌と言うものは特に使用せずに肥料を作っていますが、世間では特定の菌を使用していることを謳っていることがよくあります。ただ、微生物を長く取り扱ってきた経験からすると、堆肥とか排水処理において特定の菌を入れたからと行って肥料の品質が上がったり製造が簡単になったりすることは考えにくいです。
排水処理槽や堆肥の中にはもともと膨大な量の微生物が生きています。そのなかに別の菌を投入しても環境が合わなければ増えることができません。例えば、木が生い茂った森に野菜の種を播いても野菜は増えることはありません。野菜を育てるためには森の木を切って草を抜かなければ育ちませんが、これは菌の世界でも同じです。ある菌を増やそうと思うと他の菌がいない状態にする必要があるわけです。
たとえば、酒造りや納豆、ヨーグルトなどの発酵食品を作るときには一旦加熱などを行い他の菌がいない状態にしなければ発酵は進みません。例えば、納豆では大豆は蒸し上げてワラもお湯に浸します。ワラにはたくさんの菌がいるのですが、納豆菌(バチルスナットウ)は熱に強いため生き残り、他の菌が死滅した状態となります。納豆菌は拮抗作用を持つと言われており、納豆菌が一旦増え出すと他の菌が増えにくい状態となります。このため納豆菌だけ増殖するのですが、腐った大豆(他の菌が多い状態)に納豆菌を入れても納豆にはなりません。バチルスの強力な作用はよく知られているので、微生物製剤としてのバチルス菌は多いのですが、堆肥にバチルスを接種するのは腐った大豆を納豆にしようとするようなものです。
排水処理や堆肥ではコスト的に滅菌処理はできません。リサイクル飼料製造では滅菌処理をするケースもありますが、そういったケースでは菌の投入は有効と言えると思います。
ただ、大量の菌体を継続して投入すれば効果はある可能性があります。例えば液状飼料の製造時、パン生地を大量に投入するとパン生地中の酵母が作用し一気に発酵することもあります。でも、このようなことは相当大量の菌を投入しなければ起こらないです。 
セミナーなどでよく例としてお話しするのに、「おばあさんのぬか床」があります。おばあさんのぬか床は漬物を美味しくする菌がたくさん入っているのですが、それをもらってきて新しい糠と混ぜてぬか床を作っても、毎日かき混ぜなければ美味しいぬか漬けはできません。一旦ぬか床をもらってきて混ぜれば後は管理が問題であり、たとえば毎日おばあさんのぬか床を混ぜても管理が悪ければ美味しいぬか漬けはできないわけです。つまり、「この菌を混ぜればどんな原料でも切り返しをしなくてもよい堆肥ができる」ということはあり得ないわけです。逆に、一旦よい菌が増えればできた製品を種菌として繰り返し利用すればいいだけの話です。
 
「いやいや、微生物製剤が効いたよ」と言われる方もあるかもしれません。でも、そういうケースの中には微生物が効いたのではなく、製剤に入っているぬかや糖蜜が栄養分として効いているのではないかと思われるケースも多いです。
私が一番疑問に思うのは、微生物製剤を販売してる業者が検証を行っていないことがほとんどだと言うことです。例えば堆肥に微生物製剤を入れたのでしたら、製剤を入れる前と後で堆肥に含まれる微生物製剤の菌が増えているかどうかを検証するべきだと思います。きちんと対照試験を行ったり菌の分析を行わず、結果だけ示して「すごくよくなった」と言うケースが多いように思います。
結果さえよければいい・・という考え方もあるのかもしれませんが、微生物がきちんと効いているかどうか確認していないために効果の再現性が無かったりするわけです。前職で排水処理メーカーに勤務していた時には本当に頻繁に微生物製剤の売り込みがあったのですが、業界で安定した技術として継続的に採用された例は残念ながら知りません。
当社のお客様の農家でも「○○菌」を肥料や飼料に利用しているケースがたくさんあります。あまりお客様の批判をするようなことはしたくないのですが、技術屋としてはちょっと科学的に疑問なことがまかり通っているのは我慢できないのでかきつくりました。皆さんの理解の一助となれば幸いです。

