再生可能エネルギーの課題

最近、さまざまな資源が高騰をしています。当社が取り扱っている食品、飼料も大変な水準になっています。また、当社もエネルギー価格の上昇にも大きな影響を受けています。そんな中、再生可能エネルギーに注目が集まっています。

当社は直接的には再生可能エネルギーに関する業務を行っていませんが、再生可能エネルギーに関する業務を行っている事業者との取引も多く、再生可能エネルギーに関する知識もついてきました。
農業では太陽光発電の親和性が高く、営農型太陽光発電という制度があります。これは農地で耕作を行いながら発電をするというものです。また、当社が取り組んでいる食品リサイクルの分野では、バイオガス発電が増えています。これは食品廃棄物をメタン発酵させ、発生したメタンガスで発電を行うというものです。
また、バイオマス発電の事業者とも取り組みを行っています。バイオマス発電は木くずなどを燃料としてボイラーで利用し、発電するというものです。

このように再生可能エネルギーは徐々に普及が進んでいますが、その大きな背景として再生エネルギー固定買取制度があります。再生可能エネルギーを利用して発電した電力を一定価格で20年にわたり買取を行うという制度です。この制度は買取価格にインセンティブをつけることで再生エネルギーの普及を促進するという制度であり、その財源は電力料金に付加することで捻出されています。

電気料金の明細を見ると、「再生エネルギー賦課金」という名目で費用が計上されています。このお金をプールしたものが再生エネルギーで発電した電気を買い取る原資となっているわけです。現在は3.45円/kwとなり、通常支払っている電気代の1割程度を占めています。毎月1万円電気代払うと1000円程度の負担になります。このあたり、詳しい制度設計は経済産業省のサイトをご覧下さい。

もともと、この固定買取制度の目的として、再生エネルギーという事業に対し国が20年間価格を保証することで事業の参入を促し再生エネルギーの普及をすすめるというものです。発電の種類によって買取価格が決められており、その価格は毎年見直しされています。太陽光発電ではパネルの値下がりにより10年前の半額以下の価格となっています。
しかし、これまではこの固定買取制度の設定金額が高いため、再生可能エネルギーの発電事業はかなり利益率がよいビジネスとなっていました。例えば太陽光発電では一時期は投資利回り10%以上も可能でした。つまり、1000万円投資して20年間で2000万円以上になります。それで山を切り開いて太陽光パネルを並べるような現場が増えている訳です。その原資はすべて我々の電気代になります。私は山を埋め尽くした太陽光パネルを見るにつけ、本当にこの再生エネルギーの買取価格が妥当なのか疑問に思います。

再生可能エネルギーの買取価格は4兆円程度となり、通常の発電に比べて割高となっている分の3兆円弱が電気料金に上乗せされ全国民の負担となっています。その制度の是非はともかくとして、発電事業に関わっている人以外はほとんどこの制度でお金を負担していることを知らないことは大きな問題だと思います。私は周りの人に「電気料金に上乗せされているのを知っているか」と尋ねるようにしていますが、たいていの人はこの制度を知らずお金を払っていることすら知りません。

これから資源価格が高止まりして再生エネルギーの重要性がますます増しますが、発電のコストが高額な発電が本当に環境負荷が低いのか、個人的には疑問です。LCA(ライフサイクルアセスメント)の算出を行い環境負荷を把握すべきですが、基本的にはコスト≒エネルギーなので本来環境に対し優しいものはコストも低いはずです。そう言う意味で、発電単価が下がって火力発電よりコストが低い今の太陽光発電は環境負荷が低い発電であると言えます。太陽光発電の場合、固定買取価格が下がったため、通常の火力発電よりコストが低くなっています。現在は電気代が高騰しており、太陽光発電は売電するよりも自家消費するほうがお得になってきています。これが本来の姿では無いかと思います。
逆に、いつまでも発電単価が下がらない発電を国民負担により支援し続ける意味があるのか、検討をすべきではないでしょうか。

環境問題に対してどう向き合って政策決定していくかは将来の日本に対し大きな影響を与えますが、世間一般の関心が薄いことに危惧の念を抱きます。環境問題は地球環境のためでもありますが、日々の生活にも関係していることでもあります。毎日の財布とも密接関係する身近な問題として向き合っていくべきでは無いでしょうか。

畑

有機肥料の可能性

資源価格の上昇や食料の需要の高まりに伴い肥料の価格が上がっています。国内の農産物価格は低迷しており、農業の生産現場は厳しい状況に置かれています。
化学肥料の値上がり当面続くか、国際的な需要高で 農家がとれる対策は?

