西三河豚友会での講演

今日は朝から大失敗。お客さんとのアポをすっかり忘れていてドタキャンしてしまいました。10年くらい前、サラリーマン時代にも同じようなことがあったことを思い出しました。深く反省しています。申し訳ありませんでした、KSさんm(__)m

 

昼からは西三河豚友会という集まりで飼料と豚肉の脂肪酸組成についての講演を行いました。1時間半しゃべり続けたのでかなり疲れました。講演を頻繁にやっている人、本当にエライと思います。私はたまにある講演ですっかりグロッキーです。大学講師とかなれそうにないですね。

今日の講演では飼料が豚肉の脂肪酸組成に与える影響について解説を行いました。以前にも書きましたが、豚肉は飼料によって脂肪酸組成が大きく変わります。ちょっと飼料の組成がかわると大きな影響があります。今回は、西三河豚友会会員全員が脂肪酸組成を分析して比較を行ったのですが、その解説を行いました。

脂肪酸とは何か・・と言う話を最初に30分ぐらいしていたのですが、予想通り豚屋さんは結構寝ていました(^_^) やっぱりちょっと話が難しかったかもと反省しています。高校化学レベルの話だったのですが・・。でも、資料を作っていて高校生の家庭教師をしていた頃を思い出しました。資料を作るのは正直かなりしんどかったですが。

嬉しかったのは、知り合いの豚屋さんから、「今度うちに来て餌の配合見てよ」と言われたことです。飼料を取り扱い始めて4年、頼られるような存在になれたことは身に余る光栄です。

美味しい豚肉を作るのに貢献して愛知県の農業発展に微力ながら寄与できたらと願っています。

畜産農家の経営スタイル

というわけで、北海道へ行ってきました。スキーしに行ったことはあったのですが、しっかり仕事して来たのは今回が初めてで、とても充実した出張でした。充実しすぎて少々お疲れモードです・・。ちなみに、昨日自宅に着いたのは夜の11時半でした。

 

今回は食品工場、畜産農家、リサイクルプラント等々様々な場所を見学、営業してきたのですが、その中でも特に畜産農家の経営について印象に残りました。北海道の畜産、特に酪農は都府県とはだいぶ違います。愛知県では酪農家でもほとんど牧草をつくっておらず、ほぼ輸入された牧草と配合飼料を使っています。このため、売上に対する飼料コストの比率が高いです。北海道では粗飼料はおおむね自給されており、配合飼料の使用量も圧倒的に少ないです。つまり、売上に対する飼料コストがかなり低いです。

もちろん、配合飼料の使用量が少ないので乳量も少ないですし、北海道は乳価が安いという違いがあります。ただ、個人的には大量の高価な飼料を購入し、売上も多いというスタイルは今後は難しくなってきていると思います。今後もトウモロコシの価格(=配合飼料)が今以上に上がっていくのは間違いないですので・・。

農業って、本来は作物や家畜を育てて付加価値を産むものだと思うのですが、今の都府県の畜産では飼料が畜産物に変換されるプロセスのように感じてしまいます。付加価値率が著しく低い「農業」に違和感を感じますね。付加価値率が低いので規模を拡大せざる得ないわけです。億単位で売上がないと家族経営ですら成り立たないというのが実体です。利益率から言うとほとんど商社並です。

また、北海道では配合飼料の価格もかなり高いように思いました。もちろん農家によってはだいぶ違うようですが。ただ、配合飼料の使用割合が低いので影響が少ないように思われます。愛知県の養豚農家を回っていても相当配合飼料の購入価格にバラツキがありますが、養豚農家や養鶏農家の場合、飼料コストの比率が非常に高いので配合飼料の購入価格が高くなるのは致命的です。

