全国食品リサイクル登録再生利用事業者事務連絡会の総会

今日は東京で行われた全国食品リサイクル登録再生利用事業者事務連絡会の総会に出席してきました。ただいま帰りの新幹線でうだうだしています。指定席ですが混雑していてなんか落ち着かない雰囲気ですね。

総会では多くの方と名刺交換することができました。始めてお会いした方に「ブログいつも読んでいます」って言われると嬉しいですね。

 

食品リサイクルを営んでいる事業者はたくさんありますが、私が残念なのはともすれば「食品をリサイクルして新たな価値を生み出す」ことよりも「処理を行う」ことに重きを置く会社が多いことです。いまはそれでもいいかもしれません。でも、長期的に見るとこれからは人口が高騰し資源が不足することはまちがいありません。そういった時代においてはリサイクルによってしっかりとした商品を作ることが求められますし、そうでなければ競争に勝ち残っていくことができないと思います。

 

最近、ちょっと驚くことがありました。会社のホームページなどを見て中国へ商品を輸出している商社の中国人などから「肥料を買いたい」という問い合わせが何回かありました。それ自体は良いのですが、どこも希望価格はほとんどただで、しかもビニール袋に詰めて海上コンテナに入れる条件を提示してきました。ビニール袋もそれなりの値段しますので、実質逆有償で提供することを求めているわけです。

話を聞いていると、どうもほかの食品リサイクル業者から同様の条件で取引をしているようです。おそらく低品質な肥料を作って販売先がないため、このような条件でも取引をしているものと思われます。そんなビジネスをしていていいのだろうかとはなはだ疑問です。

 

全国食品リサイクル登録再生利用事業者事務連絡会の参加企業ではこのようなことがないと思いますし、無いようにしていく必要があると思います。そういう団体であってほしいですね。

リサイクル施設の投資と補助

ただいま関東方面出張中です。今回の出張では生まれて初めて東武伊勢崎線と京王線に乗りました。だからどうというわけではありませんが・・・。

今回の出張は色々盛りだくさんです。予定の1つに同業の堆肥化施設の見学があります。堆肥化って奥が深く、プラント毎にやり方が全く違いますので見学すると色々と参考になります。

リサイクルの施設運営で重要なのは、プラントの設備投資をいかに抑えるかと言うことです。って、当たり前と言えば当たり前の話です。どんな業種でも設備投資が少なければ儲かる話です。ただ、リサイクル施設の場合、原料は処分費用をもらって受け入れるケースが多く、原料を購入する場合でもたいした金額にはなりません。ので、原価の多くを占めるのは設備投資の減価償却と人件費です。効率的な投資を行いすくない人間で運営することがプラントの運営において不可避です。

 

当社も参画している豊川宝飯地域農業研究・普及協議会がこのたび愛知県の補助事業の採択を受けました。これは、地域全体となってリサイクルを推進する仕組みに対して施設整備の補助を行うというものです。今回の補助採択を受けて、当社も一部施設の整備を行うことになりました。先の話で設備の減価償却費用の割合が高いわけですので、当然その設備投資に関して補助が出れば損益分岐点がぐっと下がる・・はずなのですが計算を色々してみると大して儲からないのがあな不思議なところです。

結局、食品リサイクルは注目を集めていますし、これから必要とされる事業ですが、そんなに儲かる仕事ではありません。お盆もずっと仕事していたら近所の人からすごく儲かっていると勘違いされるのが目下の悩みですねww

食品廃棄物の発生量

最近、すこし忙しい日々が続いています。去年までは殺人的スケジュールが続く日も多かったので、それに比べればまだまだ余裕はありますが、仕事が溜まっていくのは困りものですね・・。

 

先日、農林水産省で「食料・農業・農村政策審議会食品産業部会食品リサイクル小委員会(第1回)及び中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会食品リサイクル専門委員会(第10回)合同会合(第1回)」なるものが開催されました。なんだかみょーに長い会議ですが、要するに農水省と環境省が合同で行った食品リサイクルに関する審議会の委員会と言うわけです。

