今日は久しぶりに早く帰宅したので、夕飯にセロリの中華風炒め物を作りました。
今日使ったセロリは横地愛菜園のものです。横地君、若手農業者としてがんばっていて、個人的に応援しています。
ちなみに、今日の夕飯は他に
・セロリと牛肉の炒め物
セロリ 田原産
牛肉 愛知県産交雑牛
ニンジン 実験圃場
ネギ お客様の家庭菜園
・ニンジンと里芋の煮付け
ニンジン 実験圃場
里芋 豊川産
・ハクサイの煮浸し
ハクサイ 豊川産
アミエビ 知多半島
・味噌汁
タマネギ 北海道産
油揚げ 愛知県産大豆使用
・米
はえぬき 山形産
といった感じで、わりと地元産のものを使っています。(ちょっとカロリーが多いかな~。)
地産地消にこだわっていると言うわけでもの無いのですが、豊川市は地元農協が産直に力を入れているので地元の食材が安価に手に入るということが大きいです。そのうち、ほぼ知り合いだけで食料をまかなうことができるのではないかなと思っています。
地産地消って案外非効率なこともありますが、産直で買う分には効率的に安く買うことができます。でも、愛知県は農業生産が多く、特に地元豊川市は多品種少量生産の農業が盛んなので産直が成立しやすいという背景があります。地元で美味しい農産物が手に入るなら地産地消を推進すべきでしょうが、気候条件等で品質がいいものが採れないケースも多々ありますので、地元にあえてこだわる必要はないと個人的に思っています。
まあ、美味しければ何でもいいのですが ^^;
と、今日は生産者の思いを感じながら料理したのですが、肝心の味は(”;)ウーン自分的には70点ぐらいかな。セロリが悪いわけではなく自分の料理の腕の問題ですね。適当レシピなら得意なのですが、どうもちゃんと料理本通り作るとなぜかうまくできないです・・。
投稿者: eco
アンドロイドは電脳男の夢なのか
すっかり更新が滞っています。1つの理由として仕事が忙しいこともあります。補助事業の採択をうけて工場の設備を導入することになったのですが、その工事が迫ってきて工事の調整作業に追われています。予算を節約するためにプラントメーカーに発注を行わず、こちらでいろいろと調整をしているので工程のすりあわせに四苦八苦しています。
あわせて、廃棄物の許可の変更も行わなければいけませんので、その書類作成などもあります。他にも講演依頼があってプレゼン資料の作成が続いたりしました。今年の2月は本当に忙しかったです。
と、忙しいのに衝動的に携帯を最近流行のスマートフォンに変えたので、その設定などにも時間を取られていました。スマートフォン買ったので今まで以上にFaceBookやTwitterにものめり込んでいるので、そんなこんなで時間が無くなっています。
ただ、スマートフォンって生産性に寄与するかどうかは結構微妙だと買った今でも思っています。結局、たいしたことに使っていない人が多いようにも思います。たいしたことに使っていないのに毎月パケット通信料を何千円も払うのはばかばかしいと思っていました。ので、今回購入するに当たっては有効に使うことを重視しています。
とりあえず、パソコンと接続してインターネット接続のモデムとして利用しています。いわゆるテザリングってやつですが、今までは自宅と兼用のイーモバイルの端末だったので持ち歩くと自宅の回線が無くなるという欠点がありましたが、それが解消され、しかもauなのでエリアが広くなりました。
もう一つ、重要な役割として名刺のデータの持ち歩きです。最近、名刺交換の枚数が増えて収拾がつかなくなってきたので、スキャナで取り込んでデータベースに収容しています。会社ではサーバーに入っているデータをみられるのですが、外出先で名刺のデータを確認することができませんでした。今回、取り込んだデータをスマートフォンの中に格納するソフトも導入しました。これで外出先で名刺を自由にみることができます。
まあ、パソコンやスマートフォンなんて所詮は道具なのであんまりごちゃごちゃこだわっていてもしょうがないですが、きちんと使いこなさないといけませんよね。あくまで手段であり、目的ではないことを忘れないようにしないといけませんね。
飼料の表示と分析値
最近多忙を極めていてブログの更新がすっかり滞っています。作らなければいけない書類の待ち行列がずら~と並んでいる感じです。ただいま出張中の新幹線の中でこれを書いています。最近は出張中しか時間が取れないようになってきた感もあります。
