世間ではゴールデンウイークなるものがあったようですが、当社は祝日は原則出勤のため通常通りの業務でした。しかし、世間は連休で予定が無かったので、これはいい機会だと思いお客様の養豚農家のところで3日間実習を受けてきました。
1日目はGP農場へ。ここは母豚を生産する農場です。農場を回ってエサやりや掃除をしました。母豚を生産するだけで規模が小さいので全体の流れがよくわかりました。
2日目は繁殖農場へ。ここでは母豚に人工授精をして種付けをし、生まれた子豚を30kgまで飼います。人工授精の様子や出産の介助、生まれた子豚の管理等々を行います。素人が手出しできる部分はすくないので、後ろをついて回っただけでしたが、すごく勉強になりました。
3日目は肥育農場でのエサの製造。この農場ではエコフィードをつかったリキッドフィーディングが導入されています。実際にエサを混ぜて溶かす作業を行いました。
はっきり言ってあまり役に立たず、足手まといな感じだったことは否定できません。ご迷惑をおかけして申し訳なかったと思います。
私にとっては知らなかったことがたくさんあり、すごく勉強になりました。やっぱりものを売るのにお客様のことをよく知らなければいけないと思います。特に畜産の世界は奥が深いので、今回のように実際に農場の中に入ってみないと理解できないこともたくさんあります。
養豚農家は非常に細かく現場を観察する必要があること、また計算しながらやらなければいけないことが多いことがよくわかりました。頭が悪いとできない仕事ですね。
というわけで、連休が有意義に過ごせてよかったです。でも、久しぶりに早起きして現場にずっといたのでちょっと疲れました・・。
カテゴリー: 養豚
亜硝酸塩とボツリヌス菌
金曜日、土曜日と飯田のお客様のところへ行って来ました。エコフィードを使って頂いている養豚農家です。豚舎も見せて頂きましたが、豚たちの状態も良さそうで嬉しい限りです。使ってよかったと言われると嬉しいですね。
帰りに三河トコ豚極め隊が豊根村の廃校で作っている生ハムの点検をしてきました。
少しカビが生えてきています。カビが生えるのは正常だそうです。生ハムっぽい臭いになってきました。できあがりまで後半年、楽しみです。
ところで、今回の生ハムは完全に塩だけ使っています。海外の生ハムも、原料は豚肉と塩だけというものが多いですが、一部の生ハムは発色剤(亜硝酸塩)を使用しているものもあります。
「買ってはいけない」系の本には、亜硝酸塩は発がん性物質としてあげられていますが、なぜ発色剤を使用するのでしょうか?生ハムはそもそも熟成させる内に色が濃くなってくるので、発色剤なんて必要ないようにも思えます。
実は、発色剤として使われる亜硝酸塩には殺菌作用があるのです。
ボツリヌス菌という強力な食中毒原因菌があります。30年ぐらい前に辛子蓮根による食中毒事件がありましたが、あの原因菌です。(子供心に大騒ぎだったことを覚えています)この菌による食中毒が硝石という天然鉱物を添加することによって防ぐことが見いだされ、使用されるようになったのです。硝石というのは火薬の原料にもなる硝酸カリウムを主体とした鉱物です。硝酸カリウムすなわち硝酸塩というわけです。岩塩にも硝酸塩が含まれるものがありますので、岩塩を使用することによっても殺菌効果が得られます。
ハムソーセージ製造業の方に聞いたのですが、亜硝酸塩を添加することによってボツリヌス菌だけではなく、その他の細菌の繁殖を抑える効果があるそうです。
このような効果のため、ドイツではソーセージに亜硝酸塩を添加することが義務づけられています。日本でもだいたい発色剤添加のものの方が主流ですが、最近は無添加にするために「無塩せき」のハムソーセージが増えてきています。無塩せきというのは、亜硝酸塩を添加していないもののことです。
私は添加物は少ない方がいいと思い普段はなるべく低添加のものを購入するようにしていますし、合成着色料は無用なものだと思っていますが、発色剤は安全性を考えると使用した方がいいと思います。最近は衛生管理がよくなってきているので食中毒は少なくなってきていますが、発がん性の増加と食中毒のリスク、比較すると食中毒のリスクの方が大きいと判断します。そもそも、亜硝酸塩の発がん性はWHOなどの機関で認められているわけではありませんし。
私が常々おかしく思うのは、亜硝酸塩(発色剤)と書いてあると非常に危険なもののように受け止め、岩塩とかいてあると安心すると言う点です。天然物でも合成したもの化学式が同じなら同じ物質で、どちらも入っているのは同じ硝酸塩でも、印象だけで判断する人が多すぎることです。また、キャベツやホウレンソウなどの青菜にはハムソーセージ以上にたくさん硝酸塩が含まれています。
