有機農業のカルチャースクール(堆肥の作り方)

今日は名古屋方面まで車で出かけていました。予定てんこ盛りの中で、一番最初の予定は名古屋大学の附属農場へ実験に使用する当社の有機肥料(ゆうきのススメ)の配達。乗用車の250kg肥料を積んでいったのですが、さすがに前が浮いてロケット発射台状態(というのは大げさですが)になっていました。肥料の袋が破れてこぼれて車の中が肥料臭くなっています。ゆうきのススメはそんなに臭う肥料ではありませんので、畑で使っている分には特に気になることはないですが車の中でこぼれるとさすがにやや気になりますね。

 

先週土曜日、ベジモ愛知の有機農業カルチャースクールの講座が当社工場で行われました。今回は堆肥作りです。前回の講座では生ゴミ堆肥を作成したのですが、今回は草堆肥ということで、乾草と副資材の組み合わせです。前回講座で作った堆肥を取り出し、その後新たに混合した堆肥原料を堆積していきます。

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堆肥の取り出し。もちろん人力です。

堆肥って作ってみるといろいろ奥が深いです。草だけでは発酵が遅いので、今回は米ぬかと落ち葉、鶏糞なども混合しています。まあ、普通の家庭菜園で作るには一番やりやすい原料ではないかと思います。

 

土曜日に仕込んだのですが、日曜日にはかなり温度が上がっていました。鶏糞の量が多かったせいか、少し臭いが出てしまったのがなんですが・・。多分、切り返すときには臭いがちょっと気になるのではないかと心配ですね。慣れていない人にはちょっとの臭いでもきつく感じることもありますので・・。

 

ちなみに、当社の工場はあまり臭いがしないと自負しています。お客さんが来ても自信を持って案内できます。臭いが出るのは、もともと臭いがある原料(今回の鶏糞)のようなものを使用したり、C/N比が低くなりすぎたり、嫌気性になったりなどが主な原因です。C/N比を高くして通気性をよくしてやれば、堆肥もあまり臭わないものです。

今回の堆肥、原料は確かですので、できあがり自体は悪くないと思います。臭いも1回切り返せば気にならなくなるのではないかと思います。

食品廃棄物の発生量

最近、すこし忙しい日々が続いています。去年までは殺人的スケジュールが続く日も多かったので、それに比べればまだまだ余裕はありますが、仕事が溜まっていくのは困りものですね・・。

 

先日、農林水産省で「食料・農業・農村政策審議会食品産業部会食品リサイクル小委員会(第1回)及び中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会食品リサイクル専門委員会(第10回)合同会合(第1回)」なるものが開催されました。なんだかみょーに長い会議ですが、要するに農水省と環境省が合同で行った食品リサイクルに関する審議会の委員会と言うわけです。

 

この委員会では主に食品リサイクル推進のための目標値の再設定が行われるのですが、そのために食品廃棄物の発生量についての調査の取りまとめが行われています。

平成19年に食品リサイクル法の改正が行われ、それから年間100トン以上の食品廃棄物を排出する事業者は農林水産省に食品廃棄物の排出量の報告を行うことが義務づけられました。その結果がとりまとめられて今回の委員会に初めて報告されました。

詳しくは上記リンクの資料を見て頂ければと思いますが、従来は年間1100万トン程度とされていた事業活動から発生する食品廃棄物が実は2200万トンもあることが判明しています。2倍、1000万トンの差は大きいですね。この差だけでも日本の年間トウモロコシ輸入量に匹敵し、米の生産量よりも多いわけですので。

会議の資料を見ると、いろいろと推計がずれていた訳が記載されてます。要するにサンプリング手法がよくなかったみたいです。自ら食品メーカーに営業を行っている立場としてみると、サンプリング調査には無理があります。食品廃棄物は同じ業種でも製造方法や営業形態によって大きく排出量が異なります。

ちなみに、今回の定期報告の分(つまり100トン以上あるとして報告があった分)だけでも1500万トンもあり、それだけで従来の推計値を大きく超過しています。ただ、私はこの数字もだいぶ怪しいと思います。

上場企業やそれに類する大企業ではちゃんと定期報告しているのですが、ハッキリ言って町工場レベルまで行くと「食品リサイクル法、なにそれ?」状態の人が大多数です。そんな人たちは当然報告なんてしませんし、町工場でもときどき驚くほど食品廃棄物の発生量が多いことがあります。カット野菜とか漬け物工場、豆腐屋さんなどでは年間1000トン以上の食品廃棄物が発生していることも珍しくありません。

また、食品メーカー自身が食品廃棄物の量を正確に把握していないケースも多いです。社長に聞くと「うちは100トン出ていないから」って言っていても現場に聞くとすごく多い・・なんてケースはざらです。