TPPについて考える

世間で話題のTPPですが、農業に関連する仕事に携わる身としてやはり触れておかなければいけないだろうと思い書かせて頂きます。
 

Imgp2908
そもそも自分はTPPに賛成か反対かどちらかというと、今の時点ではよくわからないというのが正直なところです。いろいろな報道、資料を見てみても、TPP参加のメリットがよく見えてこないのは確かです。メリットが無ければ参加する意義もないわけですので、そういう意味では反対に近いスタンスと言えるかもしれません。
ただ、農業団体を中心としたTPP反対の議論には同調しかねます。現在の日本の農業が衰退の方向へ向かっているのは間違いない事実です。農業人口の減少、高齢化、耕作放棄地の増加等々、様々な問題がありますが、そういった問題について手をこまねいてきたにもかかわらず、TPPに反対するというのは理屈に合わないです。TPPに参加しなかったら日本の農業にバラ色の未来が来るのか・・というと、従来のやり方を続けていたらTPP参加してもしなくても日本の農業はダメになってしまうでしょう。
 
そもそもグローバリゼーションの波はあらゆる分野に押し寄せてきて農業も例外ではありません。肥料や飼料は海外に依存していますし、エネルギーにかんしても言わずもがなです。
 
TPPの影響を非常に大きく受ける分野の1つとして養豚があります。豚肉は関税率が高いため、その撤廃の影響は大きいです。関税が撤廃されたらアメリカ産の豚肉がたくさん流入してくるのは間違いないでしょう。でも、養豚の生産原価の6割は飼料費であり、その飼料原料のほとんどがアメリカ産のトウモロコシと大豆です。つまり、付加価値率が非常に低い畜産、言い換えると飼料を肉に変換しているような畜産で飼料に関税がかからず肉に関税がかかっているためにかろうじて成立しているのが日本の養豚業界であるわけです。
当社もお客様の養豚農家の事業継続を何よりも願っていますが、それはそうとこのようなビジネスモデルである養豚を未来永劫続けることができるとは思えないです。アメリカ産の輸入穀物に依存している以上、お釈迦様の手のひらで踊っているにすぎないわけですから。
グローバリゼーションの波はよけられないので、波を一生懸命防ぐのではなく、どうやったら関税に依存しない、輸入穀物に依存しない、そしてエネルギーに依存しない農業をやっていけるかを考えていく必要があるかと思います。そもそも、完全に自由化されても穀物も飼料も輸入できない時代が目の前に迫ってきているのに自由化阻止もへったくれもありませんので・・。
 
この前、こんなレポートを見かけました。
大和総研 農業復活は価格補助金のばら撒きで可能に
ちょっと強引なロジックもあり全面的に賛成できるわけではないですが、大事なのはグローバル化した世の中でどうやって産業としての農業の競争力を高めていくかについて議論していくかが大事ではないでしょうか。こう言った提言があって始めてTPPについて反対することができるのだと思いますね。

展示会つづき

今週はちょっと忙しかったです。金、土、日と展示会続きでした。ちょっと眠いです。
昔は8時間睡眠とらないと耐えられない人でしたが、最近は6時間睡眠でも平気になりました。でも、さっき行きつけのほしの珈琲へ行ってマスターと話していたら1日の睡眠時間平均4時間って聞いて驚愕しました。自分はまだまだ寝過ぎなのかな~。

金曜日の展示会はポートメッセ名古屋で行われたしんきんビジネス交流会というものです。東海地区の信金顧客の中小企業による展示会です。完全にBtoBに絞った展示会のなので来客の客層がよくいい展示会でした。当社、堆肥を一般消費者にも販売していますが、原料の仕入、飼料肥料の販売ともほとんどが業務向けなので一般消費者が多い展示会だとちょっと・・・。