ただ、肥料の原料であるリンとカリは天然鉱物でありその逼迫は数十年前から言われてきたことです。私は20年ほど前のサラリーマン時代に水処理の会社で研究開発に携わっていましたが、その当時からリンの枯渇と排水中に含まれるリンの回収の必要性が叫ばれていました。人口増加と食料生産の増加のトレンドは継続しており、需給のバランスが崩れるのは想定されてきたことなので、厳しい言い方かもしれませんが今になって肥料価格の上昇や肥料原料の逼迫に右往左往するのは先見性に欠けるように感じます。

このような状況のもと、有機肥料に対する注目が上がっています。日本はたくさんの食品、飼料を輸入しています。輸入されている食品や飼料に含まれている窒素、リン、カリの量は非常に多く、元素の物質収支で言うと国内で肥料として必要とされる量を超えています。つまり、理論的には日本は1kgも肥料を輸入しなくても国内の農業で必要な量を確保することができるということです。
逆に言うと、国内の循環資源で賄えるはずの肥料を輸入しているため窒素、リン、カリなどが国内で過剰となり環境負荷を引き起こしているとも言えます。

では、有機肥料をどんどん使用できるかというと簡単な話ではありません。一番の課題はどうやって散布するということです。
有機肥料は化成肥料とくらべ散布量が多くなります。まず、肥料の有効成分の量が大きくことなるため、散布量が多くなります。また化成肥料は粒状になっているものがほとんどで機械散布が容易にできますが、有機肥料は水分を含んでいたり固まり状になっているため、散布に手間がかかるものがほとんどです。たとえば、堆肥はマニアスプレッダーという機械がないと機械散布は難しいです。農業現場は人手不足が著しく、手間が増える有機肥料は敬遠されがちです。

マニアスプレッダ-(デリカ社ホームページより)

また、有機肥料はその名前の通り有機物を含んでいます。有機物が分解することで肥料として効果を発揮するため、肥料の効果がでるまでに時間がかかります。またいつどれぐらい肥料が効果がでるかが気候や土壌などの条件によって変わるため、経験が無いと予測しにくいという欠点もあります。

しかし、有機肥料をうまく使うと化成肥料だけより間違いなく収量が増えます。私は自分の出身大学で行われている肥料の試験のサポートをさせていただいており、毎年試験圃場の収量調査に参加しています。試験結果を見ると、有機肥料を使う方が顕著に収量が増加します。


これは、有機肥料には微量要素や有機炭素が含まれているため、土壌の改良や微量要素の補給効果などにより収量が増えます。また適切な使用により病害虫も減少する傾向を感じます。有機肥料の効果は非常に高いものがあります。
一方、肥料の価格を考えると実は有機肥料はそれほど安価なものではありません。たとえば一般的にホームセンターなどで安価に販売されている鶏糞も有効成分あたりで計算すると化成肥料とそれほど遜色ない価格となってしまいます。これは、有機肥料の方が有効成分含量が低く、実際に効果を発揮する肥料分が少ないため割高になるためです。
鶏糞の場合、通常は窒素が3%程度含まれています。このうち、実際に植物が利用できるのは半分程度ですので、実際は1.5%程度が有効な窒素成分と言うことになり、窒素15%の化成肥料の1/10となります。つまり、鶏糞は化成肥料の1/10の価格でないとコスト削減することができないということになります。ものの値段が安くなると相対的に運賃や容器代コストの比率が高くなり、コストの低減が難しくなります。

これからの時代、資源が安くなる要素はほぼありません。世界人口増加による食料生産の増加に伴い、肥料の使用量も確実に増加していきます。確かに有機肥料を使えない理由はたくさんありますが、できない理由を挙げるよりどうしたら使えるようになるかを考える姿勢が重要だと思います。当社は「資源循環により持続可能な社会実現に貢献する」ことを経営理念に掲げています。これからも微力ながら資源循環のお手伝いをしていきたいと思います。