養豚、養鶏農家の場合、豚や鶏をいかに上手に飼うかというよりも、実は「エサ屋と交渉していかに飼料コストを低減するか」ということのほうが経営に寄与する場合も多いです。もちろん、あまりに成績が悪ければ問題ですが、逆にいくら飼育が上手でも購買コストを抑えられない場合、経営が立ちゆかなくなることもままあります。こういう面からも、今の畜産がいかに商社的であるかがわかるかと思います。

 

これからの農業は購入資材のコストがますます高騰すると思います。エコフィードやリサイクル堆肥だけがその解決策ではなく、農業従事者たるもの外部に落ちる金をどうしたら少なくできるかを考えなければいけない時期に来ているのだと思います。今までは農業も安い資源を大量に浪費してきたことを反省しなければいけないのではないかと思いますね。

エコフィードの普及とリキッドフィーディング

今、北海道に出張で来ています。とても気持ちいい秋晴れで仕事をするのが嫌になりますね~。学生時代の友人もいるのですが、今回の出張はタイトな日程なのでちょっと会えそうにないですね。もっとも、会うとススキノに拉致されるので会わない方がいいかもしれませんが ^^;

 

先日、当社も参加している豊川地域農業研究・普及協議会が愛知県の補助金の採択を受けました。これは、「循環型社会形成推進事業費補助金」というもので、産廃税(産業廃棄物を埋め立てると課税される)が活用されて、リサイクル施設の整備に関し補助が出ます。協議会では補助を使って施設整備を行います。協議会の主体となっている地元のJAひまわりに施設を整備するだけではなく、当社と農家にも設備を設置することになっています。

農家に設置する設備というのは、リキッドフィーディング給餌装置です。リキッドフィーディングは飼料を液状にして給餌するという方法です。リキッドフィーディングには

・ホコリが立たないので衛生環境がよい(ほこりっぽいと呼吸器系の病気の原因になる)

・消化吸収がいいので成長がよい

・餌をこぼす量が少ないのでロスが少ない(通常の配合飼料では数%程度こぼれていると言われている)

等のメリットがあると言われていますが、特に

水分の多い食品残さを利用することが可能である

というのが非常に大きなメリットとして挙げられます。

 

逆に、デメリットとしては

給餌施設にコストがかかる

・水分が多いため、保存性が劣る(乳酸菌発酵させるのは保存性を上げるため)

・運搬すると運賃が割高

などがあります。このうち、とくに設備投資額が大きいことがリキッドフィーディングの普及を大きく阻害しています。どこまでを自動的に行うかによって設備の金額は大きく異なりますが、タイマー制御を行い自動的に豚に給餌するようなシステムでしたら、肥育頭数1頭あたり1~2万程度の費用がかかる場合が多いようです。愛知県の平均規模の養豚農家で3000頭ぐらい肥育している場合、3000万円~6000万円程度の投資が必要となります。最近の養豚業はそれほど利益率が良いわけではないので、これだけの投資をおこなうのはそれなりのリスクがあります。上記のメリットで理論的には回収できるのですが、投資金額が大きいのはリスクが大きいと言うことです。

今回の補助金を使うことにより、投資金額が圧縮できるので農家も設備投資に踏み切ることができたのですが、補助金がないとなかなか踏ん切りがつかないケースが多いです。養豚業自体がそれほど儲からないので、リキッドフィーディングを入れないと完全な赤字だけどいれても赤字額が減るだけというのでは投資に踏み切れないわけです。

通常の給餌システムでは使えない牛乳などの液状食品残さもリキッドフィーディングなら飼料として活用が可能であり、多種多様の食品残さを活用するには有効な手段ですが、設備投資をいかに抑えるかを検討していく必要があるかと思います。

エコフィードの含水率と飼料価値

エコフィード原料は水分が高いものが多いのです。水分が多いものは実質的な価値が下がります。野菜なんて水分が90%、ほとんど水です。じゃあ、実際どれくらいの価値になるのか。この前、ちょっと問い合わせがあったのでとりまとめてみました。

