三河地方の暑い夏もそろそろ終わりそうです。今年の夏は西瓜をたくさん食べました。でも、鰻はあまり食べなかった気がします。どこの鰻屋さん行っても値段が張り替えてあって、庶民が食べるものでは無くなりつつありますね。
というわけで、今日は専門を離れて鰻の話をば。
最近は鰻(とシラス)の漁獲規制に関する記事もちらほらみかけるようになりました。
親ウナギの漁獲規制を検討 水産庁、3季連続の不漁で
http://www.asahi.com/national/update/0322/TKY201203220546.html
私も鰻の漁獲規制には賛成です。今の状況では早晩もっとひどい状態になるのは目に見えています。それにしても、シラスうなぎがなぜ捕れなくなったのか、私は環境の改変の影響も大きいと思います。
ご存じのとおり、鰻は普段淡水の川や湖沼に住んでいます。その鰻が降海して海で産卵し、生まれた鰻はレプトケファルス→シラスうなぎと変態を行い、また川から遡上するわけです。
というわけで、親鰻が川から海に下らなければシラスうなぎは登ってこない訳です。ので、上記のような親鰻の漁獲制限が必要になってきます。でも、私は親鰻が減ってきているのは河川改修の影響も非常に大きいと思います。
例えば、私の自宅の裏には音羽川という二級河川があります。見たところ、水質はかなり良好そうですが泳いでいる魚は鯉ばかりです。以前、音羽川沿いに自転車で海まで行ったことがあります。海まで10キロ弱なのですが、小さな堰がたくさんありました。魚道も設置されていない堰なので、当然魚が遡上することができません。堰が設置されていなかったときにはシラスうなぎが遡上していたとしても、今では遡上できなくなっています。
また、川を鰻が遡上できても、その先の川とため池や側溝と田んぼとの間を魚が行き来できないために、鰻が生息できる場所が減ってきています。昔は田んぼに普通に鰻が住んでいたそうですが、最近そんな話はほとんど無くなりました。
愛知県農業試験場では、水路と田んぼを魚道でつなぐという試みを行っています。試験結果をみると、いろんな魚が水田魚道を登ってくるみたいですが、鰻は確認できていないようです。水田魚道はとてもおもしろい試みだと思いますが、水田魚道だけではなく川にも魚道がなければ鰻が田んぼを泳ぐようなことはないでしょう。
生物多様性を維持するためには、海から田んぼまで魚が行き来できることが必要だと思います。
昔は琵琶湖や諏訪湖にも天然鰻がたくさんいたそうですが、どちらも本流に大きなダムができたため鰻が生息しなくなってしまっています。全国規模でそういう河川が増えているので、そもそも親となる天然鰻が減っているのだと思います。
結局、自然環境の改変により鰻の再生産キャパシティーが低下しており、にもかかわらず漁獲量が減らなかったため再生産能力を上回った状態が続いて結局資源の低下を招いているのだと思います。
今のままでは漁獲制限することはやむを得ないと思いますが、抜本的には鰻が生息できるような環境を整えていくことが必要でしょう。生物多様性ってまったく経済的には寄与しないような印象がありますが、実は我々の生活は自然環境の上に成り立っており、生物多様性を維持することは結果的に経済活動の発展にもつながっていくのだと思います。とりあえず、全国有数の養殖鰻の生産地である愛知県は管理している河川の魚道設置をすすめて、シラスがたくさん遡上できる環境作りをしていくことが必要なのではないでしょうか。
投稿者: eco
リサイクルしない方がいいもの
暑い日々が続いています。最近、屋外の現場が多かったのですっかり土方焼けになってしまいました。毎日慌ただしく過ごしているのですが、引き合いを頂いている案件が多いのでなかなか対応し切れていない状況です。そんな中、北海道へ出張中で、また仕事がたまりそうです。
この頃は当社のWebサイトをご覧になってお問い合わせ頂くケースが多いですが、本当に様々なお問い合わせがあります。もちろん、食品廃棄物をリサイクルして欲しい、買い取って欲しいというお問い合わせの割合が多いのですが、その中にどう考えてもリサイクルに向かないものもあります。
例えば、以前問い合わせ頂いていたものの中に、食玩のリサイクルがありました。食玩とは、ガムやラムネにおもちゃがついているアレです。おもちゃと一緒になったパッケージを分離して、ラムネだけをリサイクルして欲しい・・そんなご依頼でした。
