有価物と廃棄物

最近の不法投棄等の案件を見ると、単純なものは少なく、巧妙になってきているように思います。
よくあるのが有価偽装。有価物を保管しているだけ、土壌改良剤として利用している等々の主張をするというもの。
当社の関連する食品リサイクルですと、堆肥として販売しているといいつつ、土地を高い値段で借り上げており実質的に畑が安定型処分場になっているという手口です。
ところで、そもそもなぜ廃棄物に関して厳しい規制が行われているのか。
廃棄物は受け入れたときにお金をもらえます。その時にお金と一緒にゴミも引き渡されるわけです。このゴミを捨ててしまえばすぐに儲かるわけです。
逆に、一円でも払って買った場合、そんなに簡単に捨てることはない訳です。木くず裁判とよばれる裁判では、木くずのように一般的に価値があると見なされるものは逆有償でも総合的な判断で有価物として見なすという判例が出ています。
しかし、逆有償である以上、捨ててしまった方が簡単にお金になるわけです。環境省、都道府県が「基本は有価かどうか」で判断するのはこのためです。
同じ理由で、買取価格より運搬費用の方が高く逆有償になっている事例においても、運搬業者と買取業者が別であり、運賃を直接排出元が負担している場合、買取業者は廃棄物処分の許可が不要です。(都道府県によって見解がことなることもありますが)
買取業者はあくまで有価で買い取っているため、これを不法投棄する可能性は低いわけです。
ただ、トータルで逆有償になっている場合、運搬業者から買取業者へ金が流れていることもあります。つまり、実質的に買取業者は買取と言いつつ処分費を取っている状態になっているということです。
こういう事例もあるので、都道府県によってはたとえ運搬業者と買取業者は別であっても逆有償になっていることに関して認めないこともあるようです。
この理屈は養豚業者にもあてはまります。処分費をもらっていると、楽するために捨てる可能性が常に付いているため、受入にあたってそれなりの要件が求められるわけです。

名大農場での実験

年度末の仕事も一段落したので、すこし暇になるかと思いきや、なんか無茶苦茶忙しいです。
連休もずっと仕事、その後も仕事で休み無しです。なんかすこし疲れ気味な気がします。なんか次々と予定が舞い込んでくる上に自宅の引越も重なり、その上趣味でやっている写真の団体(代表しています)の写真展まで重なって大変です。
先週の土曜日は名大農場でお願いしている実験の作業を行ってきました。若い学生がいっぱいいてエネルギーに圧倒されました。すっかり中年オヤジだと自覚する次第。
施肥と畝立てはもう終わっているので、今回はマルチを張りトウモロコシを定植するっていう作業です。
Imgp3286作業風景
この実験は連用圃と言い、長期間同じ条件で施肥管理等を行い比較を行うという試験です。当社の肥料を使った実験区はまだ3年目ですが、他の処理区は22年間実験を継続しています。厩肥多用区は土が驚くほどふかふかになっていますが、化成肥料区はがちがちの土になっており肥料の効果を実感できます。
当社の実験区はまだ厩肥区ほどまで行きませんが、分析値もだんだん良くなってきており見た目も黒っぽくなってきています。また、年ごとに少しずつ土が軟らかくなってきているようです。