理系人間

雨が続いていますが、豊川は先日より大雨が続いて全国ニュースになったりしました。気候変動が大きくなっているような実感があります。

会社の前の1号線も浸水

基本的に豊川がある東三河地方は冬は温暖で夏は名古屋などに比べると最高気温がそれほどまでに高くなく比較的過ごしやすい地域です。夏場は最高気温が名古屋より3℃ぐらい低い傾向にあります。名古屋が過酷すぎるという説もありますが‥(笑)

と言っても夏場の降水量は多く、じめじめした暑さなのは名古屋と一緒です。学生の頃はエアコンなしでがんばっていましたが、昨今はエアコンなしでは暮らせない体になっています。

エアコンを使ってるときに気になることがあります。時々、部屋が暑いときに早く冷やしたいからかエアコンの設定温度を低くする人がいます。意味が無い行為なので、理系人間的にはとても気になります。

たとえば、設定温度25℃、室温30℃だった場合、エアコンは出力全開になります。徐々に温度が下がってきて25℃に近づいてくると、エアコンは出力を落とします。今のエアコンはインバータ制御をしているので無段階で出力調整ができますので、最初は少し出力を絞り、徐々に出力を落として25℃に近づけていきます。
ここで設定温度を22℃にしたらはやく25℃まで到達するか‥と言うと出力の全開値は一緒なので当初の温度の下がり方は同じになります。厳密にいうと25℃近辺で出力を落とすので、25℃まで到達する時間は若干遅くなりますが25℃近傍まで下がる速さは変わりません。
昨今のエアコンは制御が緻密になっておりセンシング技術も優れているので、温度計を設置すると設定温度に近い値に収束することがよくわかります。逆に、断熱が悪いなどの理由でエアコンの出力全開にしても追いつかない場合、いくら温度設定を下げても温度が下がるわけではありません。

そう言う理屈を考えずに「暑いから温度設定を下げる」という行為には理系人間的にいらだちを覚えます(^^)
何事も理屈でごりごり押すので世間から疎まれることもままありますが、これまでの理系人間的生き様をこれからも貫徹していきたいと思っていますので、生暖かい目で見守りください(笑)

中小企業のデジタル化

コロナ禍も先が見えない状況が続いています。コロナ禍はさまざまな影響がありましたが、業務的には減ったお客様と伸びているお客様があるので幸いトータルではまずまずの状況です。大きな変化が起きたのがミーティングのオンライン化です。zoomがこれほどまでに普及するとはだれも予想していなかったのでは無いでしょうか。

最近はテレワーク対応が補助金の対象となったりしています。当社の取引先も春からずっとテレワークというケースがあります。当社の場合、以前よりクラウドの積極的な導入を行っており、事務作業はほぼテレワークで対応することができるようになっています。例えば、会計ソフト、販売管理ソフト、見積作成システムはすべてクラウドで行っています。データはだいたいGoogleドライブで行っているため、会社に行かなくてもたいがいのデータは確認できます。
また、VPN通信というセキュリティーを確保しながらネットワーク接続できる仕組みを導入しており、会社のネットワークに外出先からアクセスできるようにしています。もともと、前職で部署のシステムの担当をしており、ある程度のIT知識があるので中小企業経営にも役立っています。
このように、当社は会社の規模に比してかなりIT化を推し進めていますが、その投資額は売上金額の1%にも満たないものです。大手は売上げの数%をIT投資に費やしていると言います。このようなITに対する姿勢の格差が大手と中小の格差固定につながっているのでは無いかと思います。たとえば、売上げ1億円の中小企業で毎年数百万円のIT投資を行っている例は皆無では無いでしょうか。

現在、DX(デジタルトランスフォーメーション)だとかデジタル庁など、政府がデジタル化を推し進めようとしています。もちろん、このような施策は重要だとは思いますが、正直20年遅れているのでは無いかと思います。いままで捺印のために行政に面倒な書類郵送を行ってきたので、判子廃止は諸手を挙げて賛成しますが、むしろ今までなぜ廃止できなかったが疑問でなりません。また、マイナンバーカードの普及の遅れをポイント制で後押しするような政策は愚の骨頂です。使いにくいシステムをポイントで無理矢理ごり押しするというはデジタル化とは正反対の手法です。

