久しぶりにエコフィードネタです。飼料と脂肪酸組成についての話題ですが、あらためてこのブログを検索してみると脂肪酸組成のことをたくさん書いています。それだけエサと脂肪酸は切っても切り離せないものなのでご容赦を。
前から何回も書きましたが、豚(というか単胃動物=反芻をしない動物)の場合食べた脂がそのまま体の中性脂肪となります。ので、飼料の脂肪酸組成は非常に重要です。
ところが、飼料中の脂肪だけではなく、体内でも脂肪が合成されます。体内では
デンプン(炭水化物)
↓
グルコース
↓
パルミチン酸(C16:0)
↓
ステアリン酸(C18:0)
↓
オレイン酸(C18:1)
と合成が進みます。
つまり、食べ物から脂肪を摂取しなかった場合、中性脂肪の脂肪酸組成は上記の脂肪酸だけになるわけです。実際は飼料にリノール酸などの不飽和脂肪酸が含まれているため、中性脂肪にはリノール酸も含まれます。
逆に言うと、リノール酸は合成できないのでかならず食物から摂取する必要があるわけです。
脂肪酸のリノール酸比率が上がると、脂肪の融点が下がってきます。融点が低いほうが食べると口当たりがよく美味しいのですが、スライスしにくいなど取り扱いがしにくいため肉屋さんからは嫌われる傾向にあります。融点を上げるためには飼料からの脂肪の吸収や蓄積を防げばいいのですが、なかなかよい方法はありません。その代わりに使われるのが「カポック」という植物です。
カポックには環状脂肪酸であるシクロプロベノイ ド脂肪酸という物質が含まれています。これが非常に強力に代謝系に作用します。カポック油を飼料に0.1%程度添加すると上記の合成系のうちステアリン酸→オレイン酸の合成が阻害されます。その結果、ステアリン酸の割合が高い脂となります。
不飽和脂肪酸たるオレイン酸よりステアリン酸のほうが融点が高いため、ステアリン酸の比率が高まることにより脂肪の融点が上がります。(肉屋さんによると触ってわかるぐらいだそうです)脂肪酸の分析を行うと、カポックを使用していることは一発でわかります。
ただ、オレイン酸含量が高いことは食味の向上にも寄与するため、カポックを添加しすぎると逆に評価が下がってしまいます。このあたりが難しいところです。
ところで、私はサプリメントとか○○を食べると健康にみたいな話は嫌いなのですが、このカポックの驚くべき効果を知るにつけサプリメントでも効果があるものがあるかもしれないなと思うようになりました。なにせ食べ物に0.1%添加しただけで体の脂の質が変わってしまうわけですからすごい効果です。
もっとも、一番重要なのは食べ物のバランスですのでできていない人がサプリメントに頼っても意味はないと思いますが。いずれにせよ、食べ物って当たり前ですけど豚でも人でも体に対する影響が大きいです。人間も何を食べるかってことはもっと注意を払うべきなんでしょうね。
カテゴリー: エコフィード
エコフィードと発育、アミノ酸
最近、養豚農家向けのセミナーを行う機会が何回かありました。いろいろな話題を提供しているのですが、注目度が高いのが「増体」についてです。
豚はだいたい110kgぐらいの体重になったら出荷してと畜されます。それまで、どれくらいの日数がかかり、どれくらいのエサを食べて大きくなったかが養豚経営を大きく左右しますので、いろいろな研究や調査が行われています。
1日に大きくなる量を日増体量、DG(Daily Gain)と言い、1kg体重が増えるのに必要なエサの量(kg)を要求率と言います。これがエサの組成がちょっと変わるだけで相当変化します。
当社は地元のひまわり農協が実施していた研究会に参加していたのですが、その時比較試験をしてあまりに変化が大きいので驚きました。
一般的な配合飼料を使用して一般的な品種での養豚では、だいたい出荷までの日数は180日ぐらいです。出荷近くなると、だいたい1日に3kgのエサを食べて1kg大きくなります。つまり、要求率は3ぐらい、DGは1kgということです。ところが、全く同じ飼料をリキッドフィーディングとして与えると、要求率が0.4ポイント、つまり1割程度向上し、出荷までの日数も2週間ぐらい早くなりました。
これは、リキッドフィーディングが液状で消化がいいためです。リキッドフィーディングはそれなりの設備投資が必要なのですが、計算をするとこの要求率の向上だけでリキッドフィーディングの減価償却しておつりがでるぐらいになります。
