リキッドフィードの欠点

更新が滞っているうちに、すっかり春が過ぎ初夏になってしまいました。

例年、6月~8月ぐらいは豚肉の市場価格が高くなります。価格が上がるのには養豚生産の季節サイクルが影響しています。
豚は生後半年で出荷され、妊娠期間は4ヶ月弱です。逆算するといま出荷されている豚は1月生まれ、前年の9月頃種付けとなります。夏場は暑さのため母豚のコンディションが悪化し、繁殖成績が悪化します。逆に1月は寒いため、生まれた仔豚が調子を崩しやすくなります。そして、出荷時期は暑いためエサの食下量が低下し、大きくなりにくくなります。それに加え、夏に向けて豚肉需要は旺盛であるため、市場価格が上がります。

今年は特に全国的に6月下旬が猛暑であったため豚のコンディションが悪化しており記録的に出荷が減っています。そのため、豚肉の価格が例年以上に上がっています。

そんな中、当社の関連会社「リンネファーム」の豚「雪乃醸」は順調な出荷を維持できています。出荷頭数が多く相場がいいため、市場からの清算金額を見ると少し驚くほどです。

出荷が順調なのは飼料の嗜好性が安定していることが理由の一つです。雪乃醸はリキッドフィードと呼ばれる液状(おかゆ状)の飼料を給与しています。液状であるため、夏場などでも比較的食下量が落ちにくい傾向にあります。人間も暑いときは水っぽいものが食べたくなるように、豚も暑いときには粉のエサより液体のエサのほうを好みます。

夏場でも嗜好性が安定していることはリキッドフィードのメリットですが、最大のメリットは、様々な食品残さを使用することが容易であるということです。食品残さは高水分のものが多く、乾燥処理にはコストがかかります。液状のまま給与できるのは大きなメリットです。

一方、リキッドフィードにもデメリットはあります。夏場の嗜好性が改善することもある一方、液状であるが故に異常発酵しやすい欠点があります。特に、原料に糖が多い場合や、原料にパン生地や酒粕などの酵母を含むものを使用すると酵母発酵が進み、あふれる事故が起きたり、嗜好性が低下する傾向があります。特に、春と秋は気温が酵母の発酵に適した温度となることもあり、発酵が起きやすい傾向にあります。
この欠点を防ぐためには加熱殺菌が有効です。当社ではリキッドフィードを65℃30分間加熱殺菌しています。現在、肉を含む食品残さを飼料に用いる場合、感染症予防のために90℃1時間の加熱が義務付けられています。しかし、当社では肉を含む原料を用いていないため加熱殺菌は本来不要です。しかし、嗜好性の安定のために加熱殺菌を行っています。もちろん、殺菌温度が高いほうが殺菌は確実に行われますが、加熱に必要なエネルギー使用量が増えたり、粘性が上がる欠点があります。バランスを取って65度で加熱殺菌を行っています。
リキッドフィードには他にもいくつか欠点があります。大きな欠点として、尿量が増えることがあります。尿量が増えると排水処理の管理が大変になったり、堆肥の発酵がうまくいかなくなります。尿量が増えるのは飼料の水分含量が多い分水分摂取量が増えることもありますが、一般的に人間の食べ物は塩分(ナトリウム)が多いことが多く、また野菜などに由来するカリウム含量も多いため尿量が増えます。
また、リキッドフィードは酸性であるため、コンクリートや鉄が腐食することも大きな欠点です。コンクリートは酸性に弱く、コンクリートでできたスノコは防食塗装など行っていないと数年でぼろぼろになります。

ときどき、リキッドフィードは水分をたくさん取るので肉が水っぽくなるという人がいますが、これが技術的には誤っています。リキッドフィードの場合食品残さを使用することが多いですが、大豆油などの油脂を多く含む原料を使用すると豚肉の脂の質が変わり、脂の融点が下がることで「水っぽい」豚肉となってしまいます。逆に言うと、適切な原料を選択すればリキッドフィードも配合飼料も肉質に差は出ません。

このようにメリットとデメリットがありますが、繰り返しになりますがリキッドフィードの最大のメリットは多様な食品残さを使用することが容易である点です。現在、輸入穀物で作られている配合飼料の価格が非常に高騰しています。こんな中、リキッドフィードにより食品残さをうまく利用し飼料価格を抑制することは経営的に大きなメリットがあることは言うまでもありません。また、限りある資源を有効に活用することで、存在意義を確立し地域との共生を図ることができます。今後、社会要請に応える畜産や農業がより一層求められる時代になっていくことと思います。リキッドフィードはそういう時代に合った手法の一つであるかと思います。

