コロナ禍によりいろいろビジネスに支障がある昨今です。当社のお客様でも影響が出ている業種があります。特に、日本酒、ビールなどのお酒関係は甚大な影響があります。今日日、家では酒を飲まなくなってきているのだと実感します。家では酎ハイや発泡酒が中心で、ビールは飲まない人が多いと言うことです。
当社はビール粕や酒粕などの副産物を取り扱っていますので、発生量が減少傾向にあります。
そんな中、製麺工場などコロナの影響が少ない業種からの新規のお仕事のご依頼が非常に多く、おかげさまで当社は仕事はむしろ増加傾向にあります。ご依頼をいただく理由の一つとして、今までそういった食品残さの引き取りを行っていた養豚農家が廃業してしまったというものがあります。
愛知県など都市近郊の養豚農家では古くからいわゆる残飯養豚というスタイルで豚を飼っている農家が存在します。飲食店などから残飯を回収してそれを加工し、豚に給与するというものです。しかし、このようなやり方をしている農家は今は非常に少なくなっています。
残飯などはたいてい無償で提供してもらえますので、養豚で一番コストがかかる飼料費を抑えることができます。しかし、当然ながら回収するのにも手間がかかります。残さを回収してまわることで人件費が発生しているので、見かけほどコストが下がるわけではありません。また、残飯養豚をやっているような農家は小規模なことが多く、回収するために時間を費やすとおのずと豚の面倒を見る時間が短くなり、管理がおそろかになりがちです。
そして、残飯を給与することで、肉質などにも影響がでてしまうことがあります。残飯は一般的に粗脂肪含量が非常に高く、油がそのまま豚肉の脂肪に移行してしまうためにおいなどの原因になりがちです。
このようなことから残飯を給与することが経営的なメリットが相対的に少なくなって廃れてきています。
牛、豚など畜種問わず畜産農家が食品残さを回収するのには
・ある程度のロットで回収することができる
・品質が安定している
・回収担当のスタッフがいる
ことが必要条件では無いかと思います。たとえば、大手パン工場から発生するパンの耳、製麺工場から発生する余剰麺、豆腐工場から発生するおからなどを農家が回収して利用している場合、コストの低減と品質の両立がうまくいっていることが多いです。
当たり前ですが畜産経営においては原価計算をきちんと行い、収支をみて利用の可否を判断することが重要です。他方、食品残さ回収などの作業を当社のような業者にうまくアウトソーシングすることで、コストの低減と生産性の向上をうまく実現し、経営に大きく寄与している例も多くあります。(宣伝ですw)
いずれにせよ、畜産経営においては原価の把握が重要であることは言うまでもありません。原価をもとにそれぞれの経営方針に応じた飼料を使用することが大切です。