Ca3i0056

展示会もいろいろ出しましたが、当たり前ですが展示会によって客層も全く違いますし集客もかなり違います。今後は効果を見極めて出展しようと思います。

農業とITリテラシー

男もすなる日記といふものを・・ではありませんが、最近Twitterに加えてフェイスブックも始めました。フェイスブックはさすがに良くできていますね。ただ、思ったより知り合いがいません。もともと友人が少ない[E:sweat02]というのもありますが、知り合いがアカウントを持っていないと言うケースも多いようです。以前にも書きましたが、廃棄物業界に限らず中小企業はITリテラシーが低い企業が多いと思います。もっとうまく活用できれば様々な効果を生むのにと思います。

中小企業だけではなく、農家でもIT化が遅れています。ただ、私は植物工場みたいなのには少々懐疑的な立場です。センシングと制御も無駄ではないですが、それ以前の問題で農家の場合データの記録と収支管理ができていないケースが多いです。

たとえば、農家の多くは複数の圃場を持っていますが、それぞれの圃場毎の収支を取っているケースはまれです。それぞれの圃場での反収、施肥量、農薬使用量、売上等々を管理していくことは次年度の改善につながります。農業の一番難しいところは(作物によっては)1年に一回しか収穫できません。その一回のデータを次に繋げていくことが重要ですので、きちんと比較を行っていくことが大事です。

 

当社も肥料を販売していますが、なかなか使用してもらうまでには時間がかかります。一畝でも試験をしてもらえばどれくらいの効果があるかわかるのですが、そういった試験をしてもらうことが難しいです。いきなり1反施肥して、効果がよくわからないからと2年目がない・・そんなことがよくあります。試験をするときは対照区をきちんと置くことが重要です。

普及員の人も営農指導として「試験の仕方」「データ整理の仕方」みたいなことを実施した方がいいのではないかと思う今日この頃です。

畜産農家の経営スタイル

というわけで、北海道へ行ってきました。スキーしに行ったことはあったのですが、しっかり仕事して来たのは今回が初めてで、とても充実した出張でした。充実しすぎて少々お疲れモードです・・。ちなみに、昨日自宅に着いたのは夜の11時半でした。

 

今回は食品工場、畜産農家、リサイクルプラント等々様々な場所を見学、営業してきたのですが、その中でも特に畜産農家の経営について印象に残りました。北海道の畜産、特に酪農は都府県とはだいぶ違います。愛知県では酪農家でもほとんど牧草をつくっておらず、ほぼ輸入された牧草と配合飼料を使っています。このため、売上に対する飼料コストの比率が高いです。北海道では粗飼料はおおむね自給されており、配合飼料の使用量も圧倒的に少ないです。つまり、売上に対する飼料コストがかなり低いです。

もちろん、配合飼料の使用量が少ないので乳量も少ないですし、北海道は乳価が安いという違いがあります。ただ、個人的には大量の高価な飼料を購入し、売上も多いというスタイルは今後は難しくなってきていると思います。今後もトウモロコシの価格(=配合飼料)が今以上に上がっていくのは間違いないですので・・。

農業って、本来は作物や家畜を育てて付加価値を産むものだと思うのですが、今の都府県の畜産では飼料が畜産物に変換されるプロセスのように感じてしまいます。付加価値率が著しく低い「農業」に違和感を感じますね。付加価値率が低いので規模を拡大せざる得ないわけです。億単位で売上がないと家族経営ですら成り立たないというのが実体です。利益率から言うとほとんど商社並です。

また、北海道では配合飼料の価格もかなり高いように思いました。もちろん農家によってはだいぶ違うようですが。ただ、配合飼料の使用割合が低いので影響が少ないように思われます。愛知県の養豚農家を回っていても相当配合飼料の購入価格にバラツキがありますが、養豚農家や養鶏農家の場合、飼料コストの比率が非常に高いので配合飼料の購入価格が高くなるのは致命的です。

養豚、養鶏農家の場合、豚や鶏をいかに上手に飼うかというよりも、実は「エサ屋と交渉していかに飼料コストを低減するか」ということのほうが経営に寄与する場合も多いです。もちろん、あまりに成績が悪ければ問題ですが、逆にいくら飼育が上手でも購買コストを抑えられない場合、経営が立ちゆかなくなることもままあります。こういう面からも、今の畜産がいかに商社的であるかがわかるかと思います。

