少子化と経済成長

最近会うかたから「ブログ楽しみにしています」と言われることがよくあります。なかなか更新できず申し訳なく思います。

最近も書類作成と新規案件の対応に追われており多忙な日々を過ごしています。忙しい理由の一つに採用活動もあります。中小零細企業では社長自らが採用活動に携わるため、どうしも負担が大きくなります。当社が新卒採用するようになってから6年ほど経過しました。当初は採用活動のやり方もよくわからない状態からのスタートでしたが、現在は毎年優秀な新入社員が入社してくれるようになりました。来年も3名の新卒者が入社予定です。

新卒採用に取り組む理由の一つに、少子化の進行があります。私は昭和48年生まれで第二次ベビーブーム世代で出生数が211万人ですが、昨年の出生数は81万人しかありません。生産年齢人口の急激な減少は間違いなく人手不足に繋がります。また、昨今の円安で外国人労働者の採用が難しくなっています。現在300万人近くの外国人がいるわけですが、当然ながら円安になると相対的な賃金が減少し、日本で働くメリットが少なくなります。以前は技能実習生は中国人が多かったですが、相対的な賃金メリットが少なくなったため現在はベトナムやミャンマーの方が多くなっています。しかし、そういった賃金が低い国の人も日本以外で働く選択肢もある以上、いつまでも人材確保できるかは微妙です。このままいくと「人手が足りなく仕事ができない」という会社が続出するものと思います。

総務省ホームページより

他方、現在の消費低迷の原因の一つとして生産年齢人口の減少があります。以前、経済セミナーで日本の高度経済成長の要因として、急激な生産年齢人口の増加(=人口ボーナス)が大きな要因であるという話を聞き衝撃を受けました。急激な若年層の増加は消費の増加に繋がり、経済成長をもたらします。逆に言うと、人口増加だけで経済成長してきた社会は人口減少時代では成長しないということになります。実際、生産年齢人口の推移を見ると、日本の経済成長とよく合致していることがわかります。そして、生産年齢人口が減りだした96年が一つのターニングポイントとして、「失われた20年」(30年になりそうですが)が始まっているわけです。

今の経済の低迷は、生産年齢人口が急激に減少しているのにもかかわらず生産年齢人口が増加した高度経済成長時代のやり方をつづけているからではないかと思います。消費する人が減っているのに金融緩和をして資金を供給しても消費が増えるはずはありません。金融緩和により円安になることで企業収益は見かけ上向上しますが、それは未来の借金でドーピングされた収益であり問題の先送りしているに過ぎません。安倍元首相が殺害され、アベノミクスの功罪が改めて総括されていますが、アベノミクスの大きな問題は金融政策に依存し少子化という最も根本的な部分に手がつけられていないという点ではないかと思います。つまり、金融緩和により円安になりグローバル企業中心に企業業績は改善していますが、人口減少でマーケットが縮小する日本には投資が行われず、円安によりドルベースの実質賃金が低下し高齢者人口の増加により社会保険料の負担が増加することでも実質賃金が低下した‥これがこの10年ではないかと思います。
他方、日本の生産性の低さが問題視されていますが、これも為替(と購買力平価)、生産年齢人口の減少が大きな要因であり、生産年齢人口減少を加味すると決して悪い状態ではないという意見もあります。→みずほ総研のレポート
いずれにせよ早晩たちいかなくなる社会保障制度をどうしていくか、所得格差の拡大をどうしていうかを道筋つけなれば少子化に歯止めはかからないでしょう。

中小企業ができることは限られていますが、「人がいない」時代にどう事業を行っていくか難しい舵取りをすることが求められています。当社も若い人材とともにこれからの難局を立ち向かっていきたいと思います。

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