この前、配合飼料メーカーの人と話していて飼料の分析値について話題に上りました。配合飼料は表示されている成分値と実際の成分があっているか定期的に抜取検査が行われます。原料の成分が変動すると当然できあがった配合飼料の成分値に影響が出てしまいます。このため、配合飼料の原料となるものは成分が安定していることが求められます。また、原料の組み合わせが大きく変わると成分の調製が難しいこともあり、原料は一定量が安定的に供給されることが求められています。
というような制約があるため、配合飼料の原料として当社が扱っているようなエコフィードを使用するのが難しくなっています。エコフィードはどうしても成分がばらつきやすく、また一定量を安定的に供給することが難しいです。もちろん、こういうハードルを越えてエコフィードを配合飼料メーカーに供給している例もありますが。
ただ、問題はこの「配合飼料の成分表示」があんまり意味が無くなってきているということにあります。例えば、タンパク質の表示値。タンパク質の分析では有機体窒素の分析を行い、そこから係数をかけてタンパク質の値としています。このため、タンパク質の種類や消化性は判断できず、タンパク質以外のものもカウントしてしまう欠点があります。たとえば、以前食品の偽装で問題となったメラミンですが、もちろんタンパク質ではありませんし、人間は消化できないものです。ところが、有機体窒素であるため窒素の分析法であるケルダール法ではこれをカウントしてしまうわけです。
もちろん、日本の飼料メーカーがメラミンを混入してるわけではありませんが、タンパク質によっても消化率に差があります。たとえば、加熱乾燥してエコフィードの製造を行っているケースがありますが、加熱温度が高いとタンパク質が変性して(早い話がコゲて)消化性が悪くなります。こういった消化性が悪いタンパク質がいくら入っていても意味がないわけです。
また、最近の豚用飼料ではアミノ酸組成のバランスが重要視されています。豚も人間と同じように必須アミノ酸があるわけですが、このアミノ酸のバランスが悪いと成長に影響が出ます。アミノ酸組成が記載されていないタンパク含量ではあまり意味がありません。ので、まったくおなじタンパク含量の配合飼料でも給与試験をするとかなり増体に差が出てきたりします。
牛の場合も、タンパク質がどれくらい第1胃で分解されるタンパク質と、分解されないタンパク質の比率が重要です。ので、ただタンパクの量だけでは判断できません。
このように、分析値の表記というのは意味があまりなくなってきているのにもかかわらず立ち入り検査までして詳しく調査を行うのは、きっと昔は表示をきちんとしなかったり、嘘の表示をしたりということがあったのでしょう。ので、肥料とか飼料はきちんと表示とあっているか調査を行っているのでしょうが、今日日そんな嘘の表示をするような会社はないでしょうし、あったとしても非常に精緻に管理している現代の畜産ではすぐに発覚してしまうと思います。
そんな無駄なことに結構な労力をかけているばかりでなく、配合飼料の自由度を阻害しているのが非常におかしいと思います。時代の流れをみて対応していく必要があるでしょうね。エコフィードの補助金を出すぐらいなら例えば成分表示に幅を持たせる等の対策を行う方がよほど実効性があると思います。
飼料穀物生産と肥料コスト
この前、知り合いの稲作農家と話ししていたら、飼料米が話題に上りました。農水省の強力な補助金施策で飼料米作付けが増えています。(余談ですが、今のレベルでお金突っ込んでいたらいくら税金があっても足りなくなるのは自明だと思いますが・・)
その中で、飼料米の生産コスト中に占める肥料代の割合が高い・・という話がありました。具体的にどれくらいなのかちょっと計算してみました。
農林水産省の多収米栽培マニュアルによると、食用米の施肥窒素量は5~6kg/10aに対し、飼料米の場合は9~10kg/10aとなっています。15-15-15の高度化成を使用した場合、食用米の場合施肥量は40kg/10a程度ですが、飼料米の場合70kg弱の施肥量となります。
高度化成の価格は農林水産統計に従うと約3,000円/20kgです。食用米では6,000円/10aに対し、飼料米では1万円/10a程度のコスト負担になります。