 

廃棄物の世界はとにかく情報というものが集約されていませんので、ちょっと調査を行うとこういう事態になります。食品リサイクル推進を否定するわけではありませんが、罰則だなんだと言う前にもう少し実態調査を先行して行い、適切な施策を行うべきでしょうね。

エコフィードの含水率と飼料価値

エコフィード原料は水分が高いものが多いのです。水分が多いものは実質的な価値が下がります。野菜なんて水分が90%、ほとんど水です。じゃあ、実際どれくらいの価値になるのか。この前、ちょっと問い合わせがあったのでとりまとめてみました。

基本的には、配合飼料(水分10%程度=乾物割合90%)に換算して計算を行います。ですが、現場でやるような簡易的な計算では、乾物割合が100%になるように換算します。

例えば、水分70%の場合、乾物量は30%です。30%→100%に換算する訳ですので、

100/(100-30)をかければいいです。

現物中タンパクが5%、水分70%のオカラでしたら、

5%×100/30=16.6 これが乾物当たりのタンパク含量となります。

上記で乾物は水分0%で計算して構わないと書きましたが、厳密に計算すると、例えばオカラなら

5%×(100-10)/(100-70)=15.0

となります。
というわけで、あまり大差出ませんので現場でさっと計算するときには含水率0%で構わないと思います。

酒粕などは水分が50%、現物当たりのタンパク質が20%程度ですので、乾物当たりで計算するとタンパク質が40%程度になります。乾物当たりのタンパク質含量でいくと大豆粕に近いぐらいのタンパク質含量含量ですので、価格も大豆粕との比較で判断します。大豆粕が仮に50円/kgとすると、乾物換算から酒粕はだいたい25円/kgで大豆粕と同等の値段となります。酒粕はハンドリングが悪くスポット性が高いのでこの25円/kgより安い価格が相場となる訳です。

エコフィードは水分の多寡で価値が大きく変わるのがご理解頂けましたでしょうか?

エコフィードの破砕機

毎回書いていますが、今日も暑い一日でした。午前中は肥料の配達をしていたのですが、自分はトラックに乗っていてお客さんに散布してもらうという殿様商売をしていました。なんにせよお買い上げありがとうございますm(__)m

 

午後は豊橋のとあるメーカーへ行き、粉砕機のデモを見てきました。たかが粉砕機、されど破砕機。エコフィードを手がけていて一番苦労しているのがこの粉砕機の選択です。世の中には様々な種類の粉砕機がありますが、どれも一長一短で全てを満たすのが無いですね。

まず、食品系廃棄物といっても非常に多岐にわたっています。今、当社で使用している破砕機は遠心力を利用してたたきつけるようにして粉砕する機械ですが、これは割と万能ですが、それでも長い繊維質のものは粉砕できないという欠点があります。たとえば、ネギ。これが切れなくて長いままで出てきます。特にやや乾燥してしまったものは切れません。

あとは、デンプン質のものも粉砕できません。うどんなどを多量に入れると中で練ってしまい塊になりモーターに負荷がかかりすぎて止まってしまいます。

ただ、この破砕機のよい点は、壊れないという点です。食品リサイクルをすると悩まされるのは異物混入。ボルトとかベアリングとかはたまた包丁まで考えられないものが混入します。この破砕機、どんなものを入れてもまず壊れません。ただ、異物を噛み込むと取り除くのが結構大変だったりします。

こういう繊維質とかデンプンの塊は二軸剪断式破砕機が得意とするところです。ところが、この二軸剪断式破砕機はやたらに高価です。そして、異物に対してきわめて弱い。これは結構致命的な欠点です。

 

以前、テストでポンプに粉砕機能がついた物も使用しました。ところがこれも異物に弱く、ベアリングの咬み込みで刃が欠けて使用を断念。使用している現場では金属探知機を入れてガードしているそうです。金属探知機入れるにしても、簡単に壊れるようでは困りますね。

 

今日見に行ってきたのは、一軸スクリュー押し出しタイプの破砕機です。これも割となんでも処理できますし、構造がシンプルなので壊れにくいのはいい点です。もうすこし価格が安ければ言うこと無いかもしれませんが。とにかく、修理で振り回されるのはもうこりごりです・・。

夏の終わりに

今日も暑い一日でした。
今日は午後久しぶりに夕立がありました。週末も少し天気が悪いようです。肥料の配達の予定が入っていますので、あんまり雨が降ると困りますね。

当社はお盆休みが日曜日1日だけでしたので、なんか平常な日々が続いている感じですが、世間はまだまだお盆休みのようです。

 