廃掃法について:産業廃棄物処分業の許可要件

急に暑くなりました。つい先週くらいまでフリース着ていたのが嘘みたいですね。
暑がりなのでこれからはつらい時期です。
当社は産業廃棄物処分業の許可があります。最初の許可申請、その後の変更の申請などを自社で行いましたので、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(いわゆる廃掃法)についてもだいぶ勉強しました。業界の人や行政担当者と比較しても法に関しては詳しい方だとは思います。
この廃掃法、いろいろと変なところがあります。先日から繰り返し書いている事業系一般廃棄物と産業廃棄物の区別もですが、処分業の許可要件などでもおかしなところがあります。
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廃掃法の第十四条 5
都道府県知事は、第一項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
 一 その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
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とあります。
「業」の許可なのになぜか施設がないとダメなんです。一見当たり前のようですが、これがくせもの。施設っていうのは箱や土地、人ではなく、機械などを指すわけです。
たとえば、養豚農家が食品廃棄物の受入を行うために許可を取ろうとするとき、豚に食べさせるから豚を施設として許可を取ろうとすると(よくあるケースです)、許可はおりません。
また、産業廃棄物、とくに建設系の廃棄物って、だいたいは重機や人手で分別することにより処理されています。でも、同様の理由で分別だけでは許可が下りません。ので、選別をするラインを作ったり、破砕機を入れることにより許可を取得しているケースが多いです。破砕機は実際あまり使わず横で重機を使って分別しているだけ・・っていうところをよく見かけます。
先の養豚農家のケースでも、養豚農家に機械が無いわけでもないので、その機械で許可を取得する方法もあります。まあ、この辺がノウハウなんですが。
もっとも、産業廃棄物の処分業の許可は施設さえあれば取れるものでもないのが難しいところです・・・。

引っ越しと一般廃棄物の許可

今日は出勤でした。堆肥の切り返しと書類整理をしていました。さすがに会社の周りの工場もみんな休み。静かな一日でした。土曜日はお客さんからの電話があったりしたのですが、今日は電話もまったくありませんでした。
私事ですが、自宅を引っ越すことになりました。昨日は引越業者を3社呼んで相見積もりを取りました。引越って見積をぶつけると恐ろしく安くなります。なんですが、見積を取るために営業マンの相手をするのが面倒と言えば面倒です。見積自体は15分ぐらいででるのですが、営業マンの話が長いこと、1人1時間×3で3時間も相手する羽目に。
しかし、引越業界って大変ですね。差別化が難しいので結局値段勝負。他所がいくらならうちはいくらっていう世界です。廃棄物業界もその傾向が強いですが、引っ越し業界はもっと過酷かもしれません。今回のお願いすることになった会社が提示した金額も普通に計算するとどう考えても原価以下です。
ところで、引越会社が持ってきたパンフレットを見ていたら気になることがありました。「引越の時に出たゴミを有償で処分します」って書いてあります。家庭から出るゴミは一般廃棄物になります。これを処分費をもらって処分するためには一般廃棄物の運搬業の許可が最低必要です。これを許可がない引越業者が処分を行うことは違法行為になります。許可があればいいのですが、まず無いですから。
今回見積取った3社のうち、不要品処分のことが書いてあるのは1社だけでした。引越業者はよく不要品処分を頼まれるのですが、以前某大手運送会社が無許可営業でおとがめ受けているので、引越業者も慎重になっているんだと思います。今回パンフに記載があったのは新興の会社なので、多分知らないのでしょう。
これと似たような事例で、便利屋のケースがあります。便利屋のポスティングチラシを見ると、よく「不要品処分します」みたいなことが書かれています。これもほとんどが違法です。こういう業者は、だいたい集めたゴミを産業廃棄物として処理しているようです。
引越の時にでるゴミは市町村で処理してもらうのが基本です。ただ、ゴミ出しの日が合わなかったり、粗大ゴミの手続きが煩雑だったりするのも事実。お金出しても処理お願いしたくなるものです。ところが、多くの市町村は一般廃棄物の収集運搬許可を持っている業者でも一般家庭から出るゴミの回収を代行することを認めていません。ということは、遵法の方法は自分で市町村に頼んで処理するしかないわけです。
無許可の業者に委託すると、法外な料金を取ったり、不法投棄につながったりする恐れもあります。実情にあっていない硬直した廃棄物行政が問題を生んでいるんだと思います。

