ワタミはブラック企業なのか

参議院選挙が近づいてきました。だれがなっても同じという諦観が蔓延しているようですが、、選挙に行くことが何より重要だと思います。

さて、今回話題になっている候補者の一人がワタミ会長の渡邉氏です。世間ではブラック企業の筆頭のように言われているワタミですが、同じ創業者から見て少し分析してみたいと思います。

さまざまな情報をみると、渡邉氏は従業員に対しとにかく全力で休み無く仕事をすることを求めているようです。このあたりがブラックとよばれるゆえんかと思われますが、その背景にあるのが自身がひたすら働いて会社を大きくしてきたその経験があるのではないかと思います。佐川急便で1年間ひたすら働いて300万円貯めて創業資金とした話は有名ですが、創業者というのは多かれ少なかれがむしゃらに働くものですし、休みなしで働く事は普通です。
私もサラリーマン時代は休日出勤がとてもイヤでしたが、創業してからは休日働くことはまったく苦にならなくなりました。

ただ、創業者と同じようながんばりを従業員まで求めるのは酷だと思います。社長、特に創業者と従業員は同じメンタルにはなり得ませんので。佐川急便で働いたとはいえ、それは創業の一部のようなものでしょうから一般的な雇われ人をしていない渡邉氏にはそういう従業員の意識があまりわからないのではないかと思います。

ところで、渡邉氏はワタミの離職率が低いことなどを理由にブラック企業批判に反論しています。
http://www.watanabemiki.net/journal/post-475.html

また、本当にブラック企業ならここまで成長できないという趣旨の発言も行っています。確かに従業員を酷使して使い捨てる中小企業はそれほど珍しくなく、そういう会社は成長できません。ワタミが大きくなれたのは単なるブラック企業ではない要素があるのは確かです。

私の友人がワタミ関連会社に勤めていた経験があるのですが、曰く渡邉氏はカリスマ的な雰囲気があるとのことです。渡邉会長を信奉している従業員も多く、従業員大会では熱狂的な雰囲気があると聞きます。

そういう状況を見ると、ワタミという会社は一種の宗教組織的な要素があるのではないかと推察されます。渡邉氏という「教祖」の教えがあり、教義にしたがって滅私奉公的に会社に尽くすのですが、信奉している人にとってはつらさがないのではないかと思います。しかし、その宗教に帰依できないまま会社に所属してしまうと辛い思いをすることになる・・・そんな構造ではないでしょうか。

そういうことを書いていて、オウム真理教がやっていたパソコンショップ、マハポーシャを思い出しました。大須にも店舗があったのですが、信者が無報酬で組立していたので、安かったです。

 

カリスマ的人格で従業員を鼓舞して従業員が死にものぐるいでがんばる、そういう経営スタイルはある意味会社経営としては非常に優れた形かもしれません。ただ、属人的な経営はその人がいなくなってしまうと終わりです。アップルにおけるジョブスのようなものです。
また、果たしてそういうスタイルが普遍的な組織運営のスタイルとして成立するものなのか、国家運営に馴染むものなのかというのは考えてみる必要があると思います。

ただ、私は常々国会議員には民間企業の経営経験がある人がもっと増えるべきだと思っています。いまの国政の混乱(特に民主党に関して)は、組織マネージメントの経験不足がかなりの原因だと思います。そういう意味で組織運営のスキルの高い民間企業経営者が国会に増えて欲しいと思っています。

今回の選挙ではおそらく渡邉氏は当選することと思います。当選のあかつきには国民が滅私奉公するような社会になることだけは避けてほしいものです。

ワタミはブラック企業なのか” への2件のフィードバック

  1. 今までは日本人は、普通の人でも少なくとも初等の教育を受けられて優れていたけど、今となってはそんなの特別なことではない。そんな中、日本人のような先進国の人たちは、特別な待遇だけが残されている。世界では、日本でやるのと同じような仕事、下手をするともっとレベルの高い仕事が、日本の10分の1ほどの賃金で頑張る人たちによって担われていたりします。そうなれば、最低賃金でも、日本で働くなら10人分の仕事をそつなくこなせないと・・・。
    結局、ブラック企業の問題以上にブラック人材が増えてしまっている問題がある。ブラック人材は、己のことを反省しないから、すぐ他人や食わせて貰っている会社の批判をする。他人のせいにする前に、給料以上の仕事をしなさいと言いたい。ブラック人材ばかりを抱え込んだら、会社が潰れるんです。日本が潰れるんです。
    ブラック企業ばかりではなく、きちんとブラック人材にも注目し問題にしてほしいですね。

  2. 名無しさんこんにちは。文章の内容からするとユニクロの柳井会長様のようですが、ちがっていたらすみません。
    グローバル化が進んでいる今、あらゆるものが世界基準で判断されるようになってきているように思います。その結果、どこでもできるものづくりは日本で行われなくなってきています。おっしゃるように日本人の給料が相対的に割高になっていることは事実でしょう。
    でも、サービスというのは輸出入するわけにはいきません。日本の経済はサービスが中心になってきている訳ですから、発展途上国と同じ対価ということは難しいと思いますよ。
    言われるような理屈が通るなら、ワタミのメニューも発展途上国と同じ価格にしなければいけなくなりますね。

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