食品副産物と食品リサイクル法と食糧自給率

最近、新規の仕事が決まりました。みりん粕のリサイクルです。みりん粕は乾物50%、つまり水分が50%ですが、非常に高タンパクです。現物当たりでタンパク質が30%、つまり乾物換算すると60%がタンパク質です。当社が扱っているものの中で一番高タンパクです。非常にいいものですのでもちろん有価物として取り扱っています。

ところで、この仕事頂いたときにお客さんが「食品リサイクル法の報告しないと」と言われていました。はて、食品リサイクル法でみりん粕まで報告する必要あったっけ?と思い条文を確認したら、食用にできないものは全て食品リサイクル法でいう食品廃棄物に該当するんですね。不勉強なことがまだまだたくさんあります。反省する次第です。

そうすると、米ぬかや大豆油かす、コーングルテンフィードなど一般的に飼料に使われているものも該当してしまうことになります。いままできちんとリサイクルされているにもかかわらず報告義務が発生することになり、結構大変なんじゃないでしょうか。

今、飼料の自給率が低いことが食糧自給率を引き下げている原因として言われています。その低い飼料の自給率ですが、一応国産原料とされている大豆かすやコーングルテンフィードは元をたどれば海外原料です。こういったものを除外して真の自給飼料だけを見ると本当に低い割合しか供給できていないと思われます。

もし食糧危機が起きたら海外原料に頼った食品製造業、たとえばデンプンや砂糖、植物油などの工場は立ちゆかなくなります。そうすると、当社の仕事も無くなってしまう訳です。いくら食品リサイクルをしても自給率向上には寄与しない計算です。食品リサイクルの目的を鑑みると難しい問題ですね。

食料価格の高騰と炭素税

最近、食料価格の上昇に関するニュースをよく見かけるようになりました。エジプトの混乱の原因の1つは食料価格の上昇もあるようです。

ただ、不謹慎なようですが食料価格の上昇はリサイクルビジネスにとっては追い風です。当社が扱っているエコフィードの分野でも飼料価格が上がるほど引き合いが増えます。いくら製品の質に自信があっても、結局お客さんから見ると所詮は再生品なんですよね。プラスチックでも鉄でも燃料でもリサイクル品がありますが、ヴァージンのものよりも高くなることはありません。

日本は資源が少ない国ですので、リサイクルに対する気運は高いですが、現代社会はグローバル化が進んでいて海外から非常に安い資源がたくさん流入してきています。海外から資源が入らなくなれば自ずからリサイクルが進みます。つい数十年前まで人糞が有価物としてリサイクルされていたわけです。江戸時代は火事があると燃え残りからみんな競って釘を集めたそうです。暴言かもしれませんが、リサイクルに必要なのは資源高です。

そういう意味でリサイクルに対する各種施策が行われていますが、そういった施策よりも海外からの資源に対して課税すれば間違いなくリサイクルは進みます。燃料分野で言えば例えば炭素税などは有効な施策だと思います。

ただ、新しい課税は今の世の中難しい部分もあるかと思います。ここで大胆に政策提言をしてみたいと思います。たとえば、燃料分野で言うと、今はガソリン税や軽油引取税など様々な税金がありますが、これを全部炭素税に一本化してしまい、更に消費税もやめて、廃止した税収=炭素税の税収となるように炭素税の税率を決めるべきです。エコカー減税でCO2排出量が減る可能性はほとんどありませんが、こういう税制を行えばリサイクルだけではなくリデュースが進むのは間違いないでしょう。本気でCO2を25%削減する気があるならこれぐらいのことをやらないと無理でしょうね。

多分、今後資源高が進めば新しい税金をかけなくても同じ事にはなると思います。でも、資源高になってから対応するよりも高くなる前に耐性をつけておくことが必要だと思いますね。

2.11追記

私は何でもリサイクルすればいいという考えを持っているわけではありません。でも、日本はガソリン税が高かったから数年前の燃料高騰の時のガソリンの上昇率はアメリカより低かったわけだし、ガソリンが高いから燃費の良い車も多いわけです。中長期的に見ると資源の上昇トレンドは揺るぎないわけですので、今から値段を上げておくことが吉だと思います。トータルの税負担が変わらなければ、資源を浪費している人が負担することになる訳なので公平ですしね。

産業廃棄物の許可申請

なんか気候の変化が大きいので体調管理が大変ですね。昨日少し風邪気味かなと思っていたのですが、なんとか悪化せずにすみそうです。

最近は忙しい日が続いています。ホームページのSEO対策が効いたのかどうかよくわかりませんが、このごろホームページを見たという問い合わせがすごく多くなってきています。そういう人たちがこぞって工場見学を希望するので、今月はすでにほぼ予定がみっちり埋まってしまいました。