 

この委員会では主に食品リサイクル推進のための目標値の再設定が行われるのですが、そのために食品廃棄物の発生量についての調査の取りまとめが行われています。

平成19年に食品リサイクル法の改正が行われ、それから年間100トン以上の食品廃棄物を排出する事業者は農林水産省に食品廃棄物の排出量の報告を行うことが義務づけられました。その結果がとりまとめられて今回の委員会に初めて報告されました。

詳しくは上記リンクの資料を見て頂ければと思いますが、従来は年間1100万トン程度とされていた事業活動から発生する食品廃棄物が実は2200万トンもあることが判明しています。2倍、1000万トンの差は大きいですね。この差だけでも日本の年間トウモロコシ輸入量に匹敵し、米の生産量よりも多いわけですので。

会議の資料を見ると、いろいろと推計がずれていた訳が記載されてます。要するにサンプリング手法がよくなかったみたいです。自ら食品メーカーに営業を行っている立場としてみると、サンプリング調査には無理があります。食品廃棄物は同じ業種でも製造方法や営業形態によって大きく排出量が異なります。

ちなみに、今回の定期報告の分(つまり100トン以上あるとして報告があった分)だけでも1500万トンもあり、それだけで従来の推計値を大きく超過しています。ただ、私はこの数字もだいぶ怪しいと思います。

上場企業やそれに類する大企業ではちゃんと定期報告しているのですが、ハッキリ言って町工場レベルまで行くと「食品リサイクル法、なにそれ?」状態の人が大多数です。そんな人たちは当然報告なんてしませんし、町工場でもときどき驚くほど食品廃棄物の発生量が多いことがあります。カット野菜とか漬け物工場、豆腐屋さんなどでは年間1000トン以上の食品廃棄物が発生していることも珍しくありません。

また、食品メーカー自身が食品廃棄物の量を正確に把握していないケースも多いです。社長に聞くと「うちは100トン出ていないから」って言っていても現場に聞くとすごく多い・・なんてケースはざらです。

 

廃棄物の世界はとにかく情報というものが集約されていませんので、ちょっと調査を行うとこういう事態になります。食品リサイクル推進を否定するわけではありませんが、罰則だなんだと言う前にもう少し実態調査を先行して行い、適切な施策を行うべきでしょうね。

エコフィードの破砕機

毎回書いていますが、今日も暑い一日でした。午前中は肥料の配達をしていたのですが、自分はトラックに乗っていてお客さんに散布してもらうという殿様商売をしていました。なんにせよお買い上げありがとうございますm(__)m

 

午後は豊橋のとあるメーカーへ行き、粉砕機のデモを見てきました。たかが粉砕機、されど破砕機。エコフィードを手がけていて一番苦労しているのがこの粉砕機の選択です。世の中には様々な種類の粉砕機がありますが、どれも一長一短で全てを満たすのが無いですね。

まず、食品系廃棄物といっても非常に多岐にわたっています。今、当社で使用している破砕機は遠心力を利用してたたきつけるようにして粉砕する機械ですが、これは割と万能ですが、それでも長い繊維質のものは粉砕できないという欠点があります。たとえば、ネギ。これが切れなくて長いままで出てきます。特にやや乾燥してしまったものは切れません。

あとは、デンプン質のものも粉砕できません。うどんなどを多量に入れると中で練ってしまい塊になりモーターに負荷がかかりすぎて止まってしまいます。

ただ、この破砕機のよい点は、壊れないという点です。食品リサイクルをすると悩まされるのは異物混入。ボルトとかベアリングとかはたまた包丁まで考えられないものが混入します。この破砕機、どんなものを入れてもまず壊れません。ただ、異物を噛み込むと取り除くのが結構大変だったりします。

