リサイクル業界の人が結構このブログをご覧になっているようですが、最近はちょっと法律についてのネタが少なかった気がしますので、今日は法律論を久々に書きます。そうそう、環境省の方もたまにこのブログをご覧になっている模様です。
この前、リサイクル業界の人と話をしていて、逆有償について話題になりました。実は、このブログのアクセス解析を見ると一番多いキーワードが「逆有償」です。
逆有償については以前も書いていますが、もう一度整理してみたいと思います。
逆有償という言葉の定義は明確になっているわけではありませんが、業界において一般的には「有価物として取引されているが、販売価格より運賃が上回っている場合」です。これって、実質的には処分費用を払っているのと同じ状態じゃないの?って言う疑問が出てくるかと思います。
実は、環境省から通達が出ています。
環廃産発第050325002号
これは、先の通達、平成3年10月18日付け衛産第50号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課産業廃棄物対策室長通知の補足的な内容となっています。
ちょっと長いですが抜粋します。
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産業廃棄物の占有者(排出事業者等)がその産業廃棄物を、再生利用するために有償で譲り受ける者へ引渡す場合の収集運搬においては、引渡し側が輸送費を負担し、当該輸送費が売却代金を上回る場合等当該産業廃棄物の引渡しに係る事業全体において引渡し側に経済的損失が生じている場合には、産業廃棄物の収集運搬に当たり、法が適用されること。一方、再生利用するために有償で譲り受ける者が占有者となった時点以降については、廃棄物に該当しないこと。
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これ、相手に渡したときに相手がちゃんとお金払っていれば相手に渡った時点で有価物になると言うことです。
もう少し具体的に例示してみます。
A乳業から牛乳が廃棄されます。養豚農家はそれを1円/kgで購入し、A乳業へ支払ます。運賃は3円/kgかかりますが、これはA乳業が負担して、B運送へ支払います。
と言う場合です。この場合、運搬している間はA乳業が費用を支払っている、つまり経済的損失が生じているため廃棄物となり、養豚農家へついた時点で有価物として扱うと言うことです。
ところが、ここで有価偽装という問題が出てきます。有価偽装とはどういうことかというと、先の例で言うと養豚農家は代金をA乳業に支払います。ところが、裏金として実際はA乳業からお金をもらってると、それは有価偽装となります。
お金を受け取るというのがなぜ問題なのか、それは受け取っただけでお金がもらえるため受け取ったものを不法投棄などしたら簡単に儲かってしまうからです。これが一番最初の例のようにきちんとお金を払っていたら普通は捨てることはありません。お金払って買ったものは普通は簡単に捨てませんよね。
そういう疑いをもたれないように、契約書などできちんとお金の流れを把握できるようにして行政に説明できるようにしておくことが重要ですが、一番重要なのは取り扱うものがちゃんと「価値あるものとして見なされるようなものであること」です。誰がどう見てもゴミにしか見えないものを有価物として主張するのは無理があります。
と、つらつら書きましたが、廃棄物行政で問題なのは環境省の通達が出ているのにもかかわらず行政の担当者によっては上記のような取引を認めない(あくまでも廃棄物として取り扱うように)と言うことです。廃棄物行政は曖昧模糊としており法律に明記されていないことが多いため、どうしてもそのような事態が発生しがちです。また、都道府県の担当者も異動が多く、全ての人が法規に精通しているわけではありませんのでどうしても判断が揺れ動きやすくなります。
リサイクル関係の仕事をする以上、法律については行政担当者と同等以上に把握しておく必要があると思います。