基本的には、配合飼料(水分10%程度=乾物割合90%)に換算して計算を行います。ですが、現場でやるような簡易的な計算では、乾物割合が100%になるように換算します。

例えば、水分70%の場合、乾物量は30%です。30%→100%に換算する訳ですので、

100/(100-30)をかければいいです。

現物中タンパクが5%、水分70%のオカラでしたら、

5%×100/30=16.6 これが乾物当たりのタンパク含量となります。

上記で乾物は水分0%で計算して構わないと書きましたが、厳密に計算すると、例えばオカラなら

5%×(100-10)/(100-70)=15.0

となります。
というわけで、あまり大差出ませんので現場でさっと計算するときには含水率0%で構わないと思います。

酒粕などは水分が50%、現物当たりのタンパク質が20%程度ですので、乾物当たりで計算するとタンパク質が40%程度になります。乾物当たりのタンパク質含量でいくと大豆粕に近いぐらいのタンパク質含量含量ですので、価格も大豆粕との比較で判断します。大豆粕が仮に50円/kgとすると、乾物換算から酒粕はだいたい25円/kgで大豆粕と同等の値段となります。酒粕はハンドリングが悪くスポット性が高いのでこの25円/kgより安い価格が相場となる訳です。

エコフィードは水分の多寡で価値が大きく変わるのがご理解頂けましたでしょうか?

エコフィードの破砕機

毎回書いていますが、今日も暑い一日でした。午前中は肥料の配達をしていたのですが、自分はトラックに乗っていてお客さんに散布してもらうという殿様商売をしていました。なんにせよお買い上げありがとうございますm(__)m

 

午後は豊橋のとあるメーカーへ行き、粉砕機のデモを見てきました。たかが粉砕機、されど破砕機。エコフィードを手がけていて一番苦労しているのがこの粉砕機の選択です。世の中には様々な種類の粉砕機がありますが、どれも一長一短で全てを満たすのが無いですね。

まず、食品系廃棄物といっても非常に多岐にわたっています。今、当社で使用している破砕機は遠心力を利用してたたきつけるようにして粉砕する機械ですが、これは割と万能ですが、それでも長い繊維質のものは粉砕できないという欠点があります。たとえば、ネギ。これが切れなくて長いままで出てきます。特にやや乾燥してしまったものは切れません。

あとは、デンプン質のものも粉砕できません。うどんなどを多量に入れると中で練ってしまい塊になりモーターに負荷がかかりすぎて止まってしまいます。

ただ、この破砕機のよい点は、壊れないという点です。食品リサイクルをすると悩まされるのは異物混入。ボルトとかベアリングとかはたまた包丁まで考えられないものが混入します。この破砕機、どんなものを入れてもまず壊れません。ただ、異物を噛み込むと取り除くのが結構大変だったりします。

こういう繊維質とかデンプンの塊は二軸剪断式破砕機が得意とするところです。ところが、この二軸剪断式破砕機はやたらに高価です。そして、異物に対してきわめて弱い。これは結構致命的な欠点です。

 

以前、テストでポンプに粉砕機能がついた物も使用しました。ところがこれも異物に弱く、ベアリングの咬み込みで刃が欠けて使用を断念。使用している現場では金属探知機を入れてガードしているそうです。金属探知機入れるにしても、簡単に壊れるようでは困りますね。

 

今日見に行ってきたのは、一軸スクリュー押し出しタイプの破砕機です。これも割となんでも処理できますし、構造がシンプルなので壊れにくいのはいい点です。もうすこし価格が安ければ言うこと無いかもしれませんが。とにかく、修理で振り回されるのはもうこりごりです・・。

豚肉の歩留りとエコフィード

昨日、ブログを書いていたらブラウザが落ちて怒り心頭で、ブログ書くのやめて寝ました。同じ作業を2回するのは辛いですね。賽の河原状態です。Operaなんてマニアックなブラウザを使っているせいなのかもしれませんが・・。

 