容器と中身を分別する機械が当社にもあるのですが、おもちゃまでくっついているとうまく分離ができません。手作業で分けるにしても高額な費用が発生してしまいます。また、ラムネはいいのですがガムになると堆肥、飼料どちらにも原料としては不向きです。
そういう事業者さんにリサイクルに向かないものを無理をしてリサイクルする理由をお尋ねすると、「ISO14000を取っているから」「親会社に言われているから」なんて答えが返ってきます。ISO14000って、リサイクルに不向きなものを高いお金をかけて無理矢理リサイクルすることを求めてはいないはずです。発生抑制をしたり、リサイクルしやすいパッケージにすることが一番必要かと思います。
同じようにリサイクルに向かないと思うものが、コンビニ弁当です。最近のコンビニ弁当って、パッケージがなんか妙に複雑にできています。冷やし中華とか、蓋を取って内側のラベルをはがしてスープをかけて薬味をかけて・・なんて調子ですから、機械で分別するのはほぼ不可能です。手作業で分別を行っても分別精度が悪く、どうしても製品に異物が入りがちです。また、コンビニ弁当は高カロリー、高脂肪、高塩分のため飼料にはむかず、堆肥にもいいとは言い難い原料です。拠点も分散しているので回収コストも多くかかる訳で、コストをかけて回収してリサイクルする意義を感じません。
パフォーマンスのためにリサイクルするのではなく、なんのためにリサクルするのか、どうしたら資源を有効に使えるかを考えることが基本なのではないかと思います。
廃棄物の管理会社
リサイクル・産業廃棄物業界に足を踏み入れてはや5年が経ちました。最初は業界の習慣とか雰囲気に驚くこともありましたが、今はすっかり業界人?です。
驚いたことの1つに、管理会社の存在があります。産業廃棄物の許可を取得するためには講習会に行く必要があります。講習会では「ブローカー行為の禁止」と習います。ところが、業界では普通に管理会社というものが存在しており、仲介を行っているわけです。
もっとも、ブローカー行為とはなんぞやという定義が曖昧ではあります。産業廃棄物の処理に関して仲介行為が禁止されているのは、仲介によって廃棄物の処理委託先が不明確になることがその理由の1つです。処理を委託する場合、必ず排出事業者と処理業者が直接契約書を結ぶことが義務づけられています。
管理会社が仲介を行う場合、もちろん契約書は排出事業者と処分業者の間で結びます。ただし、金銭の授受は管理会社が行うケースがほとんどです。もちろん、この際に管理会社は管理手数料を得るわけです。
大手飲食店チェーンやコンビニなどでこの管理会社の仲介が行われることが多いです。また、食品製造業の会社でも全国に工場を展開している大手では管理会社がマネージメントを行っているケースがあります。なぜ費用を払ってまで管理会社に管理を委託するのか、その理由はいくつかありますが、一番は「適切な料金で適切な業者に委託するため」というものだと思います。
廃棄物の処理業者が全国展開しているケースはほとんどありません。このため、処理を委託するのは地域によって違う業者になってしまいます。その地域で事業を行っている廃棄物業者を探すことが第一のハードルです。また、廃棄物の処分費は地域によって相場が大きく異なります。廃棄物処理に関する情報が少ないため、果たして適正な価格がどれくらいなのかがわかりにくいです。たくさんの管理契約を持っている管理会社なら、適正な価格がどれくらいか把握できるわけです。
当社にも管理会社からのオファーがあることがあります。ところが、当社では食品リサイクルにより飼料や肥料を製造しています。特に、飼料は原料成分や取り扱いがシビアなため管理会社が持ってくる情報では十分な判断ができないことが多いです。結局、話が回りくどくなるだけでいいことがあまりないケースが多いです。
先日も管理会社から話があり、話がスムーズに進むか心配だったことがありました。ところが、今回の管理会社はきちんと必要な情報をまとめて記録を作成し、お客様にこちらの条件を提示してくれたので感心しました。本来、管理会社とはかくあるべきとの思いをあらたにしました。
私は前職で設計業務を行っており、商社との交渉をする機会がよくありました。使えない商社が多く、「見積が出るのが遅くなる以外の仕事をしていない」と思ったものです。インターネットが普及して情報が収集しやすい今日、商社や代理店、管理会社は無用の長物になりかねません。仲介をすることにより対価を得るためには、相応の仕事をする必要がある、当たり前のことですけどできていない事業者が多いのではないかと思いますね~。