無添加を目指すことは否定しませんが、うわべだけの安心でいいのかなと疑問に思う次第です。
生ハム作り
今日はようやく12月らしい陽気の東三河でした。この寒さを活かして、三河トコ豚極め隊では豊根村の廃校をお借りして生ハムを作っています。
生ハム作りにはいくつかの目的があります。
1.生ハムを通じて情報発信を行い、三河地区豚肉のブランド化に繋げていく
2.生ハムを作ることにより加工食品のラインナップを拡充する。
3.余剰になりがちなもも肉の利用を拡大する。
4.三河地区中山間部の村おこしに繋げていく
等々です。
3に関しては以前書きましたが、もも肉はあまり人気がありません。個人的にはもも肉は調理方法次第ではとても美味しいと思います。
生ハムの作り方はとてもシンプルです。肉を塩漬けにし、塩抜きをして塩分濃度の調整を行います。それを冬場に吊し始めそのまま置いておくだけです。塩分濃度がかなりあるので腐敗しにくい状態になっており、冬場の寒風によって乾燥が進みます。春から温度が上がってくると肉の表面にカビがつき、水分が更に抜けていくとともにアミノ酸の分解が進行して旨味と風味が増してくるわけです。
とりあえず、今回の取り組みは新聞記事(リンク)に掲載して頂きましたが、もう少しメディアに取り上げて欲しいものだと思います。非常に面白い取り組みだと自負しているのですが・・。
豚肉の値段
思うところがありブラウザを10年近く使用していたOperaからChromeに変えて戸惑っている今日この頃です。Chrome、軽くていいのですが細かい部分はOperaが上かなと思うところがあります。でも、Operaはどうも表示できないページが多いのが不満で・・。なかなか難しいものです。
昨日は三河トコ豚極め隊の活動の一環で生ハムの試作を行いました。出来上がるまでは1年間。試行錯誤の部分が多いので自信がありませんが、うまくいくと嬉しいですね。
ところで、生ハムを作るのにはちょっと隠された意味があります。もちろん商品開発を行いPRをしていくのが一番の目的なのですが、もう一つの目的はもも肉の消費です。
育てた豚をと場に出荷したときには相場に応じた価格で取引されます。今は非常に豚肉の枝肉価格が下がっているので、格付けで一番よいものでも350円/kg程度です。枝肉はだいたい75kg前後ですので、生産者は1頭出荷すると25000円程度の手取りがあるわけです。
枝肉は75kg程度ですが、これは骨がついた状態です。骨やよぶんな脂身を取り除くと、だいたい50kg強となります。50kgで25000円ということは、1kg500円という計算になります。皆さんがスーパーで買い求められる豚肉は100円~250円/100gですので、1kg当たりにすると1000円~2500円ということになります。つまり、枝肉価格に比べるとかなり高いことがわかります。
なぜそんなに価格差があるのかというと、高い部位と安い部位があり、また売れない部位も出てくるからです。今、豚肉で一番人気がある部位はバラです。ところがバラは1頭から取れる量が限られています。逆に、ももや肩はあまり人気がないので、どうしても余りがちになりミンチなどにして安く販売する必要があります。安値でしか売れない部位があるため、枝肉価格と精肉価格に差が出てしまうわけです。
というわけで、生ハムは、不人気部位が高付加価値となる可能性を秘めているわけです。部位の販売量のバラツキの調整ができる訳です。
もっとも、三河トコ豚極め隊事務局の私が生ハムに目がないから作っているという面もあったりします。生ハムとワイン、想像しただけで楽しみですね[E:pig]
西三河豚友会での講演
今日は朝から大失敗。お客さんとのアポをすっかり忘れていてドタキャンしてしまいました。10年くらい前、サラリーマン時代にも同じようなことがあったことを思い出しました。深く反省しています。申し訳ありませんでした、KSさんm(__)m
昼からは西三河豚友会という集まりで飼料と豚肉の脂肪酸組成についての講演を行いました。1時間半しゃべり続けたのでかなり疲れました。講演を頻繁にやっている人、本当にエライと思います。私はたまにある講演ですっかりグロッキーです。大学講師とかなれそうにないですね。
今日の講演では飼料が豚肉の脂肪酸組成に与える影響について解説を行いました。以前にも書きましたが、豚肉は飼料によって脂肪酸組成が大きく変わります。ちょっと飼料の組成がかわると大きな影響があります。今回は、西三河豚友会会員全員が脂肪酸組成を分析して比較を行ったのですが、その解説を行いました。
脂肪酸とは何か・・と言う話を最初に30分ぐらいしていたのですが、予想通り豚屋さんは結構寝ていました(^_^) やっぱりちょっと話が難しかったかもと反省しています。高校化学レベルの話だったのですが・・。でも、資料を作っていて高校生の家庭教師をしていた頃を思い出しました。資料を作るのは正直かなりしんどかったですが。
