豚肉の脂肪酸組成

この頃はすっかり仕事が何かわからなくなってきていますが、本業は一応食品リサイクル業です。この頃は本業も忙しくなってきていますので、アルバイトの方々にもがんばってもらっています。問題は工場が手狭になってきているということです。エサは単価が安いのでその分量が多くかさばります。

そのエサによって豚の肉質は大きく変わります。農協での共同研究の結果を見ると、エサを変えるとてきめんに効きます。特に、脂の質が変わります。

「脂」というのは脂肪酸グリセリンエステル、つまり脂肪酸とグリセリンがくっついたものです。その脂肪酸の種類により油の性状が決められます。

豚は体内で脂肪酸合成を行います。でも、食べるエサに脂肪酸が多く含まれていると、摂取した脂肪酸が体内に蓄積します。一般的に配合飼料はトウモロコシを主体に作られています。トウモロコシには数%程度の油が含まれています。この油はリノール酸が中心です。このため、トウモロコシを多く含む飼料を食べさせると豚の脂肪酸に含まれるリノール酸含量が多くなります。

また、おからや豆腐は大豆製品であり、大豆には相当量の油が含まれており、これもリノール酸の割合が多いです。リノール酸は多価不飽和脂肪酸であり、融点が低いです。ですので、おからなどを飼料に多く混ぜると豚の脂肪融点が下がります。

もともと、豚は牛と比べて脂肪の融点が低いです。これが更に下がると扱いにくいこともあり肉屋さんから敬遠されてしまい、市場価格が下がってしまいます。

一方、オレイン酸を多く含むエサを与えると豚の脂肪中のオレイン酸含量が高くなります。また、エサに脂肪が少ない場合は、豚は体内でデンプンからオレイン酸を合成します。オレイン酸が多く含まれる豚肉は官能試験で高い評価を示すことが知られています。イベリコ豚が評価高いのはそれなりに理由がある訳です。

 

農協での試験やお客さんのデータを見ていると、エサの種類によってリノール酸含量は5%~15%、オレイン酸含量は35~50%ぐらいの範囲で変わります。同じ農場でもエサ変えたら確実に数値に反映されるので感心しますね。

ポークカレーの開発

今日もなんか肌寒い一日でした。今日は同業のエコフィード製造事業者の所へ行って意見交換。産廃業界やエコフィード業界、飼料業界それぞれ横のつながりが結構あります。よそから見るとちょっと不思議な感じですが。

 

昨日は田原ポークの群類畜産さんのところへ行ってきました。エコフィードを買ってもらっているのですが、昨日はあまりエサの話をせずに、今「三河トコ豚極め隊」として開発を行っているポークカレーについて打合せをしていました。

正直言って、最初は「カレーなんて」ってちょっと思っていました。あんまり売れるような気もしなかったですし、そもそも私はカレーがあまり好きでないのでw カレーが好きでないというか、日本のカレー(給食で出るようなカレーや、ココイチ、ボンカレーなど)があまり好きでないんですよね。インドカレーやタイカレーは大好物ですが。

でも、打合せをしているうちに俄然盛り上がってきました。
先日試食会があって、いろいろなアイデアがでました。
商品化のプロセスって面白いですね。群類畜産鈴木さんの「新しい三河名物を作る」という熱い思いに応えていきたいと思っています。

 

とりあえず、がんばって良い商品を創り上げていきたいと思っています。しかし、最近自分の仕事がなんなのかよくわからなくなってきました[E:sweat02]ま、お客さんがみんな幸せになればそれでいいんですけどね。

三河トコ豚極め隊の打合せ

急に暖かくなってきた東三河地方です。暖かくなると鼻の調子が悪いです。イネ科花粉なので出だしは遅いですが、秋までずっと鼻がぐずぐずとします。

 

昨日は「三河トコ豚極め隊」の打合せでした。今年度、何をやるかを打ち合わせしました。まずは加工食品の充実です。今のところ、生ハムとカレーが案として上がっています。私はとにかく生ハム好きなので、是非進めたいと思っています。国産の生ハムで満足する味のことは少ないので、ここはうならせるような生ハムを創り上げたいですね。と言っても、私が作る訳ではなく、メンバーの肉屋さんで作ってもらう訳なんですが。

カレーもいろいろと案がありますが、やはりこれぞ「豚屋が作ったカレー」っていうものにしたいですね。これも私が作る訳ではないのですが。

その他、ちょっと秘密のプロジェクトも進行しています。

この会、私は事務局としていろいろと動いているのですが、はっきり言って損得勘定で言えば割に合いません。もちろん、お客さんである養豚農家のサポートという意味もあるのですが、それだけではなく、豚肉の新たな価値を創り上げることがとても面白いというところが大きいですね。まあ、毎度毎度の打合せで議事録書くだけでも相当な時間が取られているのですが。