一方、売上を比較してみます。食用米が500kg/10a、飼料米が800kg/10aの収量と仮定します。食用米を12,000円/60kgとすると10万円/10aとなります。飼料米が30円/kg、補助金が8万円/10aとすると売上が10万4千円となり、食料米よりも多くなるのですが、肥料代が増える分手取りは変わらないという計算になります。
もともと、米は施肥量が少ないため生産費に占める肥料コストの割合は低いのですが、昨今の肥料コストの高騰によりそれなりの割合を占めており、飼料米ではそれが顕著になると言うことです。
ところが、アメリカのトウモロコシでシミュレーションするともっと飼料コストの割合が高くなります。今のシカゴコーンでは600セント/ブッシェル程度で推移していますが、これは円換算すると20円/kg程度です。デントコーンの反収1トン/10aとすると、売上は10aあたりわずか2万円に過ぎません。デントコーンの施肥量を窒素で15kg/10aとすると、1万5千円が肥料コストとなり売上の3/4を占める計算となります。
アメリカの実情は不勉強のためよくわかりませんが、安価な穀物の生産において肥料コストが占める割合が高いことは間違いありません。これからは畜糞堆肥などの国内資源の重要度が増していくのは確実でしょう。また、世界の穀物相場が高騰している理由の1つに、肥料コストの高騰があることも疑いのない事実です。
日本では100年前まで屎尿が貴重な肥料として価値がある有価物として扱われていました。そんな時代に戻る日もあるかもしれませんね。
はままつメッセ
今日から2日間、はままつメッセです。今日は交流会があり酒を飲むこともあり電車で浜松まで。雪の影響で名鉄が遅れて間に合わないかと思いましたが、なんとか到着しました。
展示はいつも使い回しです。あんまり目立たないブースですね。次回からは少し考えたいと思います。
以前からフォトフレームで動画を流していたのですが、前回の展示会で誤って壊してしまったので今回新調しました。15インチと以前の倍の大きさになったので人目を引くようになりました。
今日はブースに立ち寄られるお客様の数は少なかったですが、見えた方がそれぞれ長話をされる方が多かったのでトータルの接客時間は長かったです。当社はいろんな場所の展示会に出展していますが、展示会によって客層が見事に異なるのが興味深いですね。はままつメッセは技術コンサルみたいな方がたくさんいらっしゃっている(うちのブースだけ?)の様な気がします。
食品メーカーや農家の来場はほとんど無いので、ハッキリ言って新規顧客の獲得につながる見込みはあまりないのですが、当社の場合展示会から継続取引になるケースも多いので、一攫千金状態で出展していますヽ(^0^)ノ
接客の合間に再来週に行われる講習会の資料を作成したりしていたらあっという間に1日が過ぎました。明日もまた丸1日ブースはりつきです。
ダムの建設と効果
先週は忙しい1週間でした。今週も忙しくなりそうです。作成しなければいけない見積書やらプレゼン書類がたまってきていています。
今日はちょっと趣向を変えて公共工事の進め方についてつらつらと書いてみます。
我が家も属する豊川水系ではダムの建設の話が持ち上がっています。設楽ダムという多目的ダムです。農業用水として取水するほか、洪水調整機能があります。で、昨今のご時世、反対する人も多いのですが、おそらく建設は続行されるでしょう。
でも、私はダム建設に反対です。簡単に言うと、費用対効果が見えないからです。
東三河地方ではかっては水の便が悪く、特に渥美半島では旱害に苦しめられていました。戦後、豊川用水が開通することによって安定した水の供給が行われるようになった結果、農業生産は飛躍的に発展しました。この功績は大きいことは間違いありません。
一方、現在でも渇水の年には取水制限が行われたりしますので、ダムがあればもちろんそういった影響は緩和されます。ただ、かってのような経済効果は見込めません。ダムを新設する経済効果が見込めなくなってきているのは明らかな事実です。