エコフィードと発育、アミノ酸
最近、養豚農家向けのセミナーを行う機会が何回かありました。いろいろな話題を提供しているのですが、注目度が高いのが「増体」についてです。
豚はだいたい110kgぐらいの体重になったら出荷してと畜されます。それまで、どれくらいの日数がかかり、どれくらいのエサを食べて大きくなったかが養豚経営を大きく左右しますので、いろいろな研究や調査が行われています。
1日に大きくなる量を日増体量、DG(Daily Gain)と言い、1kg体重が増えるのに必要なエサの量(kg)を要求率と言います。これがエサの組成がちょっと変わるだけで相当変化します。
当社は地元のひまわり農協が実施していた研究会に参加していたのですが、その時比較試験をしてあまりに変化が大きいので驚きました。
一般的な配合飼料を使用して一般的な品種での養豚では、だいたい出荷までの日数は180日ぐらいです。出荷近くなると、だいたい1日に3kgのエサを食べて1kg大きくなります。つまり、要求率は3ぐらい、DGは1kgということです。ところが、全く同じ飼料をリキッドフィーディングとして与えると、要求率が0.4ポイント、つまり1割程度向上し、出荷までの日数も2週間ぐらい早くなりました。
これは、リキッドフィーディングが液状で消化がいいためです。リキッドフィーディングはそれなりの設備投資が必要なのですが、計算をするとこの要求率の向上だけでリキッドフィーディングの減価償却しておつりがでるぐらいになります。
ところが、食品残さ由来のエコフィードを給与すると、それ以上に変化します。配合飼料は含まれる栄養成分を細かく計算し、しかもかなりコストの制約にとらわれています。エコフィードを給与する場合、細かい計算をしなかったりすると栄養バランスがくずれて増体が非常に悪くなるケースもあります。逆に、配合飼料ではコスト制約で使えないような高品位なものが使えたりするので、配合飼料以上に増体がよくなることがあります。
ので、私はエコフィードの使用をしている養豚農家にお伺いしたときには出荷日齢を聞くことにしています。きちんと飼料の栄養成分の計算ができているかどうかは出荷日齢をきけばほぼ判断できるわけです。
通常180日程度の出荷日齢が、当社のお客様で一番短いところでは130日で出荷できているケースがあります。逆に、新規参入で養豚を始めたケースでは、240日かかっている例がありました。
この違いはおもにタンパク質の摂取量、アミノ酸のバランスに起因しています。エコフィードは一般的にカロリーが高くなりやすいです。(日本人の食事が高カロリーと言うことことですね)これに対し、タンパク質の量が不足しがちになります。また、タンパク質の量が足りていてもアミノ酸のバランスが悪ければ増体は悪くなります。エコフィードでは一般的にリジン、メチオニンなどの必須アミノ酸が不足しますので、これらのアミノ酸を単体で補給しなければ成長がわるくなってしまいます。
逆に、エコフィードはかなりカロリーが高く、可消化率も高いものが多いので、適切なアミノ酸バランスが達成できれば配合飼料以上に増体がよくなります。一般的な配合飼料ではコスト制約のためトウモロコシを主体としているのですが、エコフィードは粉末や加熱処理がしてある小麦粉や米などの原料が多く、このため消化吸収に優れているわけです。
エコフィードを取り扱うようになって、食べ物の栄養バランスが生物にとっていかに重要なのかを実感します。また、日本人の食生活のバランスが崩れていることも強く感じます。人間も本当に食事のバランスは気をつけなればいけませんよね。
逆有償に関する通達と有価偽装
リサイクル業界の人が結構このブログをご覧になっているようですが、最近はちょっと法律についてのネタが少なかった気がしますので、今日は法律論を久々に書きます。そうそう、環境省の方もたまにこのブログをご覧になっている模様です。
この前、リサイクル業界の人と話をしていて、逆有償について話題になりました。実は、このブログのアクセス解析を見ると一番多いキーワードが「逆有償」です。
逆有償については以前も書いていますが、もう一度整理してみたいと思います。
逆有償という言葉の定義は明確になっているわけではありませんが、業界において一般的には「有価物として取引されているが、販売価格より運賃が上回っている場合」です。これって、実質的には処分費用を払っているのと同じ状態じゃないの?って言う疑問が出てくるかと思います。