今日のネタも豚肉の話です。前回の記事で山梨のと畜場見学の記事を書きましたが、その中で印象的だったことの1つに内臓の処理方法があります。こちらのと畜場では、と畜のラインで内臓を取り出した後、すぐ横の加工室で内臓の処理を行っていました。1頭ごとにまず内臓をパーツ毎に分別を行い、それぞれのパーツで洗浄作業を行っています。消化管などには内容物が入っていることもありますので、パーツ毎の担当者が手早く掃除を行っています。

長く時間をおけばおくほど細菌汚染の心配や鮮度の劣化がおきますので、すばやく処理を行うことが重要です。

 

実は、エコフィードと内臓には案外関係があります。エコフィードを給与すると、生体重に占める内臓の重量の割合が下がります。これは養豚農家の売上に影響してきます。

豚をと畜場に出荷すると、農家には当然売上があがります。このとき、枝肉は今の相場で1kg500円程度の価格がつきますが、内臓や皮に関しては1頭当たり一律数百円が売り上げられるに過ぎません。内臓が大きいほどおなじ生体重の豚を出荷しても手取りが下がってしまう訳です。

エコフィードはトウモロコシ主体の配合飼料と比較して消化がよいため、内臓があまり発達せず内臓の重量が軽くなります。通常の豚肉の歩留り(枝肉重/生体重)は65%程度ですが、エコフィードを使用するとこの値が2%ぐらい上がります。つまり、内臓が2kg小さくなると言うことです。今の枝肉相場では2kgでは1頭当たり1000円手取りが変わってきます。

愛知県のちょっと大きな養豚農家では、年間出荷頭数は7000頭ぐらいです。年間で売上が700万円も変わってくることになります。これが、エコフィード使用の隠れたメリットです。

 

養豚農家に限りませんが畜産農家は売上規模が大きいので、ちょっとしたことで利益が大きく変わります。面白くもあり、怖いところでもありますね。

牛の勉強

昨日は京都まで出張してきました。お寺を巡るのが好きなので、京都は年一回ぐらいは行っているのですが、仕事で行くのは初めてです。時間に余裕があればのんびりと初夏のお寺を回りたいところでしたが、残念ながらとんぼ返りです。

京都へ行ったのはエコフィードの打合せです。今まで当社ではおもに養豚用のエコフィードを扱っていたのですが、今回は牛向けの素材です。パイナップルの絞り粕をエコフィードとして活用することを検討しています。

豚向けの飼料に関しては勉強をしてきてかなり詳しくなったつもりですが、牛向けはまだ勉強を始めたところなのでまだまだです。反芻動物は奥が深いです。胃が4つもあるわけですから。牛向けの飼料はまず繊維の分画が必要となります。ADF(酸性デタージェント繊維)とNDF(中性デタージェント
繊維)と言う物を分析する必要が出てきます。ADFは酸に不溶な繊維分であり、セルロースとリグニンが含まれます。セルロースとリグニンは反芻を促すのに必要な成分であり、特に反芻動物では重要な要素です。

ADFとNDFの違いはヘミセルロースが含まれているかどうかです。酸性溶液でヘミセルロースは溶解しますので、ADFというのは酸性溶液でも溶け残ったセルロースとリグニンだけを測定しているという訳です。

 

牛と豚を見ていて一番違うと思うのは、養豚は結構農家自身が飼料の設計までする(とはいえそういう農家の割合はそんなに高くないですが)のに対し、牛はコンサルタントを入れて飼料設計を依頼していることが多いという点です。牛の方が飼料の設計が難しい証左かもしれません。

 

飼料のことをいろいろ勉強してわかってきたのは、今の畜産は非常に精緻に組み立てられていると言うことです。この組立の積み重ねが畜産農家の経営を大きく左右します。賛否あるでしょうが、今の畜産は世間で思われているような牧歌的な物ではないのは確かです。大規模化、効率化を進めてこなければやっていけない市場になっている訳です。もちろん効率化は重要かと思いますが、それだけでない価値を創出できたらいいなと壮大な野望を頂いています。