ブルームレスのキュウリと食品の安全
暑い日々が続いておりますが、皆さんいかがお過ごしですか。
実験圃場でキュウリを作っているのですが、この暑さで露地植えなのに萎れています。水やりしてもなかなか追いつかない感じです。
実験圃場で作っているキュウリは、四葉(スーヨーと読む)という品種です。この品種、一瞬ニガウリと思うようなごつごつした表面で、粉も吹いているので見た目はあまりよくありませんが、ぼりぼりとした食感が気に入って毎年のように作っています。
四葉を作っているもう一つの理由は病気や虫に強いため作りやすいということです。家庭菜園でキュウリを作ったことはご存じだと思いますが、キュウリなどのウリ科の作物はうどんこ病という病気にかかりやすく、またウリハムシにかじられやすいです。四葉は他の品種と比べて病気や害虫に強いような気がします。
この病気や害虫に強い理由の1つとして、キュウリ表面に吹いている粉があります。この粉はブルームと呼ばれるケイ酸の結晶です。キュウリだけではなく、冬瓜やブドウの表面についている白い粉も同じものです。粉が吹くことにより物理的に防御するわけです。
ところが、世間ではこのブルームは嫌われます。手についたりするのが嫌われるというのもあるのですが、粉が吹いていると「農薬がかかっている」と思われたりするのです。そのため、ブルームレスという粉がふかないキュウリが多く作られています。
実際はブルームレスの方が病気に弱いため、農薬の使用量が多くなる傾向にあります。消費者が無知のため、「農薬が少ないもの選んだつもりがかえって農薬が多くなる」という事態になっているわけです。最近は常套句となりました「安全、安心」ですが、安全と安心はまったく別物だと言うことがよくわかる事例なのではないでしょうか。
科学リテラシーも重要かと思いますが、その以前の問題として「見た目や思い込みで判断しない」っていうことが重要だと思いますね。
リサイクル費用を受け取るという意味
暑い日々が続いてすっかりげっそりとなっている今日この頃です。暑いと食べ物を食べなくなるので例年痩せます。豚も一緒で暑くなると食べる量が減るため、当社の飼料出荷量もそれにともない減少します。
この前、養豚農家さんが「産業廃棄物処分業の許可がほしい」ということを言われていました。養豚は古くから残飯を受け入れていたこともあり、全国でも少なからず産業廃棄物処分業の許可がある養豚農家があります。しかし、産業廃棄物処分業の許可があるということは、「原料の受入の際に処分費用を受け取る」ということです。たしかに、お金をもらってエサを入手できるのですから、すごく儲かりそうな印象がありますが、お金をもらうと言うことはまた違った意味が出てきます。
排出事業者の立場に立つと、お金を払うと言うことはお客様になるわけです。廃棄物を確実、安定的に処理を行う対価としてお金を支払う訳なので、安定的に処理を行なう事を求められことになります。
食品工場からの廃棄物は様々な種類のものが発生し、その量も変動します。養豚農家が処分費用をもらうということは、そういったものを受け入れしなければいけないことになります。上で述べたように、豚が食べる量は年間を通じて変動がある上に、受入量が変動するためその需給調整がたいへんになります。これがエサを購入すると、必要な分だけを購入すればいいわけです。また、食品工場からの廃棄物でも飼料に向かないものもありますが、こう言ったものが発生しても引取をもとめられてしまいます。
養豚農家によっては配合飼料との併用により需給調整をうまく行っている例がないわけではありません。でも、安定的にリサイクルすると言うことは結構たいへんなことです。
当社のようなリサイクル専業業者でも需給調整は苦労しますが、当社の場合、顧客となる畜産農家の数が多くありますので、リスクをヘッジできるわけです。
飼料に向かないものは肥料としてリサイクルすることにより、飼料の品質の均質化もはかっています。