土曜日はちょっと遠出をしていました。某県の畜産農家が産業廃棄物の処分業許可申請をしたいということで、詳しい話を聞きに出かけていました。当社では最近コンサル事業に力を入れており、産業廃棄物処分業の許可申請や堆肥化のプラント設計などのお話しからメタン発酵までいろんな引き合いが増えています。問題は話だけでなかなか売上に繋がらないことが多いのですが、直接すぐに売上に繋がらなくてまあそのうち人脈が生きることもあるかと思いお話を聞く次第です。

今回の案件、立地条件と某県の条例と指導要綱を確認したところ、許可の取得は十分可能性がありそうでした。飼料化を含めて産業廃棄物処理の許可を取得するのになによりも障害になるのは近隣の同意です。有価物でエサを作っている限りはなにも問題ないのですが、原料が同じでも産業廃棄物になると印象がなぜか悪くなります。産業廃棄物って名前は世間の印象が非常に悪いです。工場などの勤務経験がないと、産業廃棄物ってなにか別世界から来た悪の根源の様に思う人が多いようです。実際はそういう人たちが普段食べているものを作るときに出る廃棄物なんですけどね。

あと、最近多いのがプレゼンの依頼です。プレゼンは非常に有効なPRの場ですので積極的に行うようにしているのですが、来月は1時間半のプレゼン。エコフィード関連の話をする予定ですが、資料を作るのが嫌でいまからすこし憂鬱です。何よりも慢性的なアレルギー性鼻炎なので1時間半話してたら間違いなく鼻づまりなのが問題だったりしますw

はままつメッセ二日目

はままつメッセはまずまず盛況でした。ひまな展示会だと眠くてしょうがないのですが、昨日はそんなひまもなく応対に追われました。お客さんだけではなくて売り込みもあるのですが、売り込みの営業マンの話も参考になることがあるので私はできるだけ聞くようにしています。テレアポは鬱陶しいのであまり聞きませんが。特にSEO対策と電話回線、先物。

昨日は容器メーカーの人が来てました。今、容器で一番困っているのはスラリー状のものです。スラリーと言っても廃棄物関連の業界人以外はあまりピンと来ないと思いますが、要は水と固体の中間です。↓ではありませんのでご注意を。

粘りのあるもの、例えばヨーグルトや柔らかい酒粕などはタンクに充填するとバルブから排出することができません。かといって、オープンのコンテナに入れると運送中にはねてしまいます。本当はコンテナに密閉できるふたがあればいいのですが。ってことを容器メーカーの人に言っておきました。作ってくれると助かるのですが。

今回の展示会では当社の話を聞くためにわざわざ参加したと言われるお客さんが何人かいらっしゃってとても嬉しく思いました。地道なPRが少しずつ実を結んでいるようです。

浜松の展示会

今日は一日浜松の展示会でした。懇親会があり酒を飲むこともあって電車で行ったのですが、自宅→豊橋の名鉄が遅れて豊橋駅でのJRへの乗り継ぎがぎりぎりに。名鉄→JRは通常改札無しで乗り継げるため乗り継ぎ時間短くてもいいのですが、名鉄でプリペイドのカードを使うと出札処理か一度改札を出ないといけないため結構面倒です。今日は2分弱で名鉄降りる→走って階段登る→改札出る→スイカで再入場→ホームへ降りるを実現しました。パソコン入れた重いカバン抱えてだといい運動になります。

にしても名鉄って少し遅れすぎですね。朝晩はたいてい3分ぐらい遅れている気がします。ダイヤに余裕がなさ過ぎなんですよね。

展示会では一件成約に繋がりそうな話がありちょっとほっとしました。焼酎の絞りかすをなんと焼却処理しているとのこと。現状かなりの費用がかかっているはずです。うちでは焼酎粕の絞ったものでしたら買取していますので、お客様にとってすれば相当なコストメリットが出るはずです。いまの収集運搬業者ももう少しお客さんに提案すればいいのに・・って思いますね。いろいろリサイクルする手段あるのに。

今回は出展料が5万円するので元が取れるか心配でしたが、思ったより来場者も多くまあまあの感触です。明日一日がんばります。

名古屋の人も案外知らないのですが、東三河から浜松は東三河から名古屋より近く、経済交流も盛んです。当社もかなり静岡県のお客さんがいらっしゃいます。今月はあと何回か静岡県に行く予定です。

食品リサイクルの解説本

今日は日差しもあり、暖かな一日でした。といっても最高気温は10℃行かなかったみたいですので、平年並みなんでしょうね。最高気温3℃とかの日があると10℃でも暖かく感じますね。