こういう繊維質とかデンプンの塊は二軸剪断式破砕機が得意とするところです。ところが、この二軸剪断式破砕機はやたらに高価です。そして、異物に対してきわめて弱い。これは結構致命的な欠点です。

 

以前、テストでポンプに粉砕機能がついた物も使用しました。ところがこれも異物に弱く、ベアリングの咬み込みで刃が欠けて使用を断念。使用している現場では金属探知機を入れてガードしているそうです。金属探知機入れるにしても、簡単に壊れるようでは困りますね。

 

今日見に行ってきたのは、一軸スクリュー押し出しタイプの破砕機です。これも割となんでも処理できますし、構造がシンプルなので壊れにくいのはいい点です。もうすこし価格が安ければ言うこと無いかもしれませんが。とにかく、修理で振り回されるのはもうこりごりです・・。

中古機械

ちょっと忙しくて更新を怠ってしまいました。もともと予定が立て込んでいたところに、食品残さを粉砕する機械が壊れて対応にばたばたしていました。

壊れた機械は中古なので故障もつきものです。リサイクル業は仕入原価があまりかからない代わりに、減価償却と人件費の比率が高いです。ので、減価償却を抑えないと利益が確保できない訳です。勢い中古機械の比率が上がります。

しかし、ちょっと特殊な機械が多いので、中古と言っても結構高かったりします。そこで当社ではYahoo!オークションで中古機械を購入したりしています。工場見学した方に「これ、Yahoo!オークションで買ったんですよ」というと驚かれることが結構あります・・。

で、今回壊れた機械も例によってオークションで購入した機械。ただ、中古だったから壊れたと言うよりも、ベアリングだとかボルトだとか結構激しい物を噛み込んだので壊れた可能性が高いです。ま、新品買うと100万以上する機械が数万円だったので壊れてもやむを得ないという考え方も。

 

機械が壊れたので電気屋さんと一緒に分解してあーでもないこーでもないとやっていたらデスクワークが溜まってしまいました。暑い中そんなことをやっていたらすっかりばて気味です。結局まだ修理完了していないので、来週どうやって仕事をこなしていくか対応検討中です。

 

ちなみに、オークションには中古品以外も結構安かったりします。逆に、中古品もコンプレッサーとかは中古機械屋より割高だったりします。お勧めは新古品です。ポンプ、インバータなどは新古品がかなりお得に買えます。この前も0.75kwの新古品ファンを買いましたが、これもかなりお得でした。

逮捕されました

と言っても、私が逮捕された訳ではありません。

ちょっと前のこと、病院の待合室でテレビを見ていたら「豆腐を不法投棄して逮捕」っていうテロップが出てきて驚きました。

新聞記事はこちら↓

【MSN産経ニュース

山林に豆腐220キロ捨てた疑い 愛知の社長ら逮捕

驚いたのは不法投棄というだけでなく、この逮捕された人と名刺交換したことがあったからです。以前、どこかのセミナーで会って、「おからのリサイクルしていますのでもしお困りでしたら・・」って営業をした覚えがあります。いやあ、うちの会社にちゃんとリサイクルを委託してくれれば逮捕されることもなかったのになぁと思った次第。しかし、営業した先が逮捕されたのは流石に初めてです。

このニュース、リサイクル業界の人間から見るといくつかのポイントがあります。

1.自己所有の土地に捨てていた。

世間で不法投棄というと、山にゴミをこっそり捨てるってイメージが多いかもしれませんが、案外自分の土地や借りていた土地に捨てるケースが多いです。

2.捨てていたのではない、肥料だと主張

廃棄物かどうかは「総合判断説」という、要はケースバイケースで決められます。普遍的な価値があるかどうかが一番問われる訳ですが、豆腐を肥料として利用していることはまずありませんので廃棄物として判断される可能性が極めて高いでしょう。