ところが、食品残さ由来のエコフィードを給与すると、それ以上に変化します。配合飼料は含まれる栄養成分を細かく計算し、しかもかなりコストの制約にとらわれています。エコフィードを給与する場合、細かい計算をしなかったりすると栄養バランスがくずれて増体が非常に悪くなるケースもあります。逆に、配合飼料ではコスト制約で使えないような高品位なものが使えたりするので、配合飼料以上に増体がよくなることがあります。
ので、私はエコフィードの使用をしている養豚農家にお伺いしたときには出荷日齢を聞くことにしています。きちんと飼料の栄養成分の計算ができているかどうかは出荷日齢をきけばほぼ判断できるわけです。
通常180日程度の出荷日齢が、当社のお客様で一番短いところでは130日で出荷できているケースがあります。逆に、新規参入で養豚を始めたケースでは、240日かかっている例がありました。
この違いはおもにタンパク質の摂取量、アミノ酸のバランスに起因しています。エコフィードは一般的にカロリーが高くなりやすいです。(日本人の食事が高カロリーと言うことことですね)これに対し、タンパク質の量が不足しがちになります。また、タンパク質の量が足りていてもアミノ酸のバランスが悪ければ増体は悪くなります。エコフィードでは一般的にリジン、メチオニンなどの必須アミノ酸が不足しますので、これらのアミノ酸を単体で補給しなければ成長がわるくなってしまいます。
逆に、エコフィードはかなりカロリーが高く、可消化率も高いものが多いので、適切なアミノ酸バランスが達成できれば配合飼料以上に増体がよくなります。一般的な配合飼料ではコスト制約のためトウモロコシを主体としているのですが、エコフィードは粉末や加熱処理がしてある小麦粉や米などの原料が多く、このため消化吸収に優れているわけです。
エコフィードを取り扱うようになって、食べ物の栄養バランスが生物にとっていかに重要なのかを実感します。また、日本人の食生活のバランスが崩れていることも強く感じます。人間も本当に食事のバランスは気をつけなればいけませんよね。
畜産と食糧自給率
穀物価格の上昇がニュースを賑わしています。→ロイター記事
普通に生活している限りあまり実感がないのですが、日本は世界から多量の穀物を輸入しています。トウモロコシの輸入量は1600万トンで世界最大の輸入量です。そのうち1200万トンが家畜の餌に使われています。残りはおもにデンプンなどの加工用になり、デンプンは更に加工され異性化糖として清涼飲料水などに使われています。
トウモロコシ以外には大豆が多く輸入され、大豆は食品用だけではなく、圧搾抽出されて大豆油として利用されています。油を搾った残りは大豆粕として醤油原料や家畜飼料として利用されます。
日本の家畜は輸入飼料に依存しています。日本の食糧自給率が低い原因は家畜飼料と油糧作物の輸入にあります。エサが肉になる効率は1/3~1/5ぐらいなので、実は日本国内での畜産をやめて海外から肉や卵、牛乳を輸入した方が(カロリーベースの)食糧自給率は上がることになります。
日本で飼われている家畜のエサのうち、配合飼料は基本的にトウモロコシがベースとなります。豚や鶏のエサは基本的に配合飼料が主体なので、トウモロコシがメインということです。
一方、牛は草(粗飼料)だけたべているのかというと、実は現代の畜産では配合飼料をたくさん与えています。牛といっても牛乳を搾る酪農と肉を作る肥育ではエサの配合はかなり異なっており、また北海道などでは粗飼料の割合が高い傾向にあります。
黒毛和牛などの高級な肉牛では、粗飼料の割合がかなり低いです。本来牛は草を食べなければ胃の中にある微生物の調子が悪くなってしまいますので、粗飼料はある程度与えなければ死んでしまいます。ですが、霜降りにするためには高カロリーの濃厚飼料(配合飼料)を中心に与えなければいけません。したがって、日本で育てられている「和牛」も実は海外の輸入トウモロコシによって成立しているわけです。
昨日、近江牛ドットコムを運営している新保さんのお誘いで、プレミアム近江牛を食べる会に参加してきました。プレミアム近江牛とは国産飼料にこだわって育てられた近江牛です。粗飼料を主体とし、濃厚飼料も国内原料のおからなどのエコフィードを主体としています。
「飼料が100%国産」と言っても一般の方はあまり驚かれませんが、実はこれはかなりすごいことです。おそらく全国で初めての取り組みと行ってもいいのではないでしょうか。
今回は通常肥育の近江牛や粗飼料主体の短角牛などとも食べ比べしましたのですが、一般に粗飼料主体だとサシが入りにくく脂肪の融点が高くなりやすい・・と言われているのにもかかわらずプレミアム近江牛はしっかりとした味わいでとても美味しく頂くことができました。