先日、食品リサイクルの解説本を買いました。恥ずかしながらこんな本があるって知りませんでした。

今まで知りたかったことがいろいろと解説されています。たとえば、社員食堂の受託をしている場合の扱いです。ただ、解説はされているのですが、「総合的に判断する」って書いてあるので結局結論は曖昧なのには笑ってしまいます。まあ要するに適当と言うことで。食品リサイクルに関わる人は買って損はないと思います。ただ、役所の人が書くならWebサイトで公開するべきだと思います。こんなところで印税稼がないで欲しいですね。

私が食品リサイクルに携わっていて一番疑問に思うことが、現状の把握です。前回の改正で食品廃棄物を多量に排出する事業者は報告義務が発生しました。でも、それまでは量の把握がされていなかった訳ですし、そもそも報告もキチンとされているか怪しい上に一般廃棄物と産業廃棄物が曖昧になっている状況の中、「現在の外食産業のリサイクル率は22%」とかどっから数字が出てきているんでしょうね。大学の同級生が農水省の統計部にいるので質問(というか詰問)してみようかと思っています[E:good]

食品廃棄物の総量もおそらく発表されているよりもっと多いんじゃないかなと思いますね。

畜産農家のビジネスモデル

今日は午前中ひまわり農協でのリキッドフィーディング協議会の打合せでした。当社もいろいろと原料を供給しているのですが、実験結果はわりといいようです。「わりと」というのは、どうも統計的にははっきりしない程度ということですw

午後はお客さんの養豚農家をまわりました。今日は良く晴れていたので渥美半島を気持ちよくドライブしてきました。晴れているときの渥美半島は景色がいいです。渥美半島を走っていると畜産農家がたくさんあります。ようやく沈静化してきた鳥インフルエンザや、昨年の宮崎のような口蹄疫などの発生が起こると密集しているだけあって心配ですね。

ところで、今回の鳥インフルエンザが発生した豊橋市の農場は15万羽程度の規模だったようです。知らないとすごく大規模のように聞こえますが、今の日本の養鶏農家は非常に規模が大きくなってきており、15万羽というのはまあ普通の大きさです。私の知り合いの豊橋の養鶏農家は100万羽飼育しています。

何故こんなに規模が大きいかというと、それは日本の畜産のビジネスモデルが1つの原因です。今、日本の畜産では飼料費が原価に占める割合が非常に大きくなってきています。養豚では原価の60%が、養鶏では70%が飼料代とも言われています。また、養豚、養鶏では豚舎、鶏舎にかかる費用も非常に大きくなっており、減価償却費も原価の10%程度かかります。つまり、労務費の比率が非常に低くなっているということです。これは、換言すれば外部からの購入資材の割合が高く付加価値率が低いと言うこととなります。

付加価値率が低いが故に、大規模化して労務費と減価償却費の比率を下げなければ利益が出ない体質になっているわけです。しかも、その原価の大部分を占めるトウモロコシはほぼ100%輸入品です。つまり、今の畜産農家のビジネスモデルは、海外から輸入した安い飼料を使い、大規模な設備で効率化した作業により安価な生産物を生み出すという形になっています。しかも、豚、鶏では多くの品種は海外からの輸入となっています。非常に海外に依存しているのですが、飼料には関税がかからず生産物には関税がかかるため成立しているわけです。

卵は物価の優等生ってよく言われますが、それはこのようなビジネスモデルの上に成り立っています。あまり知られていないのですが、豚肉の市場価格も30年前よりはるかに安いんです。

この仕事を始めてから畜産農家のことをよく知るにつけて今の畜産農家のビジネスモデルが非常に脆弱なものの上に成り立っていると言うことを思うようになりました。このビジネスモデルが創り上げられては30年ぐらいしか経っていないわけですが、これからも継続していくことは相当な困難を伴うのではないでしょうか。

産廃問題研究会

先週は忙しくてブログ更新があまりできませんでした。といっても飲み会が3回もあったせいですが。飲み過ぎで太らないように気をつけています。

木曜日は友人の産業廃棄物許可申請を専門としている行政書士の飯島さんと産業廃棄物に関する訴訟をいろいろやっている弁護士の稲垣さんの3人で「産廃問題研究会」と称して飲み会をしていました。場所は名古屋の納屋橋にあるサイアムガーデンというタイ料理のお店です。

P1270906 鶏肉のスープ

私はタイ料理が大好きなのですが(和洋中華何でも好きですが[E:sweat01])、ここは非常に美味しいと思います。実は日本のタイ料理のお店はあまり美味しくないところも多いんですよね。店の雰囲気もいいので、女性受けもよくデートスポットや合コンにも向いていそうですが、今回は男3人で濃い話をしていました。