お休みモードで久しぶりに♪ネタを。夏ですので、やっぱりロック。エアコン設定29℃で暑い事務所にいるとこういう音楽を聴きたくなります。

TOTO   I’ll Supply the Love

 

TOTOは緻密な感じがするところが好きですが、ライブはすごい迫力ですね。一度ライブに行きたかったです。

今日はそろそろ店じまいです。

不法投棄と一般廃棄物

ここ数日暑さが戻ってきた東三河です。今日も本当に暑かった。だいたい朝はリフトに乗って当日出荷する物を段取りしたりしているのですが、リフトに乗っているだけなのに朝から大汗かきました。昼間の工場は更に暑くて、現場の人たちにはご苦労をかけています。

 

先日、こんな記事を見かけました。

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【8/5朝日新聞

髪の毛33キロを海岸に投棄容疑 愛知のウミガメ産卵地

アカウミガメの産卵地として知られる愛知県豊橋市の表浜海岸に、ごみ袋約10袋分(33キロ)の髪の毛を捨てたとして、豊橋署は5日、市内の美容室経営会社と、従業員の女(20)=豊川市=を廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで書類送検し、発表した。

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この手の不法投棄はちょこちょことありますが、あまり新聞紙面に載ることは無いようにも思います。表浜海岸という景勝地だったからかもしれませんね。

この中で、《女は「店長から(髪の毛を)捨てて、と言われたが、朝早く家庭ごみの収集場所に持って行くのが面倒だった」と話した
》と記事にあります。仮に家庭ゴミの収集場所に持っていくとしたら、それも実は不法投棄になります。

廃棄物は産業廃棄物と一般廃棄物という区別があります。産業廃棄物は事業から発生して指定されたものだけが該当します。それ以外の物は一般廃棄物になります。ここで、よく誤解があるのですが一般廃棄物の中には事業から発生するものと家庭のものがあり、事業活動から発生した物は事業者自らの負担により処理しなければいけません。豊橋市も含め多くの市町村では市町村は事業から発生した一般廃棄物の回収業務を行っておらず、発生事業者が民間の事業者に委託することがルールとなっています。このようなゴミの種類の区別に従わず処理=不法投棄という扱いになります。場合によっては逮捕者も出るような違法行為です。

同様に、産業廃棄物を一般廃棄物として処理した場合も不法投棄という扱いになる訳です。

 

本来は、市町村がこの区別について指導しなければいけません。ところが、市町村によってはこのような指導をあまり行っていないのが実情です。当社のお客様でも、相当の大企業にもかかわらず本来は産業廃棄物として扱わなければいけない廃棄物を一般廃棄物として処理していたケースがありました。これは、私が現場を見ていての想像ですが、おそらく年商1億円以下の企業では半分以上が産業廃棄物を一般廃棄物として扱っていたり、家庭ゴミの集積場に出していると思います。

最近は、自治体によってはこの区別の周知徹底を行っているケースも増えてきていますが、まだまだ少ないのが実情です。今回のような事件が起きたのは、豊橋市の指導が不十分であった証左ではないかと思います。

ちなみに、豊橋市の相場ではこの33キロを事業系一般廃棄物として民間業者に委託した場合の費用はだいたい1、2千円です。事業を営む以上、この程度の費用負担は相応かと思いますが、残念ながら中小企業ではゴミの処理費用は完全な捨て金という認識が大多数であり、少しでも安ければいいという姿勢が横行しています。行政も実体を見て見ぬふりをしているので、このような不法投棄事件を誘発することになるのだと感じますね。

豚肉の歩留りとエコフィード

昨日、ブログを書いていたらブラウザが落ちて怒り心頭で、ブログ書くのやめて寝ました。同じ作業を2回するのは辛いですね。賽の河原状態です。Operaなんてマニアックなブラウザを使っているせいなのかもしれませんが・・。

 

今日のネタも豚肉の話です。前回の記事で山梨のと畜場見学の記事を書きましたが、その中で印象的だったことの1つに内臓の処理方法があります。こちらのと畜場では、と畜のラインで内臓を取り出した後、すぐ横の加工室で内臓の処理を行っていました。1頭ごとにまず内臓をパーツ毎に分別を行い、それぞれのパーツで洗浄作業を行っています。消化管などには内容物が入っていることもありますので、パーツ毎の担当者が手早く掃除を行っています。

長く時間をおけばおくほど細菌汚染の心配や鮮度の劣化がおきますので、すばやく処理を行うことが重要です。

 