いろいろな立場、意見がありますが、日本の畜産は海外の輸入飼料に依存していることは間違いのない事実です。そして、海外の穀物の価格が上昇基調にあることも間違いありません。そんな中、日本の畜産をどうしていくべきか考えなければいけないと思いますが、今回のプレミアム近江牛は美味しい肉を食べながらいろいろと考えさせられるイベントでした。今まで既成概念から離れて日本の畜産の将来を考えるよい機会だったと思います。多謝。
豆腐のカロリー
来週の環境展の準備が忙しくてばたばたです。来週一週間出張なので、その前に溜まった仕事をこなさなければいけないので大変です。明日の日曜日も出勤して来週の仕事を前倒しでする予定です。
暑くなってきたので冷や奴とかが食べたくなる時期です。当社はリキッドフィーディングというヨーグルト状の飼料を製造しています。どろどろの液状なので豆腐のようなものも設備的には使用することができます。ですが、実は豆腐は豚の餌として向いていません。意外なのですが、「油が多すぎるから」使用が難しいのです。
豆腐も種類によって成分がかなり変わりますが、木綿豆腐の成分は食品成分表によるとこんな感じです。
水分 86.8%
タンパク質 6.6%
脂肪 4.2 %
炭水化物 1.6%
水分が多いので固形物の割合が低いのですが、乾物あたりで計算すると
タンパク質 50%
脂肪 31%
炭水化物 12%
となります。確かにタンパク質が多いのですが、脂肪が30%も入っている食品は牛乳と豆腐ぐらいです。たとえば、脂が多い印象がある牛肉ですが、もも肉ならタンパク質:脂肪は2:1ぐらいですので、豆腐より脂肪分が少なくヘルシーということになります。
豚の飼料はカロリーが低いことが求められていますので、油脂含量が高い豆腐は使用しにくいです。
豆腐に含まれる油はリノール酸という不飽和脂肪酸です。動脈硬化にいいと言われている不飽和脂肪酸ですが、摂取した脂肪が体内に蓄積しやすいという特徴があります。融点が低いリノール酸が多くなると豚肉のしまりが悪くなり、食味に影響が出る場合があります。そういった意味からも使いにくい素材ではあります。
豆腐工場では角が欠けたり等の理由でかなりの量の豆腐が廃棄されています。利用したいのは山々なのですが、どんなものでも飼料になるわけではないのです。
豆腐は禅寺のお坊さんがあれで生きていけるぐらいですので、かなり高カロリー、高タンパクな食品だということです。よく、自然食とかを推進している方は「肉は脂が多くて栄養バランスが」っていうことを言っていたりしますが、食事の栄養計算をすると案外高カロリーで肉食べていた方が栄養バランスがいいケースもあったりするわけです。
飼料の仕事をして思うのですが、栄養成分は一般的なイメージと案外違っていたりします。きちんと分析した値を見て判断することが重要だと思います。
ジュースとスポーツ飲料
年度末もいよいよ佳境にさしさかり、忙しさはピークに。なのに学会出席、セミナーのために出張中です。いや、予定ではもう余裕ができているはずだったのですが・・。
リキッドフィーディングプラントの工事もだいたい終わって、試運転調整を行っていますが、案の定不具合がぼちぼち出ています。なかなか落ち着かない状態です。
プラントを増強してリキッドフィーディングの生産を増やすので、受入も増強すべくいろいろな原料を調査しています。最近引き合いがあったのはスポーツドリンクと炭酸飲料です。
スポーツドリンクとか炭酸飲料って高カロリーなイメージがあったのですが、飼料として受け入れるに当たって原料の成分を確認したところ思ったより低濃度で驚きました。
製品となった食品や飲料の場合、リサイクルする際に成分分析をするのではなく、製品のパッケージを見て成分を確認するケースが多いです。たとえば、某スポーツ飲料の場合成分の表記は
原料100gあたり
タンパク質・脂質:0g
炭水化物:6.2g
ナトリウム:49mg
カリウム:20mg
カルシウム:2mg
マグネシウム:0.6mg
となっており、原料は
砂糖
果糖ぶどう糖液糖
果汁
食塩
酸味料
香料
塩化K
乳酸Ca
調味料(アミノ酸)
塩化Mg
酸化防止剤(ビタミンC)
となっています。成分表記と原料表記から類推するに、タンパク質やアミノ酸の量はほとんど無視できる程度の量で、おそらく成分のほとんどは砂糖と果糖ブドウ糖液糖であると考えられます。炭水化物6.2%がほぼ糖だとすると、スポーツ飲料は6.2%の糖液と見なしていいと思われます。