打合せの後はホテルアークリッシュ豊橋で宴会です。ここは、三河トコ豚極め隊のメンバーである鋤柄さんの生産している三州豚を提供しています。みんなで楽しく飲んで打合せ終了です。

 

参加しているメンバーが入ってよかったと思える会にしていきたいですね。

飼料価格の高騰と食糧自給率

今日は新しい乾燥機の組立をしていました。動いたことは動いたけど、まだすこし不具合がありますので明日手直しをする予定です。これでバームクーヘンを乾燥させる予定。バームクーヘンは乾燥させるとよい飼料になります。

 

今日はシカゴのコーン先物の値段が上がりました。過去最高水準です。また、すこし円安に振れていますので、国内の配合飼料価格は上昇基調にあります。だいたい4半期毎に価格改定がありますが、1月に続いて4月も値上げ、その次もこのペースで行くと値上げだと思われます。

以前も書きましたが、畜産農家は売上原価に占める飼料価格の割合がとても高いため、飼料の価格上昇は経営にダイレクトに影響します。養豚や養鶏では飼料価格が原価の6割ぐらい占めているので、それが1割上がる影響は大きいです。

日本の畜産は海外からの購入飼料に頼っているのですが、これがカロリーベースの自給率を低下させています。輸入されるトウモロコシの量は年間1600万トン、そのうち1200万トンが飼料として利用されています。米の生産量が年間800万トンですので、米の生産量よりはるかに多い量のトウモロコシが輸入されている訳です。

耕作放棄地は耕地面積の3割と言われていますが、その全部で米やトウモロコシを生産してもせいぜい数百万トンレベルでしかありません。日本の国土では家畜の飼料をまかなうだけの生産をすることができない訳です。

「カロリーベースの自給率はおかしい」という意見を最近よく見ます。でも、私はカロリーベースの自給率にも意味があると思います。畜産では1kgの飼料を与えても、肉はその数分の1しかできません。つまり、その分のカロリーロスがある訳です。金額ベースの自給率が高く、カロリーベースの自給率が低い理由は海外から安い飼料をたくさん輸入しているからです。これを肉の形で輸入すれば効率がいいためカロリーベースの自給率は上がります。つまり、国内での畜産をやめて輸入畜産物に頼った方がカロリーベースの自給率は上がると言うことです。

また、海外から飼料にはたくさんの栄養塩類(窒素、リンなどの肥料分)が含まれています。飼料を国内で作っていれば家畜ふん尿を飼料の農地に還元すればいいのですが、海外の農地まで国内の家畜ふん尿を持っていくことはコスト的にできません。飼料に含まれていて畜産物にならなかった分の栄養塩類は国内で処理しなければいけなく、排水処理や糞の堆肥化に苦労することになります。海外から飼料を輸入していることが国内の水質汚濁に繋がっている訳です。

 

この前のフーデックスで展示されていたメキシコ産豚肉。日本と同じ品種、同じエサを使って同じように育てられているので国産豚肉とほとんど違いがありませんでした。この豚肉を輸入した方が、環境にも優しく、安全保障的にも良い訳です。

カロリーベースの自給率というのはこういった畜産業界の抱える問題を示しているわけです。特に、海外産との差が少なく輸送がしやすい豚肉は非常に危うい状況にあるのは間違いありません。当社はエコフィードを製造している訳ですが、エコフィードで解決するような簡単な問題でないのは確かです。簡単に答えを出せる問題ではないですが、日本の農業、畜産がどうあるべきか、国内での畜産をやめないためにどうしたらいいのかを常に考えていかなければいけないと思っています。

 

にしてもいつも思うことなのですが、自給率の問題について語っている人って現場を知らない方が多い気がしてなりません。一件の畜産農家が如何にたくさんの輸入飼料を使っているか見ると、考えが変わってくるんじゃないか、そんな気がします。

畜産の経営に関するプレゼンテーション

今日は暖かい一日でした。すごく暖かい気がしましたが、これでも平年並みのようです。ここしばらく寒い日が続いていたから暖かく感じられます。さくらの花もほころんできました。

昨日は豊橋市のサイエンスコアで「これからの畜産を考える」というワークショップがあり、私も前座で「畜産の経営と飼料」という内容でプレゼンを行いました。

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プレゼンの内容をかいつまんで紹介すると

・畜産物の価格は長期下落

・飼料コストはここ数十年安値安定だったが、近年は食料需給の逼迫により上昇基調

・畜産では原価に占める飼料コストの割合が高い

・畜産農家は大規模化が進んでいる。大規模で安い飼料を使用することにより安価な畜産物が供給されている

・海外からの飼料の輸入は環境汚染の原因ともなっている。

・エコフィードや飼料米で飼料の供給をするのにはさまざまなハードルがある。

以前からなんどか書いていますが、飼料米がコスト的に合わないのははっきりしています。高くなったと言っても輸入トウモロコシは30円/kg。今の日本の米は200円/kg。その差を埋めるのは困難です。