豚肉の脂肪酸組成

この頃はすっかり仕事が何かわからなくなってきていますが、本業は一応食品リサイクル業です。この頃は本業も忙しくなってきていますので、アルバイトの方々にもがんばってもらっています。問題は工場が手狭になってきているということです。エサは単価が安いのでその分量が多くかさばります。

そのエサによって豚の肉質は大きく変わります。農協での共同研究の結果を見ると、エサを変えるとてきめんに効きます。特に、脂の質が変わります。

「脂」というのは脂肪酸グリセリンエステル、つまり脂肪酸とグリセリンがくっついたものです。その脂肪酸の種類により油の性状が決められます。

豚は体内で脂肪酸合成を行います。でも、食べるエサに脂肪酸が多く含まれていると、摂取した脂肪酸が体内に蓄積します。一般的に配合飼料はトウモロコシを主体に作られています。トウモロコシには数%程度の油が含まれています。この油はリノール酸が中心です。このため、トウモロコシを多く含む飼料を食べさせると豚の脂肪酸に含まれるリノール酸含量が多くなります。

また、おからや豆腐は大豆製品であり、大豆には相当量の油が含まれており、これもリノール酸の割合が多いです。リノール酸は多価不飽和脂肪酸であり、融点が低いです。ですので、おからなどを飼料に多く混ぜると豚の脂肪融点が下がります。

もともと、豚は牛と比べて脂肪の融点が低いです。これが更に下がると扱いにくいこともあり肉屋さんから敬遠されてしまい、市場価格が下がってしまいます。

一方、オレイン酸を多く含むエサを与えると豚の脂肪中のオレイン酸含量が高くなります。また、エサに脂肪が少ない場合は、豚は体内でデンプンからオレイン酸を合成します。オレイン酸が多く含まれる豚肉は官能試験で高い評価を示すことが知られています。イベリコ豚が評価高いのはそれなりに理由がある訳です。

 

農協での試験やお客さんのデータを見ていると、エサの種類によってリノール酸含量は5%~15%、オレイン酸含量は35~50%ぐらいの範囲で変わります。同じ農場でもエサ変えたら確実に数値に反映されるので感心しますね。

飼料価格の高騰と食糧自給率

今日は新しい乾燥機の組立をしていました。動いたことは動いたけど、まだすこし不具合がありますので明日手直しをする予定です。これでバームクーヘンを乾燥させる予定。バームクーヘンは乾燥させるとよい飼料になります。

 

今日はシカゴのコーン先物の値段が上がりました。過去最高水準です。また、すこし円安に振れていますので、国内の配合飼料価格は上昇基調にあります。だいたい4半期毎に価格改定がありますが、1月に続いて4月も値上げ、その次もこのペースで行くと値上げだと思われます。

以前も書きましたが、畜産農家は売上原価に占める飼料価格の割合がとても高いため、飼料の価格上昇は経営にダイレクトに影響します。養豚や養鶏では飼料価格が原価の6割ぐらい占めているので、それが1割上がる影響は大きいです。

日本の畜産は海外からの購入飼料に頼っているのですが、これがカロリーベースの自給率を低下させています。輸入されるトウモロコシの量は年間1600万トン、そのうち1200万トンが飼料として利用されています。米の生産量が年間800万トンですので、米の生産量よりはるかに多い量のトウモロコシが輸入されている訳です。

耕作放棄地は耕地面積の3割と言われていますが、その全部で米やトウモロコシを生産してもせいぜい数百万トンレベルでしかありません。日本の国土では家畜の飼料をまかなうだけの生産をすることができない訳です。