堆肥の発酵促進

今年は夏過ぎてから新規案件などで大変忙しく、ブログの更新もすっかり怠っていました。
気づくとすっかり秋も深まってきています。

気温の低下に伴い、堆肥の発酵が悪くなる時期が来ました。食品残さのリサイクル方法は様々なものがありますが、そのうちの一つが堆肥によるリサイクルで飼料化が増えてきてはいますが堆肥によるリサイクルも重要な手法です。
また、家畜の糞尿はそのほとんどが堆肥としてリサイクルが行われています。

 

堆肥は微生物反応なので、外気温が低下すると反応が悪くなります。加えて微生物の呼吸により温度が上がりますので、いっそう堆肥の温度低下が発生します。
当社はエコフィードを取り扱っていますが、堆肥発酵不良の原因の一つとしてエコフィードの利用があります。エコフィードを使用すると家畜糞尿の発酵が悪くなるケースがあります。エコフィードは食品用に加工されたものが原料となりますので、消化吸収がよく粒径が細かいものが多いです。繊維分が少なく消化吸収が良いため、糞尿に混ざる有機物量が減少し、結果として糞のカロリーが下がります。たとえば、豚の場合一般的なトウモロコシ粉砕の飼料を使用した場合、糞をしらべるとトウモロコシの種子の外皮がかなり含まれていますが、エコフィードではそういった部分が含まれなくなります。カロリーが減少するだけでは無く、粒子が細かくなることで糞尿の分離が悪くなって糞の水分が増えることも堆肥発酵には悪影響があります。

そういった堆肥の発酵が悪くなる条件でもカロリー源であるものを添加することで堆肥発酵がすすみます。一般的にはよく白土が使われています。白土とは油脂を精製するときにろ過に使用する珪藻土の残さであり、油脂と珪藻土の混合物です。カロリーが高く発酵促進には有用ですが、固形分が多く堆肥の量が増えてしまうこと、自然発火する事故が多く危険性があることが欠点です。
食品残さの中には高カロリーでハンドリングが良いものがいろいろあります。たとえば当社ではチョコレートのリサイクルを行っています。チョコレートは非常に高カロリーであり、堆肥に入れることとでカロリーが上がり温度が上昇します。基本的に油脂類はカロリーが高いため堆肥の発酵促進に有用ですが、ハンドリングが悪いものが多いためハンドリングがよいチョコレートはよい原料です。
また、製粉工場から発生するダストも取り扱っています。小麦を選別したときに発生するもので小麦、トウモロコシなどの穀物とその破片が混合したもので、こういったものを混合することで通気性が改善され堆肥の発酵が進行します。

 
様々な食品廃棄物を最適な用途に仕向けていく作業はパズルをうまくはめていくようなおもしろさがあります。
適材適所のリサイクルをこれからも進めていきたいと思います。

 

穀物価格の上昇

一般にはあまり話題になっていませんが、飼料価格が大変な勢いで値上がりしています。

配合飼料4700円上げ 原料高騰、円安も 全農7~9月(日本農業新聞)
JA全農は18日、7~9月期の配合飼料供給価格を前期(4~6月)に比べて全国全畜種総平均で1トン当たり4700円値上げすると発表した。値上げは4期連続。飼料原料の国際相場の高騰、海上運賃の上昇、円安が重なった。


配合飼料の主原料はトウモロコシと大豆粕です。どちらもアメリカ産が多く使われており、アメリカの穀物取引市場の相場により価格が形成されます。日本の配合飼料価格は全農が基準となっており、全農の価格を基にして他のメーカーの価格も決められます。
昨年末よりシカゴの先物市場でトウモロコシ価格が暴騰しており、また為替や船賃などの影響も有り飼料価格は半年で3割以上上がっています。

シカゴコーンチャート(豊トラスティ証券サイトより

トウモロコシの先物価格を決める要因は様々なものがありますが、今回の価格上昇の大きな要因は中国の輸入量の増加です。トウモロコシの世界貿易量は1億5千万トン程度で、日本は1600万トンを輸入する世界最大の輸入国でした。しかし、数年前ではほとんど輸入を行っていなかった中国が今年度は2000万トン以上輸入を行って世界最大の輸入国となる見込みです。この急激な輸入増加によりトウモロコシ価格が上昇し、他の穀物にも価格上昇が波及しています。