果汁の糖度は11度~15度くらいだと推測されます。12度だとすると、スポーツ飲料は果汁の半分の濃度しかないことになります。
さらに、炭酸飲料は最近「カロリーゼロ」のものが多いです。これは糖液を全く添加せず、甘みはあっても消化できない甘味料を添加しています。
リサイクルして飼料として利用するには、成分がすくなければ飼料としての価値が少ない、ただの水代わりになってしまいます。逆に、濃度が高い糖液でしたら価値が高く、処分費用を頂かないで飼料原料として買取するばあいもあります。
リサイクル飼料の製造を始めてから、いろいろな食品の成分に詳しくなりました。見た目や感覚ではなかなか成分が予測つかないのが食品リサイクルの難しいところですね。
リキッドフィーディングプラントの工事
ちょっと更新を怠っていました。工場の設備の導入で先週よりばたばたの毎日です。経営者は忙しいのは苦にならないものですが、今年に入ってずーっとほぼ休み無しなのでさすがに体力的に疲れてきました。
今回導入した設備はリキッドフィーディング製造施設です。零細な当社にしては非常に大きな投資なのでいろいろと悩みながら設備を導入しました。今までの経験を活かし使いやすい設備になるように心がけています。
設備導入に当たって重視したのは「壊れないこと」です。プラントメーカーに設備設計を依頼するととかく自動的に動作するような設計になりがちです。ですが、リサイクルプラントでは入ってくる原料は一定ではありませんし、異物の混入も多いので自動的に制御すると故障の原因になります。とにかく壊れないことを重視して設計を行っています。
今回の工事では既存のラインを止めずに行なっていますので、調整することが多く大変です。狭い工場で製品と原料の置き場を変えながら工事をしたので本当に疲れました・・。ようやく目処がついてきたのでホッとしています。

工事の様子

据え付けられたタンク
今回の設備改修では図面作成から発注先の選定や工期管理まで全部やったのも大変だった理由の1つです。色々経験にはなりましたが、しばらく工事はこりごりですね。
飼料の表示と分析値
最近多忙を極めていてブログの更新がすっかり滞っています。作らなければいけない書類の待ち行列がずら~と並んでいる感じです。ただいま出張中の新幹線の中でこれを書いています。最近は出張中しか時間が取れないようになってきた感もあります。
この前、配合飼料メーカーの人と話していて飼料の分析値について話題に上りました。配合飼料は表示されている成分値と実際の成分があっているか定期的に抜取検査が行われます。原料の成分が変動すると当然できあがった配合飼料の成分値に影響が出てしまいます。このため、配合飼料の原料となるものは成分が安定していることが求められます。また、原料の組み合わせが大きく変わると成分の調製が難しいこともあり、原料は一定量が安定的に供給されることが求められています。
というような制約があるため、配合飼料の原料として当社が扱っているようなエコフィードを使用するのが難しくなっています。エコフィードはどうしても成分がばらつきやすく、また一定量を安定的に供給することが難しいです。もちろん、こういうハードルを越えてエコフィードを配合飼料メーカーに供給している例もありますが。
ただ、問題はこの「配合飼料の成分表示」があんまり意味が無くなってきているということにあります。例えば、タンパク質の表示値。タンパク質の分析では有機体窒素の分析を行い、そこから係数をかけてタンパク質の値としています。このため、タンパク質の種類や消化性は判断できず、タンパク質以外のものもカウントしてしまう欠点があります。たとえば、以前食品の偽装で問題となったメラミンですが、もちろんタンパク質ではありませんし、人間は消化できないものです。ところが、有機体窒素であるため窒素の分析法であるケルダール法ではこれをカウントしてしまうわけです。
もちろん、日本の飼料メーカーがメラミンを混入してるわけではありませんが、タンパク質によっても消化率に差があります。たとえば、加熱乾燥してエコフィードの製造を行っているケースがありますが、加熱温度が高いとタンパク質が変性して(早い話がコゲて)消化性が悪くなります。こういった消化性が悪いタンパク質がいくら入っていても意味がないわけです。
また、最近の豚用飼料ではアミノ酸組成のバランスが重要視されています。豚も人間と同じように必須アミノ酸があるわけですが、このアミノ酸のバランスが悪いと成長に影響が出ます。アミノ酸組成が記載されていないタンパク含量ではあまり意味がありません。ので、まったくおなじタンパク含量の配合飼料でも給与試験をするとかなり増体に差が出てきたりします。
