含水率のワナ

忙しさにかまけてすっかり更新を怠っています。反省です。

最近、野菜のリサイクルの話をよく頂きます。この仕事を始めてから知ったのですが、世の中にはカット野菜工場というものがたくさんあり、そこから野菜の切れ端がたくさん廃棄されています。

ご存じのように、野菜というものは水分が多いです。キャベツなどの野菜では90%以上水分です。
しかし、水分というものはくせもので、見た目では水分量がわからないです。

キャベツは92%ぐらい水分です。ということは、固形分が8%ぐらいしかないわけです。固形分が8%だと完全に液体になるものもあります。りんごジュースは固形分が10%以上ありますが、液体です。液体になるかどうかは水分量だけではなく、組織がしっかりしているなど分子構造が強固であったり、溶解度が低かったりすると固体になります。
キャベツもジューサーなどで完全に粉砕するとスラリーになるのは水分が多い証左です。

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野菜の粉砕作業

例えば、こんにゃく。こんにゃくは水分が97%もありますが、あれだけの機械強度があります。当社では寒天ゼリーを飼料原料として扱っていますが、こちらは逆に固形分が90%もあります。これが増粘多糖類を使ったゼリーですと固形分が15%ぐらいしかないこともあります。

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甘酒

甘酒も飼料原料として取り扱っていますが、こちらは固形分が60%ぐらいありますが、スラリー状です。これは、甘酒の主成分がブドウ糖であり、溶解度が高いからです。

飼料の価値は固形分の量で大きく変わります。見た目で判断できないところが難しい部分です。様々な原料をうまく調合して狙いの含水率にするのが当社の腕の見せ所です。

エコフィードに関する連載(2回目)

このところ忙しい状態がひどくなっており、にっちもさっちもいかない感じです。
たまっている書類、案件を考えると気が重いです・・。

そんな中、中央畜産会発行の畜産経営情報に連載しているエコフィードに関する記事2回目が掲載されました。
 

 

2回目が掲載されたと思ったら3回目の締め切りが近づいていて、かなり焦っております。

連載は大変です。

炭水化物ダイエットと栄養バランス

珍しく連投です。

最近、炭水化物ダイエットが流行っているみたいですね。
食品リサイクルに携わっていると、炭水化物ダイエットには懐疑的です。

日本人の食品栄養バランスの調査をみると、基本的に炭水化物の摂取量は減少してきており、現在の摂取量はちょうどいいぐらいになっています。

摂取カロリーが過剰なのは、ひとえに脂質とアルコールの摂取過剰にあるのはまちがいありません。

なによりの証左として、一般的な飲食店やコンビニの残飯を豚に給与するとぶよぶよの豚になってしまいます。こう言った残飯を乾燥処理すると、油分が20%程度になります。乾燥処理をしてできたエコフィードが油でべたべたしているのをみるとちょっと恐ろしくなります。

というわけで、私は「脂質ダイエット」を推奨しています。とりあえず、揚げ物と生クリームを絶てばたいていの人は痩せるはずです。

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ちなみに、我が家の食事は

朝:パン、カフェオレ、ヨーグルト、フルーツ、ソーセージor卵orチーズ、野菜、パン

昼:揚げ物以外

夜:肉or魚、野菜×2、味噌汁、ご飯、酒

といった感じです。

・各食事で必ず野菜を食べる。

・夜は肉と魚を日替わりで

・家での晩酌は1日に日本酒換算1号程度まで

・揚げ物は家では食べない、自分では注文しない

・間食は油の少ないものをできるだけ選ぶ

というルールを決めています。こういうルール決めをきちんとしていくことが栄養バランスを保つ秘訣だと思っています。きちんとポイントを押さえていれば、ダイエットしていてもご飯を普通に食べることができますし、肉だってがっつり食べても問題ありません。

栄養バランスはすべての健康の基本です。偏った考えが蔓延しているのにはちょっと危惧しますね。

養豚農家と経営方針

以前も書きましたが、一昨年より愛知中小企業家同友会という中小企業の経営者の集まりに入っています。

この会では経営指針を重視しており、そういったものを作成する講座があったりします。また、経営者と使用者という対峙する関係ではなく、従業員と共に育つ会社を目指すことを基本としています。