また、デジタル化は重要なことではありますが、これが政府の政策の一丁目1番地に位置づけられているのは不安があります。日本の課題は少子高齢化、格差の拡大、所得の低下、科学技術力の低下などであり、デジタル化の遅れはこのような課題の結果でありデジタル化を推進したからといって少子化が解消するわけではありません。
当たり前ですが、国であっても中小企業であってもデジタル化は一つの手段に過ぎないということを認識していくことが重要では無いかと思います。

これはトランスフォーマー

パイナップルサイレージの消化性

年末からずっと多忙でブログ更新を怠っていましたm(__)m
新型コロナのせいで出張、来客予定がことごとくキャンセルになりようやく少し余裕が出てきた感じです。

最近、引き合いが多いアイテムの一つにパイナップルがあります。カットフルーツマーケットの隆盛に伴い、パイナップルの残さ(皮、芯など)の排出量が非常に増えており、当社の取扱も年々増えています。現在は主に酪農のお客様に供給をしています。そのまま供給する場合と、脱水してパイナップルサイレージとして供給する場合があり、特に脱水パイナップルサイレージは取扱も良好で嗜好性もよく、非常に人気のアイテムです。国内で発生する脱水パイナップルサイレージの取扱を行っている会社はほとんどないため、おそらく当社がトップシェアをとっているものと推測されます。

 

パイナップルサイレージ
パイナップルサイレージ

パイナップル自体は乾燥したものが従来より配合飼料原料として利用されており、日本標準飼料成分表にも記載されています。従来は嗜好性の向上のために利用する程度であり、配合飼料に含まれている割合もごくわずかでした。
ところが、当社(のお客様)では相当な割合でパイナップルを配合しているため、従来ではあまり想定されていない量のパイナップルを給与しているケースがあります。パイナップルを多給した場合、どうなるのかを確認するために共同研究している日大の飼養学研究室にて試験をしていただきました。飼養学研究室にて新規アイテムの試験をする場合、
サンプル分析→invitro試験(インビトロ:試験管での消化試験)→ヤギへの給与試験→牛への給与試験
という順番に試験をしていきます。牛への試験を行う場合には、消化率と消化速度、反芻時間なども測定します。糞を採取し未消化の部分を測定することで消化率がわかります。また、希土類元素でエサに標識をつけ、それがどれぐらいの時間で糞に出てくるかを測定することで消化速度もわかります。

最初にサンプル分析をしたところ、繊維の量が多くあまり消化をしないのでは無いかと懸念したのですが、消化試験を行ったところ分析値から想定されるよりはるかに消化して先生が感心をしていました。その後のヤギへの給与試験、牛への給与試験も非常に良い結果が出ました。パイナップルサイレージは消化も良好で嗜好性もよく使用しやすい飼料であると言えます。
今回の試験をしてみて実感したのは、分析結果は重要ではあるが実際に給与すると想定とは異なる場合があるということです。特にエコフィードは様々な原料があるため、一般的な配合飼料や牧草の分析方法での結果は単純には適用できない部分があるように思います。もちろん、分析を基に配合設計をすることは非常に重要ですが最後は実際に給与して家畜の様子を観察し、調整していくことが重要であることを思い知らされました。

なお、パイナップルの給与試験については共同研究している先生が畜産学会で発表する予定でしたが、コロナのせいで学会が中止になってしまいました。これ以上影響が広がらないことを切に願います。

食品ロスは削減できるのか

食品ロス削減法案が成立しました。毎日新聞より
「同法は、食品ロス削減の意識を高め、食品を活用する仕組み作りが狙い。政府には基本方針、自治体には推進計画の策定を求め、ロス削減に取り組む事業者の支援も義務づけた。」

当社は食品リサイクル業を営んでいますが、当社は主に食品工場の製造副産物を取り扱っており、いわゆる食品ロス(可食部位)は業界の中でも比較的取り扱いは少ないです。スーパーやコンビニなどの売れ残り商品などのリサイクルのご依頼もかなりあるのですが、当社の受け入れ能力や品質の安定を考慮し、あまり受け入れをしていません。

しかし、食品工場から廃棄されるものの中には、食べられるような商品も多く含まれており、工場見学にいらっしゃったお客様から「これはなぜ廃棄されるのか」とご質問いただくこともよくあります。