実は、エコフィードと内臓には案外関係があります。エコフィードを給与すると、生体重に占める内臓の重量の割合が下がります。これは養豚農家の売上に影響してきます。

豚をと畜場に出荷すると、農家には当然売上があがります。このとき、枝肉は今の相場で1kg500円程度の価格がつきますが、内臓や皮に関しては1頭当たり一律数百円が売り上げられるに過ぎません。内臓が大きいほどおなじ生体重の豚を出荷しても手取りが下がってしまう訳です。

エコフィードはトウモロコシ主体の配合飼料と比較して消化がよいため、内臓があまり発達せず内臓の重量が軽くなります。通常の豚肉の歩留り(枝肉重/生体重)は65%程度ですが、エコフィードを使用するとこの値が2%ぐらい上がります。つまり、内臓が2kg小さくなると言うことです。今の枝肉相場では2kgでは1頭当たり1000円手取りが変わってきます。

愛知県のちょっと大きな養豚農家では、年間出荷頭数は7000頭ぐらいです。年間で売上が700万円も変わってくることになります。これが、エコフィード使用の隠れたメリットです。

 

養豚農家に限りませんが畜産農家は売上規模が大きいので、ちょっとしたことで利益が大きく変わります。面白くもあり、怖いところでもありますね。

と畜場の見学

今日はちょっと知多半島のお客さんのところまで出かけていました。お客さんのところで荷物を引き取る予定があったのでトラックで出かけたのですが、東名の岡崎インターを過ぎた辺りでタイヤがパンクして大変でした。朝から運転していると妙にハンドルががたがたするなぁと思っていたのですが、まさかいきなりパンクするとは・・。大事にならなくてよかったです。

本線上でタイヤ交換するのはちょっと怖いのでロードサービスを呼んだのですが、道が混んでいたとかでなかなか来なくて退屈していました。お客さんのところには遅れるし、散々です。

 

先日、事務局をやっています三河トコ豚極め隊の活動の一環として、山梨県のと畜場の見学へ行ってきました。長野県のお客さんの養豚農家がこちらへ出荷しており、紹介して頂きました。なぜ、ブランド化勉強会である「三河トコ豚極め隊」でと畜場の見学をするかというと、と畜場での取り扱いがブランド化に大きな影響があるからです。

畜産農家が生産した動物はそのまま消費者に販売することができません。と畜場でと殺する必要があります。しかし、と殺しただけでは枝肉という状態であり、一般消費者はもちろん、スーパーやレストランにも販売することはできないです。

豚肉は枝肉になった段階で「格付け」と呼ばれる評価を受けます。この格付けというのは野菜や果物で言うところの規格のようなもので、一定の大きさや脂の厚さであることが求められます。

たとえば、格付けが悪くなる一番多い理由は「厚脂」です。これは読んで字のごとく脂が厚いということで、肉として使用する部分が少ないので格付けが悪くなり、結果として取引価格が下がります。ところが、この厚脂の肉の方が、実は味がよいことが多いのです。

 

また、枝肉はたいてい肉屋さんが購入します。そのため、どうしても赤身の割合が高い肉の評価が高くなる傾向になってしまいます。山梨のと畜場は、場内で肉の加工を行っており、しかもその費用が非常に安価です。このため、生産者が自らの肉をと畜場で精肉まで低コストで加工することができ、自ら販売することのハードルが低くなっています。

そのほかにも、細かい注文もいろいろと受け付けていたり、搬入時間の縛りがすくなかったり等々、いろいろと優れた点がたくさんありました。

 

私もと場見学は2回目なのであまり詳しいことはわかりませんが、と場によってさまざまな違いがあることはよくわかりました。百聞は一見にしかずです。本当なら会のメンバーにこちらへ試しに出荷して欲しいと思うところですが、1つの問題は、愛知県からは結構遠いという点です。4時間近くかかると気軽に持ち込むことができないですね。

名大農場でのトウモロコシ収穫

土曜日は実験をしている名大農場でのトウモロコシ収穫調査でした。今年は春先からの天候が不順のためどの処理区も生育が悪かったです。トウモロコシなんて気候にかかわらずそんなに収量が変わらないのかと思っていたら、そんなことはないんですね。

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当社の「ゆうきのススメ」処理区

今年は大学の先生が忙しくて日程の都合がつかず、収穫がだいぶ遅れてしまいました。適期から相当遅れていますので、トウモロコシの実もかりかりになってしまっています。

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収穫したトウモロコシ

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収穫した後は調査を行います。全重と雌ずい(果実重です。要は実)重を量ります。

重量を測定したところ、やはり今年は例年の半分くらいの収量でした。しかし、有機肥料中心に施用している処理区では、収量減は比較的少なくて済んでいます。有機肥料は悪条件下で威力を発揮しますね。