実は、環境省から通達が出ています。
環廃産発第050325002号
これは、先の通達、平成3年10月18日付け衛産第50号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課産業廃棄物対策室長通知の補足的な内容となっています。
ちょっと長いですが抜粋します。
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産業廃棄物の占有者(排出事業者等)がその産業廃棄物を、再生利用するために有償で譲り受ける者へ引渡す場合の収集運搬においては、引渡し側が輸送費を負担し、当該輸送費が売却代金を上回る場合等当該産業廃棄物の引渡しに係る事業全体において引渡し側に経済的損失が生じている場合には、産業廃棄物の収集運搬に当たり、法が適用されること。一方、再生利用するために有償で譲り受ける者が占有者となった時点以降については、廃棄物に該当しないこと。
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これ、相手に渡したときに相手がちゃんとお金払っていれば相手に渡った時点で有価物になると言うことです。
もう少し具体的に例示してみます。
A乳業から牛乳が廃棄されます。養豚農家はそれを1円/kgで購入し、A乳業へ支払ます。運賃は3円/kgかかりますが、これはA乳業が負担して、B運送へ支払います。
と言う場合です。この場合、運搬している間はA乳業が費用を支払っている、つまり経済的損失が生じているため廃棄物となり、養豚農家へついた時点で有価物として扱うと言うことです。
ところが、ここで有価偽装という問題が出てきます。有価偽装とはどういうことかというと、先の例で言うと養豚農家は代金をA乳業に支払います。ところが、裏金として実際はA乳業からお金をもらってると、それは有価偽装となります。
お金を受け取るというのがなぜ問題なのか、それは受け取っただけでお金がもらえるため受け取ったものを不法投棄などしたら簡単に儲かってしまうからです。これが一番最初の例のようにきちんとお金を払っていたら普通は捨てることはありません。お金払って買ったものは普通は簡単に捨てませんよね。
そういう疑いをもたれないように、契約書などできちんとお金の流れを把握できるようにして行政に説明できるようにしておくことが重要ですが、一番重要なのは取り扱うものがちゃんと「価値あるものとして見なされるようなものであること」です。誰がどう見てもゴミにしか見えないものを有価物として主張するのは無理があります。
と、つらつら書きましたが、廃棄物行政で問題なのは環境省の通達が出ているのにもかかわらず行政の担当者によっては上記のような取引を認めない(あくまでも廃棄物として取り扱うように)と言うことです。廃棄物行政は曖昧模糊としており法律に明記されていないことが多いため、どうしてもそのような事態が発生しがちです。また、都道府県の担当者も異動が多く、全ての人が法規に精通しているわけではありませんのでどうしても判断が揺れ動きやすくなります。
リサイクル関係の仕事をする以上、法律については行政担当者と同等以上に把握しておく必要があると思います。
ブルームレスのキュウリと食品の安全
暑い日々が続いておりますが、皆さんいかがお過ごしですか。
実験圃場でキュウリを作っているのですが、この暑さで露地植えなのに萎れています。水やりしてもなかなか追いつかない感じです。
実験圃場で作っているキュウリは、四葉(スーヨーと読む)という品種です。この品種、一瞬ニガウリと思うようなごつごつした表面で、粉も吹いているので見た目はあまりよくありませんが、ぼりぼりとした食感が気に入って毎年のように作っています。
四葉を作っているもう一つの理由は病気や虫に強いため作りやすいということです。家庭菜園でキュウリを作ったことはご存じだと思いますが、キュウリなどのウリ科の作物はうどんこ病という病気にかかりやすく、またウリハムシにかじられやすいです。四葉は他の品種と比べて病気や害虫に強いような気がします。
この病気や害虫に強い理由の1つとして、キュウリ表面に吹いている粉があります。この粉はブルームと呼ばれるケイ酸の結晶です。キュウリだけではなく、冬瓜やブドウの表面についている白い粉も同じものです。粉が吹くことにより物理的に防御するわけです。