 

これからの農業は購入資材のコストがますます高騰すると思います。エコフィードやリサイクル堆肥だけがその解決策ではなく、農業従事者たるもの外部に落ちる金をどうしたら少なくできるかを考えなければいけない時期に来ているのだと思います。今までは農業も安い資源を大量に浪費してきたことを反省しなければいけないのではないかと思いますね。

カビの話

たまには趣向を変えたネタをと思いまして、カビについて語ってみたいと思います。

エコフィードだけではなく、飼料を取り扱っていると「カビ」は結構大きな問題です。配合飼料の主原料は輸入されたトウモロコシですが、トウモロコシはカビが生えやすいのです。カビぐらいと侮る無かれ、カビ毒(マイコトキシン)はかなり毒性が強く、マイコトキシンの1つであるアフラトキシンは発がん性が非常に高く、また急性毒性もあります。フモニシンやゼアラノンはトウモロコシに発生し、家畜の流産の原因になったり消化器、呼吸器系に影響を与えます。

というわけで、怖いカビですが、カビ胞子の付着を抑えるのは非常に困難です。というのも、カビの胞子というのはそこらじゅうに飛んでいるんです。1mあたり数百個ぐらい飛んでいるわけですので、ちょっとカビやすいものを置いておいたらあっという間に胞子が付着してしまいます。

カビが生えないようにするにはどうしたらいいかというと、基本的にはカビが生えない条件にしてやるのが一番です。水分がある程度以下になればカビは生えませんので、乾燥するのが一番のカビ対策です。ところが、小麦粉などは吸湿しやすいため、梅雨時などは湿気を吸ってカビが生えるなんてことも良くあります。密閉容器に保管することが重要です。

また、カビはアルコールがあると増殖が抑えられます。カビの胞子が例え付着してもカビが増えません。酒粕などは密閉せずにおいておくとあっという間にカビが生えますが、密閉しておくとアルコールが効いて1年でも2年でもカビが生えません。コンビニで売っているバームクーヘン、常温でもカビが生えないのはアルコール製剤というものがパッケージの中に入っているからです。よくシリカゲルと勘違いしている人がいますが、乾燥させると味に影響があり、また相当に乾燥させなければカビは抑えられないのでシリカゲルは使えません。アルコール製剤とはエタノールを吸着させてある薬剤で、徐々にアルコールが放出されるようにできています。

 

山崎パンはなぜカビないか という本があります。この本では山崎パンでは「臭素酸カリウム」を使用しているからカビが生えないという結論となっていますが、微生物学的にみてナンセンスです。

臭素酸カリウムぐらいでカビが抑えられるなら食品工場の人は苦労しませんし、そもそも検出されない程度の添加物でカビが抑制できるはずもないです。それぐらいカビは強力です。また、もし臭素酸カリウムによりカビが抑制できるというなら、きちんと対照実験を行うべきです。臭素酸カリウムを添加したもの、そうでない物を用意して、どちらにカビが生えるか比較実験を行うべきでしょう。おそらく全く違いは出ないと思います。

 

大手の食品メーカーがつくったパンや菓子類はカビが生えにくいのは確かですが、それは衛生管理の違いによるものが大きいです。パンも釜から出てきたときには無菌です。その後のプロセスでカビの胞子が付着するわけです。大手メーカーは町工場と衛生管理が全く違います。外気はフィルターでろ過してから工場内に導入されますし、窯から出てきたパンはロボットが袋詰めを行います。早い話がクリーンルーム(に近い)でパンを作ればカビが生えるなんてことは無いわけです。

とはいえ、私は山崎のパンはあまり嗜好に合わないのでほとんど買うことはありませんが(^_^)

 

えらそうなことをつらつら書いていますが、学生実験での微生物実験の時に自分の班だけコンタミしてシャーレがカビだらけになっていました ^^; クリーンベンチでも取り扱いが悪ければカビが生えるものですね。