畜産は畜種問わず生産費のうち飼料価格が占める割合が一番高く、生産費の50%~60%に達する場合もあります。飼料価格が3割上昇すると当然ながら非常に影響は大きく、経営的に厳しい事業者も増えることが予想されます。
突然の価格上昇に戸惑う声も多く聞かれますが、穀物価格の上昇は以前から予想されていました。

 

穀物の需給(農水省サイトより

 

穀物の需要は世界人口の増加や畜産物の消費拡大に伴い増加していますが、これまでは生産量もそれに応じて増加していました。しかし、穀物の生産量増加は耕地面積の拡大ではなく主として単位あたりの収穫量増加により実現されており、その伸びしろには限界があります。トウモロコシの単収は現在180ブッシュエル/エーカー程度で有り、これは1200kg/10a程度です。米の単収が600kg程度なのでいかに単収が多いかわかります。
これまでは肥料などの投入量の増加、遺伝子組換えなども含む作物の品種改良により単位収量が増えてきていますが、これまでのようなペースで増加することは難しくなると予想されています。需要の伸びに生産が追いつかなくなってきて需給バランスが崩れ始めたのが今回の穀物価格高騰のきっかけのように思います。これから数十年のうちにさらに世界人口は現在の1.5倍の100億人になることが想定されていますが、果たして地球で100億人の食料を供給することができるのでしょうか。

アメリカのトウモロコシの単収の推移(農水省サイトより)

当社は食品リサイクルの事業を営んでおり、飼料価格の上昇は短期的なビジネスの視点では追い風になります。しかし、本当に食品の需給が逼迫したとき果たして当社の行なっている食品リサイクルシステムが継続して行えるか、リスクファクターが増えているように感じています。畜産業だけではなく、食料の輸入や流通なども含めた食に関わるあらゆる業界に大きな変革が訪れることは間違いないと思います。

しかし、大多数の人は危機感が薄いように感じます。食の安全保障という基本的な部分のみならず、事業者にとっては継続性についても大きな不確定要素であり、消費者にとっては生活の基盤に関わる問題です。簡単に答えが見つかる訳ではありませんが、方向性を模索することが必要ではないかと強く感じます。

ウイスキー蒸留所のリサイクル

新型コロナウイルスの流行も1年以上経過し、社会全体が疲弊している感じが強くなっています。自分は酒好きなので飲みに行くことができないことにストレスを感じます。
当社は様々な食品副産物をリサイクルしていますが、酒造関係の醸造副産物の仕事も多いため酒の生産量が減っている影響が出ています。業務的な側面からも早く元の社会に戻れることを切に願います。

当社では酒造関係の仕事はビール、日本酒、焼酎などを取扱しています。最近取扱量が急激に増えているのがウイスキーの製造副産物のリサイクルの仕事です。昨今のジャパニーズウイスキーの流行に伴い、国内のウイスキー蒸留所の数が増えています。ウイスキー(モルトウイスキー)の作り方はおおざっぱに言うと以下のようなプロセスです。
1.麦芽を粉砕し、お湯に浸漬します。麦芽中の酵素(アミラーゼ)によりデンプンが糖化します。
2.麦汁をしぼります。
3.麦汁を発酵タンクにいれ、数日程度酵母発酵させます。
4.発酵したもろみをポットスチルと呼ばれる蒸留器で蒸留します。アルコール分を高めるため2回蒸留します。
5.蒸留した液を木樽に詰めて3年以上熟成させます。

詳しくはさまざまなサイトに載っていますのでそちらをご参照ください。
例→サントリーのサイト

このような製造過程で麦芽の粕と蒸留廃液が発生します。大手ウイスキーメーカーでは従来より麦芽(ウイスキー粕)のリサイクルが行われていましたが、小規模な蒸留所では麦芽リサイクルのノウハウが乏しく有効な活用があまり行われていませんでした。当社ではノウハウの蓄積によりウイスキー粕と蒸留廃液のリサイクルを行っており、現在全国の5カ所の蒸留所の現場でリサイクルのお手伝いを行っています。また、新規蒸留所からのお問い合わせも増えており、近日中に数カ所の蒸留所でリサイクルがスタートする見込みです。
麦芽は乳酸発酵させサイレージとして保存し、主に酪農向けの飼料として販売しています。蒸留廃液はタンパク質が豊富で有り、養豚向け飼料および発酵飼料原料として利用しています。