また、有価物として養豚農家が引き取りする場合もあります。この場合、購入しているわけですから必ずしも引取の義務が生じるわけではありません。ところが、こういう排出事業者から当社への引き合いが結構あります。「養豚農家さんが取りに来ていたが、時々取りに来なくて困ったのでリサイクル業者をさがしている」っていうようなお話しを頂いたりします。排出事業者は費用が発生しても安定的に処理が行われることを求められているわけです。
食品に限らず、リサイクル業界は需給調整が必要となります。そこに当社のような業者が存在する意義があるわけです。いわば、静脈ビジネスにおける商社と言うわけです。
存在意義がない事業って継続することはできません。会社の立ち位置、意義を常に考えて事業を営んでいきたいと思っています。
畜産と食糧自給率
穀物価格の上昇がニュースを賑わしています。→ロイター記事
普通に生活している限りあまり実感がないのですが、日本は世界から多量の穀物を輸入しています。トウモロコシの輸入量は1600万トンで世界最大の輸入量です。そのうち1200万トンが家畜の餌に使われています。残りはおもにデンプンなどの加工用になり、デンプンは更に加工され異性化糖として清涼飲料水などに使われています。
トウモロコシ以外には大豆が多く輸入され、大豆は食品用だけではなく、圧搾抽出されて大豆油として利用されています。油を搾った残りは大豆粕として醤油原料や家畜飼料として利用されます。
日本の家畜は輸入飼料に依存しています。日本の食糧自給率が低い原因は家畜飼料と油糧作物の輸入にあります。エサが肉になる効率は1/3~1/5ぐらいなので、実は日本国内での畜産をやめて海外から肉や卵、牛乳を輸入した方が(カロリーベースの)食糧自給率は上がることになります。
日本で飼われている家畜のエサのうち、配合飼料は基本的にトウモロコシがベースとなります。豚や鶏のエサは基本的に配合飼料が主体なので、トウモロコシがメインということです。
一方、牛は草(粗飼料)だけたべているのかというと、実は現代の畜産では配合飼料をたくさん与えています。牛といっても牛乳を搾る酪農と肉を作る肥育ではエサの配合はかなり異なっており、また北海道などでは粗飼料の割合が高い傾向にあります。
黒毛和牛などの高級な肉牛では、粗飼料の割合がかなり低いです。本来牛は草を食べなければ胃の中にある微生物の調子が悪くなってしまいますので、粗飼料はある程度与えなければ死んでしまいます。ですが、霜降りにするためには高カロリーの濃厚飼料(配合飼料)を中心に与えなければいけません。したがって、日本で育てられている「和牛」も実は海外の輸入トウモロコシによって成立しているわけです。
昨日、近江牛ドットコムを運営している新保さんのお誘いで、プレミアム近江牛を食べる会に参加してきました。プレミアム近江牛とは国産飼料にこだわって育てられた近江牛です。粗飼料を主体とし、濃厚飼料も国内原料のおからなどのエコフィードを主体としています。
「飼料が100%国産」と言っても一般の方はあまり驚かれませんが、実はこれはかなりすごいことです。おそらく全国で初めての取り組みと行ってもいいのではないでしょうか。
今回は通常肥育の近江牛や粗飼料主体の短角牛などとも食べ比べしましたのですが、一般に粗飼料主体だとサシが入りにくく脂肪の融点が高くなりやすい・・と言われているのにもかかわらずプレミアム近江牛はしっかりとした味わいでとても美味しく頂くことができました。
いろいろな立場、意見がありますが、日本の畜産は海外の輸入飼料に依存していることは間違いのない事実です。そして、海外の穀物の価格が上昇基調にあることも間違いありません。そんな中、日本の畜産をどうしていくべきか考えなければいけないと思いますが、今回のプレミアム近江牛は美味しい肉を食べながらいろいろと考えさせられるイベントでした。今まで既成概念から離れて日本の畜産の将来を考えるよい機会だったと思います。多謝。
6次産業化とフランクフルト
昨日は昼から豊橋駅前で行われていたまちなかマルシェという地産地消イベントに行って来ました。
見に行ったわけではなく、お客様のGファームが出店されているので、そのお手伝いです。