牛の場合も、タンパク質がどれくらい第1胃で分解されるタンパク質と、分解されないタンパク質の比率が重要です。ので、ただタンパクの量だけでは判断できません。
このように、分析値の表記というのは意味があまりなくなってきているのにもかかわらず立ち入り検査までして詳しく調査を行うのは、きっと昔は表示をきちんとしなかったり、嘘の表示をしたりということがあったのでしょう。ので、肥料とか飼料はきちんと表示とあっているか調査を行っているのでしょうが、今日日そんな嘘の表示をするような会社はないでしょうし、あったとしても非常に精緻に管理している現代の畜産ではすぐに発覚してしまうと思います。
そんな無駄なことに結構な労力をかけているばかりでなく、配合飼料の自由度を阻害しているのが非常におかしいと思います。時代の流れをみて対応していく必要があるでしょうね。エコフィードの補助金を出すぐらいなら例えば成分表示に幅を持たせる等の対策を行う方がよほど実効性があると思います。
エコフィードの普及とハンドリング
1月は泊まりの出張予定がないのですこし余裕がある毎日です。ですが、作成しなければ行けない資料やプレゼンデータが色々あるので会社にいる割にはばたばたしています。最近は畜産農家からも新規の問い合わせが多くなってきており、その対応にも追われています。
配合飼料メーカーや農協、畜産農家の方々と話していると、やはり昨今の飼料価格の高値推移に対し危機感を持たれています。これだけの円高で今の水準ですので、為替が振れたらその影響は計り知れないものがあります。今のように日本の畜産が海外の輸入穀物に依存するようになったのはここ数十年に過ぎないわけで、もしかすると今までのような海外のトウモロコシを使った畜産ははうたかたの夢のように消え去る可能性も否定できない状況です。そのような背景もあり、当社への問い合わせが増えているのだと思います。
ただ、農林水産省はエコフィードを利用して飼料の自給をはかるつもりのようですが、正直言ってエコフィードの利用にはさまざまなハードルがあり、そんなに簡単に進むことはないと思います。いろいろな「施策」が行われ補助金が投じられていますが、そんな施策よりトウモロコシの価格が上昇することがなによりのインセンティブになると思います。ただ、エコフィードがもっと普及していくためには相当の価格上昇がなければ状況は大きく変わらないでしょう。
エコフィードの普及を阻害している要因の1つに、ハンドリングの悪さがあります。今の畜産農家は多くは飼料を自動的にパイプを使って供給するシステムを使用しています。水分が多かったり、粘性が高いと仮に配合飼料と混合してもうまくエサを送ることができなかったりします。
当社の取り扱っているものの1つにバームクーヘンを乾燥したものがあるのですが、乾燥しているにもかかわらず配合飼料と混合してタンクに入れたところブリッジを起こして詰まってしまったことがあります。
自動給餌の仕組みは便利なものですが、多種多様なエコフィードを利用するには障害になります。これを回避するためにはエサを手でやればいいのですが規模が大きくなると手でやると言っても大変な労力です。(だからこそ自動給餌というシステムがあるわけですが)
今まで配合飼料を使用していた畜産農家がエコフィードを利用しようとして、配合飼料に少し混ぜて使う・・と言うケースはよくあります。ですが、これは手間がかかる割にはコストの削減効果が少ないため結局使用を断念してしまうケースがよくあります。エコフィードを使うなら、せめて50%、できれば60~70%程度はエコフィードを使用しなければ効果が上がらないことが多いです。ある程度人員を確保して手間をかけてエコフィードを使用する体制を作らなければうまくいきません。当然、それぐらいの使用割合になるときちんと配合設計を行わなければいけない訳です。
中途半端にエコフィードを使用して、手間はかかる、コストは下がらない、成績は落ちるという三重苦では当然普及は進みません。
今はTPPの問題などもあり先行きが非常に不透明ですが、穀物を始めとした資源高が継続するのは間違いないです。そんな時代に畜産や農業はどうあるべきかを考えていかなければいけない時期に来ているのは確かです。今までのやり方をドラスティックに変えていかなければ持続不可能な状態が来るときも近いと思います。
エコフィードと堆肥の関係