当社で取り扱っている食品廃棄物の廃棄理由は様々ですが、大別すると以下のような理由があります。

1.見た目などの規格外

お菓子類などでは焼きムラ、形状異常などで廃棄されることがよくあります。たとえば、当社ではバームクーヘンを取り扱っていますが、バームクーヘンは製造時に両端が焦げるため切り落とします。焦げが入ると異物混入としてクレームになるため、かなりの量を切り落とすため多量の廃棄品が出ます。

バームクーヘン

2.ライン切り替え時のロス

味の切り替えなどで製造ラインを切り替えたとき、味の混入を避けるためライン清掃を行い廃棄物が出ます。たとえば羊羹は釜で炊きますが、必要製造量に対しロスを考慮し必ず余分に製造する必要があります。

3.ウエイトチェッカーやX線での検品

ほとんどの商品には重量規格があり、製品検査ライン重量測定を行い重量オーバー、重量不足で廃棄されることがあります。特に、包装ゆでうどんなどは均一に充填することが難しく、重量の過不足が出やすい傾向があります。

4.不可食部位

カットフルーツ工場で発生するパイナップルの皮、豆腐工場で発生するおから、ビール工場での麦芽粕などが該当します。安定発生するため当社でも積極的にリサイクルしています。

5.異物混入・製造ミス

製造の際、原料の調合を間違えた、加工方法に不具合があったなどの理由で廃棄するものが発生することはよくあります。また、異物混入が出荷前に発覚し在庫品を含め廃棄する場合もよくあります。

食品リサイクル法での推計では2018年度食品廃棄物全体で2759万トン/年の発生があり、そのうち可食部位は643万トン発生しています。当社の取り扱いしている食品廃棄物は食品ロスに該当しないものが多いですが、不可食部位以外は人間が食べられるものばかりです。食品ロス削減法の趣旨からいえば、消費者などへの啓蒙をはかりこれらの削減をめざすべきかと思われますが、日本人の異常なまでの細かさから削減は簡単ではないと思います。

以前、ゼリー工場から「キウイフルーツの果肉入りゼリーで種がはずれてゼリー部分に入ると異物としてクレームが来るため、検査ラインで検品してはねている」というお話をお伺いしたことがあります。先のバームクーヘンでもわずかな焦げが混入していただけでクレームが入ります。あめ玉も形が悪いとお客様相談室に電話があります。おそらく大多数の人が気にしないものであっても、納品先からのクレームなどを敬遠し事前に廃棄してしまいます。

カップ麺に使用される乾麺であっても重量と形状のチェックを行い、規格に外れたものは廃棄されます。私にはカップ麺の乾麺の形状が悪いとクレームがあることが理解できませんが、実際問題としてカップ麺工場の乾麺廃棄は膨大な量です。

乾麺

異物混入で廃棄されるものも多くありますが、ほとんどの場合食品衛生上混入しても健康被害がないものばかりです。以前、砂糖を数百トン廃棄するという案件がありましたが、これは赤色シリコンパッキンが混入したというもので、万一食べても全く健康には問題ないものです。しかし、「異物が入っているとわかって販売すると会社の姿勢が問われる」という理由で廃棄されることになりました。

個人的には異物混入などの事件が起こると「食の安全」を錦の御旗としてマスコミによる食品工場のバッシングされることが食品ロスの増加につながっているように思います。健康被害があるものの回収は当然ですが、健康被害がないものまで回収を求める今の風潮はおかしいと思います。

たとえば、最近ではこんなニュースが。

J-オイルミルズ/「味の素 から揚げの日の油」40万個自主回収

「一部製品について、包装容器の接着不良により最上部からの油漏れが判明したため、対象製品を自主回収すると発表した。」「同社では、健康危害はないが、消費者が不快な思いをすることないよう、同社では本件を重く受け止め、万全を期すため、回収するとしている。」個人的にはこれで回収する風潮が不快ですw

今回の法律制定を機に過敏な消費者とそれをあおるマスコミの風潮が少しでも改善することを願ってやみません。

家畜福祉

年末年始で慌ただしく、すっかり更新が滞ってしましました。
事業を開始したときはそうでもなかったのですが、2つの会社を経営しどちらも12月末決算のため1月は非常に慌ただしい日々を過ごしています。