嬉しかったのは、知り合いの豚屋さんから、「今度うちに来て餌の配合見てよ」と言われたことです。飼料を取り扱い始めて4年、頼られるような存在になれたことは身に余る光栄です。
美味しい豚肉を作るのに貢献して愛知県の農業発展に微力ながら寄与できたらと願っています。
炎の祭典
今日は全国的に日曜日ですが、出勤して書類を作っています。明日からもちょっと忙しい予定です。水曜日から土曜日まで毎日日帰り出張の予定です。出かけていると書類を作る仕事が進まないんですよね~。
昨日は豊橋公園で行われた炎の祭典という手筒花火のイベントに「三河トコ豚極め隊」として参加していました。豚串とフランクフルトを焼いていたのですが、とにかく暑かったです・・。豚串を炭火で焼いていましたが、炭火焼きって火力の調整が難しいですね。焼くのにも時間が結構かかります。原価もそれほど安くできないので、売価も高くなり、フランクフルトよりも正直売れ行きが悪かったです。
自動車関係が出勤日だったせいか暑かったせいか、いまいちお客さんの動きが悪く想定していたよりも売れ行きは悪かったですが、それでもそれなりの売上はありました。にしても、露天って結構大変ですね。テキ屋稼業も大変だと言うことがわかりました。
今回の目的はフランクフルトをたくさん売ることではなく、三河トコ豚極め隊のPRです。すこしでも地元の豚肉って美味しいねと思ってもらうことができたら嬉しいですね。
豚肉のオーダーメイド
皆さんの地域では台風による被害は大丈夫でしたか?会社のある愛知県東三河は幸いちょっと風が強くて雨が降ったぐらいですみました。日本は本当に自然災害が多い国ですね。
私が事務局を担当している「三河トコ豚極め隊」のホームページが完成しました。今日日、ホームページぐらいはないとお話になりませんので、これでようやく活動本格始動といったところです。
三河トコ豚極め隊のプロジェクトの1つに、「豚肉のオーダーメイドシステム」があります。これは、お客様の注文に応じて、飼料や品種、育て方を変えて豚を育てお客様のところへ届けるという仕組みです。
豚肉は実は規格がかなり厳しく、脂身が厚かったり、豚が大きく育ちすぎたりすると値段が下がってしまいます。ところが、脂身が厚くて大きい豚のほうが美味しいのです。今までは規格に適合させるために味が二の次にされていたわけです。
オーダーメード制度ではこういった規格の縛りが無くなります。また、オーダーメードで生産するので飼料のコストの制約もなくなります。豚肉の生産原価のおよそ60%が飼料代です。勢い飼料はコスト優先になりがちですが、オーダーメード制度では本当に美味しい豚肉を作るためにコストの制約を取り払って飼料を選択することができるようになるわけです。
オーダーメードは単に美味しい豚肉をお客様に届けるためのプロジェクトではなく、規格やコストの制約というものを取り払うことができるということがポイントな訳です。
今回の取り組み、早速中日新聞にも取り上げて頂きました。(→記事コピーリンク)これからもPRを続けて「皆様に美味しい豚肉を食べて頂く」ための活動を続けていきたいと思います。
豚肉の歩留りとエコフィード
昨日、ブログを書いていたらブラウザが落ちて怒り心頭で、ブログ書くのやめて寝ました。同じ作業を2回するのは辛いですね。賽の河原状態です。Operaなんてマニアックなブラウザを使っているせいなのかもしれませんが・・。
今日のネタも豚肉の話です。前回の記事で山梨のと畜場見学の記事を書きましたが、その中で印象的だったことの1つに内臓の処理方法があります。こちらのと畜場では、と畜のラインで内臓を取り出した後、すぐ横の加工室で内臓の処理を行っていました。1頭ごとにまず内臓をパーツ毎に分別を行い、それぞれのパーツで洗浄作業を行っています。消化管などには内容物が入っていることもありますので、パーツ毎の担当者が手早く掃除を行っています。
長く時間をおけばおくほど細菌汚染の心配や鮮度の劣化がおきますので、すばやく処理を行うことが重要です。
実は、エコフィードと内臓には案外関係があります。エコフィードを給与すると、生体重に占める内臓の重量の割合が下がります。これは養豚農家の売上に影響してきます。
豚をと畜場に出荷すると、農家には当然売上があがります。このとき、枝肉は今の相場で1kg500円程度の価格がつきますが、内臓や皮に関しては1頭当たり一律数百円が売り上げられるに過ぎません。内臓が大きいほどおなじ生体重の豚を出荷しても手取りが下がってしまう訳です。