サラリーマン時代の経験から、経営指針の重要性については感じていましたので、そういう方針に共感を覚え入会した次第です。
やはり、経営者が目指すべき方針をしっかり打ち立てなければ従業員は不安になってしまいますし、自分が行っている仕事の意味が理解できなくなります。仕事の意義が感じられることが何よりも高い仕事に対するモチベーションになると思います。

また、会では経営指針の1つとして経営理念、経営戦略も位置づけられています。自社の強みを十分に把握し、次なる戦略を構築することが経営者には求められています。

養豚農家さんとお話ししていて思うのが、農業であってもこういった経営に対する取り組みが必要であると言うことです。養豚農家は特にこの経営指針が重要であるように感じます。

養豚は外部へ支払うお金が多く、付加価値率が非常に低い農業です。また、一般的には販売価格は安いのですが、逆に言うと販売手法によっては通常の価格と大きな差額で販売ができるポテンシャルを秘めています。

飼料も配合飼料を選択すればあまり差はありませんが、当社の取り扱うようなエコフィードの場合、選択によって肉質や成長に大きな差が出ますし、当然価格にもかなりの幅があります。
農場の施設に対する投資も大きく、また投資の多寡は農場の成績に大きな影響を与えます。

このように、パラメーターが大きく投資が多く、なおかつ付加価値率が低い場合、農業の技術だけではなく経営の手腕が問われます。利益が出たときに適切な投資を怠ると農場の成績に影響しますし、無用に投資をすると短期間に経営に対する影響を与えます。経営者はどれぐらいの投資をし、どういった農場にしていくかという方針をきちんと打ち立てることが必要です。

また、特にエサは短期間に影響が出ます。コストだけを重視すると1月で肉質が悪くなってしまいます。一度評判を落とすとそれを取り返すのは大変です。
どれくらいのコストをかけ、どれくらいの肉質を求めるのか、それをきちんと方針として決めておくことがとても重要です。たまに、「とにかく低コストで、でもブランド豚を作りたい」と言われる方が見えますが、それは相反する要求で実現は厳しいです。とにかく安いエサでそれなりの豚肉を作るのか、それとも肉質を求めるのかめざすものをしっかりと決めることがとても重要です。

昔の農家はよい農産物さえ作ればよかったのですが、良くも悪くも今の農家は経営者としての資質が求められる時代になってきている、そんな気がします。

 

忙しい日々

1月は本当に忙しくてブログの更新もままなりませんでした。ちょっと疲れ気味です。

忙しかった理由の1つとして、業界団体である中央畜産会の発行している雑誌に寄稿する原稿を作成していた・・というのもあります。

こちらにアップされています。

エコフィードについての連載です。

これ、恐ろしいことに6回連載なのであと5回原稿を作らなければいけません。

しばらくは忙しい日々が続きそうです。

展示会出展と名刺

今日、明日と浜松市で行われているはままつメッセという展示会に出展しています。当社は飛び込み営業というものを原則行っていないので、展示会とホームページは重要な営業ツールとして位置づけています。

浜松のある静岡県西部地域は食品メーカーも多く当社からの距離も近いので重要な営業エリアです。ですが、今回の展示会は来客数も少なく、正直かなり暇です。様々な展示会に出展していますが、展示会によって驚くほど客数、客層が違います。当社のような業務形態ではやはり環境関連や農業関連の展示会の方がより効率的な出展となるように思います。
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展示会に出展していると、いろんなお客さんがブースにいらっしゃいます。その中で気になるのが身分を隠して来場する人です。だいたいの展示会では名刺などをホルダーに入れて首から提げるようになっているのですが、ホルダーに名刺を入れなかったり、ホルダーを上着の中に入れたりして隠していて、こちらから名刺交換をお願いしても「名刺は切らしている」と渡していただけなかったり。どんな業種ですか?とお聞きしても「まあ、その」みたいな返答。どういう仕事をしていて、どういう分野に興味があるのかを言わなければこちらも説明のしようがありません。