バイオエタノールとボツリオコッカス

今日は休日出勤です。ゴールデンウイークもほぼ出勤です。
出勤はべつに問題ないのですが、道が混むのが困りもの。運送をお願いしている会社から泣きの電話が入りました。会社近くの東名音羽蒲郡インターあたりは休みの日ものすごく混むんですよね。
閑話休題
木材や食品廃棄物からバイオエタノールを作る試みがあちこちで行われています。大阪府には結構大きな実証プラントが出来ています。愛知県内にも食品廃棄物からバイオエタノールをつくる試みが行われています。
私の個人見解としては、コスト&エネルギー的に見合わないと思います。
木材はそのままで燃料として使用可能です。わざわざエネルギーをかけてまでエタノールを作る意味があるのやら。エネルギー収率が90%ぐらい確保できればまだ道があるとは思いますが、そこまで行くことはないでしょう。
食品廃棄物からバイオエタノール作ることに関しても懐疑的です。そもそもバイオエタノールに適したデンプン質の食品廃棄物はそんなに量が多くない上に、飼料として適しているものばかりです。また、エタノールを作るためにそれなりに外部からエネルギーを投入しなければいけません。水分が多い食品廃棄物は見かけのエネルギー密度が低いため、相対的に外部からの投入エネルギー量が多くなってしまい、エネルギーが全く回収できないというオチがあったります。
うろ覚えですが、トウモロコシからつくるバイオエタノールでエネルギー収支は石油と比べてぎりぎりプラスだったかと思います。
この前、知人と雑談していたところ、ボツリオコッカスの話になりました。これ、石油(正確には炭化水素)を作る藻類です。世界中で注目を浴びているようです。
これの培養をするのに、太陽光だと生育が不安定なため、糖類を供給して培養する方法があるそうです。
クロロフィルを持つ植物は太陽光と二酸化炭素を使って炭水化物を作りますが、炭水化物を外部から供給してそれをエネルギーとすることも可能です。
ただ、これも収支的にはちょっと怪しい雰囲気です。
前から書いていますが、クリーンエネルギーとか廃棄物のリサイクルとかは、なんかすごい技術ですごいものを作り出すのではなく、素朴な技術で少しだけ良いものを生み出すことが本当は環境に優しいのだと思いますね。

リサイクルループと食品廃棄物

ここ数日忙しくて更新が出来ませんでした。もちろん週末も仕事でした。
日曜日、アースデイはままつへ行ってきました。
先日書いたアースデイの関連のイベントです。
取引のある山本エコロジーサービスも出店されているので遠路浜松まで。
なんか良い意味でゆるいイベントでした。最近、こういうイベントに人が集まるようになっていますよね。
環境関連のマーケットの広がりを感じます。
先日、うちのお客さんの群類畜産さんと肉の営業に出かけてきました。群類畜産さんでは、当社で製造している食品工場からでてくるジャガイモを加工した飼料を使って頂いております。こちらの食品工場(総菜製造工場)で群類畜産の肉を使って頂き、リサイクルループを構築しようという狙いです。
個人的にはリサイクルループを作ることに固執しすぎてはいけないと思っています。リサイクルすることももちろん重要ですが、やはり食品というのは味が良いことが重要だと思います。
私は食品副産物や食品廃棄物をエサに使う一番のメリットは肉質がよくなる可能性があることだと思います。今回のジャガイモもそうですが、パン、うどん、焼酎粕などの小麦や芋、米などのデンプン質主体の飼料を使うことにより、非常に美味しい肉となります。肉が美味しいから採用頂き、それにおまけでリサイクルループがついてくるぐらいのことであって欲しいと思います。
群類畜産さんの肉はホントに美味しいですよ。お客さんにも自信を持って勧められます。

アースデイ

今日は世界的にアースデイという日でした。
今朝、ラジオを聞いていたら、アースデイについての話題が出ていました。
アースデイのことは上のリンクを見て頂ければと思いますが、ラジオではアースデイの紹介の後、マイケルジャクソンのHeal The Worldが流れていて、なんかしみじみとした気分になりました。

なんか亡くなったら急に偉人になるみたいなのは正直あんまり好きじゃないんですが、それはそれとこの曲とかWe are The Worldとかはホントにすばらしいですよね。高校生の頃は「マイケルジャクソンか、けっ」って思っていましたが、今は反省していますw
しかし、最近の自分の英語力の低下は著しいですね。歌詞の意味がなかなか理解できません。これでも高校の頃は英語はまずまず得意だったのですが。英語力の低下と言うより、記憶力が低下しているかも。
ま、ともかく
「Make A Better Place For You And For Me」

