選挙における政策のあり方

衆議院が解散され選挙か始まりました。選挙のたびに思うのが、各党の政策が具体性に欠けることです。

どの党も所得の向上、経済の発展、子育て支援を謳っており、正直選挙公報を見ても大きな差を感じることができないかと思います。もちろん、経済発展や子育て支援は重要であることは間違いありませんし、そこを目指すのは大切なことです。しかし、政策としてみた場合必要なのはその手段であり、目標だけ掲げるのは意味が無いことです。

与党ならば、従来の施策の問題点を洗い出し、これからなにをどのように変えていくかを具体的に例示すべきだと思います。これまで政権を担ってきたにもかかわらず経済が停滞し少子化が進行してきたことに対するエクスキューズがない政策提言は無責任だと思います。

野党ならば、これからどういう予算編成にしていくか、具体的な目標数値を示すべきだと思います。10年後の想定税収、それに対する支出割合を示し、なににいくら金を使うのかの具体案を提言すべきでは無いでしょうか。減税を公約するならば現在によってどれぐらい税収が減り、それをどのように補填していくかを数値化して示すべきです。選挙公報には将来の予算支出割合の円グラフを記載して欲しいです。民間企業ならば中長期的なビジョンに基づき数カ年の予算を立案することは普通に行っています。国家であってもそういった予算のシミュレーションをすることは採点現必要だと思います。

仕事柄、農業政策についても注視していますが、これも与野党問わず農業振興を謳っているにとどまっているように思えてなりません。野党においては直接支払いを政策として掲げている例がありますが、直接支払いは政府の財政規模が大きくなることは避けられないものです。農水省の予算規模としてどれぐらいを想定しているのか数値目標を出さないと、絵に描いた餅と思われてしまうのでは無いでしょうか。

結局、太宗として「大きな政府を目指すのか小さな政府を目指すのか」がわかりにくいのが政策論争にならない大きな原因かと思います。個人的には少子高齢化が進み生産年齢人口比率が下がると社会保障費が増えることが避けられないこと、また政府の再分配機能を踏まえると大きな政府にせざる得ないのでは無いかと思います。減税をするのでは無く、むしろ税収をあげその上で給付を増やしていくことが格差の低減につながって行くと思います。格差の縮小は決して単なる社会正義的な見地だけというわけではなく、支出指向性の高い低所得者の支援は経済刺激効果の面からも必要なことでは無いでしょうか。財源無き減税や給付は質の悪いバラマキ政策であり、これまで効果が無かったことを今更繰り返すのは愚の骨頂です。

もし、私が政策立案を手伝ったとしたら、こんな感じの案を提言します。

・格差の低減・・大きな政府により格差低減をめざす。

・年金と税の一体化・・シンプルな制度にすることで徴収コストを下げるとともに、130万の壁を撤廃

・教育費の支出増加・・OECDでも下位の教育費を増やすことで、長期的な国力増加めざす

・都心部一極集中の低減・・人口密度に応じて税負担をあげることで、人口集中の是正を目指す

・食料生産の強化・・直接支払制度により生産物価格をさげ輸出などによる需給調整機能を付加しつつ農家所得を維持する。

・金融所得の分離課税を廃し、総合課税として単純化をはかる

・マイナンバー等、DXの効率的な利用により社会の負担を低減。確定申告も年末調整も廃止。

・給食は国の公費負担とする

いずれにせよ、国会議員には政策秘書がいるにもかかわらず具体性を持った政策提言がほとんどなされていないのは大きな問題だと思いますが、その大きな原因として有権者が公共事業などの成果や、お祭りに来る人を選ぶ行動があるかと思います。

高度経済成長期と異なり、現在は社会インフラが律速で経済成長が阻害されている訳ではなく、少子高齢化による社会負担の増大と将来不安が大きな要因になっているかと思います。将来の不安を払拭するためには具体的な将来像を掲げることがなによりも重要だと思います。選挙カーでお願いするのでは無く、文書でビジョンを語ってほしいものだと思います。