養豚業界の面白さ

新年早々、いつものようにバタバタとしています。12月決算で決算処理関係の業務がある上に、新規の案件やイベントの対応、求人の業務など中小企業の社長の業務は多岐にわたっています。

決算がある程度確定してきたら、改めて各種指標を分析しています。昨年はおかげさまで順調に売上を伸ばすことができ、ささやかながら利益を出すことができました。これも社員、取引先、地域の皆様のおかげです。

中小企業ではきちんと数字の分析ができているケースは実はあまり多くありません。世間からは「経営者」というとバリバリに数値分析ができているように思われていますが、実際のところ売上高すら把握していない経営者もいたりします。数字を把握したから売上が増えるわけではありませんが、シビアな経済状況の昨今ではきめ細やかに現状把握することは必要条件だと思います。

特に農業では数字の把握ができていないケースがよくあります。路地栽培の耕種農家(たとえばキャベツとか)では経費や労務費の原価比率が低いため、細かい数字を把握できていなくてもキャッシュが回るケースが多くあります。

私はいろいろな業界の経営を見る機会があるのですが、養豚業界は数字の把握をするという観点では非常に特異的です。基本的に利益率が低く固定費比率が高い養豚業界はシビアな投資が求められます。養豚生産者戸数はかなり減っていますが、残った生産者は生産技術のみならず経営指標の把握という面でも高いレベルの面々ばかりです。

個人的に特に面白いと思うのが、養豚業界におけるベンチマーキングの存在です。養豚では生産者が各種指標を持ち寄って比較し合う仕組み=ベンチマーキングがあります。
ベンチマーキングの一例・・JASV(養豚開業獣医師協会)
所属しているベンチマーキンググループに指標を報告すると自分の成績が返ってきます。その結果、自農場の各種指標が生産者全体の中でどれぐらいの位置にあるかがわかります。ベンチマーキングに入力するのは単純な売上だけではなく、飼料費や衛生費などの生産コストや単価、繁殖成績などの生産指標、と畜場などの経費など多岐にわたります。同業の中でこのように比較し合う仕組みは養豚業界以外ではほとんど無いように思います。たとえば金属加工とか建築業などでこのような比較の仕組みがあるというのは寡聞にして知りません。

JASVのベンチマーキングの結果例

自社の位置がわかり問題点が明確化すると対策も打てます。また、地域性も明確になります。ちなみに当社のある愛知県は経営の良い生産者が多いとのことです。このベンチマーキングを見ると、エコフィードの効果も明確になります。エコフィードを使用することで生産原価でもっとも大きなウエイトを占める飼料費の削減を実現することができているケースが多くあります。また、コスト削減のみならず生産性の改善(飼料要求率の向上)や販売価格の上乗せにつながっているケースもあります。

養豚業界は業界として経営の改善を目指しているというとても面白い業界だと思います。そんな業界の発展に少しでも寄与できたらと思っています。