養豚と産業廃棄物の許可

今日は客先から直帰したので珍しく早く家に帰ってきました。
最近精神的に疲れているので寝酒飲みながらブログ書いています。
私もこの仕事を始めて知ったことですが、養豚農家は食品副産物、廃棄物をかなりたくさん受け入れしています。とくにここ愛知県は大都市近郊と言うこともあり、昔は残飯養豚が盛んでした。今は残飯で養豚というのはほとんど無いのですが、その流れをくんで食品副産物をうまく使っているケースがよくあります。当社のお客さんもそういった養豚農家の方が多いです。
なお、食品廃棄物といっても、主に製造時に出る副産物や廃棄製品などなので非常に品質は高いです。肉質を考えると残飯を使うのは難しいのが本当のところです。
そういった食品副産物を使った養豚農家と話していると、「産業廃棄物の処理の許可を養豚農家に与えるべきだ」って言うようなことをよく言われます。許可を取得すると、今まで買っていたエサが逆にお金がもらえるようになってバラ色みたいな印象を持たれているようです。でも、私個人の意見では、養豚をしっかりやろうとするなら、あまり許可を取得することに固執しないほうがいいのではないかと思います。
処分費をもらうと言うことは、責任を持って廃棄物を処理すると言うことです。ので、発生した廃棄物を必ず処理する義務が出てきます。量が不安定な食品廃棄物では、これが結構大変なことなのです。
お金を出していたら、好きな量だけ買うことが出来ます。でも、処分費をもらう以上、量は成り行きです。エサに向かないものも出てきます。
養豚農家が処分費をもらうと、こういったものの対応に苦労することになったりします。
結局のところ、ビジネスの組立方です。処分費をもらって豚を処理機として見なすのか、それとも良い豚を育てるために高品位な食品副産物を使うのか、バランスをどこに取るかというところです。もちろん、完全な安定供給などを求めるとそれは飼料価格が高くなる要因ですので、コストを下げようとするとある程度の量変動は許容する必要がありますが。
要は、肉の品質を重視するならば処分費をもらえるようなものはあまりないっていうことです。ま、許可があればあるで価格の幅が広がるので決して無駄にはならないですが。

肥料の配達

昨日は休日出勤して肥料の配達をしてきました。渥美の江比間にあるどろんこ村という農業体験、有機野菜の栽培をやっているお客さんです。
ダンプで畑に入ったところ、亀になって出すのに苦労しました。一応四駆なんですが、肥料を積んでいるとなかなか抜け出すのは大変です。
肥料を広げた後、どろんこ村のお店へ行きシフォンケーキを食べてきました。ここのシフォンケーキはほんとうに美味しいです。シフォンケーキは自宅用にも買って帰りました。
最近肥料の売れ行きがよく、すっかり在庫が無くなってしまいました。リサイクルの仕事は在庫調整が難しいのが難点です。うちの工場は小さいのでストックヤードがあまりありません。
ところで、どろんこ村の若い人に「環境テクニカ」さんと言われてしまいました。新しいバージョンです_| ̄|○

名大農場

なんか寒い日が続きますね。風邪ひかないように注意しています。
名大農学部の附属農場で当社の肥料の実験を行ってもらっています。この前、実験に使う肥料を配達してきました。今月中に施肥し、マルチを貼って来月初旬にトウモロコシを定植する予定になっています。3年目で当社の実験区も少しずつ良い感じに色が変わってきました。
配達ついでに旧知の技官さんと会っていろんな話をしてきました。私の所属研究室が附属農場の中にあったので、4年生の時1年間毎日農場に行っていました。技官さんもその頃から15年来のつきあいですね。
技官さんと話していたら、実験で余ったバラの花を分けてくれました。家に花があると華やぎますね。
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