これは、あらゆるインフラ整備に通じるものですが、ある程度インフラ整備が進んでしまうと投資効果が下がってきます。道路や鉄道でも、かっては高速道路を作ることによって工業団地が増えましたが、この頃は新規にインターチェンジを作っても工業団地が売れ残る始末です。断水する危険性が減ることにより農業生産が増えるとはとても思えません。
また、洪水予防効果も無論無いわけではありませんが、結局のところ想定を超えた豪雨には耐えられないわけです。洪水が完全に防げるのなら問題はないのですが。
つまり、全体として投資効果が減ってきており、費用/効果が悪くなってきていると言うことです。
それよりも、私は生態系に与える影響は少なからずあると思います。もちろん、こういった公共事業では環境影響調査が行われており、影響は無いという結果が出ていますが、大きな施設を作ると幅広く環境に影響があります。
たとえば、うなぎ。最近シラスうなぎが採れなくなってきており、シラスの価格が高騰しうなぎの養殖に影響が出ています。そもそも、シラスうなぎの親たる天然うなぎが減ってきているのは顕著です。
天然うなぎの漁獲量はここ40年で1/10になっています。それとともに、シラスの漁獲量が減ってきています。もちろん、河川改修等の影響もあるでしょうが、ダムや堰の影響は否定できないと思います。例えば、佐久間ダムができてから諏訪湖ではほぼうなぎは捕れなくなっているとのこと。高度経済成長期より河川水質は改善しているのですが・・。
他にも、ダムの影響でフミン質が運ばれなくなって、磯焼けの原因になっていると言う説があります。
環境影響評価にシラスうなぎのことが書かれていればまだいいのですが、おそらくそんな記述はないでしょう。私はそんなに自然保護に固執しているわけではないですが、生態系、生物多様性を損じると思った以上に影響は大きいかと思います。ダムの建設の経済性評価には、シラスが採れなくなって養殖業者や鰻屋さんがつぶれることまで含めて見るべきでしょう。環境影響評価書には「生態系への影響は軽微」ってだいたい書かれているわけですが、大きな構造物を作って影響が軽微なはずがありません。ただ、私は環境に影響があるからすべて反対というわけではなく、それ以上のメリットがあれば作るべきだと思います。にしても、影響がゼロというのは無理がありますね。
ハッキリ言って大規模な公共工事の影響って定量的に判断することは難しいです。やっぱり一番明確なのは、道路なら車が何台通ったか、ダムならどれくらい水が使われたかに尽きると思います。水が使われないような長良川河口堰みたいなのは愚の骨頂だと思いますね。長良川産の天然アユが食べられなくなった私の憤りまで経済性評価に入れて欲しいものです。
この前、友人の農家と話していたら、「そりゃダムはあった方が助かるけど、今の政府の財政状況を見ると欲しいとは言えないよね」って言っていました。ダムを建設できないとしても、理解は得られるのではないでしょうか。
おでん
たまには仕事の話以外を。
今日の夕飯はおでんでした。我が家では「おでんは長く煮込んだ方が美味しい」という理念(^_^)の基、長期間にわたり追加投入を繰り返して食べ続けます。食べる→投入→食べるの繰り返しです。今食べているのは年末からのものなので、1ヶ月近く経っている計算です。なお、毎日だと飽きるので、1日おきに食べます。
とは言っても、腐ってはいけませんので毎日火は通しています。パスチャライゼーションの曲線を元に、80度以上になるようにしています。微生物学的な知識が役に立ちますね。なんてえらそうなことを言っていますが、以前温度設定が甘くクリーチャー(おそらく産幕酵母)を発生させて全廃棄になったことがあります・・。
この巨大な寸胴で煮込んでいます。
もちろん、だんだん味が薄くなったり煮詰まったりするので、そのあたりは適宜調味料を追加しています。美味しいおでんを作るためには味醂も醤油もいいものを使わないとダメですね。味醂は本場の三河味醂の愛桜3年熟成を使用しています。
今回はウズラの卵も入れてみました。この卵はお客様でもある豊橋養鶉(ようじゅん)農協のものです。実はおでんにウズラ卵を入れるのは初めてですが、濃厚で鶏卵とは違った味わいがありますね。
さすがに1月経つとそろそろ雑味が出てくるので、おでんとしては終了する予定です。が、この煮汁は煮物に再利用します。たくさんのエキス分が出ているので、ものすごい旨味ですよ。
有機肥料とpH