ところが、世間ではこのブルームは嫌われます。手についたりするのが嫌われるというのもあるのですが、粉が吹いていると「農薬がかかっている」と思われたりするのです。そのため、ブルームレスという粉がふかないキュウリが多く作られています。
実際はブルームレスの方が病気に弱いため、農薬の使用量が多くなる傾向にあります。消費者が無知のため、「農薬が少ないもの選んだつもりがかえって農薬が多くなる」という事態になっているわけです。最近は常套句となりました「安全、安心」ですが、安全と安心はまったく別物だと言うことがよくわかる事例なのではないでしょうか。
科学リテラシーも重要かと思いますが、その以前の問題として「見た目や思い込みで判断しない」っていうことが重要だと思いますね。
リサイクル費用を受け取るという意味
暑い日々が続いてすっかりげっそりとなっている今日この頃です。暑いと食べ物を食べなくなるので例年痩せます。豚も一緒で暑くなると食べる量が減るため、当社の飼料出荷量もそれにともない減少します。
この前、養豚農家さんが「産業廃棄物処分業の許可がほしい」ということを言われていました。養豚は古くから残飯を受け入れていたこともあり、全国でも少なからず産業廃棄物処分業の許可がある養豚農家があります。しかし、産業廃棄物処分業の許可があるということは、「原料の受入の際に処分費用を受け取る」ということです。たしかに、お金をもらってエサを入手できるのですから、すごく儲かりそうな印象がありますが、お金をもらうと言うことはまた違った意味が出てきます。
排出事業者の立場に立つと、お金を払うと言うことはお客様になるわけです。廃棄物を確実、安定的に処理を行う対価としてお金を支払う訳なので、安定的に処理を行なう事を求められことになります。
食品工場からの廃棄物は様々な種類のものが発生し、その量も変動します。養豚農家が処分費用をもらうということは、そういったものを受け入れしなければいけないことになります。上で述べたように、豚が食べる量は年間を通じて変動がある上に、受入量が変動するためその需給調整がたいへんになります。これがエサを購入すると、必要な分だけを購入すればいいわけです。また、食品工場からの廃棄物でも飼料に向かないものもありますが、こう言ったものが発生しても引取をもとめられてしまいます。
養豚農家によっては配合飼料との併用により需給調整をうまく行っている例がないわけではありません。でも、安定的にリサイクルすると言うことは結構たいへんなことです。
当社のようなリサイクル専業業者でも需給調整は苦労しますが、当社の場合、顧客となる畜産農家の数が多くありますので、リスクをヘッジできるわけです。
飼料に向かないものは肥料としてリサイクルすることにより、飼料の品質の均質化もはかっています。
また、有価物として養豚農家が引き取りする場合もあります。この場合、購入しているわけですから必ずしも引取の義務が生じるわけではありません。ところが、こういう排出事業者から当社への引き合いが結構あります。「養豚農家さんが取りに来ていたが、時々取りに来なくて困ったのでリサイクル業者をさがしている」っていうようなお話しを頂いたりします。排出事業者は費用が発生しても安定的に処理が行われることを求められているわけです。
食品に限らず、リサイクル業界は需給調整が必要となります。そこに当社のような業者が存在する意義があるわけです。いわば、静脈ビジネスにおける商社と言うわけです。
存在意義がない事業って継続することはできません。会社の立ち位置、意義を常に考えて事業を営んでいきたいと思っています。
畜産と食糧自給率
穀物価格の上昇がニュースを賑わしています。→ロイター記事
普通に生活している限りあまり実感がないのですが、日本は世界から多量の穀物を輸入しています。トウモロコシの輸入量は1600万トンで世界最大の輸入量です。そのうち1200万トンが家畜の餌に使われています。残りはおもにデンプンなどの加工用になり、デンプンは更に加工され異性化糖として清涼飲料水などに使われています。
トウモロコシ以外には大豆が多く輸入され、大豆は食品用だけではなく、圧搾抽出されて大豆油として利用されています。油を搾った残りは大豆粕として醤油原料や家畜飼料として利用されます。
日本の家畜は輸入飼料に依存しています。日本の食糧自給率が低い原因は家畜飼料と油糧作物の輸入にあります。エサが肉になる効率は1/3~1/5ぐらいなので、実は日本国内での畜産をやめて海外から肉や卵、牛乳を輸入した方が(カロリーベースの)食糧自給率は上がることになります。