3.7年間で70トンを不法投棄

1年間で10トンということは、およそ一日に30kg弱です。処分費用が発生したとしても
ハッキリ言って
たいした金額にはなりません。おそらく、今回の内容でしたら有罪確定だとしても罰金刑ぐらいだと思います。でも、おそらく取引先は全滅でしょう。はした金をけちったばかりに取引先も失うはめに。

 

ちなみに、豆腐ってリサイクルしにくいんです。すぐ悪くなるし、飼料として利用するときには油がたくさん含まれているので案外栄養バランスが取りにくいです。とはいえ、栄養価が高いのは確かですので、なんとか活用したいといま検討を行っているところです。

食品リサイクル業のビジネスモデル

今日の愛知県は蒸し暑いです。会社のある豊川はそれでも名古屋よりはだいぶ過ごしやすいですが。役所へ行ったら節電のせいで暑くて、何もしていないのに汗がにじんでくる感じです。

 

今日は食品リサイクル業の経営について少し語りたいと思います。

食品リサイクルをしている事業者の多くは、処分費用を受け取って経営を成り立たせています。処分費用を受け取るというのは、廃棄物を受け入れたら、廃棄物を出したところ(排出事業者)からお金を受け取るという意味です。

一方、廃棄物をリサイクルしてできた製品は肥料は飼料として販売されます。つまり、リサイクル業者は原料を仕入れたとき、製品を販売したときの両方で売上がある訳です。なんか、それだけ聞くとすごく美味しい仕事に聞こえます。

しかしながら、廃棄物をリサイクルしてできた製品というのは非常に安価です。売上の金額としてみると、全体に占める割合はとても低いことが多いです。こちら側の売上が少ないので、勢い処分費用で経営を成り立たせることになるわけです。つまり、残念ながら現在では「廃棄物のリサイクルをしている」というよりは、「ゴミの処理をしている」ような経営になっている訳です。

再三書いているように、廃棄物をリサイクルしてできた肥料や飼料などの製品は、バージン原料が安いため、リサイクル製品の価格も低く抑えられてしまう訳です。

しかし、現在は資源高が非常に進行しています。先日も肥料価格の値上げが発表されました。バージンの価格が上がってくると、それに伴いリサイクル製品の需要も増してきます。

そうなってくると、リサイクル製品の品質を高め、よい商品を作れば売上として期待できるようになってくる訳です。リサイクル製品の単価が上がれば、仕入での売上はあまり考慮しなくてよくなり、処分費用の相場も下がってきます。これからはリサイクルにより、よい製品を作ることがビジネスモデルとして台頭してきます。当社でも、特に飼料むけのリサイクルでは原料を買い取りしている物もたくさんあります。

これは私の持論でもあるのですが、リサイクルを進めるためには補助金などの細かな施策よりも、やはり経済的なインセンティブがなによりも効果的です。そして、そのような環境ではきちんとしたリサイクルが行われるようになってくる訳です。よいリサイクル製品を作らなければ、競争力が無い訳ですから。

リサイクルが確立している鉄くずや古紙などでは原料を買い取ることが当たり前になっています。処分費用に頼らないようになって初めてリサイクルが確立していると言えるのではないかと考えています。

日本ではつい100年ぐらい前までは、屎尿が価値ある物として取引されていました。資源小国でもある日本では、またそんな日も来るのかもしれません。これからは既存のビジネスモデルにとらわれず、真のリサイクルを推進していくことが求められています。

堆肥化施設の見学

土曜日は出張、日曜日はイベントと続き、昨日は現場が忙しくてすっかり更新を怠ってしまいました。今日も現場作業の日なのでちょっと疲れ気味ですが、眠い目をこすりながらブログアップします。

と言う訳で、金曜日、土曜日と「全国食品リサイクル登録再生利用事業者事務連絡会」の総会へ行ってきました。今回は、三重県の堆肥化事業者の有限会社三功さんへ訪問し、その後鳥羽のホテルで懇親会という流れです。