こういう出店の時、いつもはフランクフルトが中心なのですが今回はウズラ豚串なるものを販売していました。ウズラの周りに豚のバラ肉を巻き付けて焼いたものです。売っていて言うのもなんですが、美味しいです。ビールに非常に合います。
豚屋さんがこうい出店をしてフランクフルトを売ったりするのは、今流行の6次産業化とも言えるかと思います。6次産業化っていうのは、農林水産業(一次産業)の人が、製造(二次産業)や流通(三次産業)を行っていくというもので、1×2×3で6次産業と呼ばれています。
ただ、私が以前から思うのは、製造流通をやっている方がそんなに儲かっている訳ではないのに農業従事者が屋ったら儲かるのか・・という疑問です。以前、ネットで「6次産業化っていうのは新日鉄が車を作って売るようなものだ」と書いている人がいましたが、製造流通にも色々ノウハウが必要なのに農家が参入して簡単にできるわけではありません。むしろ、製造流通の人が農業参入する方がまだ容易かなと思います。
6次産業化が成功するとしたら、それは規格外品をうまく活用したりするなど一次産業のメリットを上手く行かした場合かなと思います。
特に、肉は6次産業化が難しいです。生産した豚を自分で肉にするわけにはいかないので(自分でと畜することは法で禁止されています)、必ずと畜場へ持ち込まなければ行けません。枝肉からパーツにするのもかなり熟練が要りますので、結局肉屋さんにお願いすることになってしまいます。
また、肉屋さんでもこれは同じ状況なのですが、パーツの量の調整が出てきます。売れ筋のバラ、ロースはいいのですが、売れ行きが悪いモモ、腕をどうやって安定的に販売するかが難しいです。売れ残ると安く販売せざる得なくなり、それが全体の足を引っ張ってしまいます。
一次産業の人って、「売る」って概念が無い人が多いのでそういう人たちが6次産業化に取り組むのは市場を見据えた生産につながって良いことだと思いますが、農水省の考えているような「6次産業化で日本の一次産業が飛躍してTPPが来てもばっちりOK(って考えているかはわかりませんがw)」みたいなのは幻想だと思いますね。
養豚農家の経営要素
最近、お客様の養豚農家へ行くと、お尋ねしていることがあります。
1.エサの購入価格
2.母豚(ぼとん)1頭あたりの年間出産頭数と母豚数
3.年間出荷頭数
4.出荷までの生育日数(出荷日齢)
このあたりをお聞きしています。
実は、養豚農家の経営っていうのはほぼこの要素で決まります。
これだけ聞けば儲かっているのかどうかがすぐにわかります。
エサ代は売上の6割を占めますので、1が経営を大きく左右します。
2を聞くことにより繁殖成績がわかります。1頭の母豚からいかにたくさんの子豚を産ませるかが経営に影響します。
3は2からだいたい推測ができるのですが、2から計算した値と差があると病気になって死んでしまう豚が多いことをがわかります。
4で成長が順調かどうかがわかります。エサの配合が悪かったり、病気が多かったりすると出荷日齢が伸び、出荷頭数の割にエサの使用量が増えてしまいます。
食品残さなどのエコフィードを利用する大きな理由の1つに、エサの購入単価を抑えると言う目的があります。
ところが、配合飼料の購入価格も畜産農家によって大きく異なります。購入単価が高い農家にはいろいろ理由がありますが、特に多いのが飼料販売代理店に買掛をためるケースです。
借金があると、代理店もリスク分を上乗せして販売せざる得なくなります。また、一番大きいのは相見積もりが取れなくなると言うことです。一社購買では自ずから値段が上がっていきます。
逆に、安く購入している方はやはりそれなりに工夫しているから安く購入できます。1回の発注ロットを大きくしたり、共同購買したりすることによって価格を抑えているケースもあります。
配合飼料の購入価格は安い農家と高い農家で1割以上差があります。売上の6割が1割違ってくると経営は大きく変わります。愛知県の標準的な養豚農家である母豚300頭の場合、年間の飼料購入費は1億円以上になります。1割違うと毎年1千万以上コストが変わってくるわけです。