P1270907 デザート

デザートはマンゴとモチ米にココナッツミルクをかけたものです。10年くらい前にバンコクへ旅行したときに食べて非常に美味しかった覚えがあり、日本でも食べたいといつも思っていたのですがタイ料理のお店でもなかなか置いてないんですよね。今回、食べることができてとても嬉しかったです。モチ米がちゃんとインディカのモチ米なのがポイント高いですね。

そうそう、廃棄物の問題についてもちゃんと議論しました。やはり「廃棄物とはなにか」が曖昧であり行政担当者によって判断が分かれるのはおかしいという話が盛り上がりました。あと、稲垣さんが「証拠隠滅の恐れもなく逃亡の恐れもないのに逮捕するのはおかしい」と言われたのには感心しました。逮捕は見せしめのためらしいです。ま、たしかに不法投棄のゴミの山を証拠隠滅することはできませんよね・・。

弁護士や行政書士、弁理士などを生業としている人と話をするとロジックが明快でとても面白いですね。話をしているとこちらの脳細胞が活性する気がします。

堆肥の散布

IBMの人がやってきてパソコンのファンを交換してくれました。おかげで心安らかにブログを書けます。

今日、ちょっと車で走っていたところ畑で堆肥(おそらく豚糞堆肥)を散布しているところを見かけました。ぱっと見た目、散布量が多いなぁと感じました。

堆肥をどれぐらい施用するかって、農業関連以外の方はあまり知らないことかと思います。一般的な量で言えば、だいたい一反(1000m2)あたり2トンぐらいのケースが多いです。ただ、牛糞堆肥などですと一反2トンではあまり効果がないので、5トンぐらい施用することもあります。10トンだと相当多いです。あまりたくさん堆肥を施用すると、堆肥も肥料ですので害が出たり環境に与える負荷が大きくなったりします。

10トンの堆肥というとすごく多い気がしますが、広げてしまうとたいした量になりません。たとえば、比重が0.5だとすると、1m2あたり深さ2cm施用すると1m2あたり10kgとなり、一反1000m2あたりで10トンとなります。適正量の2トンでしたら0.4cmにしかならないわけです。

たまに堆肥をユンボで広げている・・なんて光景を見ますが、ユンボではとてもそんなに薄く広げることができません。ユンボを使っているときはたいてい堆肥の施用量が多すぎると思った方がいいです。当社もお客さんのところで堆肥の散布までしますが、ローダーでもうまく広げられないので手作業でスコップ使って振りまいています。

堆肥もうまく使うと非常に有用ですが、使い方を間違えると作物が育たなかったりします。ちゃんと考えて使う必要がありますね。

エコフィードのシンポジウム

パソコンのファンがすごい音を出しています。なんか音がすごすぎてイライラするぐらいに。月曜日に電話して早急に交換してもらわないと人間が壊れるかも。

金曜日は名古屋であったエコフィードのシンポジウムに参加しました。現地で某同業の方に「いつもブログ読んでます」と声をかけられました。この頃よくそう言われることがあり、ありがたいことです。業界人以外の受けが悪いのがちょっとなんですが・・。

エコフィードのシンポジウムは勉強になりました。エコフィードの安全に関するガイドラインとかの説明は少々退屈だったのはホントのところですがw

養豚農家の方々(見た目)も参加していましたが、やはりそのあたりの説明は眠そうな感じ(というか寝てました)で聞いてました。ガイドラインでは食品リサイクル資源を給餌した場合は農家でも記録することになっているのですが、まあうちのお客さんで記録しているところは無いですね、ここだけの話。

エコフィードの品質についての説明は参考になりました。やはり、エコフィードで一番問題になるのは酸化したり変質したりした油のようです。当社の取り扱いしている原料は油が少ないものばかりなのですが、一般廃棄物を原料としているところはどうしても油が多くなります。なので、個人的には一般廃棄物を原料として加熱乾燥してエコフィードを作ることには懐疑的です。品質面だけではなく、乾燥はどうしてもコスト高ですし、一般廃棄物は一般に含水率が高いので一層燃料コストもかかります。

ところで、説明中少し気になったことがあります。「配合飼料が50円、エコフィードはその半額の25円」って説明がありましたが、少なくとも愛知県の養豚農家で配合飼料を50円で買っているところはまず無いと思います。エコフィードを使用することが多い肥育後期のステージで、だいたい30円台前半だと思います。エコフィードはよほど品質が高いものでもないと25円では売れません。エコフィードの市況って霞ヶ関の人が考えている以上に厳しいのが現実です。