わざわざ展示会に足を運んで説明を聞くならば、名刺を渡さないまでもせめてどういった業種なのかを説明した方がより有意義な情報収集になるのではないかと思います。特に、当社の取り扱う商品やサービスは非常に特殊なので相手の業務内容がわからなければ的確な説明をすることができません。食品メーカと畜産農家では説明をする内容が全く異なります。

情報が氾濫している現代社会ですが、インターネットを含め逆に的確な情報を集めることが難しくなってきているように思います。情報のアンテナをたててどういう情報を集めることができるか、その能力が問われるようになってきているように思います。

あけましておめでとうございます。

遅ればせながらあけましておめでとうございます。
新年早々から多忙な日々を送っており、ブログ更新もままならない状態です。

一昨年度より、愛知中小企業家同友会という会に入っています。この会は中小企業の経営者の集まりです。経営の勉強を行うことを主眼として集まっています。

今月末に例会があり、私がパネラーを務めることになりました。というわけで、その準備が結構大変だったりします。

Photo今回の例会のテーマは「これからの農業経営を考える」というものです。
私が常々思うのは、日本の農家に一番かけているのは、「経営」という意識だと思います。農業も経営であり、事業を営んでいるのですがその意識が希薄な農家が多いように思います。

愛知の中小企業家同友会では農業部会、農業研究会という分科会があり、そこで農業の経営を勉強しています。ただよい農畜産物を作れば成り立っていた時代は終わっており、経営について真摯に向かい合わねば事業が継続できない時代になりつつあると思います。

最近農業経営が厳しさを増しており、農家の資金繰りも苦しくなってきています。ただ、この前から確実に利益をだしている何件かの農家とお話ししていると、「お金をきちんと支払う」という姿勢が一様に強いことにちょっと感銘を受けました。
農家は昔からの習慣でいろいろな支払を収穫時期にまとめて払うのは当然とか、支払の日をきちんと決めていないという事がよくあります。
しかしながら、一般的な商取引において支払が不確実というのは取引の継続性に影響が出る大きな問題です。きちんと支払を行うからこそ取引業者と毅然とした態度で交渉ができるわけです。支払が滞っていたら見積合わせもできなくなってしまいます。こういったところにも農家の経営に対するスタンスの甘さが露呈しているのだと思います。

今回の例会はそういった経営の様々な基本について学ぶ機会になるようにしていきたいと思います。個々の経営者が経営をしっかり勉強することが日本の農業や産業競争力の強化につながっていくのではないかと思います。

今年一年ありがとうございました。

大晦日ですが、今年は月曜日なので出勤をしています。そして、今日は決算日でした。
会計ソフトを改めて見ていると反省すべき点がたくさんあります。

売上はそれなりに進捗があったのですが、いろいろと投資がかさんだため当初目標としていた利益を確保することはあたわず。
設備投資がたくさん必要な業種ですので、どうしても投資がかさみます。投資が適正規模なのかいつも悩み、そしてぎりぎりまで投資していますのでお金が残らない(^_^)

 前にも書きましたが、基本的にものを創る事業というのは投資が大きいので脱サラして始めるのには向いていません。また、スケールメリットが求められますので、ある程度の投資規模が必要となってきます。昔は自動車メーカーもカメラメーカーもたくさんあったそうですが、いまからそういうメーカーを始めることはとても困難です。
向いていないのを無理矢理始めているので苦労しているわけです。

いわずもがな、事業規模に対しどれくらいの投資を行うかというのが経営者の判断です。そんな現在の投資規模はかなりぎりぎりだと思っているのですが、銀行の担当者はもっとお金を借りて投資をして下さいとのたまいますので、「そんなことを言ったら不良債権が増えますよ」と言ったら苦笑していました。

昨今はどこの銀行のディスクリージャーを見ても資金運用に苦労していることが伺えます。預金残高は増えているのに貸出残高が増えていません。新たな投資を行う会社が減っていますから貸出残高も増えないわけです。事業を始めて実感するのは投資回収をする難しさです。特に、ものを創る事業は投資額も大きく、その割に投資回収の効率が悪くなりがちです。そういう投資が大きい事業が減っているので当社のような小さな会社まで銀行が声をかける時代になっているわけです。当社ももう少し総資本利益率を改善しなければと反省をしています。