養豚の事業も豚を実際に飼い始めて1年が経過しました。まだまだ改善するところは多々あり問題山積ですが1年たつといろいろと見えてくるものもあります。

素人ばかりで豚を飼っているのでトラブルも多くありました。その一つに豚のしっぽかじりです。豚は何らかの理由でストレスを感じると、ほかの豚をいじめたりします。いじめの行動の一つがしっぽかじりで、同じ豚房にいる豚のしっぽをかじってしまうというものです。当然、傷ができますので感染症などの原因にもなりますし、かじられた方はストレスになり成長に影響が出たりします。

豚を飼って強く思うのは、豚にいかにストレスを感じさせないかが非常に重要だという点です。暑さ、寒さ、他の豚とのけんか、飼料の嗜好性等々、ストレスを感じると豚の成長に大きな影響があります。養豚生産者はみな、いかにストレスを与えないかに腐心しています。

これは養豚だけではなく、牛でも鶏でも同様です。牛もストレスを感じると乳量が減りますし、鶏も卵を産まなくなってしまいます。快適な環境が畜産においては非常に重要です。

オリンピックに向けて、ヨーロッパなどで一般化しつつある家畜福祉(アニマルウェルフェア)の考え方が日本でも徐々に広まりつつあります。
世間ではよく「大規模な畜産農家は効率を重視するあまり、家畜福祉に反した飼養を行っている」と思われているようですが、実際のところ家畜にストレスを与えるような飼養管理はむしろ生産性が低下するわけであり、効率を重視する大規模生産者こそそういったストレスに対しては敏感であったりします。
家畜がストレスを感じているかは物言わないため明らかではありませんが、ストール飼育だったりウインドレスだったりがもしストレスフルならば生産者が採用するはずがありません。家畜福祉に取り組む動きを否定するわけではありませんが、現状でも規模にかかわらず家畜福祉には常に配慮されているという実態を理解していただけたらと思います。経済動物ではありますが、家畜がよりよい環境で過ごしてほしいと思うのはすべての畜産農家の共通した思いではないかと思います。

エサをたくさん食べ、いびきをかいて寝ている豚たちを見るとなんとなくうれしくなりますが、それは生産者ならばだれしも感じるものである感情です。ゆったり育ち、結果としておいしい畜産物になることがなによりも願いです。

酵母と酵素

師走になり忙しい日々が続いています。忘年会も多く、酒を飲む機会が増えており肝臓に負担がかかる日々です。
ここ数年、飲む機会が多いのですっかり肝臓が鍛えられ、以前に比べ格段に酒に強くなった気がします。

当社は様々なお取引先がありますが、酒好きだからというわけではなく最近は醸造関係のお取引先が増えてきました。日本酒、ビール、ウィスキー、焼酎、みりん、醤油、味噌、etc.

発酵に興味がある自分としてはお客様訪問してもいろいろと現場を見せていただくのが非常に面白いです。
また、おいしいお酒にも巡り合える機会も増えたのもポイント高いです。酒蔵やウイスキー工房を営業しては酒を買う・・という本末転倒な機会も増えているのはここだけの話です(笑)

そんな中で今年から取り組んで切るのはビール酵母の飼料化です。ビール酵母自体は昔から食品や飼料として利用されており、一般的なものです。しかし、通常は乾燥させて乾燥ビール酵母として流通されており乾燥コストが高いため、かなり高価な原料でありどちらかというとサプリメント的な使用方法が主体でした。
現在、当社が取り組んでいるのはビール酵母を乾燥せず単に濃縮させ、そのまま豚のリキッドフィードのたんぱく源として利用するという取り組みです。
現在、飼料のタンパク源としては大豆粕の利用が主体です。しかし、大豆粕は近年の畜産需要の高まりにより単価が高止まりしています。これをビール酵母代替することで、コストの低減をめざしています。
愛知県農業総合試験場で試験を実施したところ、大豆粕以上の成績をあげることができ、自信をもって供給を行っています。現在は当社の豚もこのビール酵母をタンパク源としており、良い結果を残すことができています。

ところで、酵母という言葉は一般的ですが、じつはあまりよく理解されていないように思います。酵母とは単細胞の真菌(核を持つ)の総称であり、細菌とは異なります。酸素がある状態では普通に呼吸を行いますが、酸素が少ないと糖を分解し二酸化炭素とアルコールを生成するという呼吸を行い、これが酒やパンを造る際の重要な働きとなっています。飼料に使う際も菌体なのでタンパク質含量が高く、またアミノ酸のバランスが良いという特徴があります。