配合飼料を高く購入されているような農家はエコフィードを使ってもやっぱりコストがあがってしまいます。
安いからとエコフィードに取り組む以前に、養豚という「ビジネス」に向き合う姿勢が重要なのだと思いますね。
石鹸と化学合成
仕事柄、有機農業と関わり合うことが多くあります。価格が高い有機農産物を購入される人は、自然や健康にこだわる方が多いです。この前、そういう方とお話ししていて「化学合成されたものではなく、石鹸を使いたい」と言われているのを聞いて、ちょっと違和感を感じました。
高校の化学でも習うかとおもいますが、石鹸というのは高級脂肪酸のアルカリ塩です。油脂(脂肪酸のグリセリンエステル)をエステル置換し製造されます。これは立派な化学反応です。
合成洗剤というとイメージが悪いですが、石鹸もある意味合成されているわけです。合成洗剤の主成分である界面活性剤の代表的なものの1つに、LAS(直鎖ベンゼンアルキルスルホン酸ナトリウム)という物質があります。名前だけ聞くと非常におどろおどろしいのですが、石鹸も「オレイン酸ナトリウム」というと同じような響きに聞こえてきたりします。
家庭でも廃食用油を使って石鹸を作ったりもできますが、廃食用油のような不純物が多い油脂を使用しますと、化学反応の過程でおもわぬ物質が生成する可能性があります。工場での大規模なプラントで製造する合成界面活性剤の方が「何が入っているかわからない」という状態は少ないと思います。
石鹸の危険性を喧伝したいわけではなく(私も家では石鹸中心です)、われわれの豊かで文明的な生活において化学合成というものはもはや切り離すことができなくなっているので、化学合成したものを排除するというのはナンセンスだということです。人類が鉄と火を手にした時点で化学合成が始まっているわけですから。
私はよりよい地球環境を構築することを目標に(微力ですが)努力していますが、世間一般における環境にたいして優しい行動というのが本質とずれているような気がしてなりません。イメージではなく、実質で環境を考える必要があると思います。当社の手がけているリサイクルでもそうですが、世の中にある「エコ」な商品の多くはイメージが先行している気がしてなりません。リサイクルだから、自然由来だから、素朴な作り方だから環境に優しいとは限らないのです。
そもそも、現代の日本人の生活というのはエネルギーの大量消費と「化学合成」されたものを含む大量の物質消費に依存しているわけです。この大量消費社会を本質的に変換しなければ、石鹸を使う運動というのは大海の一滴で自己満足の世界に過ぎないと思います。これだけ豊かな生活を送っている日本人が「環境に優しい」なんて言葉を使うというのはある意味皮肉ではないかと思ったりもします。自分も含めて反省をしなければいけないですね。
梅酒の作り方と梅の実
いよいよ梅雨入りして雨が多い東三河です。
梅雨と言えば梅の時期。というわけで梅酒を作りました。毎年梅酒を作っていますが、レシピを毎回変えています。今年は試みで芋焼酎の原酒で作りました。
左が今年仕込んだもの、真ん中が去年、瓶が3年前のものです。去年のものはラム(バカルディ)でつけたのですが、これが大正解でした。おそらく今まで作った中で一番美味しい気がします。ラムって案外安いですし、お勧めです。
ちなみに、つけた後の梅の実は美味しく食しています。ただ、アルコールがかなりきついので気をつけないと飲酒運転になってしまいます。
去年の記事にも書きましたが当社では梅酒の梅のリサイクルをしています。去年は機械が小さかったので処理に苦慮していましたが、今年は粉砕機の追加導入をしたのでかなり効率よく処理できるようになりました。
ですが、ちょっと粉砕の目が荒かったらしくお客様の養豚農家でポンプが詰まるというトラブルが発生。粉砕粒径は気をつけないといけないですね~。
オンサイト処理と衛生環境
出張続きで忙しい日々が続いています。毎月、「来月はちょっと時間の余裕が取れるかも」と思いつつはや半年以上こんな状態が続いています。