ウイスキー粕飼料化システム

ウイスキーの原料はビールの麦芽と同じものですが、ビールと少し製造工程が異なるため飼料とする際の発酵が上手くいかない傾向にあります。当社は発酵のやり方を試験しノウハウも確立できてきたので先日特許も出願しました。

自分はお酒の中でもウイスキーがかなり好きで、コロナ禍以前はショットバーに行きウイスキーを飲むのが楽しみでした。でも、ウイスキーの作り方について詳しくは知りませんでした。仕事で蒸留所に行きウイスキーの製造方法や原料について詳しく知ることができ、またいろいろなウイスキーを試飲したりと役得を堪能しています。通常は見学できない製造工程も見学できたりもします。
ジャパニーズウイスキーをいろいろ飲み比べると、繊細で奥深いものがあります。また作り手の熱い想いを知り、これからのジャパニーズウイスキーの広がりに期待しています。

パイナップル残さの脱水システム

遅ればせながらあけましておめでとうございます。
昨年は新型コロナウイルスに振り回された1年でした。コロナ禍の影響により展示会は軒並み中止になり、出張もままならず業務に様々な影響がありました。
しかし、当社は比較的影響を受けにくい業種であったこと、また以前よりネットを利用した営業を行ってきたことなどが功を奏してなんとか1年間を終え売上げを増やして12月末の決算を終えることができました。これも取引先、スタッフほか関係する皆様のおかげです。ありがとうございます。

パイナップル脱水システム

新しく始まった仕事の一つに、カットフルーツ工場のパイナップル残さリサイクルがあります。パイナップル残さは従来より飼料としての利用がすすんでいました。しかし、排出されるパイナップル残さはそのままの状態では取扱がしにくく、保存性が悪い欠点がありました。
今回の取り組みは、パイナップルを脱水し脱水パイナップルを袋詰めしてサイレージとして保存し牛用の飼料として供給します。脱水したときに発生する脱離液はタンクに保管してタンクローリーで運搬し、豚用の飼料として利用しています。パイナップルを脱水して脱水パイナップルと液体を両方利用するのはおそらく日本で初めての試みではないかと思います。

脱水した液体なんてエサになるのかというご質問をいただくことがよくあります。パイナップルの脱離液はほとんどパイナップルジュースで、だいたい8%ぐらいの糖液です。豚のリキッドフィードは20%強の濃度で製造することが多いです。仮にリキッドフィード製造時に使用する液体をすべてパイナップル脱離液とした場合、約1/3をパイナップルの糖分で供給することができます。保存性もよく、消化性、嗜好性もよいのでリキッドフィードの原料としては非常に有用な原料です。
計算上はパイナップル汁と酒粕(と少々のアミノ酸)だけで豚の飼料をつくることができます。

現在も多種多様なお引き合いをいただいております。今後も新しい挑戦を続けていきたいと考えています。皆様今後ともご協力のほどよろしくお願いします。

バックヤードからみた食品マーケット

今年ももうすぐ終わろうとしています。年を取り1年過ぎるのは本当に早く感じます。
今年はコロナに翻弄された一年でした。

毎年出展している環境展も中止になり、営業活動があまりできない状況でしたがおかげさまで新規の仕事も多く会社の売上げ的にはなんとか体裁を保つことができました。これもコロナ以前よりホームページ等多方面への営業活動を行ってきたことが成果を結んでいるように思います。

今年大きく増えた仕事の一つがパイナップルです。カットフルーツ工場から排出されるパイナップルの残さをリサイクルする仕事が大きく増えました。コンビニ、スーパーでのカットフルーツマーケットの伸張により、パイナップの排出量が大きく増えています。パイナップルは可食部位の比率が50%に満たず、1kgのカットフルーツを製造すると1kg以上のゴミが発生します。
もともと世帯人口の減少、共働き世帯の増加によりカットフルーツの需要は伸びていたのですが、コロナ禍による内食の高まりにより、更に需要が増えています。
このため、当社へのカットフルーツ残さリサイクルのご依頼が増加しています。