と言うご時世ですので、政府の経済対策で「金融緩和」と言われると、違和感を禁じ得ません。銀行にこれだけお金が余っているのに金融緩和しても景気がよくなるはずがないです。企業はお金を借りることができなかったり、金利が高いため事業が行えないわけではないのです。社会システムが高度に完成しているため、新しいビジネスを創出する余地が無い、それがポスト高度経済成長の現代社会だと思います。

というわけで、とても困難な道のりではありますが、私はものを創る事業を行っていることに誇りを持っています。士農工商ではありませんが、ものを創り出すと言うことは全ての産業の基本であります。また、もの創りというのはとてもおもしろいものです。特に、当社の事業は価値がないものから価値を創り出すという意味で「ものと価値を創る」二重のもの創りではないかと自負しています。

来年は今年以上に新しい価値を創造できることを目標にがんばりたいと思います。皆様よろしくお願い致します。

年末

年の瀬を迎えてリサイクル業界は一番忙しい時期を迎えております。
現場は現場で忙しいですが、私は新規営業であっちへ行ったりこっちへ行ったり。慌ただしい日々が続いており、ちょっと体力的に辛い感じです。

そんなときにストレス解消はやっぱり音楽。今日、ラジオを聞いていて久しぶりにおおっと思った一曲を。

是非ちゃんとしたスピーカーで聴いてみて下さい。

物質循環と食品リサイクル

ただいま北海道出張中です。北海道へ来て思うのが、やはりバイオマス、食料といった分野では北海道は抜きんでているということです。食料生産は広大な土地があって初めて成立しうるものなのだと改めて気づかされます。

北海道は食糧自給率100%以上あり、その中でも今回行った十勝はとくに地域での食糧自給率が非常に高い地域とのことです。カロリーベースの食糧自給率が高いということは物質の循環の観点から見ると大きな意味があります。

日本はトウモロコシを毎年1600万トン、大豆を300万トン輸入しています。食料を輸入している訳ですが、これは見方を変えると窒素、リン酸、加里などの肥料分と有機物を輸入しているということになります。
日本で使われている化成肥料由来の肥料成分と匹敵する量の肥料成分が輸入されている食物に含まれているのです。

例えば、輸入されている穀物からは60万トンの窒素成分が含まれています。これは使用されている化成肥料に含まれている窒素分とほぼ同等の量となります。つまり、家畜ふん尿を適切に利用すれば理論的には化成肥料の窒素は必要ないこととなるわけです。

逆に言うと、現時点では化成肥料がそれだけ使われているわけですから、輸入穀物由来の肥料分、すなわち家畜糞尿由来の分が過剰になっていると言うことです。日本全体としてみた場合、物質が輸入超過になっているわけです。

輸入超過になっている分はどこかで帳尻を合わせなければ行けません。そのため、排水処理を行い、窒素のなどの肥料成分=富栄養化の原因物質を除去しているわけです。極論を言えば、物質収支が取れていれば、つまり肥料成分での自給率が100%であれば排水処理は不要となる訳です。

食品リサイクルの意義とは、単に廃棄物のリサイクルという意義に留まらず、日本国内の物質収支を改善するという意味があります。輸入穀物の使用量が減ると言うことはそれだけ国内で物質循環が完結するということです。無論、家畜ふん尿を利用し国内で飼料生産を行なう事も同様の意義があります。
大量の輸入穀物に依存し、その結果として環境負荷の原因となる畜産は持続可能であるとは言えないと思います。

最初の話に戻りますが、十勝は食糧自給率が非常に高いということは、地域内循環を行うのに非常に適した環境にあるということです。逆に、適切に循環を行えば、家畜ふん尿の問題が発生しない地域でもあると言うことです。

物質収支のバランスをとるのは、まず農家レベルから始め、農家から地域、地域から地方、地方から国、国から世界全体の物質収支の釣り合いを目指していく必要があります。この、物質収支のバランスをとることが持続可能な世界の形成につながることに他なりません。

廃棄物のリサイクルは単なるゴミの処理に留まらず、人類の未来を構築する重要な鍵となるでしょう。と思ってがんばって事業を行っています。
とはいえ、零細企業たる当社を見ても人類の重要な鍵とは見えないとは思いますが(笑)