まずは堆肥化施設の見学。他所の堆肥化施設はいろいろと参考になります。堆肥化は同じ原料を違っても作り方で出来上がるものが大きく変わりますし、まして原料が変わると全然別の物が出来上がります。

P6031020

原料の投入の様子です。原料をどうやって投入するか、単純なようでこれが堆肥化施設の作業性を大きく左右します。事業系一般廃棄物などの生ゴミ系の場合、まず運搬方法がいろいろあり、それによって投入方法が決まります。良くあるのがカートでの運搬ですが、カートですと反転機が必要となります。三功さんの場合、写真のコンテナに現地で容器から投入するそうです。これは珍しい方法だと思います。ほかによくあるのはパッカー車(いわゆるゴミ収集車)に生ゴミをそのまま入れて運搬する方法です。後処理は楽ですが、異物混入などがおきやすい欠点もあります。

こちらの工場で一次発酵した後は、別の場所で二次発酵です。

P6031021

副資材にかんなくずを使っているので見た目は木が多いように見えます。かんなくずは通気性を確保するという意味ではよいのですが、吸水性が悪く、分解性が悪いという欠点があります。かんなくずを使うなら、本当は他の副資材と混合した方が発酵が良くなると思いました。

 

で、こちらのプラント見学の後、鳥羽に移動して深夜まで飲み会が続きました。二次会はホテル内のスナック。おねーさんに「ベンチャー企業の社長している」って言ったら、「ベンチャーって何」って言われてしまいました。この会話2回目です。ベンチャー企業って言葉、まだまだ普及していないんでしょうか・・・・。

 

現場も見ることができ、意見交換もいろいろできて有意義な2日間だったのですが、欠点としては喫煙者が多いこと。車の中ではみんな控えているのですが、飲み会の席ではひたすらタバコ。個人的にタバコの臭いが非常に苦手なので閉口しました。帰ってきて、飲み会の時に着ていたシャツを出したら猛烈にタバコ臭い。一生懸命こすり洗いしました ^^; タバコの害がどうこうって言うより、臭いが嫌なだけなんですけどね。

この面では食品リサイクル業界は大きく遅れていると言ってもいいかと思いますw

飼料価格の高騰と食糧自給率

今日は新しい乾燥機の組立をしていました。動いたことは動いたけど、まだすこし不具合がありますので明日手直しをする予定です。これでバームクーヘンを乾燥させる予定。バームクーヘンは乾燥させるとよい飼料になります。

 

今日はシカゴのコーン先物の値段が上がりました。過去最高水準です。また、すこし円安に振れていますので、国内の配合飼料価格は上昇基調にあります。だいたい4半期毎に価格改定がありますが、1月に続いて4月も値上げ、その次もこのペースで行くと値上げだと思われます。

以前も書きましたが、畜産農家は売上原価に占める飼料価格の割合がとても高いため、飼料の価格上昇は経営にダイレクトに影響します。養豚や養鶏では飼料価格が原価の6割ぐらい占めているので、それが1割上がる影響は大きいです。

日本の畜産は海外からの購入飼料に頼っているのですが、これがカロリーベースの自給率を低下させています。輸入されるトウモロコシの量は年間1600万トン、そのうち1200万トンが飼料として利用されています。米の生産量が年間800万トンですので、米の生産量よりはるかに多い量のトウモロコシが輸入されている訳です。

耕作放棄地は耕地面積の3割と言われていますが、その全部で米やトウモロコシを生産してもせいぜい数百万トンレベルでしかありません。日本の国土では家畜の飼料をまかなうだけの生産をすることができない訳です。

「カロリーベースの自給率はおかしい」という意見を最近よく見ます。でも、私はカロリーベースの自給率にも意味があると思います。畜産では1kgの飼料を与えても、肉はその数分の1しかできません。つまり、その分のカロリーロスがある訳です。金額ベースの自給率が高く、カロリーベースの自給率が低い理由は海外から安い飼料をたくさん輸入しているからです。これを肉の形で輸入すれば効率がいいためカロリーベースの自給率は上がります。つまり、国内での畜産をやめて輸入畜産物に頼った方がカロリーベースの自給率は上がると言うことです。