パイナップル残さ

他方、テレワークや学校のリモート授業により、お弁当やおにぎりの需要が落ちているます。このため、米の需要は落ちています。家で食べるとしても、簡単に調理できるものが主体になっていることがよくわかります。
また、外食が減り中食が増えることにより、国産豚肉の需要が高まり今年は高豚価が続きました。今年一年通してみて、外食と中食ではかなり食べるものが変わるというのが新しい発見でした。
バックヤード稼業をやっていると世間の食マーケットの動きがよくわかり興味深く思います。

パイナップルに話を戻すと、現在当社では関東地区4カ所(神奈川2カ所、埼玉2カ所)、静岡、兵庫のカットフルーツ工場から発生するパイナップル残さのリサイクルを行っています。
パイナップル残さの取扱量は年間4000トン程度になり、パイナップル換算すると約9000トン程度の取扱量となります。日本のパイナップル輸入量は15万トンぐらいなので、当社は全国のパイナップルの6%の残さを取り扱いしていることとなります。零細企業の割にシェアが高いものだと自分で計算して驚いた次第です(^^)

パイナップルサイレージ

新しく始まった静岡の現場では、パイナップルを脱水し、粕と汁に分けて再利用しています。粕は高消化性繊維、汁は糖が成分の主体であり、パイナップル粕はサイレージとして牛に、絞り汁は液体のまま豚向けに供給を行っています。

さまざまな食品リサイクルが取り組まれていますが、まだまだリサイクルされていない食品残さはたくさんあります。来年もまたバックヤード稼業として新たなリサイクルに取り組んでいきたいと思います。

麺

エコフィードの集め方

コロナ禍によりいろいろビジネスに支障がある昨今です。当社のお客様でも影響が出ている業種があります。特に、日本酒、ビールなどのお酒関係は甚大な影響があります。今日日、家では酒を飲まなくなってきているのだと実感します。家では酎ハイや発泡酒が中心で、ビールは飲まない人が多いと言うことです。
当社はビール粕や酒粕などの副産物を取り扱っていますので、発生量が減少傾向にあります。

酒粕

そんな中、製麺工場などコロナの影響が少ない業種からの新規のお仕事のご依頼が非常に多く、おかげさまで当社は仕事はむしろ増加傾向にあります。ご依頼をいただく理由の一つとして、今までそういった食品残さの引き取りを行っていた養豚農家が廃業してしまったというものがあります。

愛知県など都市近郊の養豚農家では古くからいわゆる残飯養豚というスタイルで豚を飼っている農家が存在します。飲食店などから残飯を回収してそれを加工し、豚に給与するというものです。しかし、このようなやり方をしている農家は今は非常に少なくなっています。
残飯などはたいてい無償で提供してもらえますので、養豚で一番コストがかかる飼料費を抑えることができます。しかし、当然ながら回収するのにも手間がかかります。残さを回収してまわることで人件費が発生しているので、見かけほどコストが下がるわけではありません。また、残飯養豚をやっているような農家は小規模なことが多く、回収するために時間を費やすとおのずと豚の面倒を見る時間が短くなり、管理がおそろかになりがちです。
そして、残飯を給与することで、肉質などにも影響がでてしまうことがあります。残飯は一般的に粗脂肪含量が非常に高く、油がそのまま豚肉の脂肪に移行してしまうためにおいなどの原因になりがちです。
このようなことから残飯を給与することが経営的なメリットが相対的に少なくなって廃れてきています。

牛、豚など畜種問わず畜産農家が食品残さを回収するのには

・ある程度のロットで回収することができる

・品質が安定している

・回収担当のスタッフがいる

ことが必要条件では無いかと思います。たとえば、大手パン工場から発生するパンの耳、製麺工場から発生する余剰麺、豆腐工場から発生するおからなどを農家が回収して利用している場合、コストの低減と品質の両立がうまくいっていることが多いです。

当たり前ですが畜産経営においては原価計算をきちんと行い、収支をみて利用の可否を判断することが重要です。他方、食品残さ回収などの作業を当社のような業者にうまくアウトソーシングすることで、コストの低減と生産性の向上をうまく実現し、経営に大きく寄与している例も多くあります。(宣伝ですw)
いずれにせよ、畜産経営においては原価の把握が重要であることは言うまでもありません。原価をもとにそれぞれの経営方針に応じた飼料を使用することが大切です。