また、酵素と酵母の混同もよく見受けられますが、酵母と酵素は全く別のものです。酵母は生物ですが、酵素は体内でも分泌されているタンパク質の一種であり、触媒作用を持つものを指します。代表的なものにアミラーゼがありますが、これは唾液にも含まれておりデンプンを糖に分解する作用があります。カビ(これも真菌です)が多量に体外に分泌する性質があり、この性質を利用して麹などが作られています。麹はコウジカビであり、アミラーゼやプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)を分泌します。この作用により、デンプンを糖化し、酒を造ることができるわけです。

流行っている酵素ジュースは糖が酵母発酵しているのであり、正確には「酵母ジュース」と言うべきものかと思います。むしろ、酵素の作用で糖ができている甘酒のほうが酵素ジュースとよぶのにふさわしいものです。個人的にはそのうちこの酵素ジュースのアルコール発酵を税務署が問題にするのではないかと危惧するところですw

外国人雇用に関する私案

今週はポートメッセ名古屋で開催されているメッセナゴヤに出展しています。今月は出張も多く会社にいない日々が続き例によって仕事が溜まっています。

全国飛び回っていて実感するのは外国人雇用の増加です。特に、東京や名古屋の都心部ではコンビニの店員、飲食店店員の外国人比率が急激に上がっています。この前も名古屋の錦にある手羽先の山ちゃん行ったら、店員がほぼ外国人で驚きました。(世界の山ちゃんだから?w)
余談ですが、コンビニのPOSレジは店員側の画面外国語表示できるようになっているのか気になります。コンビニのオペレーションはかなり複雑なので、外国語のガイダンスでもないと難しいように思います。

当社のお客様の農家でも外国人雇用はもはや欠かせないものとなっており、技能実習生や技術者として多くの外国人雇用が行われています。10年ぐらい前までは中国人主体でしたが、最近はベトナム、ミャンマーなどの方が増えています。
また、お客様の食品工場でも外国人技能実習生が多く雇用されています。もともと食品工場は稼働時間が長く休日が少ないため、パートなどの集まりが悪い傾向にあります。とりわけ自動車が好調な愛知県はその傾向が強く、コンビニのベンダーなどの夜勤は外国人の技能実習生や派遣労働者によって成立している側面があり、現場を見ると4か国語で作業指示が掲示されていたりします。

こういった慢性的な人手不足を背景に、入国管理法の改正が国会審議されています。事実上の外国人受け入れ拡大政策ですが、私はいろいろな現場を見ていますので、なし崩し的に外国人雇用を増加させることには懐疑的です。
現在、技能実習生では様々な問題が発生しています。パワハラ、セクハラ、過酷な労働条件、それに伴う脱走、そして不法就労と犯罪の増加。これらの問題に対し、今回の入国管理法改正が解決する方向に行くとは思いません。
そもそも、こういった問題が起こる根本的な原因は、安い賃金で過酷な労働のため日本人が集まりにくい職場において充当するために外国人労働者を受け入れようとする現在のスタンスにあります。
一方、現在、日本の一人当たりGDPの世界における順位は急激に下がっており、日本の所得水準がグローバルで見た際に低くなってきています。(だからこそ輸出企業が利益向上し、日本の一般庶民の生活が苦しくなっているわけですが)
こういう背景で、過酷な労働で低賃金な日本に外国人労働者が果たして来るのでしょうか。先日、オーストラリアへ行って感じたのが所得水準の高さです。香港、シンガポールも一人当たりGDPは日本より高く、平均所得も高くなっています。今のような施策では優秀な人材はみんなそれらの国に行ってしまい、日本にはまっとうな人が来なくなるのではないかと危惧します。

国籍を問わず、優秀な人材がいることは何よりも国力の増加につながります。そのためにはいかに優秀な人材に来てもらうかを考え制度設計することが必要であり、場当たり的な法改正でお茶を濁すのはいかがなものかと思います。
個人的には、外国人労働者は最低賃金を日本人より一律上げ(たとえば時給2000円とか)、その代わり雇用に関する制限を撤廃するという案を提唱しています。今の法案では技能や試験で判断するようですが、そういったものは制度の複雑化、形骸化につながりかねません。能力を判断する一番の手法は給料です。高い賃金を払ってもいい人材は間違いなく優秀な人材です。シンプルで分かりやすく、明朗な制度が必要だと思います。
今のような政策が続くと、人材レベルの低下につながりかねません。外国人の受け入れどころではなく、日本人の優秀な人材の流出が起きてしまうでしょう。実際、私の周りでも優秀な友人はどんどん海外へ行っています。資源がない日本で一番大事なリソースである人材レベルの低下は国家の衰退にかかわる憂慮すべき事態かと思います。