最近、当社が力を入れているのが食品残さのオンサイト処理システムです。今回の出張では、オンサイト処理の営業もしてきました。オンサイト処理というのは、食品廃棄物を排出事業所で保存、加工を行なう事でリサイクルに適した状態にするシステムです。
当社が行っている例としてはジャガイモの皮のリサイクルがあります。ポテトスチームピーラーというジャガイモの皮むき機があり、ジャガイモの加工を行っている工場ではこの機械を使ってジャガイモを大量に皮むきしています。剥いた皮はデンプンが豊富に含まれており、飼料として有用ですが高栄養のため非常に腐敗が早いです。このため、当社ではこのジャガイモの皮をオンサイト処理することによりリサイクルできるようにしています。有機酸を添加し密閉容器に充填することにより飼料として利用できる形態になります。
実は、この処理を行なう事によりリサイクルが推進され、コストが下がるだけではなく隠れたメリットがあります。それは衛生環境の向上です。
腐敗しやすい廃棄物を食品工場に保管すると、臭いや虫の発生を招きます。食品工場で腐敗したものを保管することは好ましくありません。飼料として利用できるように加工することにより、衛生環境の向上にもつながります。
昨今食品工場では衛生環境について非常に厳しくなっており、HACCPや納品先の立ち入り検査など、管理がきちんと求められるようになってきています。どうしてもなおざりになりがちな廃棄物ですが、工場内全体の衛生レベルを引き上げなければ製品の衛生レベルは向上しません。
最近、食品メーカーにお伺いすると工場の衛生レベルの違いについて気になるようになってきました。きちんと管理をされている会社はバックヤードにまわってもやっぱり安心できます。なんにせよ、いろいろな部分でお客様に喜んでもらえるのは嬉しいですね。
汚泥の減容化
6月に入って暇になるはず・・だったのですが、どうにも忙しい日が続きブログ更新もすっかり怠っています。
西へ東へ奔走する日々が続いています。仕事の引き合いを頂くのは嬉しいのですが、どうにも回らなくなってきたのでなんとかしなければと思う今日この頃です。
そんな中で昨日お伺いしたお客様で聞いた話。お客様の排水処理から出る余剰汚泥の処理のコストがかかるため、地元の企業が汚泥が減容できる装置を考案したので、取付をしたけどうまく行かなかったと言われていました。
排水処理を微生物処理で行うと、有機汚泥が発生します。これはどういうことをしているのかというと、水に懸濁している有機物を微生物の菌体に取り込ませるというプロセスです。微生物は呼吸で有機物を炭酸ガスなどの形で放出しますが、自身の菌体合成にも利用し、できあがった菌体を排水から分離すると余剰汚泥となるわけです。
汚泥は有効利用が難しいため一般的に廃棄費用が発生します。このため、できるだけ汚泥を減らしたいという要請があるのですが、簡単なことではありません。私も前職で排水処理メーカーに在籍しており、汚泥の減容化について検討するチームにも所属していたのですが、これはという手法はなかなかありません。
汚泥の減容化について検討を行っているのは排水処理メーカーだけではなく、世界中の研究機関が検討を行っています。日本でも大学や下水道事業団、大手プラントメーカーなどが様々な手法を実験しているのですが、しっかりとした実績が出ているものは無いのが現状です。
世界中の一流研究者が検討しているものを一介の地方企業が開発できる可能性は非常に低いと思うのですが、環境関連の展示会など行くと「汚泥が減ります」「グリーストラップの油を分解します」みたいな装置や薬品、微生物製剤がたくさん展示されていたりするのが不思議ですし、それを購入しようとする人もちょっと不勉強なのではないかと思います。要は、街の発明家が癌の治療薬を作ることができるのか・・ってことと同じ事です。
技術が高度化している現代社会において画期的なシステムってそんなに簡単にできるものではないと思うんですよね~。新技術への探求を否定するわけではありませんが。