最近はエコフィードの話が多かったので、たまには肥料のことも書いてみます。
この前、当社の肥料を使ってもらっている友人から、畑のpHが下がっているという連絡がありました。一般的に、有機肥料はpHが下がりにくいですが、当社の肥料は化成肥料並にpHが下がりやすい傾向があります。名古屋大学附属農場で試験していても、そういう結果が出ています。
当社の肥料は、原料として有機汚泥を利用しています。「汚」泥というと印象が悪いですが、排水処理からできた微生物の菌体を脱水したものです。当社の原料は食品コンビナートからでてきた排水を微生物処理した際に発生したものです。
排水処理では、微生物の菌体が水の中にたくさん泳いでいる状態(活性汚泥と言います)です。これを脱水するのですが、微生物の菌体は粘りがあるので、脱水しにくい状態です。これを脱水機で絞るために凝集剤という薬を使用します。当社の原料はこの凝集剤に硫酸鉄を使っています。詳しい原理は説明が難しいですが、鉄イオンにより電化を中和することにより固まりができやすくなるので水が分離していきます。
で、微生物の菌体と鉄が混ざったものを絞ったのが脱水汚泥となるわけですが、このときに硫酸イオンも一緒に入ってきてしまいます。硫酸イオンは嫌気的条件下では硫化水素や硫化鉄になりますが、好気的条件、つまり堆肥を仕込むと硫酸イオンになります。これがpHを下げる元となります。
一般的な化成肥料では硫安(硫酸アンモニウム)が窒素肥料として利用されています。これが同様にpHを下げる働きをしています。また、有機肥料ではさまざまなタンパク質などの有機物質が含まれており、これが緩衝能を持つためpHが下がりにくいわけです。
当社の肥料はもともと有機肥料の割には有機物含量も少なく、また化成肥料よりも施肥量が多くなりがちなためこのようなことが起きてしまったわけです。これを解消するためには石灰などのアルカリ資材を投入すればいいのですが、土壌によって緩衝能がちがうため、必要な石灰量も異なります。標準的な施用量で反応を見て施用量を調整していく必要があります。
今回の一件から、土壌の分析の必要性を改めて感じました。窒素量などは植物の生育を見ていたらだいたいわかりますが、pHは見ただけではわかりませんし、pHの変化によりそ土壌からのミネラル類の供給量が変わりそこから要素欠乏になったりします。簡単に分析できるので、しっかり測定を行っていくことが重要ですね。
エコフィードの普及とハンドリング
1月は泊まりの出張予定がないのですこし余裕がある毎日です。ですが、作成しなければ行けない資料やプレゼンデータが色々あるので会社にいる割にはばたばたしています。最近は畜産農家からも新規の問い合わせが多くなってきており、その対応にも追われています。
配合飼料メーカーや農協、畜産農家の方々と話していると、やはり昨今の飼料価格の高値推移に対し危機感を持たれています。これだけの円高で今の水準ですので、為替が振れたらその影響は計り知れないものがあります。今のように日本の畜産が海外の輸入穀物に依存するようになったのはここ数十年に過ぎないわけで、もしかすると今までのような海外のトウモロコシを使った畜産ははうたかたの夢のように消え去る可能性も否定できない状況です。そのような背景もあり、当社への問い合わせが増えているのだと思います。
ただ、農林水産省はエコフィードを利用して飼料の自給をはかるつもりのようですが、正直言ってエコフィードの利用にはさまざまなハードルがあり、そんなに簡単に進むことはないと思います。いろいろな「施策」が行われ補助金が投じられていますが、そんな施策よりトウモロコシの価格が上昇することがなによりのインセンティブになると思います。ただ、エコフィードがもっと普及していくためには相当の価格上昇がなければ状況は大きく変わらないでしょう。
エコフィードの普及を阻害している要因の1つに、ハンドリングの悪さがあります。今の畜産農家は多くは飼料を自動的にパイプを使って供給するシステムを使用しています。水分が多かったり、粘性が高いと仮に配合飼料と混合してもうまくエサを送ることができなかったりします。
当社の取り扱っているものの1つにバームクーヘンを乾燥したものがあるのですが、乾燥しているにもかかわらず配合飼料と混合してタンクに入れたところブリッジを起こして詰まってしまったことがあります。