エコフィードはトウモロコシ主体の配合飼料と比較して消化がよいため、内臓があまり発達せず内臓の重量が軽くなります。通常の豚肉の歩留り(枝肉重/生体重)は65%程度ですが、エコフィードを使用するとこの値が2%ぐらい上がります。つまり、内臓が2kg小さくなると言うことです。今の枝肉相場では2kgでは1頭当たり1000円手取りが変わってきます。
愛知県のちょっと大きな養豚農家では、年間出荷頭数は7000頭ぐらいです。年間で売上が700万円も変わってくることになります。これが、エコフィード使用の隠れたメリットです。
養豚農家に限りませんが畜産農家は売上規模が大きいので、ちょっとしたことで利益が大きく変わります。面白くもあり、怖いところでもありますね。
と畜場の見学
今日はちょっと知多半島のお客さんのところまで出かけていました。お客さんのところで荷物を引き取る予定があったのでトラックで出かけたのですが、東名の岡崎インターを過ぎた辺りでタイヤがパンクして大変でした。朝から運転していると妙にハンドルががたがたするなぁと思っていたのですが、まさかいきなりパンクするとは・・。大事にならなくてよかったです。
本線上でタイヤ交換するのはちょっと怖いのでロードサービスを呼んだのですが、道が混んでいたとかでなかなか来なくて退屈していました。お客さんのところには遅れるし、散々です。
先日、事務局をやっています三河トコ豚極め隊の活動の一環として、山梨県のと畜場の見学へ行ってきました。長野県のお客さんの養豚農家がこちらへ出荷しており、紹介して頂きました。なぜ、ブランド化勉強会である「三河トコ豚極め隊」でと畜場の見学をするかというと、と畜場での取り扱いがブランド化に大きな影響があるからです。
畜産農家が生産した動物はそのまま消費者に販売することができません。と畜場でと殺する必要があります。しかし、と殺しただけでは枝肉という状態であり、一般消費者はもちろん、スーパーやレストランにも販売することはできないです。
豚肉は枝肉になった段階で「格付け」と呼ばれる評価を受けます。この格付けというのは野菜や果物で言うところの規格のようなもので、一定の大きさや脂の厚さであることが求められます。
たとえば、格付けが悪くなる一番多い理由は「厚脂」です。これは読んで字のごとく脂が厚いということで、肉として使用する部分が少ないので格付けが悪くなり、結果として取引価格が下がります。ところが、この厚脂の肉の方が、実は味がよいことが多いのです。
また、枝肉はたいてい肉屋さんが購入します。そのため、どうしても赤身の割合が高い肉の評価が高くなる傾向になってしまいます。山梨のと畜場は、場内で肉の加工を行っており、しかもその費用が非常に安価です。このため、生産者が自らの肉をと畜場で精肉まで低コストで加工することができ、自ら販売することのハードルが低くなっています。
そのほかにも、細かい注文もいろいろと受け付けていたり、搬入時間の縛りがすくなかったり等々、いろいろと優れた点がたくさんありました。
私もと場見学は2回目なのであまり詳しいことはわかりませんが、と場によってさまざまな違いがあることはよくわかりました。百聞は一見にしかずです。本当なら会のメンバーにこちらへ試しに出荷して欲しいと思うところですが、1つの問題は、愛知県からは結構遠いという点です。4時間近くかかると気軽に持ち込むことができないですね。
フランス風バーベキューと生ハム
今日は稲武の山奥で行われたFUCHITEIという名古屋は天白にあるフレンチレストランのフランス風バーベキューに参加してきました。実はこれは取引先招待のバーベキューで、お店で当社のお客さんであるトヨタファームの三州豚を使って頂いている関係で鳥一精肉店(三州豚取り扱い)の市川君が招待されていました。私は取引先ではないのですが、バーベキューの会場の高原の小屋で生ハムを作っているとのことで、生ハム研究を行っている身?として、市川君に無理を言って参加させて頂きました。
バーベキューの会場はこんなところです。天気も良く最高のシチュエーション。おかげで帰ってきたらかなり日焼けしていました。
こんな感じで三州豚の生ハム製造中。虫除け?の袋入り。食べられるのはまだまだ先だそうです。
こちらは三州豚のボイルハムと高原コーチンと三州豚のパテです。ボイルハム、もも肉なのにものすごいしっとりしていてびっくりです。もも肉も調理方法でここまでのポテンシャルがあるのかと唸らせられました。
真打ちの生ハム登場です!実は残念ながらこれは三州豚ではありませんが。
スライスしたら見た目美しい。で、すごく美味しいです。私が食べた中、国産生ハムで文句なしに一番旨いですね。ハモンセラーノと比べても全く遜色ないです。
というわけで、美味しい食事とワインを堪能してきました。最高です。運転してくれた市川君に感謝です[E:pig]