友人の話を聞いていると、果たしてこれから日本で事業を行っていくことが得策なのか少し考えてしまうこともありますが、語学力が低く、日本酒と和食をこよなく愛する身としては海外では暮らすことは難しそうだと熱燗をすすりながら思う次第ですw

食品リサイクルから見た科学リテラシー

相変わらずあわただしい日々を送っていますが、先日台風上陸に伴い参加予定していたセミナーが中止になったおかげで3日間ぽっかり予定が空いてしまいました。おかげでたまっていたデスクワークを若干ですがこなすことができました。
来週からはまた出張行脚の日々が続きます。最近は関東方面の案件が多く、月に1回は関東出張している状況です。

関東出張が多いのは、首都圏の人口集中や、中食、外食の比率増大に伴い食品工場の生産量が上昇し、食品残さの発生量が増えていることが背景にあります。関東でのお仕事の場合、多くは当社に食品残さを搬入するのではなく、「オンサイト処理」と呼ばれる手法を取っています。食品工場内で飼料に加工し、それを畜産農家へ直送する仕組みです。脱水や濃縮などのプロセスにより、保存性を高め品質を安定化することで飼料としての利用ができるようになります。
現在、実績があるものとしてはモヤシサイレージ、パイナップルサイレージ、ゴボウサイレージ、小豆皮サイレージなど多種多様なものを飼料化しています。最近はとくにパイナップルの皮の引き合いが多くあります。

また、現在取り組みを行っているものの一つにゆで卵のリサイクルがあります。ゆで卵の場合、食品工場で乾燥処理を行い、飼料とすることを計画しています。

この取り組みのために、現在乾燥機メーカー数社と打ち合わせを行っています。図面や仕様書を提出してもらい打ち合わせを行います。書類の一つに設計計算書がありますが、設計計算書をみると製造メーカーの技術水準がよくわかります。

乾燥機

乾燥機の場合、主に熱伝達効率と乾燥に必要なエネルギー量から必要なランニングコストが算出されます。
重油などの燃料を燃焼させることで熱が発生し、伝達効率に応じた熱量が被処理物に伝わります。水分を蒸発させるのに必要な熱量は決まっていますので、そこから必要燃料や電力量が算出できるわけです。
ところが、驚くことにメーカーによってはエネルギーの伝達効率が100%を超えるような計算書を提出してくることがあります。燃焼エネルギーは燃料種別に決まっており、また水分蒸発に必要なエネルギー量も決まっています。伝達効率が100%を超えることは理論上あり得ません。エネルギー伝達効率が120%という計算書を見ると、思わず「波動砲かよ」と突っ込みを入れたくなります。投入されたエネルギー以上の働きをすることはエネルギー保存の法則を超えた神の世界です。

乾燥飼料

自分は超理系人間ですので、理論を超越した書類を見るとムズムズしてしまいます。最近はなるべく自重しているのですが、それでも我慢できなくなり論破してしまうことがあります。

ちなみに、乾燥機の場合はボイラーの効率や乾燥機の熱伝達効率などトータルで計算するとだいたい投入されたエネルギーの50%程度が水分蒸発に使われることが多いようです。今のA重油の値段から計算すると、だいたい水分1㎏蒸発させるのに10円弱程度の燃料費がかかる計算です。熱回収(ヒートポンプ)などを使用していないケースでメーカーの計算これ以下の場合はおかしいと思ったほうが良いです。
こういったエセ科学的なものが跋扈する理由の一つが日本人の科学リテラシー不足にあるのではないかと思っています。もっと理系教育を充実させたほうがいいのではないかと痛感します。科学の基礎的知識は技術的な分野はもとより、日常生活において広く役に立つものでありますし、つきつめれば国家の発展にもつながるものだと思うのですが。

といったことを書き綴っていると、学生の頃、飲み会で女子大の子に「高橋君理屈っぽい」って言われたことを思い出しますw