コロナ禍と豚肉のネット通販

新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの事業者が大変な影響を受けています。当社はまだそれほど影響は大きくないですが、周りでも先が見えない状況の中で苦しんでいる人がたくさんいます。特に、飲食店関連の事業者はほんとうに大変です。各種景況調査などを見ると、去年の夏ぐらいから米中貿易戦争などの影響により相当景気が悪化しています。消費税増税前の駆け込み需要でそれがごまかされていたのが、駆け込み反動により去年の冬より景気悪化が顕著になり、コロナ影響によりさらに悪化しています。

豊橋商工会議所景況調査https://www.toyohashi-cci.or.jp/koho/pdf/keikyo01-3.pdf

自分と会社は
・今まで月の1/3は出張しており、飲み会も多かったがほぼ毎日家で夕飯を食べるようになった。会社にいる時間が長くなった。
・展示会などのイベントもことごとく中止。来年以降の受注が心配。
・取引先食品工場も業種によっては生産量が大きく低下している。土産物向け菓子、クラフトビール、外食向け製麺工場など。
・生産量が増えている食品工場もあり。スーパー向け菓子、スーパー向け製麺工場など。
・豚価が爆上げしている。スーパーでの国産需要増加、アメリカの豚肉輸出の混乱などの影響。
といった影響があります。生活は一変しています。

ただ、おかげさまでこの状況下でも新規の取引案件のお話しを多くいただいており、それらの準備などでかなり忙しい日々を過ごしています。

今回の社会情勢の変化に伴って一番驚いたのはネット通販の伸びです。昨年よりポケットマルシェというサイトで細々と豚肉のネット通販にとりくんでいましたが、いきなり売上げ激増して対応に追われています。
ポケットマルシェはSNS的な要素を持つ農家の産直サイトで、消費者と農家がコミニュケーションできるのが特徴です。私の販売ページにもたくさんのコメントが寄せられていて、生産者として励みになります。
昨今は生産者と消費者の関係性が希薄になっています。こういったサイトやSNSを通じて、もっと農業生産が身近なものになって欲しいと思います。

その一方で、消費者との関係性に依存した販売でよいのだろうかと言う思いもあります。豚肉、特に国産豚肉は品質向上がめざましいため、極端な味の差がない傾向にあります。とりわけ銘柄豚で販売されている豚に関してはどれもある一定のレベル以上の水準にはあるため差別化が難しいです。どうしても生産者の顔が見えることに注力した販売となります。それは悪いことでは無いと思いますが、私はやはり食べ物である以上おいしさで差別化していきたいと思っています。そう言う思いのもとで生産している当社の豚「雪乃醸」は飼料原料から一般的な豚の飼料に使われるトウモロコシを一切使用しないことで、かなり特徴がある肉質になっていると思います。とにかくあっさりとしていることで、特に女性の受けが非常に良いようです。

バラ肉

もちろん、差があると言っても和牛とオージービーフほどの差があるわけではなく、おいしさに気づいてくれる人は少数派ではないかと思います。その一部かもしれないですが本当に食べ物にこだわっている人に訴求する豚肉を極めていきたいと考えています。
今後も生産を改善し豚肉品質を向上させるとともに、ネット通販を通じそういった方にどこまでアプローチができるか試行錯誤していきたいと思っています。

パイナップルサイレージの消化性

年末からずっと多忙でブログ更新を怠っていましたm(__)m
新型コロナのせいで出張、来客予定がことごとくキャンセルになりようやく少し余裕が出てきた感じです。

最近、引き合いが多いアイテムの一つにパイナップルがあります。カットフルーツマーケットの隆盛に伴い、パイナップルの残さ(皮、芯など)の排出量が非常に増えており、当社の取扱も年々増えています。現在は主に酪農のお客様に供給をしています。そのまま供給する場合と、脱水してパイナップルサイレージとして供給する場合があり、特に脱水パイナップルサイレージは取扱も良好で嗜好性もよく、非常に人気のアイテムです。国内で発生する脱水パイナップルサイレージの取扱を行っている会社はほとんどないため、おそらく当社がトップシェアをとっているものと推測されます。

 