日本で飼われている家畜のエサのうち、配合飼料は基本的にトウモロコシがベースとなります。豚や鶏のエサは基本的に配合飼料が主体なので、トウモロコシがメインということです。
一方、牛は草(粗飼料)だけたべているのかというと、実は現代の畜産では配合飼料をたくさん与えています。牛といっても牛乳を搾る酪農と肉を作る肥育ではエサの配合はかなり異なっており、また北海道などでは粗飼料の割合が高い傾向にあります。
黒毛和牛などの高級な肉牛では、粗飼料の割合がかなり低いです。本来牛は草を食べなければ胃の中にある微生物の調子が悪くなってしまいますので、粗飼料はある程度与えなければ死んでしまいます。ですが、霜降りにするためには高カロリーの濃厚飼料(配合飼料)を中心に与えなければいけません。したがって、日本で育てられている「和牛」も実は海外の輸入トウモロコシによって成立しているわけです。
昨日、近江牛ドットコムを運営している新保さんのお誘いで、プレミアム近江牛を食べる会に参加してきました。プレミアム近江牛とは国産飼料にこだわって育てられた近江牛です。粗飼料を主体とし、濃厚飼料も国内原料のおからなどのエコフィードを主体としています。
「飼料が100%国産」と言っても一般の方はあまり驚かれませんが、実はこれはかなりすごいことです。おそらく全国で初めての取り組みと行ってもいいのではないでしょうか。
今回は通常肥育の近江牛や粗飼料主体の短角牛などとも食べ比べしましたのですが、一般に粗飼料主体だとサシが入りにくく脂肪の融点が高くなりやすい・・と言われているのにもかかわらずプレミアム近江牛はしっかりとした味わいでとても美味しく頂くことができました。
いろいろな立場、意見がありますが、日本の畜産は海外の輸入飼料に依存していることは間違いのない事実です。そして、海外の穀物の価格が上昇基調にあることも間違いありません。そんな中、日本の畜産をどうしていくべきか考えなければいけないと思いますが、今回のプレミアム近江牛は美味しい肉を食べながらいろいろと考えさせられるイベントでした。今まで既成概念から離れて日本の畜産の将来を考えるよい機会だったと思います。多謝。
6次産業化とフランクフルト
昨日は昼から豊橋駅前で行われていたまちなかマルシェという地産地消イベントに行って来ました。
見に行ったわけではなく、お客様のGファームが出店されているので、そのお手伝いです。
こういう出店の時、いつもはフランクフルトが中心なのですが今回はウズラ豚串なるものを販売していました。ウズラの周りに豚のバラ肉を巻き付けて焼いたものです。売っていて言うのもなんですが、美味しいです。ビールに非常に合います。
豚屋さんがこうい出店をしてフランクフルトを売ったりするのは、今流行の6次産業化とも言えるかと思います。6次産業化っていうのは、農林水産業(一次産業)の人が、製造(二次産業)や流通(三次産業)を行っていくというもので、1×2×3で6次産業と呼ばれています。
ただ、私が以前から思うのは、製造流通をやっている方がそんなに儲かっている訳ではないのに農業従事者が屋ったら儲かるのか・・という疑問です。以前、ネットで「6次産業化っていうのは新日鉄が車を作って売るようなものだ」と書いている人がいましたが、製造流通にも色々ノウハウが必要なのに農家が参入して簡単にできるわけではありません。むしろ、製造流通の人が農業参入する方がまだ容易かなと思います。
6次産業化が成功するとしたら、それは規格外品をうまく活用したりするなど一次産業のメリットを上手く行かした場合かなと思います。
特に、肉は6次産業化が難しいです。生産した豚を自分で肉にするわけにはいかないので(自分でと畜することは法で禁止されています)、必ずと畜場へ持ち込まなければ行けません。枝肉からパーツにするのもかなり熟練が要りますので、結局肉屋さんにお願いすることになってしまいます。
また、肉屋さんでもこれは同じ状況なのですが、パーツの量の調整が出てきます。売れ筋のバラ、ロースはいいのですが、売れ行きが悪いモモ、腕をどうやって安定的に販売するかが難しいです。売れ残ると安く販売せざる得なくなり、それが全体の足を引っ張ってしまいます。
一次産業の人って、「売る」って概念が無い人が多いのでそういう人たちが6次産業化に取り組むのは市場を見据えた生産につながって良いことだと思いますが、農水省の考えているような「6次産業化で日本の一次産業が飛躍してTPPが来てもばっちりOK(って考えているかはわかりませんがw)」みたいなのは幻想だと思いますね。