また、海外から飼料にはたくさんの栄養塩類(窒素、リンなどの肥料分)が含まれています。飼料を国内で作っていれば家畜ふん尿を飼料の農地に還元すればいいのですが、海外の農地まで国内の家畜ふん尿を持っていくことはコスト的にできません。飼料に含まれていて畜産物にならなかった分の栄養塩類は国内で処理しなければいけなく、排水処理や糞の堆肥化に苦労することになります。海外から飼料を輸入していることが国内の水質汚濁に繋がっている訳です。

 

この前のフーデックスで展示されていたメキシコ産豚肉。日本と同じ品種、同じエサを使って同じように育てられているので国産豚肉とほとんど違いがありませんでした。この豚肉を輸入した方が、環境にも優しく、安全保障的にも良い訳です。

カロリーベースの自給率というのはこういった畜産業界の抱える問題を示しているわけです。特に、海外産との差が少なく輸送がしやすい豚肉は非常に危うい状況にあるのは間違いありません。当社はエコフィードを製造している訳ですが、エコフィードで解決するような簡単な問題でないのは確かです。簡単に答えを出せる問題ではないですが、日本の農業、畜産がどうあるべきか、国内での畜産をやめないためにどうしたらいいのかを常に考えていかなければいけないと思っています。

 

にしてもいつも思うことなのですが、自給率の問題について語っている人って現場を知らない方が多い気がしてなりません。一件の畜産農家が如何にたくさんの輸入飼料を使っているか見ると、考えが変わってくるんじゃないか、そんな気がします。

石垣島の農業

Twitterではときどき書いていましたが、金曜日から3日間の予定で石垣島まで出張していました。すごく暖かいのかと思っていたら、タクシーの運転手曰く「こんなに寒いのは珍しい」とのことで愛知県とそんなに変わらない感じの気候でした。

今回の出張は現地で豚や牛をエコフィードで飼いたいという相談を受けて見に行くことになった次第です。沖縄へは1回行ったことがありますが、石垣島は初めてです。あいにくの天気が続いていたのですが、それでも海はとても美しく、時を忘れた景色は心にしみ入りました。天気がよかったら本当に最高だったのですが。

石垣に行って知ったこと。

・空港の滑走路が短い。(1500m)着陸したときの逆噴射がすごいのでパイロットがへたくそなのかと思ってしまいました。

・牛が多い。繁殖経営主体の農家が多く、耕地の中で牧草地が占める割合が高い。

・サトウキビ畑も多い。その他の野菜などはあまり多く無さそう。

・沖縄なのに豚の飼育頭数は少ないらしい。

・焼き肉屋が多い。

・石垣牛の等級はA-4~3が中心。とても美味しいが、かなり高カロリーな感じ。

・現地の人は歌うまい。

P3260982

とても魅力的な島なので何度も行く観光客が多いのはうなづけますね。

私が一番感動したのは、スナックへ行ったときむこうのおねーさん(と言うにはやや年上な感じ)がカラオケを歌ってくれた時のこと。信じられないぐらい歌が上手かったです。夏川りみか元ちとせも負けないほどの歌いっぷりです。しかも、特に歌を習ったことはないと言っていたのがまたびっくりです。学校でどーいう音楽教育をしているんでしょうね。

温暖な気候と観光客が多いことはいろいろとビジネスとして面白いとおもいました。離島の難しさと可能性が共存している感じですね。

ところで、今回は写真を撮ろうと張り切って一眼レフデジカメを持っていったのですが、SDカードが入っていなかったという失態を演じてしまいました。↑の写真はコンパクトデジカメにて撮影です。

デジカメは カード無ければ 漬け物石