年末から煩っていた風邪がようやくだいたい治りました。約10日間、かなりしつこい風邪でした。一番辛かったのは臭いが全くわからなくなっていたこと。食べ物が美味しくなかったです(+_+)
当社では肥料と飼料の製造を行っています。もともと学生自体は農学科の肥料系の研究室を出ていますので、専門は肥料ですが図らずともエサも扱うことになりました。でも、飼料と肥料って似ている部分が結構あります。植物の栄養分と、動物の栄養分という違いはありますが、窒素系の動態が重要なのは同じですし、分析方法も同じものが結構あります。役所の管轄も旧の肥飼料検査所、現在の農林水産消費安全技術センター(FAMIC)です。タンパク質が土壌中で分解してアンモニアや硝酸になっていくように、動物はタンパク質を消化して吸収していきます。そんなこんなで割と取っつきやすかったのは確かです。
ところで、エコフィードは様々なメリットがあるのですが、いくつかの欠点も当然あります。大きな欠点の1つに養豚の場合、堆肥の発酵が悪くなるとことがあげられます。そんな論文とか報告を見たことがあるわけでありませんが、当社のお客様の事例を見ている限り多分間違いないと思います。
エコフィードはパンだったり、お菓子のくずだったり、ジャガイモの皮だったり、小麦粉だったりと熱がかけてあったり粉末になっているものがほとんどです。このため、非常に消化率がよくなります。以前、愛知県の試験場での実験でも糞量がかなり減少していました。
一般的な配合飼料では、トウモロコシが多く、皮などの難消化物は消化吸収できず糞にそのまま出てきます。これらのセルロース、リグニン類が糞に入っていると、発酵の基質として利用され、温度が上がりやすくなります。また、繊維系のものが含まれることにより、堆肥の空隙率が高くなり、発酵されやすくなるわけです。
また、エコフィード利用のためにリキッドフィーディングを採用するケースも多いですが、リキッドフィーディングでは尿量が増えるため、糞に混合されて水分量が上がりやすくなります。このため堆肥の発酵が悪く、尿にも糞が混ざりやすいため浄化槽の調子も悪くなる傾向にあります。
可消化率がよいことは飼料としては良いことなのですが、思わぬ弊害があると言うことですね。エコフィードを扱っていて堆肥の知識が役に立つのは、この2つの分野に携わっていたからだからかなと思います。仕事でこんな風に飼料と肥料が結びつくとは予想外でしたが。
最近、当社では堆肥の発酵促進、水分調整材も販売しています。これは、油分をヤシ殻に吸着させたもので、水分をよく吸い、カロリー源ともなるという優れものです。少し混合すると驚くほど品温が上がります。エサを売るだけではなく、トータルでお客様サポートすることを目標としています。
もちろん、お客様と一緒に三河トコ豚極め隊の活動も継続して実施していますよ。
エコフィードのハンドリング
今月も書類作成と営業活動、出張で忙しい毎日が続いています。12月は今のところあまり予定が入っていないのですが、だいたい毎月初めになると予定が埋まってしまい身動き取れなくなるのがここ1年ぐらいの状況です。ちょっとやらなければいけないことがたまってきているので何とかしなければいけないのですが・・。
というわけで、今日も営業活動にいそしんでいました。お客様のところにエコフィードのテストです。今日はリキッドフィーディングの原料にパン生地を使う試験をしてきました。
パンはエコフィードとして活用されており、肉質もよくなるためかなりの人気です。しかし、パンの原料であるパン生地は取り扱いが難しいためあまり利用されていないのが現状です。
パン生地は酵母が含まれているため、夏場は発酵が進みやすくすぐに膨れてきます。容器からあふれ出たり、容器にへばりついたりして取り扱いが面倒なのでなかなか使用が進まない訳です。粘りがあるものは普通の配合飼料の様に取り扱えないので敬遠されます。
リキッドフィーディングでしたら混ぜてしまえば取り扱いには問題ありません。しかし、リキッドフィーディングでもパン生地に含まれる酵母が問題になることがあります。条件が整うと急激に発酵するのでタンクからあふれたり配管にエア噛みしたりします。
一方、発酵している生地は酵母の働きでアルコール分が生成されるため、カビが生えにくいというメリットもあります。上手く使えば価格も安くいい材料であることは確かです。
エコフィードは様々な種類の原料がありますが、取り扱いがちょっとやっかいだったりすると相場が低くなります。飼料コストを抑えるための方策として、ちょっと工夫をして取り扱いが難しいものを上手く使うことが重要かと思います。