「カロリーベースの自給率はおかしい」という意見を最近よく見ます。でも、私はカロリーベースの自給率にも意味があると思います。畜産では1kgの飼料を与えても、肉はその数分の1しかできません。つまり、その分のカロリーロスがある訳です。金額ベースの自給率が高く、カロリーベースの自給率が低い理由は海外から安い飼料をたくさん輸入しているからです。これを肉の形で輸入すれば効率がいいためカロリーベースの自給率は上がります。つまり、国内での畜産をやめて輸入畜産物に頼った方がカロリーベースの自給率は上がると言うことです。

また、海外から飼料にはたくさんの栄養塩類(窒素、リンなどの肥料分)が含まれています。飼料を国内で作っていれば家畜ふん尿を飼料の農地に還元すればいいのですが、海外の農地まで国内の家畜ふん尿を持っていくことはコスト的にできません。飼料に含まれていて畜産物にならなかった分の栄養塩類は国内で処理しなければいけなく、排水処理や糞の堆肥化に苦労することになります。海外から飼料を輸入していることが国内の水質汚濁に繋がっている訳です。

 

この前のフーデックスで展示されていたメキシコ産豚肉。日本と同じ品種、同じエサを使って同じように育てられているので国産豚肉とほとんど違いがありませんでした。この豚肉を輸入した方が、環境にも優しく、安全保障的にも良い訳です。

カロリーベースの自給率というのはこういった畜産業界の抱える問題を示しているわけです。特に、海外産との差が少なく輸送がしやすい豚肉は非常に危うい状況にあるのは間違いありません。当社はエコフィードを製造している訳ですが、エコフィードで解決するような簡単な問題でないのは確かです。簡単に答えを出せる問題ではないですが、日本の農業、畜産がどうあるべきか、国内での畜産をやめないためにどうしたらいいのかを常に考えていかなければいけないと思っています。

 

にしてもいつも思うことなのですが、自給率の問題について語っている人って現場を知らない方が多い気がしてなりません。一件の畜産農家が如何にたくさんの輸入飼料を使っているか見ると、考えが変わってくるんじゃないか、そんな気がします。

畜産の経営に関するプレゼンテーション

今日は暖かい一日でした。すごく暖かい気がしましたが、これでも平年並みのようです。ここしばらく寒い日が続いていたから暖かく感じられます。さくらの花もほころんできました。

昨日は豊橋市のサイエンスコアで「これからの畜産を考える」というワークショップがあり、私も前座で「畜産の経営と飼料」という内容でプレゼンを行いました。

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プレゼンの内容をかいつまんで紹介すると

・畜産物の価格は長期下落

・飼料コストはここ数十年安値安定だったが、近年は食料需給の逼迫により上昇基調

・畜産では原価に占める飼料コストの割合が高い

・畜産農家は大規模化が進んでいる。大規模で安い飼料を使用することにより安価な畜産物が供給されている

・海外からの飼料の輸入は環境汚染の原因ともなっている。

・エコフィードや飼料米で飼料の供給をするのにはさまざまなハードルがある。

以前からなんどか書いていますが、飼料米がコスト的に合わないのははっきりしています。高くなったと言っても輸入トウモロコシは30円/kg。今の日本の米は200円/kg。その差を埋めるのは困難です。

っていう話をしたのですが、その後のパネルディスカッションで某市の農政課課長は「来年度は稲ホールクロップサイレージの取組を行います。」と誇らしげに宣言。10分前に「コスト的に合わない」って私が言ったことは完全黙殺されてしまいました_| ̄|○

今までの農業政策で一番問題なのは、農業競争力向上の名の下に効果がはっきりしない施策に大量のお金がつぎ込まれていることだと思います。稲ホールクロップサイレージ作ること自体はべつに構わないと思いますが、行政がそれをバックアップすることによりどれくらいの農家でその普及がすすむのかがはっきりせず、行政コストに見合っているか検証されていないことが問題だと思います。とりあえず、今までの施策が役に立っていないのですから、同じようなことを続けていくのは問題ですよね。効果/投資をきちんと見極める必要があると思います。