エサ業界の物流危機

早いもので2024年も終わろうとしています。世間では仕事納めの会社が多いようですが、当社は絶賛31日まで営業しています。正月1日はお休みですが、2日から通常営業です。

今年は2024年問題が騒がれた年でした。特に運送業界に対する影響が世間でも大きく取り上げられていました。一部に誤解があるようですが、2024年問題とは残業規制であり、運送業界に限ったことではありません。これまで運送業は残業の規制が緩かったのが2024年になり他業種同等の制限がかかったことでドライバー不足になったわけです。これまでもドライバーが不足していたところに、拍車がかかりました。
ただ、今年になって急に法律が改正されたわけでは無く以前より決まっていたことなので、この期に及んで慌てている事業者はあまりに見識不足です。ドライバーに限らずあらゆる業種で人手が不足している時代において、人手不足のリスクをどう回避するかは経営者にとって大きな課題です。

その中でもエサの業界は運送業界の混乱の影響を特に強く受けます。というのも、飼料は価格が安く、重たいので相対的に運賃の比率が高くなります。
これまで運送業者に無理を言ってきたのが通用しなくなり、運賃が上がると他業種以上に大きな影響を受けます。

特に、エコフィードの業界は運賃の比率が一般の飼料以上に高いです。と言うのも、エコフィードはウエットなものやかさ密度が低くトラック積載量が限られるモノなどが多く、価格が安いことも相まって運賃の比率が非常に高くなります。例えば、エコフィードでよく使用されるビール粕は10円/kg~20円/kgに過ぎず、トラック満載しても下手すると商品代金は十万円強となりますが、それに対し運賃が数万円程度かかります。場合によっては商品代金と運賃が同等になることすらあります。

少しでも運賃を抑えるために帰り便のトラックを探すケースも良くあります。しかし、帰り便は時間の指定ができないことが多くあります。一方、食品工場は場所が狭隘で商品等の入出荷を優先するため時間の指定を受けることがよくあります。また、飼料を納品する農家でも、時間の指定があったり、特殊な重機で荷下ろししたりするケースもあります。フォークリフトでしたらドライバーが対応してくれますが、重機だと農家さんの都合に合わせる必要が出てきます。

また、農家や食品工場は敷地や道路が狭いため、大型車が入れないケースもあります。13トン積める大型トラックも2トン車も人は1名必要なので、車一台の運賃はそれほどの差がありません。従って積載が少ないとどうしても重量あたりの運賃が高くなってしまいます。

結局、運送会社に無理を言うとそれは運賃に跳ね返ってきて、飼料の価格が上がってしまいます。コストを抑制するために、いかに運送効率を高めるかを考えることがこれからは求められています。取引業者に無理を言って安くするのではなく、お互いに効率いいやり方を求めることで価格を抑えることが中長期的な視点で継続的な取り組みになります。

当社は同業他社と比べて多くの運送会社と取引しています。これはそれぞれの運送会社の都合にできるだけ合わせられるように、取引先を増やす方針を採ってきたからです。事業では取引業者とともの共存共栄できる関係を築くことが重要だとと思います。