自動給餌の仕組みは便利なものですが、多種多様なエコフィードを利用するには障害になります。これを回避するためにはエサを手でやればいいのですが規模が大きくなると手でやると言っても大変な労力です。(だからこそ自動給餌というシステムがあるわけですが)
今まで配合飼料を使用していた畜産農家がエコフィードを利用しようとして、配合飼料に少し混ぜて使う・・と言うケースはよくあります。ですが、これは手間がかかる割にはコストの削減効果が少ないため結局使用を断念してしまうケースがよくあります。エコフィードを使うなら、せめて50%、できれば60~70%程度はエコフィードを使用しなければ効果が上がらないことが多いです。ある程度人員を確保して手間をかけてエコフィードを使用する体制を作らなければうまくいきません。当然、それぐらいの使用割合になるときちんと配合設計を行わなければいけない訳です。
中途半端にエコフィードを使用して、手間はかかる、コストは下がらない、成績は落ちるという三重苦では当然普及は進みません。
今はTPPの問題などもあり先行きが非常に不透明ですが、穀物を始めとした資源高が継続するのは間違いないです。そんな時代に畜産や農業はどうあるべきかを考えていかなければいけない時期に来ているのは確かです。今までのやり方をドラスティックに変えていかなければ持続不可能な状態が来るときも近いと思います。
エコフィードと堆肥の関係
年末から煩っていた風邪がようやくだいたい治りました。約10日間、かなりしつこい風邪でした。一番辛かったのは臭いが全くわからなくなっていたこと。食べ物が美味しくなかったです(+_+)
当社では肥料と飼料の製造を行っています。もともと学生自体は農学科の肥料系の研究室を出ていますので、専門は肥料ですが図らずともエサも扱うことになりました。でも、飼料と肥料って似ている部分が結構あります。植物の栄養分と、動物の栄養分という違いはありますが、窒素系の動態が重要なのは同じですし、分析方法も同じものが結構あります。役所の管轄も旧の肥飼料検査所、現在の農林水産消費安全技術センター(FAMIC)です。タンパク質が土壌中で分解してアンモニアや硝酸になっていくように、動物はタンパク質を消化して吸収していきます。そんなこんなで割と取っつきやすかったのは確かです。
ところで、エコフィードは様々なメリットがあるのですが、いくつかの欠点も当然あります。大きな欠点の1つに養豚の場合、堆肥の発酵が悪くなるとことがあげられます。そんな論文とか報告を見たことがあるわけでありませんが、当社のお客様の事例を見ている限り多分間違いないと思います。
エコフィードはパンだったり、お菓子のくずだったり、ジャガイモの皮だったり、小麦粉だったりと熱がかけてあったり粉末になっているものがほとんどです。このため、非常に消化率がよくなります。以前、愛知県の試験場での実験でも糞量がかなり減少していました。
一般的な配合飼料では、トウモロコシが多く、皮などの難消化物は消化吸収できず糞にそのまま出てきます。これらのセルロース、リグニン類が糞に入っていると、発酵の基質として利用され、温度が上がりやすくなります。また、繊維系のものが含まれることにより、堆肥の空隙率が高くなり、発酵されやすくなるわけです。
また、エコフィード利用のためにリキッドフィーディングを採用するケースも多いですが、リキッドフィーディングでは尿量が増えるため、糞に混合されて水分量が上がりやすくなります。このため堆肥の発酵が悪く、尿にも糞が混ざりやすいため浄化槽の調子も悪くなる傾向にあります。
可消化率がよいことは飼料としては良いことなのですが、思わぬ弊害があると言うことですね。エコフィードを扱っていて堆肥の知識が役に立つのは、この2つの分野に携わっていたからだからかなと思います。仕事でこんな風に飼料と肥料が結びつくとは予想外でしたが。
最近、当社では堆肥の発酵促進、水分調整材も販売しています。これは、油分をヤシ殻に吸着させたもので、水分をよく吸い、カロリー源ともなるという優れものです。少し混合すると驚くほど品温が上がります。エサを売るだけではなく、トータルでお客様サポートすることを目標としています。
もちろん、お客様と一緒に三河トコ豚極め隊の活動も継続して実施していますよ。