パイナップルサイレージ
パイナップルサイレージ

パイナップル自体は乾燥したものが従来より配合飼料原料として利用されており、日本標準飼料成分表にも記載されています。従来は嗜好性の向上のために利用する程度であり、配合飼料に含まれている割合もごくわずかでした。
ところが、当社(のお客様)では相当な割合でパイナップルを配合しているため、従来ではあまり想定されていない量のパイナップルを給与しているケースがあります。パイナップルを多給した場合、どうなるのかを確認するために共同研究している日大の飼養学研究室にて試験をしていただきました。飼養学研究室にて新規アイテムの試験をする場合、
サンプル分析→invitro試験(インビトロ:試験管での消化試験)→ヤギへの給与試験→牛への給与試験
という順番に試験をしていきます。牛への試験を行う場合には、消化率と消化速度、反芻時間なども測定します。糞を採取し未消化の部分を測定することで消化率がわかります。また、希土類元素でエサに標識をつけ、それがどれぐらいの時間で糞に出てくるかを測定することで消化速度もわかります。

最初にサンプル分析をしたところ、繊維の量が多くあまり消化をしないのでは無いかと懸念したのですが、消化試験を行ったところ分析値から想定されるよりはるかに消化して先生が感心をしていました。その後のヤギへの給与試験、牛への給与試験も非常に良い結果が出ました。パイナップルサイレージは消化も良好で嗜好性もよく使用しやすい飼料であると言えます。
今回の試験をしてみて実感したのは、分析結果は重要ではあるが実際に給与すると想定とは異なる場合があるということです。特にエコフィードは様々な原料があるため、一般的な配合飼料や牧草の分析方法での結果は単純には適用できない部分があるように思います。もちろん、分析を基に配合設計をすることは非常に重要ですが最後は実際に給与して家畜の様子を観察し、調整していくことが重要であることを思い知らされました。

なお、パイナップルの給与試験については共同研究している先生が畜産学会で発表する予定でしたが、コロナのせいで学会が中止になってしまいました。これ以上影響が広がらないことを切に願います。

豚を飼ってみて思うこと

今年も暑い夏でしたが、急に秋めいてきました。

当社で豚を飼い始めて1年半が過ぎ、2回目の夏を超すことができました。まだまだ未熟ですが、経験を積み重ねて養豚業ということが多少わかってきたように思います。

当初想定したとおり家畜の飼育はいろいろと苦労することがありましたが、ここ最近生産や品質が安定してきたようでほっとしています。
今、農場の調子がよくなったのはひとえにスタッフの成長によるものです。(そもそも私はほとんど農場の管理業務は行っていません・・)飼料の設計もスタッフが行い、スタッフのスキルアップにより疾病の予防や治療も適切になってきました。成長の速度や肉質も当初の予定以上の数字が出るようになりました。

豚コレラもまだまだ安心できませんが、一応ワクチン接種もおわり少しほっとしています。
今回の豚コレラの流行で家畜飼育のリスクを痛感しました。突然他国から侵入した疾病により事業の存続が脅かされる可能性があることをあらためて認識することになりました。農場の立地等の関係もあり、結局当社の農場は都合4回も採血、検査を行っています。その度に「万一陽性だったらどうしようか」と祈る気持ちでした。

養豚事業をはじめた目的の一つは、エコフィードだけで豚を飼育し美味しい豚を作ることです。当社では非常に多くのエコフィードを扱っていますが、その中で特に肉質によいものを選択し給与しています。

主に給与しているのが
炭水化物源として ラーメン、うどん、グミ、シロップ、菓子くず
タンパク質原料として 酒粕、みりん粕、ビール酵母
などを給与しています。
飼料原料はアミノ酸のバランスが取れていること、多価不飽和脂肪酸(リノール酸など)が少ないことに気をつけています。個人的には、多価不飽和脂肪酸の量が豚肉の味の良し悪しを決める大きな要因だと思います。

肉質に関しては飼料の影響が大きいことからあまり心配はしていませんでしたが、自分で食べるだけではなく、肉質を分析した結果、また販売先の肉屋さんやレストランからの意見をフィードバックして常にエサの改良を心がけています。
おかげさまで、最近は取引先からの評価もよくなり、卸先肉屋さんからも「ブラインドで食味評価したら一番よかったよ」と言われるようになりました。

現在はブランド名「雪乃醸」として東京のレストラン中心に販売も行っています。片手間で販売していることもありまだまだ苦労していますが、今後は多くの皆様に肉を届けたいと思っています。

先日、イベント出店していたら「雪乃醸食べたらおいしかったけどどこで売っているの」とうれしいお話をいただきました。生産者冥利に尽きます。
これからもおいしい豚肉を届けていけるように努力していきたいと思います。

イベントで販売したベーコン串