っていう話をしたのですが、その後のパネルディスカッションで某市の農政課課長は「来年度は稲ホールクロップサイレージの取組を行います。」と誇らしげに宣言。10分前に「コスト的に合わない」って私が言ったことは完全黙殺されてしまいました_| ̄|○

今までの農業政策で一番問題なのは、農業競争力向上の名の下に効果がはっきりしない施策に大量のお金がつぎ込まれていることだと思います。稲ホールクロップサイレージ作ること自体はべつに構わないと思いますが、行政がそれをバックアップすることによりどれくらいの農家でその普及がすすむのかがはっきりせず、行政コストに見合っているか検証されていないことが問題だと思います。とりあえず、今までの施策が役に立っていないのですから、同じようなことを続けていくのは問題ですよね。効果/投資をきちんと見極める必要があると思います。

石垣島の農業

Twitterではときどき書いていましたが、金曜日から3日間の予定で石垣島まで出張していました。すごく暖かいのかと思っていたら、タクシーの運転手曰く「こんなに寒いのは珍しい」とのことで愛知県とそんなに変わらない感じの気候でした。

今回の出張は現地で豚や牛をエコフィードで飼いたいという相談を受けて見に行くことになった次第です。沖縄へは1回行ったことがありますが、石垣島は初めてです。あいにくの天気が続いていたのですが、それでも海はとても美しく、時を忘れた景色は心にしみ入りました。天気がよかったら本当に最高だったのですが。

石垣に行って知ったこと。

・空港の滑走路が短い。(1500m)着陸したときの逆噴射がすごいのでパイロットがへたくそなのかと思ってしまいました。

・牛が多い。繁殖経営主体の農家が多く、耕地の中で牧草地が占める割合が高い。

・サトウキビ畑も多い。その他の野菜などはあまり多く無さそう。

・沖縄なのに豚の飼育頭数は少ないらしい。

・焼き肉屋が多い。

・石垣牛の等級はA-4~3が中心。とても美味しいが、かなり高カロリーな感じ。

・現地の人は歌うまい。

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とても魅力的な島なので何度も行く観光客が多いのはうなづけますね。

私が一番感動したのは、スナックへ行ったときむこうのおねーさん(と言うにはやや年上な感じ)がカラオケを歌ってくれた時のこと。信じられないぐらい歌が上手かったです。夏川りみか元ちとせも負けないほどの歌いっぷりです。しかも、特に歌を習ったことはないと言っていたのがまたびっくりです。学校でどーいう音楽教育をしているんでしょうね。

温暖な気候と観光客が多いことはいろいろとビジネスとして面白いとおもいました。離島の難しさと可能性が共存している感じですね。

ところで、今回は写真を撮ろうと張り切って一眼レフデジカメを持っていったのですが、SDカードが入っていなかったという失態を演じてしまいました。↑の写真はコンパクトデジカメにて撮影です。

デジカメは カード無ければ 漬け物石

フーデックスの模様

昨日は三河トコ豚極め隊フーデックスブースの担当として一日会場にいました。東京で泊まっているのですが、朝5時起きで一日立っていたらだいぶ疲れて珍しく9時に寝てしまいました。たくさん寝たら今日は非常に快調です。今日はフーデックスには行かず東京で人と会う予定です。

フーデックスは非常に盛況で熱気むんむんでしたが、三河トコ豚極め隊が出展している豊橋市、三遠南信のブースはあんまりお客さんが多くなかったですね。

国内ブースは人が多くてもバイヤーや飲食関連はそれほど多くなかったように思います。反面、イタリア、フランス、スペインあたりのブースはとても盛況でした。飲食店やスーパーはこういう会場で新しい商品をいろいろ探しているんですね。まあ、私も生ハムが非常に好きなのでイタリア、スペインブースでかなり生ハム食べました。すごく美味しい生ハムがたくさんありました。

メキシコブースには豚肉が大々的に展示されていましたが、試食すると国産豚肉とはっきり言って変わらないです。品種もエサも国産と同じようにしているので、変わるはずがないですね。海外の輸出に対する熱意がすごく感じられました。農産物の輸出促進が言われている中、国内ブースももっと海外バイヤーに向けた展示をするべきでしょうね。

ちなみに、今回はユニフォームとしてつなぎを着ていたのですが、つなぎは暑いですね。

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